クライミングジム10社比較|経営者が見る出店戦略

クライミングジム10社比較|経営者が見る出店戦略 スポーツビジネス

「クライミングジムを開業したいが、老舗ブランドとFC型のどちらを選べばいいのか分からない」。新規レジャー施設への参入を検討する事業者からよく聞かれる悩みです。結論として、クライミングジムは老舗直営型・専業チェーン型・異業種参入型の3タイプに分かれ、必要な専門性と投資額が大きく異なります。本記事では主要10社を比較し、開業前に経営者が見るべき収益構造を整理します。

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  1. クライミングジムが広がる背景|国のスポーツ産業拡大方針
  2. クライミング・ボルダリングジム運営10社の一覧
    1. Dボルダリング|業界最多クラスの店舗数を持つFC展開企業
    2. GRAVITY RESEARCH|アウトドア用品大手が手がける多店舗展開
    3. Base Camp|元世界チャンピオンがオーナーの国内最大級ジム
    4. ROCKY Climbing & Fitness Gym|アプリ・ホールド事業も併営
    5. PUMP/B-PUMP|1993年設立の草分け的存在
    6. BOULCOM|駅近・低価格を訴求する都市型ジム
    7. CITY ROCK GYM|1989年創業の老舗専用ジム
    8. ナカガイクライミングジム|プロから子どもまで幅広く対応
    9. T-WALL|ボルダリングとリードの両方に対応する都内施設
    10. Everfree Climbing Gym|2018年設立の新興都市型ジム
  3. 3つの運営タイプで見る参入ハードルの違い
    1. 老舗専業型|競技者コミュニティを競争力にする
    2. 異業種参入型|既存の顧客基盤を活かして参入する
    3. 新興都市型|駅近・低価格でライトユーザーを取り込む
  4. 開業判断に使う3つの数字|初期費用・ルート更新コスト・客単価
    1. 初期費用|クライミングウォールの施工費が最大の投資項目
    2. ルート更新コスト|継続的にかかる運営コストの核
    3. 客単価|月謝会員化とレッスン付加で単価を上げる
  5. 企業のチームビルディング・健康経営への活用
  6. まとめ|運営タイプと継続コストの両輪で判断する

クライミングジムが広がる背景|国のスポーツ産業拡大方針

クライミング・ボルダリングジムの出店が増えている背景には、国全体でスポーツ産業を成長分野と位置づける政策があります。スポーツ庁は第3期スポーツ基本計画のなかで、スポーツ市場規模を5.5兆円から2025年までに15兆円に拡大することを目標として掲げています。市場を拡大し、その収益をスポーツ環境の改善に還元してスポーツ参画人口を増やすという好循環を政策目標にしている点がポイントです。

クライミングジムは、山岳部・専門店発の老舗ブランドと、フィットネス感覚で気軽に通える新興チェーンが共存する珍しい業界です。トランポリンパーク格闘技ジムと同様に、専門性の高さを訴求点にする事業者と、間口の広さを訴求点にする事業者が併存しています。全体はスポーツビジネスのサービス・施設分野の一角です。

(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁

Q. クライミングジムとボルダリングジムは何が違いますか?

ボルダリングはロープを使わず低い壁を登る種目で、クライミングはロープを使って高い壁を登るリードクライミングなどを含む上位概念です。多くの施設はボルダリング専用か、両方に対応した複合型かで設計が分かれます。

クライミング・ボルダリングジム運営10社の一覧

クライミングジムの運営会社は、1990年代から続く老舗の専門店から、アウトドア用品店が多角化したチェーン、複数店舗をFC展開する新興企業まで幅が広いのが特徴です。公式サイトで事業内容を確認できた主要企業のうち、直近1年に情報発信の更新があるものを10社選び、拠点と特徴を整理しました。

社名 運営形態 拠点 特徴
Dボルダリング 直営+FC 全国(首都圏中心) 業界最多クラスの店舗数、FCプランも用意
GRAVITY RESEARCH 直営(異業種運営) 全国15店舗 アウトドア用品大手・好日山荘が運営
Base Camp 直営 東京・埼玉7店舗 元世界チャンピオン平山ユージ氏がオーナー
ROCKY Climbing & Fitness Gym 直営 首都圏6店舗 クライミングアプリ・ホールド事業も併営
PUMP/B-PUMP 直営 首都圏複数店舗 1993年設立、日本のボルダリング専門ジムの草分け
BOULCOM 直営 東京・神奈川 駅近立地・低価格を訴求点にした都市型
CITY ROCK GYM 直営 大阪・奈良 1989年創業、日本初の室内専用ジムの一つ
ナカガイクライミングジム 直営 大阪 プロ向けから子ども向け教室まで幅広く展開
T-WALL 直営 東京都内5店舗 1992年開業、ボルダリングとリードの両対応
Everfree Climbing Gym 直営 東京(新宿区) 2018年設立の新興企業が運営する都市型ジム

公式サイトで事業内容を確認できた国内企業のうち、直近1年に情報発信の更新があるものを10社掲載(2026年9月時点)。

Dボルダリング|業界最多クラスの店舗数を持つFC展開企業

大器株式会社が運営し、首都圏を中心に業界でも有数の店舗数を展開しています。子どもから大人、初心者からプロまで幅広い層に対応した施設設計と、フランチャイズプランの提供を組み合わせ、直営とFCの両輪で店舗網を拡大している点が特徴です。

(参考)ボルダリングフランチャイズ(FC)プランのご案内 – D.Bouldering

GRAVITY RESEARCH|アウトドア用品大手が手がける多店舗展開

登山・アウトドア用品の大手小売である好日山荘が運営するクライミングジムで、全国15店舗という規模を展開しています。既存の登山用品販売顧客をクライミングジムへ誘導できる導線を持つ点が、専業事業者にはない強みです。

(参考)GRAVITY RESEARCH 銀座 – グラビティリサーチ

Base Camp|元世界チャンピオンがオーナーの国内最大級ジム

元世界チャンピオンの平山ユージ氏がオーナーを務め、東京・埼玉で7店舗を展開する国内最大級のクライミングジムです。競技経験者としての知見をカリキュラムに反映し、初心者から競技志向の選手まで対応する設計が強みになっています。

(参考)会社概要 – Base Camp

ROCKY Climbing & Fitness Gym|アプリ・ホールド事業も併営

株式会社船橋ロッキーが運営し、首都圏で6店舗を展開しています。クライミングジムの運営だけでなく、クライミング用アプリやホールド(壁の突起物)の企画・販売事業も手がけ、施設運営以外の収益源を複数持っている点が特徴です。

(参考)会社概要 – ROCKY Climbing & Fitness Gym

PUMP/B-PUMP|1993年設立の草分け的存在

1993年に設立された日本のボルダリングジムの草分け的存在です。B-PUMP TOKYO 秋葉原は600坪規模のメガ・ボルダリングジムとして知られ、老舗ならではのブランド力と競技者コミュニティを持っている点が強みです。

(参考)クライミングジム&ショップ PUMP 公式サイト

BOULCOM|駅近・低価格を訴求する都市型ジム

東京・神奈川で、駅から徒歩5分圏内の立地と低価格帯の月謝を訴求点にしている都市型のボルダリングジムです。仕事帰りに気軽に立ち寄れる利便性を軸に、競技志向ではないライトユーザー層を取り込んでいます。

(参考)BOULCOM 公式サイト

CITY ROCK GYM|1989年創業の老舗専用ジム

株式会社オーシーエスが運営し、1989年創業という日本のクライミングジムの中でも初期に開業した専用施設の一つです。クライミングウォールの製造も自社で手がけており、施設運営とウォール製造の両方のノウハウを持っています。

(参考)CITY ROCK GYM 公式サイト

ナカガイクライミングジム|プロから子どもまで幅広く対応

大阪でプロ向けコースから体験コース、子ども向け教室まで幅広く展開しています。競技志向の選手層と、初めて挑戦する初心者層の両方を同じ施設で受け入れる設計が特徴です。

(参考)ナカガイクライミングジム 公式サイト

T-WALL|ボルダリングとリードの両方に対応する都内施設

1992年に開業し、東京都内に5店舗を展開しています。ロープを使うリードクライミング・トップロープクライミングと、ロープを使わないボルダリングの両方に対応できる施設を持つ点が特徴で、競技志向の利用者にも対応できます。

(参考)T-WALL 公式サイト

Everfree Climbing Gym|2018年設立の新興都市型ジム

2018年設立のEverpeak株式会社が運営し、東京都新宿区の四ツ谷駅近くで営業しています。老舗ブランドが多いクライミングジム業界の中で、比較的新しい事業者が都市部の駅近立地で参入した事例です。

(参考)Everfree Climbing Gym 公式サイト

Q. クライミングジムは初心者でも通えますか?

はい、BOULCOMやナカガイクライミングジムのように初心者向けの体験コースを用意する施設が一般的です。専門的な登山経験がなくても、レンタルシューズと基本レクチャーを受ければ利用できる設計になっています。

3つの運営タイプで見る参入ハードルの違い

10社を分類すると、クライミングジムの運営タイプは大きく3つに整理できます。老舗専業型・異業種参入型・新興都市型では、必要な専門性の深さと初期投資の考え方が異なります。どのタイプを選ぶかで、開業までに必要な準備期間も変わってきます。

老舗専業型PUMPやCITY ROCK GYMのように、1990年前後の創業から専業で運営。競技者コミュニティが強み
異業種参入型GRAVITY RESEARCHのように、アウトドア用品店等が既存顧客基盤を活かして参入
新興都市型BOULCOMやEverfreeのように、駅近・低価格でライトユーザーを取り込む

老舗専業型|競技者コミュニティを競争力にする

PUMPやCITY ROCK GYM、T-WALLのように、1990年前後から専業でクライミングジムを運営してきた事業者です。長年培った競技者コミュニティとインストラクターの専門性が競争力の源泉になっており、新規参入企業が短期間で模倣しにくい強みを持っています。一方で新しい設備投資には保守的になりやすく、若年層向けのカジュアル化では新興勢力に後れを取る場合があります。

異業種参入型|既存の顧客基盤を活かして参入する

GRAVITY RESEARCHのように、登山・アウトドア用品を扱う既存事業者がクライミングジム事業に参入する方式です。用品販売の顧客をジム利用へ、ジム利用者を用品購入へと相互に誘導できる導線を最初から持てる点が、ゼロから顧客を開拓する専業事業者にはない強みです。

新興都市型|駅近・低価格でライトユーザーを取り込む

BOULCOMやEverfree Climbing Gymのように、比較的新しく設立された事業者が、駅近立地と分かりやすい価格設定を武器に都市部で展開する方式です。競技志向ではなく「仕事帰りに気軽に体を動かしたい」というライトユーザー層を主要ターゲットにすることで、老舗ブランドとの直接競合を避けた差別化を図っています。

Q. クライミングジムを開業するのに専門的な登山経験は必要ですか?

運営者本人に必須ではありませんが、壁のルート設定(ルートセッティング)を担う専門人材の確保が必要です。老舗ブランドとの提携やFC加盟、専門スタッフの採用など、ノウハウを補う方法を開業前に決めておく必要があります。

開業判断に使う3つの数字|初期費用・ルート更新コスト・客単価

運営タイプを決めた後、実際に採算が合うかどうかを判断するには、初期費用・ルート更新コスト・客単価という3つの数字を押さえておく必要があります。クライミングジムは壁の課題(ルート)を定期的に張り替える継続コストが発生する点が、他の運動施設と大きく異なります

初期費用|クライミングウォールの施工費が最大の投資項目

クライミングジムの初期費用は、天井高のある物件取得費に加えて、クライミングウォール本体の施工費が最大の投資項目になります。CITY ROCK GYMのようにウォール製造まで自社で手がける事業者もあり、施工を内製化できるかどうかで初期投資の構造が変わります。

ルート更新コスト|継続的にかかる運営コストの核

クライミングジムは、壁に設置するホールドの配置(ルート)を定期的に張り替えないと、リピーターが飽きて離脱しやすくなります。ルートセッターという専門人材の人件費と、ホールドの購入・入れ替え費用が、開業後も継続的にかかる運営コストの核になります。

客単価|月謝会員化とレッスン付加で単価を上げる

客単価は、都度利用の料金だけに頼らず、月謝会員化やキッズ向けレッスンをどれだけ組み込めるかで変わります。ナカガイクライミングジムのように子ども向け教室を併設する施設は、保護者の付き添い需要も取り込みながら客単価を積み増せます。開業判断の全体像はグラウンド整備会社の比較記事で扱った施設系ビジネスの収益構造とも通じる部分があります。

Q. クライミングジムのルート(課題)はどのくらいの頻度で張り替えますか?

頻度は施設ごとに異なり一律の基準はありませんが、リピーターの離脱を防ぐために定期的な張り替えを行う施設が一般的です。張り替えの頻度と質は、会員の継続率に直結する重要な運営指標になります。

企業のチームビルディング・健康経営への活用

クライミングジムは個人利用だけでなく、企業側から見ても活用の余地があります。目標設定と達成の繰り返しを体感できるクライミングは、社員研修のコンテンツとして注目されています

壁の課題を1つずつクリアしていく過程は、業務における小さな目標設定・試行錯誤・達成体験と構造が似ているため、研修担当者から「メタファーとして使いやすい」という評価を受けやすい特徴があります。GRAVITY RESEARCHのように複数拠点を持つ事業者であれば、全国の拠点で同じ内容の研修プログラムを展開できるため、施設運営会社にとっては法人研修という収益源になります。

Q. 企業がクライミングを社員研修に取り入れるメリットは何ですか?

壁の課題を1つずつクリアする過程が、業務における目標設定や試行錯誤の構造と似ているため、研修のメタファーとして使いやすい点がメリットです。運動経験の差が出にくく、部署をまたいだ社員同士でも参加しやすい特徴もあります。

まとめ|運営タイプと継続コストの両輪で判断する

クライミング・ボルダリングジムの運営市場は、老舗専業型・異業種参入型・新興都市型という3つのタイプが併存し、それぞれ必要な専門性と投資額が異なります。要点を振り返ります。

  • 国はスポーツ市場規模を15兆円へ拡大する方針を掲げており、クライミングジムもその追い風を受けている
  • 主要10社は老舗ブランド・異業種参入・新興都市型など、明確にポジションが分かれている
  • 運営タイプは老舗専業型・異業種参入型・新興都市型の3つに整理でき、必要な専門性と投資額がトレードオフになる
  • 開業判断には初期費用・ルート更新コスト・客単価の3指標をセットで見る必要がある
  • 企業側にとってもクライミングはチームビルディング・健康経営としての活用余地がある

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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