運動処方×マインドフルネスで健康経営のメンタル対策

運動処方とマインドフルネスを組み合わせた健康経営のメンタルヘルス対策を示すアイキャッチ スポーツウェルビーイング

健康経営の施策として「ストレスチェック」「相談窓口の設置」までは整えたものの、その先の一次予防にまで手が回っていない。健康経営担当者からは、こうした声をよく聞きます。メンタル不調が起きてから対応する仕組みはあっても、不調になりにくい状態をつくる仕組みが手薄なまま、というケースは少なくありません。

この記事では、運動処方がメンタルヘルス支援でどのような役割を果たすのかを厚生労働省の資料をもとに整理し、マインドフルネスとの組み合わせ方、健康経営の現場で使える導入の考え方を解説します。

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メンタルヘルス支援における運動処方の役割

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、身体活動が気分転換やストレス解消につながり、メンタルヘルスの不調を改善するために有効であると整理されています。運動を「余暇の過ごし方」ではなく、「不調の一次予防に使える手段」として位置づけている点が特徴です。

健康経営担当者にとって重要なのは、運動処方が薬物療法のような専門治療の代替ではなく、不調になる前の段階で導入できる予防策である点です。ストレスチェックで高ストレス者と判定される前の、いわば「グレーゾーン」の社員に対して打てる数少ない一次予防の一つといえます。

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要) – 厚生労働省

運動とマインドフルネスの組み合わせ方

運動単体でも一定の効果は期待できますが、実施前後に短い呼吸法や意識づけ(マインドフルネス)を組み合わせることで、単なる身体活動から「心を落ち着ける時間」への切り替えがしやすくなります。企業研修の現場では、次の3つの組み合わせ方が実践しやすい形です。

組み合わせ方 内容 向いている場面
運動前の呼吸法 1〜2分の呼吸に意識を向けてから運動開始 始業前の短時間プログラム
運動中の身体感覚への集中 歩行や体操中に足裏・呼吸の感覚に注意を向ける ウォーキングイベント
運動後の振り返り 終了後に一言で気分の変化を記録する 週次の継続プログラム

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の考え方をもとに、Human Soarが企業研修で使いやすい組み合わせとして整理。

短時間プログラムから始める

いきなり本格的なヨガやマインドフルネス研修を導入するとハードルが高くなります。まずは始業前5分の呼吸法から始め、社員が「身構えずに参加できる」形にすることが継続の鍵になります。

記録は簡単な一言で十分

気分の変化を数値やアンケートで細かく記録しようとすると、社員の負担になり継続率が下がります。「今日は軽くなった/変わらなかった」程度の一言記録で十分な効果測定になります。

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健康経営担当者が導入時に押さえるべき視点

運動処方とマインドフルネスの組み合わせを制度として導入する際、健康経営担当者が意識すべきなのは「治療」ではなく「予防」の枠組みで説明することです。産業医や専門家の関与が必要な範囲と、社内で完結できる範囲を最初に切り分けておくと、導入後の運用がスムーズになります。

専門家の関与が必要な範囲を先に決める

高ストレス者や既に不調を抱えている社員への対応は、産業医・カウンセラーとの連携が前提です。運動処方プログラムはあくまで一次予防の位置づけであることを社内に明示し、専門対応が必要なケースへの導線(相談窓口など)を併設します。

スポーツ組織との連携で専門性を補う

社内に運動指導の専門知識を持つ人材がいない場合、地域のスポーツ組織や外部の運動指導者と連携することで、安全性を担保しながら導入できます。

よくある質問

運動が苦手な社員にも効果はありますか

あります。効果の中心は運動強度そのものよりも「身体を動かしながら意識を今の瞬間に向ける」体験にあるため、軽いストレッチや歩行でも十分に機能します。

導入効果はどう測ればいいですか

本格的な効果測定には専門家の関与が必要ですが、簡易的には参加率の推移と、簡単な一言記録によるストレス自己評価の変化を継続観察することで傾向をつかめます。

スポーツ組織においても、選手のコンディショニングだけでなく指導者・スタッフ自身のメンタルケアにこの枠組みを応用できます。競技団体の職員は繁忙期の負荷が大きく、選手のケアに気を配るあまり自身のケアが後回しになりがちです。運動処方とマインドフルネスの短時間プログラムは、こうしたスタッフ層のセルフケアにもそのまま活用できます。

運動処方とマインドフルネスは健康経営の一次予防を底上げする

まとめると、運動処方とマインドフルネスの組み合わせは、専門治療の代替ではなく、不調になる前の一次予防として位置づけることが導入成功の鍵です。

  • 身体活動はメンタルヘルスの一次予防として厚労省資料でも整理されている
  • 呼吸法・身体感覚への集中・振り返りの3つで運動と組み合わせる
  • 短時間プログラムと簡単な記録で継続率を高める
  • 専門家が関与すべき範囲を先に切り分けて社内に明示する

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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