スポーツ実施率とは、1年間に週1日以上、運動やスポーツをした人の割合です。スポーツ庁が毎年行う「スポーツの実施状況等に関する世論調査」で測られ、令和7年度(2025年度)は20歳以上で51.7%でした。国の第3期スポーツ基本計画が掲げる70%には約18ポイント届かず、年齢別では30代の45.7%が最も低くなっています。企業がまずできるのは、国と同じ物差しで自社の実施率を測り、勤務時間中に体を動かせる機会をつくることです。
健康経営の計画に「運動習慣」を入れたものの、社員がどれくらい動いているのか、世の中と比べて多いのか少ないのかが分からない。そんなときに基準になるのが、国のスポーツ実施率です。ここでは、スポーツ実施率の定義と数え方、年齢別・男女別の最新値、推移と国の目標、職場で実施率を上げる取り組みを、スポーツ庁の資料で整理します。数値は2026年10月18日に確認したものです。
スポーツ実施率とは|週1日以上運動やスポーツをした人の割合
スポーツ実施率は、1年間に行った運動やスポーツの日数を聞き、週1日以上と答えた人の割合を出したものです。国の計画で目標に使われるのはこの「週1日以上」の数字で、ニュースで「スポーツ実施率」と言うときも、ふつうはこれを指します。数字を読むときは、何を分母にしているかと、何を運動・スポーツに数えているかの2点を押さえておくと迷いません。
分母は運動しなかった人も含めた回答者全員
スポーツ庁の調査では、運動やスポーツをした日数ごとの人数を、「運動やスポーツはしなかった」「わからない」と答えた人も含めた回答者全員で割っています。運動した人の中での割合ではないので、社内で同じ数字を出すときも、運動していない人を分母から外さないようにします。
同じ調査では、物差しの違う数字もいくつか出ています。年に1日以上運動やスポーツをした人は20歳以上で75.3%、1日30分以上の軽く汗をかく運動を1年以上続けて週2日以上している人は26.9%でした。どの数字を使うかで印象が大きく変わるので、比べるときは物差しをそろえます。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の概要(別紙) – スポーツ庁
ウォーキングや階段昇降も運動・スポーツに入る
この調査の「運動・スポーツ」は、競技としてのスポーツだけではありません。選択肢には、散歩や一駅歩きを含むウォーキング、エスカレーターを使わず階段を使う階段昇降、体操なども入っています。令和7年度に1年間で行った種目を聞くと、ウォーキングが60.3%で最も多く、階段昇降が21.5%、トレーニングが12.3%と続きました(回答者全員に占める割合)。
つまり、スポーツ実施率は「部活のようにスポーツをしている人の割合」ではなく、「日常の中で意識して体を動かしている人の割合」に近い数字です。職場の施策でも、ジムや競技だけでなく、歩く・階段を使うといった軽い運動が実施率に効いてきます。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」調査結果の概要 – スポーツ庁
Q. スポーツ実施率とは何ですか?
1年間に週1日以上、運動やスポーツをした人の割合です。スポーツ庁の世論調査では、運動やスポーツをしなかった人も含めた回答者全員を分母にして計算します。ウォーキングや階段昇降も運動・スポーツに含まれます。
年齢別のスポーツ実施率|最も低いのは30代の45.7%
令和7年度のスポーツ実施率を年代と男女で並べると、20代から50代の働く世代が低く、60代から上がる形になっています。
| 年代 | 全体(令和7年度) | 男性(令和7年度) | 女性(令和7年度) | 全体(令和6年度) |
|---|---|---|---|---|
| 10代(18〜19歳) | 59.0% | 65.8% | 54.3% | 57.6% |
| 20代 | 49.6% | 56.4% | 43.5% | 49.3% |
| 30代 | 45.7% | 51.6% | 40.3% | 46.2% |
| 40代 | 46.2% | 50.9% | 41.9% | 45.9% |
| 50代 | 47.4% | 49.9% | 45.1% | 48.6% |
| 60代 | 55.1% | 56.6% | 53.8% | 55.9% |
| 70代 | 65.1% | 65.8% | 64.7% | 68.2% |
| 20歳以上 | 51.7% | 55.0% | 48.8% | 52.5% |
週1日以上運動・スポーツをした人の割合。出典:スポーツ庁「令和7年度 スポーツの実施状況等に関する世論調査」の概要(別紙)をもとに Human Soar 作成
最も低いのは30代の45.7%で、40代が46.2%、50代が47.4%、20代が49.6%と、20代から50代はどの年代も半数に届いていません。スポーツ庁は、この層を「子育て・働き盛り世代」と呼び、引き続き低い傾向にあると説明しています。一方で70代は65.1%と、年代別では最も高くなっています。
男女別では、20歳以上の男性が55.0%、女性が48.8%で、差は6.2ポイントです。スポーツ庁はこの男女差を過去最大としています。年代と性別を組み合わせると、30代の女性が40.3%で最も低く、20代の女性も43.5%にとどまります。
前年度と比べると、20歳以上全体は52.5%から0.8ポイント下がりました。年代別では70代が68.2%から65.1%へ下がった一方、40代は45.9%から46.2%へわずかに上がっています。2017年度からの年代別の動きや、運動を増やせない理由は働く世代のスポーツ実施率をまとめた資料で詳しく読めます。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します(令和8年3月11日) – スポーツ庁
Q. スポーツ実施率が年齢別で最も低いのは何代ですか?
30代で、令和7年度は45.7%です。30代の女性は40.3%で、性別と年代を組み合わせて見ても最も低い層です。20代から50代は、どの年代も半数に届いていません。
スポーツ庁の世論調査|令和7年度は4万人に聞いたWeb調査
スポーツ実施率の出どころは、スポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」です。令和7年度の調査は、全国の18〜79歳の男女を対象に、調査会社の登録モニター約220万人の中から人口の構成に合わせて回答者を集めるWebアンケートで行われました。有効回答は40,000件、調査期間は2025年11月7日から11月28日までで、結果は2026年3月11日に公表されています。
この調査は、昭和54年度からおおむね3年ごとに行われてきた「体力・スポーツに関する世論調査」を引き継いだものです。平成28年度に、調査員が個別に面接する方式(3,000人)からWebアンケートに切り替わり、回答者は令和3年度まで20,000人、令和4年度から40,000人に増えました。方式が変わる前の数字と今の数字は、そのまま比べられない点に注意が必要です。
もう1つの注意点は、対象の年齢です。調査は18歳から聞いていますが、第3期スポーツ基本計画の「成人のスポーツ実施率」は20歳以上の数字で評価することになっています。全年代をまとめた数字と20歳以上の数字は少しずれるので、国の目標と比べるときは20歳以上の51.7%を使います。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(令和7年11月調査) – スポーツ庁
スポーツ実施率の推移と国の目標|70%に対し51.7%で横ばい

20歳以上のスポーツ実施率は、2017年度から8年たってもほぼ同じ水準にあります。国はスポーツ基本計画で目標を掲げてきましたが、第3期の70%には届いておらず、2027年度からの第4期では、実施率の低い働き盛り期に的を絞った目標が検討されています。
2017年度の51.5%から8年でほぼ横ばい
Web調査に切り替わった後の20歳以上の実施率は、2017年度(平成29年度)が51.5%、2018年度が55.1%、2019年度が53.6%でした。2020年度に59.9%まで上がった後は、2021年度56.4%、2022年度52.3%、2023年度52.0%、2024年度52.5%と下がり、2025年度は51.7%です。スポーツ庁は、令和4年以降ほぼ横ばいで、平成29年と比べても同程度だと説明しています。
男女別に見ると、男性は2017年度の53.0%から2025年度の55.0%へ上がった一方、女性は49.9%から48.8%へ下がりました。全体が横ばいに見える中で、男女の差が開いてきたことになります。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の概要(別紙) – スポーツ庁
第3期は成人70%を目標に掲げ第4期案は働き盛り期に絞る
2022年度から2026年度までの第3期スポーツ基本計画は、成人の週1回以上のスポーツ実施率を70%(障害者は40%)にし、年1回以上の実施率を100%に近づけることを目標にしています。その前の第2期は、週1回以上を65%程度、週3回以上を30%程度にする目標でした。2025年度の51.7%は、70%まで約18ポイント足りません(本記事の計算値)。
2027年度から始まる予定の第4期について、スポーツ審議会が2026年7月にまとめた中間報告は、年代ごとの目標を示しています。子育て・働き盛り期(20〜50代)の週1日以上の実施率を47.2%から55%以上に上げて男女差をなくすこと、勤務先で運動・スポーツを活用した取り組みが行われているとする人の割合を21.3%から30%以上にすることなどです。働き盛り期の1週間の実施時間についても、男性は105分以上、女性は70分以上という段階的な目標が挙がっています。いずれも中間報告の段階で、最終の計画で変わる可能性があります。
あわせて読みたいスポーツ基本計画とは|第4期の内容と企業が備える3つのこと›
(参考)第3期スポーツ基本計画(令和4年3月25日) – 文部科学省
(参考)第4期スポーツ基本計画の策定について 中間報告【概要】(令和8年7月) – スポーツ審議会
Q. スポーツ庁が目標にしているスポーツ実施率は何%ですか?
現行の第3期スポーツ基本計画は、成人の週1回以上のスポーツ実施率を70%にする目標です。令和7年度の実績は51.7%で、目標まで約18ポイントあります。2027年度からの第4期については、中間報告の段階で、働き盛り期の実施率を55%以上にする目標などが示されています。
スポーツ実施率を向上させる取り組み|企業が職場でできる3つのこと

働き盛り期の実施率を上げるうえで、国が職場に期待している役割は大きくなっています。企業が取り組む順番は、自社の実施率を測る、勤務時間中に動ける機会をつくる、続けるための支えを足す、の3段階で考えると整理しやすくなります。
自社の実施率を国と同じ物差しで測る
最初にすることは、自社の社員のスポーツ実施率を、国の調査と同じ聞き方で測ることです。「この1年間に運動やスポーツをした日数」を、週5日以上・週3日以上・週2日以上・週1日以上・それより少ない・しなかった、のように選んでもらい、週1日以上の人を回答者全員で割ります。こうすれば、年代別の表の数字と並べて、自社が世の中より高いのか低いのかを示せます。
アンケートを新しく作る手間をかけたくない場合は、健康診断の問診票にある運動習慣の質問を使う方法もあります。物差しは国の調査と少し違いますが、毎年同じ質問で集まるので、推移を追うには十分です。使い方は健康診断の運動習慣の質問を施策に生かす方法で解説しています。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」調査結果の概要 – スポーツ庁
勤務時間中に体を動かす機会をつくる
令和7年度の調査では、勤務先に運動・スポーツを活用した取り組みがあると答えた就業者の実施率は71.1%で、取り組みがない就業者を25.9ポイント上回りました。ただし同じ時点での比較なので、もともと運動する人が多い職場が取り組んでいる可能性もあり、取り組めば必ずこれだけ上がるとまでは言えません。
注目したいのは、取り組みの中身のずれです。取り組みがある人が挙げた内容の1位は「勤務時間外の運動・スポーツプログラム」(23.2%)でしたが、取り組みを希望する人が挙げた1位は「勤務時間中の運動・スポーツプログラム」(26.4%)でした。始業前や昼休みの体操、ストレッチのように、仕事の時間の中で数分でも動ける機会をつくると、忙しい世代にも届きやすくなります。続けてもらう仕組みの作り方は職場の運動習慣定着プログラムの導入ガイドが参考になります。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します(令和8年3月11日) – スポーツ庁
金銭補助と体力測定で続ける支えを足す
取り組みを希望する人が挙げた2位は、スポーツジムの法人契約やイベント参加費などの「金銭補助」(26.1%)、3位は「体力測定や運動機能チェック」(25.0%)でした。勤務先に取り組みがあると答えた人は21.3%、取り組みを希望する人は32.1%で、10.8ポイントの開きがあります。従業員が求めているのに用意されていない取り組みは、まだ多いと言えます。
第4期スポーツ基本計画の中間報告も、健康診断や健康保険組合と連携した体力測定の定期的な実施を進めることや、健康経営とスポーツエールカンパニーの連携を検討することを、働き盛り期向けの重点施策に挙げています。補助や測定を入れたら、スポーツ庁の認定制度で社外に示すことも検討できます。
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(参考)第4期スポーツ基本計画の策定について 中間報告(令和8年7月) – スポーツ審議会
Q. 企業がスポーツ実施率を向上させる取り組みには何がありますか?
まず国の調査と同じ「週1日以上」の物差しで自社の実施率を測り、そのうえで勤務時間中の運動プログラム、金銭補助、体力測定を検討します。スポーツ庁の調査で、就業者が始めてほしいと答えた取り組みの上位がこの3つでした。始める前に従業員の希望を聞いておくと、使われない施策を避けやすくなります。
スポーツ実施率のまとめ
スポーツ実施率は、国の目標と自社の状況を同じ物差しで比べられる数字です。出典は本文の各セクションに記載しています。運動不足の解消策を費用別に選ぶなら従業員の運動不足を解消する企業施策、施策全体の設計はウェルビーイング施策が失敗する理由と設計法にまとめています。
- スポーツ実施率は、週1日以上運動やスポーツをした人を、しなかった人も含む回答者全員で割った割合
- 令和7年度は20歳以上で51.7%。最も低いのは30代の45.7%で、男女差は6.2ポイントと過去最大
- 2017年度からほぼ横ばいで、第3期の目標70%には約18ポイント届いていない
- 第4期の中間報告は、働き盛り期の実施率55%以上と、職場の取り組みがある人30%以上を示している
- 企業は、自社の実施率を測り、勤務時間中の運動の機会と、補助や体力測定を順に整える


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