「サガン鳥栖 スポンサー」の検索候補には「撤退」「サイゲームス」「久光製薬」が並びます。かつてユニフォームを飾った2社が、いまどうなっているのか。
答えは、公式一覧のなかにありました。Cygamesはプラチナパートナー、久光製薬はゴールドパートナー。どちらも残っています。そして決算を見ると、J1からJ2に落ちた年にスポンサー収入は3,700万円増えていました。
サガン鳥栖のスポンサーは、2つの一覧で延べ176枠・実数168社

クラブ公式サイトの2つの一覧を2026年9月24日に取得して集計しました。サガン鳥栖はページの見出しを「オフィシャルスポンサー」とし、区分名には「〜パートナー」を使っています。
オフィシャルスポンサーが161枠・13区分、「ご協賛各社様のご紹介」が15枠・4区分。合わせて延べ176枠です。
法人格の表記ゆれを揃え、リンク先も確認して重ねると、重複は8件でした。日産サティオ佐賀がレギュラーパートナーとモビリティパートナーの両方に。昭和ウォーター、中野建設、フジタ道路、佐賀県競馬組合、西村商会、三愛オブリが2つの一覧をまたいでいます。そしてダイヤモンドパートナーの「別府血の池地獄」と、試合日程ポスター協賛の「(株)血の池地獄」は同じ会社です。
したがって実数は168社になります。
Q. 「ご協賛各社様のご紹介」とは何ですか。
媒体や事業ごとの協賛を集めたページです。サポートカンパニー協賛(キリンビール、九州ユーポス)、サッカースクール協賛(三愛オブリ、フジタ道路、ブリヂストン、和泉プロパン)、ミニガイドブック協賛(ごんどう矯正歯科、佐賀新聞ライフマネジメント、佐賀県競馬組合、チケットぴあ九州)、試合日程ポスター協賛(昭和ウォーター、JTB佐賀支店、血の池地獄、中野建設、西村商会)の4区分。この連載で、印刷物1点ごとに協賛枠を設けているクラブは初めてでした。
(参考)オフィシャルスポンサー様のご紹介 – サガン鳥栖 公式オフィシャルサイト
トップパートナー10社に、鳥栖市と『キングダム』が入っている
区分ごとの枠数と顔ぶれです。
| 区分 | 枠数 | 掲載企業 |
|---|---|---|
| トップパートナー | 10 | 木村情報技術/エックスモバイル/SSP/セブン・フォース/ベストアメニティ/アニマル・ワン/朝日I&Rホールディングス/エムエスト/キングダム/鳥栖市 |
| ダイヤモンドパートナー | 8 | コスメフェリーチェ/佐賀新聞社/佐賀トヨタ自動車/関家具/ミゾタ/別府血の池地獄/日本直販/Haak |
| プラチナパートナー | 17 | Cygames/駅前不動産ホールディングス/昭和ウォーター/中野建設/フジタ道路 ほか |
| ゴールドパートナー | 17 | 久光製薬/佐賀県競馬組合/JAグループ佐賀/西村商会 ほか |
| シルバー/ブロンズ/レギュラー | 99 | 県内の中小企業・医療機関・団体が中心 |
| その他6区分 | 10 | ニューバランス(ユニフォームサプライヤー)/ぴあ(チケッティング)/ケーブルワン(社会連携)/明治安田生命・NTTドコモ・フレスポ鳥栖・モラージュ佐賀(オフィシャル)/上村病院(メディカル)/佐賀トヨペット・日産サティオ佐賀(モビリティ) |
出典:サガン鳥栖「オフィシャルスポンサー様のご紹介」(2026年9月24日取得)より筆者集計
最上位のトップパートナー10社で目を引くのが2つあります。ひとつは鳥栖市。この連載では、バンビシャス奈良のシルバーパートナーに奈良県、レノファ山口FCのオフィシャルパートナーに山口市が入っていましたが、自治体が最上位区分にいるのは鳥栖が初めてです。
もうひとつが『キングダム』。リンク先は集英社ヤングジャンプの連載20周年サイトで、作品とのコラボがトップパートナー枠に入っています。
公的団体は全体で7枠ありました。鳥栖市、SSP(リンク先は佐賀県)、佐賀県競馬組合、JAグループ佐賀、佐賀県有明海漁業協同組合、佐賀県こども未来課、佐賀県道路公社、佐賀県サッカー協会。行政・公的セクターの比重が高い構成です。
Q. ユニフォームの胸はどこですか。
クラブが2026年5月23日に発表したところによれば、トップチームのユニフォーム胸部スポンサーは木村情報技術株式会社です。佐賀県佐賀市卸本町に本社を置き、設立は2005年7月29日。事業内容はAI(機械学習・ディープラーニング・生成AI)活用の研究・開発とコンサルティング、Web講演会運営、メタバースイベント企画など。トップパートナーの筆頭に掲載されています。
(参考)木村情報技術株式会社 様 ユニフォームスポンサー(胸部)協賛決定のお知らせ – サガン鳥栖
サイゲームスも久光製薬も、一覧に残っている
検索候補に並ぶ2社を、公式一覧で探しました。
株式会社Cygamesはプラチナパートナー。上から4番目の区分です。クラブが2017年1月16日に出したリリースでは、同社は「ユニフォームスポンサー(背中)」として掲載が継続されると発表されていました。掲出期間は2017年度シーズンのJ1リーグ戦全試合、YBCルヴァンカップ、第97回天皇杯。当時の資料には、資本金1億2480万円、設立2011年5月、従業員数1,271名(2016年6月現在)と記されています。
久光製薬株式会社はゴールドパートナー。上から5番目の区分です。こちらは2020年6月30日付で「2020特別協賛」が発表されており、内容はLEDアドボード広告の両サイド全面掲出、スタジアムスポンサー広告のバックスタンド両サイド2枚、そしてホームゲーム3試合のマッチスポンサー(「久光製薬HELLO!TOSU2020『貼るを、未来へ。』スペシャルマッチ」)でした。
つまりどちらも撤退していません。ユニフォームという最も目立つ枠から、区分掲載へ位置が変わっただけです。
この連載では、名古屋グランパスのパロマ(スタジアム命名権年6,000万円でCLUB PARTNER)、島根スサノオマジックのバンダイナムコグループ(運営会社の親会社でBRONZE PARTNERS)という例を見てきました。掲載区分は、その企業とクラブの関係の深さをそのまま表すわけではありません。
Q. スタジアムの命名権を持つ会社はどの区分ですか。
株式会社駅前不動産ホールディングスもプラチナパートナーです。鳥栖市に総額1億250万円を払ってスタジアムの愛称を「駅前不動産スタジアム」にしている会社が、クラブの一覧では上から4番目の区分にいます。自治体に払う命名権料と、クラブに払う協賛金は別の取引だという、この連載で繰り返し確認してきた構図がここにもあります。
(参考)株式会社Cygames様 ユニフォームスポンサー(背中)継続決定のお知らせ – サガン鳥栖
(参考)久光製薬株式会社様2020特別協賛のお知らせ – サガン鳥栖
J1からJ2に落ちた年に、スポンサー収入は3,700万円増えた
「撤退」を数字で確かめます。Jリーグの決算一覧を2年分そろえました。
| 項目 | 2024年度(J1) | 2025年度(J2) |
|---|---|---|
| 売上高 | 30億5800万円 | 27億2900万円 |
| スポンサー収入 | 9億8600万円 | 10億2300万円 |
| 入場料収入 | 6億700万円 | 5億2000万円 |
| 営業利益 | 2億1700万円 | 1億3100万円 |
| 当期純利益 | 1億8700万円 | 1億3400万円 |
| 純資産 | 2800万円 | 1億6300万円 |
出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2024年度 J1 クラブ決算一覧」「2025年度 J2 クラブ決算一覧」より筆者作成。金額は万円未満を四捨五入
売上高は3億2900万円減り、入場料も8700万円減りました。カテゴリーが下がったのですから、当然の動きです。
ところがスポンサー収入は9億8600万円から10億2300万円へ、3,700万円(3.8%)増えています。J1からJ2へ落ちた年に、協賛は減っていません。
純資産も2800万円から1億6300万円へ増えました。2期連続の黒字で積み上がった形です。ただし利益剰余金は▲4億5700万円のまま。資本金3億9400万円と資本剰余金等2億2500万円がそれを上回っている状態です。
あわせて読みたい日本スポーツ業界の8つの課題|15兆円市場とDX動向›
Q. 利益はどこから出ているのですか。
大きいのは移籍補償金等収入5億9500万円です。売上高27億2900万円の21.8%にあたります。移籍関連費用2億7800万円を差し引いても3億1700万円のプラス。この項目は単年で大きく振れるので、翌年も同じとは限りません。実際、営業利益は2億1700万円から1億3100万円へ縮んでいます。
(参考)2025年度 J2 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
2025年度の決算をJ2平均と並べる
J2の20クラブ平均と比べます。
| 項目 | サガン鳥栖 | J2平均 |
|---|---|---|
| 売上高 | 27億2900万円 | 23億3400万円 |
| スポンサー収入 | 10億2300万円 | 11億9300万円 |
| 入場料収入 | 5億2000万円 | 3億3100万円 |
| 物販収入 | 1億9500万円 | 1億9400万円 |
| 移籍補償金等収入 | 5億9500万円 | — |
| トップチーム人件費 | 10億2400万円 | 7億8000万円 |
| アカデミー関連経費 | 2億1800万円 | — |
| 販売費および一般管理費 | 3億9200万円 | 5億4700万円 |
| 営業利益 | 1億3100万円 | ▲3000万円 |
出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 J2 クラブ決算一覧」より筆者作成。J2平均は20クラブの平均。移籍補償金等・アカデミー関連経費は平均の算出対象が限られるため「—」とした
売上高27億2900万円はJ2平均の116.9%で、20クラブ中6番目。入場料収入5億2000万円はJ2平均の157.1%と大きく上回ります。
費用側ではトップチーム人件費10億2400万円がJ2平均の131.3%。J1から落ちた直後という事情もありますが、チームへの投下は平均以上です。一方で販管費3億9200万円は71.7%に抑えられています。
スポンサー収入10億2300万円はJ2平均の85.8%。売上が平均を上回るなかで協賛だけが下回るため、依存度は37.5%とJ2平均51.1%よりかなり低くなります。
Q. 財務の余裕はどのくらいありますか。
純資産1億6300万円で債務超過ではありませんが、厚くはありません。流動資産10億6700万円に対して流動負債6億500万円、固定負債4億2700万円。負債合計は10億3200万円です。利益剰余金▲4億5700万円という累積赤字が残っており、直近2期の黒字で回復を進めている段階と読めます。
(参考)2025年度 J2 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
入場料がJ2平均の157.1%。スポンサー依存度は37.5%

J2平均を100としたときの位置を並べると、このクラブの形が見えます。
上に出ているのは入場料157.1%とトップチーム人件費131.3%、そして売上高116.9%。下にあるのが販管費71.7%とスポンサー収入85.8%です。物販100.5%、その他101.3%はほぼ平均どおり。
この連載で比べると、レノファ山口FCは全項目が6割前後にそろい、愛媛FCは入場料が24.2%で突出して低く、島根スサノオマジックはその他収入が210.5%でした。鳥栖は入場料が強く、協賛が相対的に弱いという形です。
スポンサー依存度37.5%は、J2の20クラブのなかでも低いほうに入ります。協賛以外で稼げているぶん、1社が抜けたときの影響が小さいという読み方ができます。
Q. 入場料が強いのはなぜですか。
ホームスタジアムの条件が関係していると考えられます。駅前不動産スタジアムはJR鳥栖駅から徒歩圏にあるサッカー専用スタジアムで、この連載で見てきたクラブのなかでも駅からの近さは際立っています。ただしクラブが要因を説明しているわけではないので、これは推測です。2024年度(J1)の入場料6億700万円からは8700万円減っています。
(参考)2025年度 J2 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
スポンサー1社あたりは約609万円

スポンサー収入10億2300万円を実数168社で割ると、単純平均で1社あたり約609万円です。
この連載で調べた35クラブのなかでは10番目。モンテディオ山形の約636万円とアルビレックス新潟の約566万円のあいだに入ります。J2のクラブとしては最も高い水準です。
理由は分母の小ささにあります。同じJ2のレノファ山口FCは308社、愛媛FCは316社を載せていました。鳥栖は168社で10億2300万円を集めています。
区分の作りもそれに対応しています。レギュラーパートナー60枠が最大の区分で、その下にさらに細かい層を広げていません。裾野を薄くして、1社あたりを確保する設計です。
Q. 協賛を検討するなら、どこから入れますか。
金額は公表されていないため、問い合わせになります。窓口はクラブのスポンサーページです。区分は13あり、最大のレギュラーパートナーが60枠。加えてミニガイドブック協賛や試合日程ポスター協賛といった媒体単位の枠もあり、こちらは印刷物1点への協賛なので入口としては軽いはずです。サッカースクール協賛という形もあります。
(参考)ご協賛各社様のご紹介 – サガン鳥栖 公式オフィシャルサイト
スタジアム名は総額1億250万円。年額に直すと約3,000万円
ホームスタジアムは駅前不動産スタジアム。鳥栖市が契約内容を公表しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 鳥栖スタジアム(鳥栖市) |
| 愛称 | 駅前不動産スタジアム(略称「駅スタ」、英文 EKIMAE REAL ESTATE STADIUM) |
| 命名権者 | 株式会社駅前不動産ホールディングス |
| 契約金額 | 総額1億250万円(消費税および地方消費税別) |
| 契約期間 | 令和7年2月1日から令和10年6月30日まで(3年5ヵ月) |
出典:鳥栖市「鳥栖スタジアムネーミングライツ契約締結について」より筆者作成
この契約は3年5ヵ月=41か月で総額1億250万円。月あたり250万円ですから、年額に直すと約3,000万円になります。
この連載で確認した自治体の命名権と並べると、メルカリスタジアム(茨城県・年1億5000万円)、サンガスタジアム by KYOCERA(京都府・年1億円)、パロマ瑞穂スポーツパーク(名古屋市・年6000万円)、デンカビッグスワンスタジアム(新潟県・年4730万円)、金沢ゴーゴーカレースタジアム(金沢市・年3111万円)に続く水準。JFE晴れの国スタジアム(岡山県・年3000万円)とほぼ並びます。
そして前の見出しで触れたとおり、株式会社駅前不動産ホールディングスはクラブのプラチナパートナー。年3,000万円規模を鳥栖市に払いながら、クラブの一覧では上から4番目の区分にいます。
Q. 契約期間が3年5ヵ月という半端な長さなのはなぜですか。
鳥栖市は理由を説明していません。ただ終期が令和10年6月30日である点は、Jリーグのシーズン移行と合っています。2026-27シーズンから秋春制に移り、シーズンは8月開幕・6月終了になりました。契約の区切りをシーズンの終わりに合わせた、と読むのが自然ですが、確認はできていません。
(参考)鳥栖スタジアムネーミングライツ契約締結について – 鳥栖市
顔ぶれから見えること
最後に、168社の顔ぶれから読めることを3つ書きます。
行政・公的団体が7枠を占める
鳥栖市(トップ)、SSP(トップ/リンク先は佐賀県)、佐賀県競馬組合(ゴールド)、JAグループ佐賀(ゴールド)、佐賀県有明海漁業協同組合(シルバー)、佐賀県こども未来課と佐賀県道路公社(ブロンズ)、佐賀県サッカー協会(レギュラー)。県と市、そして県の外郭・業界団体が並ぶのは、この連載でも珍しい構成です。
媒体単位の協賛枠がある
ミニガイドブック協賛4社、試合日程ポスター協賛5社。印刷物1点ごとに協賛を募る形で、いずれも県内の中小企業や団体です。ブリヂストンはサッカースクール協賛にのみ登場し、オフィシャルスポンサーの一覧には入っていません。
自動車販売が独立区分になっている
モビリティパートナーとして佐賀トヨペットと日産サティオ佐賀の2社。ダイヤモンドパートナーにも佐賀トヨタ自動車が入っています。自動車販売3社が別々の区分に分かれて掲載されているのは、競合関係の整理として合理的な作りです。
Q. 結局、サガン鳥栖の協賛構造はどう見ればよいですか。
少ない社数で大きく集めるクラブです。2つの一覧で延べ176枠・実数168社。1社あたり約609万円は35クラブ中10位で、J2では最も高い水準です。区分は13あり、トップパートナーには鳥栖市と『キングダム』が入っています。検索で並ぶサイゲームスはプラチナパートナー、久光製薬はゴールドパートナーとして現在も一覧に残っており、決算でもJ1からJ2に落ちた年にスポンサー収入は3,700万円増えていました。スタジアム名は総額1億250万円、年額換算で約3,000万円です。
(参考)オフィシャルスポンサー様のご紹介 – サガン鳥栖 公式オフィシャルサイト
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