ホワイト500の認定要件|認定法人一覧から見た到達率13.3%の内訳

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ホワイト500とは、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けた法人のうち、健康経営度調査のスコアが上位500位までに入った法人に付く冠です。要件を満たせば全社が取れる資格ではなく、枠が500で固定された相対評価で、認定法人3,761法人のうち届いたのは501法人(13.3%)でした。この記事では2027年度の認定要件を一次資料から整理したうえで、公表されている認定法人一覧を集計し直し、どんな条件の会社が届いているのかを数字で示します。

ホワイト500とは|大規模法人部門の上位500位に付く冠

健康経営優良法人認定制度は、2016年度(平成28年度)に経済産業省が創設し、日本健康会議が認定を行う顕彰制度です。大規模法人部門と中小規模法人部門の2部門があり、大規模法人部門の上位500位までが「ホワイト500」、中小規模法人部門の上位500位までが「ブライト500」、501位から1,500位までが「ネクストブライト1000」と呼ばれます。

ホワイト500は大規模法人部門の中の順位なので、そもそも自社が大規模法人部門に該当しなければ対象外です。区分は業種ごとの常時使用する従業員数で決まります。

業種 大規模法人部門(従業員数) 中小規模法人部門(従業員数) 中小規模法人部門(資本金・出資金)
卸売業 101人以上 1人以上100人以下 1億円以下
小売業 51人以上 1人以上50人以下 5,000万円以下
サービス業 101人以上 1人以上100人以下 5,000万円以下
製造業その他 301人以上 1人以上300人以下 3億円以下

健康経営優良法人2027の部門区分(会社法上の会社等・士業法人の場合。業種分類は日本標準産業分類に従う)/出典:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「健康経営優良法人2027 申請区分」

ホワイト500は独立した制度ではない

混同されやすいのですが、ホワイト500という別の認定制度があるわけではありません。健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けた法人のうち、健康経営度調査のスコアが上位500位以内だった法人に冠が付く、という構造です。したがって申請書も審査も別枠ではなく、大規模法人部門の申請そのものがホワイト500への挑戦を兼ねています。

従業員数の数え方にも実務上の注意点があります。労働基準法第20条の「あらかじめ解雇の予告を必要とする者」を含める必要があり、出向社員についても自社が健康診断実施義務を負う者は必ず算入します。また、従業員数が大規模法人部門に該当し、かつ資本金または出資金額が中小規模法人部門に該当する場合は、どちらの部門に申請するかを選べます(両方への申請はできません)。

健康経営銘柄との違い

もう一つ紛らわしいのが「健康経営銘柄」です。こちらは経済産業省と東京証券取引所が共同で選ぶ上場企業向けの選定で、第12回となる健康経営銘柄2026では44社が選ばれました。選定基準の一つに「健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内である」ことが明記されており、事実上ホワイト500が健康経営銘柄の前提条件になっています。上場企業が銘柄を狙うなら、まずホワイト500に入ることが必須ルートです。

(参考)「健康経営銘柄2027」・「健康経営優良法人2027」の申請受付を開始しました – 経済産業省

(参考)「健康経営銘柄2026」に44社を選定しました – 経済産業省

(参考)健康経営優良法人2027 申請区分 – 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)

2027年度の認定要件|ホワイト500だけに課される5項目

認定要件は「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5大項目で構成されます。要件表には大規模法人部門とホワイト500の2列があり、ホワイト500の列だけが「必須」で大規模の列が「-」になっている小項目が、実質的な上乗せ条件です。

健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件を確認すると、ホワイト500のみに必須とされているのは次の5項目でした。

大項目 ホワイト500のみ必須の小項目 大規模法人部門での扱い
1. 経営理念・方針 従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示 -(不要)
1. 経営理念・方針 他社からの派遣社員等や家族への健康支援 -(不要)
1. 経営理念・方針 ①トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること(回答結果の公表を伴う) 選択17項目のうちの1つ
2. 組織体制 健康経営推進に関する経営レベルの会議での議題・決定 -(不要)
2. 組織体制 従業員への健康経営の理解・促進 -(不要)

ホワイト500のみに必須とされる5項目(2027年度)/出典:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件」

このうち「他社からの派遣社員等や家族への健康支援」は、健康経営優良法人2026(大規模法人部門)認定要件の表には同じ小項目の行が存在せず、2027年度の要件表で新たに設けられたものです。自社の正社員だけを見ていた施策設計では届かない領域が加わったことになります。

選択項目は16項目中14項目|落とせるのは2つまで

ホワイト500と大規模法人部門には、見落とされがちな差がもう一つあります。選択項目の分母です。

大規模法人部門は①~⑰の17項目のうち14項目以上を満たせば要件を充足します。一方ホワイト500は、①が必須に格上げされているため、②~⑰の16項目のうち14項目以上が必要です。つまり、大規模法人部門は3項目まで落とせるのに対し、ホワイト500は2項目までしか落とせません。達成率で言えば82.4%(14/17)と87.5%(14/16)の差で、1項目ぶんの余裕が消えます。

選択項目には、定期健診受診率100%、受診勧奨、50人未満の事業場でのストレスチェック、ヘルスリテラシー向上の教育機会、ワークライフバランスと育児・介護の両立支援、コミュニケーション促進、がん等の私病に関する復職・両立支援、女性の健康保持・増進、高年齢従業員への対応、保健指導、食生活の改善、運動機会の増進、長時間労働の予防と事後対応、心の健康保持・増進、感染症予防、喫煙率低下が並びます。このうち「運動機会の増進」は、機器の導入だけでなく利用実績まで押さえておきたい項目で、選定の観点は低周波治療器10製品の比較と選び方でも整理しています。

参加率の測定が条件になっている項目に注意する

選択項目のなかには、施策を実施しているだけでは要件を満たせないものがあります。「従業員の健康保持・増進に関する教育」と「特定保健指導以外の保健指導」は、実施したかどうかではなく参加率(実施率)を測っていることが条件として明記されています。

研修を開催していても出席率を集計していない、保健指導の案内は出しているが受講率を追っていない、という状態だと、この2項目は落ちます。施策そのものより先に、出席・受講の記録を取る仕組みを整えるほうが優先度が高い、ということです。

あわせて読みたい健康経営優良法人の認定基準|人事担当者向けスポーツ施策の評価項目›

(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)

業種によってホワイト500への到達率が10倍近く違う

ここからは、健康経営優良法人認定事務局が公開している「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)認定法人一覧」(2026年5月12日更新版)のExcelファイルをダウンロードし、掲載されている全法人を集計し直した結果です。大規模法人部門に認定された法人のうちホワイト500の冠が付いたのは3,761法人中501法人、全体で13.3%でしたが、この到達率は業種ごとに桁が違います。

まず件数の確認から。同ファイルのホワイト500シートには501法人、ホワイト500を除く大規模法人部門シートには3,260法人、合計3,761法人が掲載されていました。経済産業省の2026年3月9日発表では大規模法人部門3,765法人とされているため、発表時点と5月12日更新版のあいだに4法人の差があります。差が生じた理由は公表資料からは確認できませんでした(制度上は認定後の返納・取消・変更手続きが定められています)。また、ホワイト500は制度上「上位500位まで」ですが、一覧の掲載は501法人でした。

業種(一覧の業種列) ホワイト500 大規模法人部門 合計 ホワイト500到達率
保険業 20社 51社 39.2%
銀行業 28社 93社 30.1%
食料品 23社 88社 26.1%
不動産業 22社 90社 24.4%
医薬品 13社 54社 24.1%
輸送用機器 38社 164社 23.2%
電気機器 41社 192社 21.4%
化学 23社 115社 20.0%
情報・通信業 68社 471社 14.4%
機械 12社 104社 11.5%
サービス業 56社 586社 9.6%
陸運業 6社 63社 9.5%
建設業 12社 159社 7.5%
卸売業 23社 352社 6.5%
小売業 15社 386社 3.9%
倉庫・運輸関連業 0社 42社 0.0%
大規模法人部門 全体 501社 3,761社 13.3%

業種別のホワイト500到達率(大規模法人部門合計が30社以上の区分のみ掲載。業種名は同ファイルの業種列の表記に従った)/出典:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)認定法人一覧」2026年5月12日更新版をもとに筆者集計

上位は金融と製造|保険業39.2%と銀行業30.1%が突出する

保険業は認定法人の約4社に1社以上がホワイト500に入っています。銀行業30.1%、食料品26.1%、不動産業24.4%、医薬品24.1%と続き、上位は金融と大手製造業で占められています。輸送用機器23.2%、電気機器21.4%も2割を超えました。

これらの業種は本社機能に人員が集中しており、健診・保健指導・研修といった施策を全社一律に展開しやすい構造を持っています。要件のなかでも達成コストが高い「定期健診受診率100%」や「全社的な教育機会の設定」を、拠点数が限られた体制でクリアできる点が効いていると読めます。

下位は小売業3.9%|倉庫・運輸関連業は42社中0社

一方で小売業は386社中15社の3.9%にとどまり、25社に1社の割合です。倉庫・運輸関連業は42社が大規模法人部門に認定されていながら、ホワイト500はゼロでした。卸売業6.5%、建設業7.5%、陸運業9.5%、サービス業9.6%も全体平均の13.3%を下回っています。

要件そのものは全業種共通なので、これは「基準の厳しさ」の違いではありません。シフト勤務や多店舗・多拠点運営といった業種構造が、受診率100%や全社的な教育機会の設定といった項目の達成コストを押し上げていると見るのが自然です。到達率が一桁の業種では、全体平均ではなく「同業でホワイト500が何社いるか」を基準に社内の目標設定を組み直したほうが現実的です。

健保組合の有無で到達率が3.8倍変わる

同じ一覧の「加入保険者」列を集計すると、業種よりさらに直接的な差が出ます。加入している保険者が健康保険組合か協会けんぽかで、ホワイト500への到達率は約3.8倍違いました。

加入保険者の種別 ホワイト500 大規模法人部門 合計 ホワイト500到達率 ホワイト500内のシェア
健康保険組合 467法人 2,944法人 15.9% 93.2%
全国健康保険協会(協会けんぽ) 33法人 785法人 4.2% 6.6%
共済組合 1法人 32法人 3.1% 0.2%

加入保険者別のホワイト500到達率(加入保険者名に「全国健康保険協会」を含むものを協会けんぽ、「健康保険組合」を含むものを健康保険組合、「共済組合」を含むものを共済組合として分類)/出典:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)認定法人一覧」2026年5月12日更新版をもとに筆者集計

差がつくのは要件に「保険者との連携」が組み込まれているから

健康保険組合に加入している法人の到達率は15.9%、協会けんぽ加入法人は4.2%でした。大規模法人部門の認定法人全体では協会けんぽ加入が785法人(20.9%)を占めるのに、ホワイト500の中では33法人(6.6%)まで縮みます。

これは偶然ではなく、要件の構造と整合しています。認定要件には「健保組合等保険者との協議・連携」が組織体制の項目として置かれ、選択項目にも「保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供」が入っています。データヘルス計画を共同で回せる自前の健保組合があるかどうかが、そのままスコアの差になりやすい設計だということです。協会けんぽ加入企業がホワイト500を狙う場合は、支部との連携の実績を早い段階から作っておく必要があります。

本社所在地でも差が出る|東京都に259法人が集中する

本社所在地(申請書記載)で集計すると、ホワイト500の501法人のうち東京都が259法人で51.7%を占めました。以下、愛知県44法人(8.8%)、大阪府42法人(8.4%)、神奈川県25法人(5.0%)と続きます。ホワイト500を除く大規模法人部門3,260法人の東京都比率は39.4%なので、上位に行くほど東京集中が強まる構図です。

都道府県別の到達率で見ると、東京都は1,544法人中259法人で16.8%、東京都以外は2,217法人中242法人で10.9%でした。また、大規模法人部門の認定法人は47都道府県すべてに存在する一方、ホワイト500の掲載が1法人もない県が10県(青森・岩手・秋田・茨城・山梨・福井・和歌山・鳥取・高知・佐賀の各県)ありました。地方に本社を置く企業は、県内に参照できる先行事例がない状態から始めることになります。

Q. 協会けんぽ加入でもホワイト500は取れますか?

取れます。ただし確率は明確に低くなります。健康経営優良法人2026(大規模法人部門)の認定法人一覧を集計したところ、協会けんぽ加入法人は785法人中33法人がホワイト500に入っており到達率は4.2%、健康保険組合加入法人は2,944法人中467法人で15.9%でした。認定要件に「健保組合等保険者との協議・連携」が置かれているため、協会けんぽ加入企業は支部との連携実績を申請年度より前に作っておくことが実務上の前提になります。

(参考)健康経営優良法人2026 認定法人一覧(2026年5月12日更新版) – 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)

枠は500で固定|回答法人は増え続けている

ホワイト500が難しくなっているのか、という問いには、分母の推移で答えられます。健康経営度調査は2014年度(平成26年度)から実施されており、認定の前提となるこの調査への回答法人数は年々増えている一方で、ホワイト500の枠は500のまま動きません。

認定年 健康経営度調査 回答法人数 大規模法人部門 認定数 ホワイト500の枠 中小規模法人部門 認定数
健康経営優良法人2024 非公表(本稿で確認できず) 2,988法人 上位500位 16,733法人
健康経営優良法人2025 3,869法人(令和6年度調査) 3,400法人 上位500位 19,796法人
健康経営優良法人2026 4,175法人(令和7年度調査) 3,765法人 上位500位 23,085法人

健康経営度調査の回答法人数と認定数の推移(回答法人数は各年8月の経済産業省リリースが「昨年度」として記載した数値)/出典:経済産業省「健康経営優良法人2026/2025 認定法人が決定しました」および「健康経営銘柄2027・健康経営優良法人2027の申請受付を開始しました」

大規模法人部門の認定数は2024年の2,988法人から2026年の3,765法人へ、2年で777法人(26.0%)増えました。しかしホワイト500の枠は500のまま動きません。認定を取ること自体はむしろ易しくなっている一方で、上位500位に入る競争は確実に厳しくなっている、というのがこの表の読み方です。

なお、健康経営度調査には大規模法人部門に該当しない法人も回答できる(ただし認定は取得できない)ため、回答法人数4,175法人がそのまま大規模法人部門の申請法人数というわけではありません。その前提のうえで、認定法人ベースの到達率13.3%を目安に置くのが妥当です。

Q. ホワイト500の認定要件を全部満たせば、必ずホワイト500になれますか?

いいえ。ホワイト500は健康経営度調査のスコアによる大規模法人部門の上位500位までに与えられる冠であり、相対評価です。要件の充足は必要条件ですが十分条件ではありません。健康経営優良法人2026では、大規模法人部門の認定法人3,761法人(2026年5月12日更新版の一覧に基づく集計)のうちホワイト500は501法人で、到達率は13.3%でした。認定数は2024年の2,988法人から増え続けている一方で枠は500のまま固定なので、同じスコアでも年によって順位は変わります。

(参考)「健康経営優良法人2026」認定法人が決定しました – 経済産業省

(参考)「健康経営優良法人2025」認定法人が決定しました – 経済産業省

申請のスケジュールと費用

健康経営優良法人2027(大規模法人部門)の申請は、健康経営度調査への回答という形で行います。回答期間・申請料・発表時期は次のとおりです。

項目 内容
申請(健康経営度調査回答)期間 2026年8月17日(月)~2026年10月9日(金)17時締切
請求書送付 2026年11月上旬頃(振込期限:2026年12月31日)
内定 2027年2月下旬頃
認定発表 2027年3月
認定申請料 80,000円(税込88,000円)/件
グループ会社の同時認定 対象法人1社ごとに15,000円(税込16,500円)を加算
調査回答のみ(認定申請しない場合) 申請料なし。フィードバックシートのみ提供
中小規模法人部門の申請期間 2026年8月17日(月)~2026年10月16日(金)17時締切

健康経営優良法人2027(大規模法人部門)の申請スケジュールと費用/出典:健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「大規模法人部門の申請」および経済産業省「健康経営銘柄2027・健康経営優良法人2027の申請受付を開始しました」

見落とされやすいのが、認定申請をせず健康経営度調査への回答だけを行う選択肢です。この場合は申請料がかからず、フィードバックシートだけが提供されます。フィードバックシートには全法人における評価順位や偏差値が記載されるため、初年度は自社が何位あたりにいるかを無料で測り、翌年から認定申請に進むという進め方が取れます。ホワイト500が順位で決まる以上、現在地を知らないまま施策に予算をつけるのは順序が逆です。

どの評価項目で点を取りにいくかを決めるには、要件そのものの全体像を先に押さえておくと判断が早くなります。評価項目ごとの中身は健康経営優良法人の認定基準とスポーツ施策の評価項目で整理しています。なお、認定された場合の認定期間は、健康経営優良法人2026を例にとると2026年3月9日から2027年3月31日までで、毎年の再申請が前提です。

Q. 申請にはいくらかかりますか?費用をかけずに現在地だけ知る方法はありますか?

健康経営優良法人2027(大規模法人部門)の認定申請料は80,000円(税込88,000円)/件で、グループ会社を同時認定する場合は対象法人1社ごとに15,000円(税込16,500円)が加算されます。一方、認定申請をせず健康経営度調査への回答だけを行う場合は申請料がかからず、全法人における評価順位や偏差値が記載されたフィードバックシートのみが提供されます。初年度は調査回答のみで順位を把握し、翌年度から認定申請に進む進め方が可能です。なお、2027年度の回答期間は2026年8月17日から2026年10月9日17時までです。

(参考)大規模法人部門の申請 – 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)

(参考)健康経営優良法人認定制度 – 経済産業省

自社がホワイト500を狙えるかを判断する5つの分岐

ここまでの一次資料と集計結果をもとに、判断の順番を整理します。上から順に見て、どこで止まるかで打ち手が変わります。

ホワイト500の認定を狙えるかを5つの分岐で判断するフロー図解

分岐1:大規模法人部門に該当するか

製造業その他なら常時使用する従業員301人以上、卸売業・サービス業は101人以上、小売業は51人以上です。該当しなければホワイト500の対象外で、狙うべきはブライト500(中小規模法人部門の上位500位)になります。従業員数で大規模、資本金で中小の両方に当てはまる場合は選択できるので、後述の到達率を見て決めます。

分岐2:ホワイト500のみ必須の5項目を今期中に満たせるか

従業員パフォーマンス指標と測定方法の開示、他社からの派遣社員等や家族への健康支援、トップランナーとしての普及活動(回答結果の公表を伴う)、経営レベルの会議での議題化と決定、従業員への健康経営の理解・促進。この5つはどれか一つでも欠けた時点でホワイト500の要件を満たしません。

とくに前の2つは、社外への開示と自社従業員以外への支援という、施策の範囲そのものを広げる必要がある項目です。今期に間に合わないなら、今年は大規模法人部門の認定を確実に取り、開示体制の整備に1年かける判断が合理的です。

分岐3:選択項目16個のうち14個を満たせるか

落とせるのは2項目までです。未達が3つ以上ある状態なら、まず数を埋める段階になります。参加率(実施率)の測定が条件になっている教育機会と保健指導は、施策を実施していても測定していないと落とすので、優先的に確認します。

運動機会の増進のように、設備を置いたうえで利用実績を記録すれば要件と実態の両方を満たせる項目は、着手の順番として早いほうです。

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分岐4:保険者と組めているか

健康保険組合を持つ法人の到達率15.9%に対し、協会けんぽ加入法人は4.2%でした。自前の健保組合がない場合は、ここが最大のボトルネックになりやすい分岐です。協会けんぽ支部との共同事業やデータ提供の枠組みを、申請年度より前に動かしておく必要があります。

分岐5:自社の業種の到達率はどのくらいか

保険業39.2%、銀行業30.1%の世界と、小売業3.9%、倉庫・運輸関連業0.0%の世界では、同じ「ホワイト500を目指す」でも難度が違います。到達率が一桁の業種であれば、社内には「大規模法人部門の認定を継続しつつ、業種内で上位を取る」という中間目標を置いたほうが、施策が続きます。

評価軸は「実施したか」から「効果があったか」へ動いている

要件表の構造を見ると、ホワイト500に上乗せされている項目が、どれも「実施した施策の数」ではなく「開示」と「検証」に寄っていることがわかります。従業員パフォーマンス指標と測定方法の開示、経営レベルの会議での決定、トップランナーとしての回答結果の公表。いずれも、社内でやったことを外から検証できる形にせよ、という要求です。

実際、経済産業省が公開したフィードバックシートの開示状況を見ると、健康経営優良法人2026では開示に同意した大規模法人部門2,938法人分(うち上場企業874社)の評価結果が公開されました。健康経営優良法人2025の2,679法人分(うち上場企業829社)から259法人分増えています。他社のスコア構成が見える状態になりつつあるということでもあり、自社のどの側面が弱いのかを外部と比較して特定しやすくなっています。

この方向性は、スポーツの現場でコンディションを数値で管理し、介入の効果を検証してきた手法と重なります。2026年3月に開催された健康経営アワード2026では、日本健康会議主催の2日目(健康経営優良法人)のプログラムに、事例発表・パネルディスカッションのテーマとして「健康経営で実現するコンディションマネジメント~成果につながる実践と継続~」が掲げられました。また経済産業省主催の1日目(健康経営銘柄)には、プレゼンター挨拶として福岡ソフトバンクホークス元監督の工藤公康氏が予定に記載されています(いずれも経済産業省が2026年3月9日に公表したプログラム予定による)。

施策を打つ前に測り、打った後に効果を検証する。この順番が制度の側から求められているわけですね。測定の考え方そのものは運動生理学の基礎とスポーツ科学を健康経営に活かす方法で解説しています。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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