大分トリニータのスポンサー461社|連載で初めて、スポンサー収入が減っていた

大分トリニータのスポンサーを解説する記事のアイキャッチ画像 スポーツビジネス

この連載で35クラブのスポンサー収入を追ってきて、前年から減っていたクラブは1つもありませんでした。J3に落ちた愛媛FCも、J1から落ちたサガン鳥栖も、協賛は増えていました。

大分トリニータが、初めての例です。7億8400万円から7億3600万円へ、4,800万円の減少。ただし掲載社数は461社で、連載5番目の多さでした。

大分トリニータのスポンサーは、7区分・延べ467枠・実数461社

大分トリニータの区分別の掲載枠数

クラブ公式サイトの「スポンサー一覧」を2026年9月24日に取得して集計しました。大分トリニータは「スポンサー」という言葉を軸に、区分名では「〜パートナー」も併用しています。

区分は7つ。ユニフォームスポンサー8、ユニフォームサプライヤー・メディアパートナー・オフィシャルパートナーで計6、アドボードスポンサー76、クラブスポンサー107、クラブパートナー253、チケットパートナー17。合わせて延べ467枠です。

法人格の表記ゆれを揃えて重ねると、重複は6件でした。クラサスケミカル(ユニフォーム+アドボード)、TOSテレビ大分(オフィシャル+アドボード)、にゃんぴぃす・ミール・安東工業所(クラブ系+チケット)、そしてリンク先ドメインの照合で見つかった日豊観光バスと日豊タクシーグループ。したがって実数は461社です。

この連載で調べたなかでは、徳島ヴォルティスの797社、ファジアーノ岡山の657社、京都サンガF.C.の554社、浦和レッズの517社に次ぐ5番目の多さになります。

Q. 集計で確認しきれなかった点はありますか。

あります。ロゴで掲載されている区分は、画像のalt属性が「おおいたぎんこう」のようにひらがなの読みで書かれています。一方でクラブパートナーやチケットパートナーは漢字の社名テキスト。表記の形式が違うため、両者をまたぐ重複は名前では照合できません。リンクが付いている179枠はドメインで照合しましたが、リンクのない270枠(クラブパートナー253+チケットパートナー17)は突き合わせられていません。実数461社は、その前提での数字です。

(参考)スポンサー一覧 – 大分トリニータオフィシャルサイト

アドボードスポンサーに、大分市と別府市が入っている

区分ごとの枠数と顔ぶれです。

大分トリニータの区分別掲載枠と顔ぶれ(2026年9月24日時点)
区分 枠数 掲載企業
ユニフォームスポンサー 8 大分銀行/シライシグループ/TKP/クラサスケミカル/ダイハツ九州/CRG/スガテック/ネットワンシステムズ
サプライヤー・メディア・オフィシャルパートナー 6 大分合同新聞/OBS大分放送/TOSテレビ大分/チケットぴあ/J-LEASE/大分トリニータ後援会
アドボードスポンサー 76 大分市/別府市/日豊観光バス ほか県内企業
クラブスポンサー 107 大分県信用組合/大分信用金庫/大分トヨタ自動車/イオン九州/OAB大分朝日放送/JAグループ大分 ほか
クラブパートナー 253 Audi大分/旭環境管理/明野地区自治会連合会 ほか県内の小規模事業者・団体
チケットパートナー 17 うえお乳腺外科/安東工業所/愛宕自動車工業/エフエム大分 ほか

出典:大分トリニータ「スポンサー一覧」(2026年9月24日取得)より筆者集計。ロゴ掲載の区分は画像のalt属性がひらがな表記のため、企業名はリンク先ドメインから判別した

いちばん目を引くのが、アドボードスポンサーに大分市と別府市が並んでいることです。自治体が2つ、同じ区分に入っています。

この連載では、バンビシャス奈良のシルバーパートナーに奈良県、レノファ山口FCのオフィシャルパートナーに山口市、サガン鳥栖のトップパートナーに鳥栖市が入っていました。県内の複数市が同じ区分に並ぶのは大分が初めてです。

そして構成の特徴はクラブパートナー253枠。全467枠の54.2%を1区分が占めています。並んでいるのは自治会連合会、歯科医院、薬局、小さな飲食店といった事業者です。裾野の広さでは連載屈指の設計になっています。

Q. ユニフォームの8社はどんな企業ですか。

大分銀行(県内最大の地銀)、シライシグループ、TKP(貸会議室)、クラサスケミカル、ダイハツ九州、CRG、スガテック、ネットワンシステムズ。県内企業と全国企業が混ざっています。このうちクラサスケミカルは、ホームスタジアムの命名権者でもあります。詳しくは後の見出しで触れます。

(参考)スポンサー – 大分トリニータオフィシャルサイト

スポンサー収入は、前年から4,800万円減っていた

Jリーグの決算一覧を2年分そろえました。

大分トリニータの2024年度と2025年度
項目 2024年度 2025年度
売上高 18億1900万円 17億6900万円
スポンサー収入 7億8400万円 7億3600万円
入場料収入 3億6100万円 3億4600万円
営業利益 7900万円 ▲1100万円
当期純利益 7100万円 ▲800万円
純資産 2億800万円 1億9900万円

出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2024年度/2025年度 J2 クラブ決算一覧」より筆者作成。2025年度の対象期間は2025年2月から2026年1月。金額は万円未満を四捨五入

スポンサー収入は7億8400万円から7億3600万円へ、4,800万円(6.1%)減っています。売上高も5,000万円減り、営業利益は7900万円の黒字から▲1100万円の赤字に転じました。

この連載で35クラブを見てきましたが、スポンサー収入が前年から減っていたのは大分が初めてです。J3に落ちた愛媛FCは4,300万円増、J1からJ2に落ちたサガン鳥栖は3,700万円増でしたから、対照的な動きになります。

ただしクラブから特定のスポンサーの撤退を伝える発表は出ていません。減少が契約社数の減によるものか、1社あたりの契約額の見直しによるものかは、公表資料からは分かりません。掲載社数は461社と多いままです。

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Q. 経営は大丈夫なのですか。

当期純損失は▲800万円で、規模としては小さなものです。純資産1億9900万円で債務超過ではなく、固定負債は0円。流動資産5億1900万円に対して流動負債3億8000万円で、負債はすべて流動負債です。利益剰余金は▲6900万円が残っていますが、資本金1億3400万円と資本剰余金等1億3400万円が上回っています。借入に依存していない構造だと読めます。

(参考)2025年度 J2 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

2025年度の決算をJ2平均と並べる

J2の20クラブ平均と比べます。

大分トリニータの2025年度決算とJ2平均
項目 大分トリニータ J2平均
売上高 17億6900万円 23億3400万円
スポンサー収入 7億3600万円 11億9300万円
入場料収入 3億4600万円 3億3100万円
物販収入 2億円 1億9400万円
Jリーグ配分金 1億5600万円 1億1600万円
その他収入 1億1400万円 2億2600万円
トップチーム人件費 5億5400万円 7億8000万円
販売費および一般管理費 3億3000万円 5億4700万円
営業利益 ▲1100万円 ▲3000万円

出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 J2 クラブ決算一覧」より筆者作成。J2平均は20クラブの平均。金額は万円未満を四捨五入

売上高17億6900万円はJ2平均の75.8%。そのなかで入場料104.5%、物販103.1%はほぼ平均どおりで、Jリーグ配分金は134.5%と平均を上回ります。

下回っているのはスポンサー収入61.7%とその他収入50.4%。つまり試合で稼ぐ部分は平均並みで、協賛とそれ以外が弱いという形です。

費用も抑えられています。トップチーム人件費5億5400万円はJ2平均の71.0%、販管費3億3000万円は60.3%。営業損失▲1100万円はJ2平均の▲3000万円より小さい赤字です。

Q. 配分金が平均より多いのはなぜですか。

Jリーグの配分金は成績や順位によって変わります。資料は内訳を示していないため理由は分かりませんが、1億5600万円はJ2平均1億1600万円の134.5%。売上高がJ2平均の75.8%にとどまるクラブとしては、相対的に大きな比重を占めることになります。売上高に対する配分金の割合は8.8%で、J2平均の5.0%を上回ります。

(参考)2025年度 J2 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

入場料と物販は平均どおり。協賛だけが61.7%

大分トリニータの各項目がJ2平均に対して何パーセントか

J2平均を100としたときの位置を並べると、形がはっきりします。

上にあるのが配分金134.5%、入場料104.5%、物販103.1%。下にあるのがアカデミー関連収入78.5%、売上高75.8%、トップチーム人件費71.0%、スポンサー収入61.7%、販管費60.3%、そしてその他収入50.4%です。

この連載で比べると、レノファ山口FCは全項目が6割前後にそろい、愛媛FCは入場料だけが24.2%と落ち込んでいました。大分は入場料と物販が平均どおりで、協賛だけが落ちているという、これまでになかった形です。

スポンサー依存度は41.6%。J2平均51.1%より低く、協賛に寄りかかっていないと読むこともできます。ただしその裏返しとして、協賛が減ったぶんを埋める柱が細いという見方もできます。

Q. 入場料が平均どおりなのは何によるものですか。

クラブは要因を説明していません。ホームスタジアムのクラサスドーム大分は屋根の開閉ができるドーム型で、この連載で見てきたスタジアムのなかでは規模の大きい部類に入ります。2024年度の入場料3億6100万円から1,500万円減っていますが、J2平均3億3100万円は上回ったままです。物販2億円も平均を超えています。

(参考)2025年度 J2 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

スポンサー1社あたりは約160万円

本連載で調べたクラブのスポンサー1社あたり単純平均(下位20クラブ)

スポンサー収入7億3600万円を実数461社で割ると、単純平均で1社あたり約160万円です。

この連載で調べた36クラブのなかでは23番目。徳島ヴォルティスの約168万円とFC岐阜の約147万円のあいだに入ります。

この数字の低さは、裾野の広さの裏返しです。クラブパートナー253枠が全467枠の54.2%を占めており、ここに小規模な事業者が集まっています。1社あたりを小さくして、社数で支える設計です。

同じJ2で比べると、サガン鳥栖は168社・約609万円、レノファ山口FCは308社・約218万円、愛媛FCは316社・約184万円。大分は461社でいちばん多く、1社あたりはいちばん小さいという並びになります。

Q. 協賛を検討するなら、どこから入れますか。

金額は公表されていないため、問い合わせになります。ただし区分の作りからは見当がつきます。253枠あるクラブパートナーが最も軽い入口で、社名テキストでの掲載。掲出を厚くするならアドボードスポンサー(76枠)、さらにユニフォームスポンサー(8枠)という順です。チケットパートナー(17枠)という形もあります。

Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。

国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。大分トリニータの区分は社名やロゴの掲出が中心で、接待の要素を含むメニューは公表されていません。判断はしやすいほうです。ただしチケットパートナーのように観戦チケットが絡む場合は、それを取引先に配るかどうかで扱いが変わりえます。実際の処理は顧問税理士に確認してください。

(参考)スポンサー一覧 – 大分トリニータオフィシャルサイト

(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁

スタジアム名は年5,500万円。7施設まとめての契約だった

ホームスタジアムはクラサスドーム大分。大分県が協定の内容を公表しています。

大分スポーツ公園内施設のパートナーシップ協定(ネーミングライツ)
項目 内容
相手方 クラサスケミカル株式会社
パートナーシップ料 年額5,500万円(消費税込み)
協定期間 令和7年3月1日から令和12年2月28日まで(5年間)
対象施設と愛称 総合競技場=クラサスドーム大分/テニスコート=クラサステニスコート/サブ競技場=クラサスグラウンド/サッカー・ラグビー場=クラサスサッカー・ラグビー場/野球場=クラサススタジアム/投てき場=クラサスフィールド/大分県立武道スポーツセンター=クラサス武道スポーツセンター

出典:大分県「大分スポーツ公園内の施設に関するパートナーシップ協定の延長について」より筆者作成

特徴は7施設をまとめて1つの協定にしていることです。年額5,500万円を7施設で割ると、1施設あたり約786万円という計算になります。

この連載で確認した自治体の命名権のなかでは、メルカリスタジアム(茨城県・年1億5000万円)、サンガスタジアム by KYOCERA(京都府・年1億円)、パロマ瑞穂スポーツパーク(名古屋市・年6000万円)に次ぐ4番目の水準。奈良市のロート奈良鴻ノ池パーク(年1800万円で11施設)と同じく、公園全体をまとめる方式です。

そしてクラサスケミカル株式会社は、大分トリニータのユニフォームスポンサーであり、アドボードスポンサーでもあります。この連載で、スタジアム命名権者がユニフォームに名前を載せている例は、愛媛FCのニンジニアネットワークに続いて2つ目です。

なお、この協定はレゾナック名義からの切り替えにあたります。株式会社レゾナックの発表によれば、同社は2024年3月1日から2025年2月28日まで「レゾナックドーム大分」ほか7施設のネーミングライツ契約を結んでいました。その後を、分社化されたクラサスケミカルが引き継いだ形です。

Q. 命名権料はクラブの収入になりますか。

なりません。年5,500万円は施設を持つ大分県に入るもので、クラブの決算には計上されません。クラブが受け取っているのは、クラサスケミカルからのユニフォームスポンサー料とアドボードスポンサー料です。金額は公表されていません。この連載では、島根スサノオマジックだけが例外で、クラブの運営会社自身が命名権者となって松江市に年1,000万円を支払っていました。

(参考)大分スポーツ公園内の施設に関するパートナーシップ協定の延長について – 大分県

(参考)大分スポーツ公園内施設のネーミングライツ契約を延長 – 株式会社レゾナック

クラブパートナー253枠という裾野

最後に、467枠の半分以上を占める区分について書きます。

クラブパートナーは253枠。全体の54.2%です。この連載で、1つの区分が半分以上を占めるクラブは初めてでした。京都サンガF.C.のサポートカンパニーCが181枠(全577枠の31.4%)、バンビシャス奈良のサポートカンパニーが159枠(全288枠の55.2%)と、近い例はありましたが、絶対数では大分が最大です。

並んでいる顔ぶれは、Audi大分のような自動車ディーラーから、明野地区自治会連合会のような地域団体、歯科医院、薬局、個人商店まで。社名テキストのみの掲載で、ロゴは載りません。

その1つ上のクラブスポンサー107枠も社名テキストですが、こちらは107枠中101枠に自社サイトへのリンクが付いています。大分県信用組合、大分信用金庫、大分トヨタ自動車、イオン九州、OAB大分朝日放送、JAグループ大分といった県内の主要企業が並びます。

つまりロゴが載るのは90枠(ユニフォーム8+その他6+アドボード76)、社名テキストが377枠という構成です。全体の8割がテキスト掲載という比率が、1社あたり約160万円という数字の背景にあります。

Q. 裾野が広いことは強みですか。

両面あります。461社という数は、1社が抜けたときの影響を小さくします。実際、スポンサー収入が4,800万円減っても、営業損失は▲1100万円にとどまりました。一方で、1社あたり約160万円という水準では、社数を増やしても収入は大きく伸びません。スポンサー収入がJ2平均の61.7%にとどまっているのは、その構造と無関係ではないはずです。

(参考)スポンサー一覧 – 大分トリニータオフィシャルサイト

顔ぶれから見えること

最後に、461社の顔ぶれから読めることを3つ書きます。

金融機関が4つの業態でそろう

ユニフォームに大分銀行、クラブスポンサーに大分県信用組合、大分信用金庫、大分みらい信用金庫、大分リース。銀行・信用組合・信用金庫・リースが並んでいます。この連載では、ファジアーノ岡山や徳島ヴォルティスが地銀3行を上位に置いていましたが、大分は業態の幅が広いのが特徴です。

県内の放送局が3局そろっている

OBS大分放送とTOSテレビ大分がオフィシャルパートナー、OAB大分朝日放送がクラブスポンサー、大分合同新聞がユニフォームサプライヤーの区分に入ります。県内の主要メディアが全部そろっているのは、この連載でも数えるほどでした。

自治会連合会が協賛に入っている

クラブパートナーには「明野地区自治会連合会」が入っています。企業でも団体でもなく地域の自治会が協賛者として名を連ねる例は、この連載で初めて見ました。アドボードスポンサーの大分市・別府市と合わせて、地域そのものがスポンサー名簿に載っているクラブです。

Q. 結局、大分トリニータの協賛構造はどう見ればよいですか。

数で支えるクラブです。7区分・延べ467枠・実数461社は連載で5番目の多さ。クラブパートナー253枠だけで全体の54.2%を占め、大分市・別府市・地区自治会連合会まで名簿に並びます。一方で1社あたりは約160万円で36クラブ中23位。そしてスポンサー収入は前年から4,800万円減り、この連載で初めて「減ったクラブ」になりました。営業損失▲1100万円は小さく、固定負債0円で財務は健全ですが、入場料と物販が平均どおりのなか協賛だけがJ2平均の61.7%という点が、次の課題として残ります。

(参考)スポンサー一覧 – 大分トリニータオフィシャルサイト

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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