経理や労務の担当者が休んだとたん、支払や給与の処理が止まっていませんか。ラグビーの競技規則が定める「専門の位置に、訓練を受けた交代要員を先に届け出ておく」仕組みをもとに、重要な業務ごとに副担当を決め、実際に処理できる状態まで育てます。
対象となるお客さま
- 経理・労務・総務を1〜2人で回している中小企業の経営者
- 担当者の休職や退職を控え、業務の止まり方が読めない管理部門の責任者
- 育児休業の取得が増え、不在中の体制づくりを任された人事の担当者
よくあるお悩み
- 担当者が数日休むだけで、支払や請求の処理が止まる
- マニュアルはあるが、本人以外が処理したことは一度もない
- 副担当を決めたものの、名前が書いてあるだけになっている
課題|担当者1人が抜けると、支払も給与も止まる
経理・労務・総務の仕事は、期限が決まっているものばかりです。支払、給与、社会保険の手続き、月次の締め。どれも「担当者が戻るまで待つ」ことができません。それなのに、手順も取引先ごとの事情も、担当者1人の頭の中にしかない会社は少なくありません。
株式会社kubellパートナーが2026年4〜5月に行った調査(従業員300名未満の企業でバックオフィス業務に携わる86名が対象)では、担当者の退職・休職で業務継続に「何らかの影響がある」と答えた人が82.6%でした。「事業継続に重大な支障が出る可能性がある」または「大きな混乱が生じる可能性がある」と答えた人も44.2%います。回答数の少ない調査ですが、多くの会社が「1人が抜けたら止まる」と感じていることが分かります。
(参考)中小企業のバックオフィス担当者の半数以上が「属人化」に課題感、担当者の退職・休職に伴う「業務継続リスク」が浮き彫りに – 株式会社kubell
原因|担当者の不在を、例外として扱っている
担当者の能力や責任感の問題ではありません。原因は次の3つです。
- 誰が何をできるかが書かれていない:業務ごとに、本人以外に処理できる人がいるのかどうかを、会社として把握していません。
- 副担当が実際に処理したことがない:副担当の名前は決めていても、手順書を読んだだけで、本番の処理を一度もしていないことがよくあります。
- できる人がいないときの決めごとがない:主担当も副担当もいない日に、何を止めて何を守るかが決まっていないため、その場で慌てることになります。
担当者の不在は、まれな出来事ではありません。厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」では、2024年の1年間に労働者が取得した年次有給休暇は1人平均12.1日、取得率は66.9%でした。取得日数・取得率とも、昭和59年以降で最も高い水準です。男性の育児休業も広がっています。「令和7年度雇用均等基本調査」では男性の育児休業取得率が50.9%となり、復職した男性の休業期間は「1か月〜3か月未満」が30.3%、「2週間〜1か月未満」が28.0%でした。担当者が数週間いない状態は、どの会社でも毎年起こりうると考えておく必要があります。
スポーツ知見|ラグビーは、専門の位置の交代要員を試合前に届け出る
ラグビーのスクラムで最前列を組む「フロントロー」は、2人のプロップと1人のフッカーです。押し合う力が集まる位置のため、国際統括団体ワールドラグビーの競技規則は、この位置について特別な決まりを置いています。
第3条では、登録する人数に応じて、フロントローを務められる選手の最少人数を定めています。23人を登録するなら6人で、最初の交代の求めに応じて、左右のプロップとフッカーのどれでも交代できなければなりません。各チームは試合前に、フロントローの選手と交代候補、それぞれが務められる位置を届け出ます。押し合うスクラムで最前列に入れるのは、届け出た選手が届け出た位置にいるときだけです。そして、選手が適切に訓練され、経験を積んでいるようにするのは、チームの責任だと定めています。
訓練を受けた選手をそろえられないときは、スクラムは押し合わない形に切り替わり、ボールを入れた側がそのまま獲得します。トップレベルの試合などでは、その原因となって退いた選手の交代を認めない決まりもあります。誰が抜けても専門の位置を埋められるよう、交代要員を先に決めて届け出て、育てておく。抜けたときの形も先に決めておく。属人化したバックオフィスに足りないのは、この備えです。
(参考)Laws of the Game – Law 3 Team – World Rugby
(参考)Laws of the Game – Law 19 Scrum – World Rugby
(参考)Laws of the Game – Definitions – World Rugby
ただし、試合と仕事は同じではありません。試合では交代要員がベンチで出番を待っていますが、仕事の副担当には自分の本来の業務があり、不在は数週間から数か月続くこともあります。そのため、副担当を決めるときに、その人の業務の一部を外す、または不在の間に止めてよい業務を先に決めておきます。
解決策|重要な業務ごとに、処理できる人を2人以上にする
すべての業務を全員ができるようにする必要はありません。止まると困る業務に絞って、処理できる人を増やします。
- できる人を書き出す:業務ごとに、主担当と副担当、それぞれが「一人で処理できる」「手順書を見ればできる」「できない」のどれかを書き出す
- 重要業務の基準:支払、給与、社会保険の手続き、月次の締めなど、期限のある業務は「一人で処理できる人を2人以上」と決める
- 副担当が実際に処理する:四半期に1回は副担当が本番の処理を行い、主担当は確認に回る
- 不在時の優先順位:主担当も副担当もいないときに、守る業務と後に回す業務を先に決めておく
いちばん大事なのは3つ目です。手順書を読んだことと、期限までに処理できることは違います。副担当が本番で処理すると、手順書に書かれていない判断や例外が必ず見つかります。それを手順書に足していくことで、本人以外でも回る業務に変わります。
進め方|1部門で副担当が締めを回してから、管理部門全体に広げる
最初から全業務に副担当を付けようとすると、決めるだけで終わります。まず1部門で、副担当が実際に処理するところまで進めます。
診断では、管理部門の業務を一緒に洗い出し、期限・影響の大きさ・できる人の数から、止まると困る業務を絞ります。設計・試行では、経理など1部門で副担当を決め、四半期の締めや給与計算のうち1回を副担当が処理します。主担当は確認役に回り、見つかった判断や例外を手順書に足します。定着では他の部門にも広げ、半年ごとに「できる人の一覧」を更新する流れを社内で回せるようにします。
期間は目安です。診断だけ、経理だけといった始め方もご提案します。Human Soarは業務の洗い出し、一覧と手順書の整理、副担当が処理する回の計画と、処理後の確認会の進行を担い、御社には業務の情報の共有、副担当の選定、副担当の業務量の調整をお願いします。
成果物|副担当を育て続けるための4つの道具
成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の実際の業務をもとに、一緒に作ります。
最初にできるのが「業務とできる人の一覧」です。業務ごとに主担当・副担当と、それぞれがどこまで処理できるかを1枚にまとめたもので、管理部門の責任者が半年ごとに見直します。次に、副担当が本番で処理して直した「重要業務の手順書」を整えます。手順だけでなく、取引先ごとの例外や判断の基準も書き込みます。
あわせて、1年のうちどの締めをどの副担当が処理するかを決めた「副担当の処理計画」を作ります。繁忙期を避けて組むので、無理なく続けられます。最後に、担当者がいないときに守る業務と後に回す業務を決めた「不在時の優先順位表」を用意します。休暇や休職の連絡が入ったとき、責任者がこの表を見て、その日の段取りを決められます。
期待できる効果|担当者が休んでも、期限のある業務が止まらない
経営にとっては、担当者の休職や退職が決まっても、支払や給与が止まる心配をしなくて済みます。管理部門の責任者は、誰が何をできるかが一覧で分かるので、休暇の調整や人の配置を落ち着いて決められます。主担当は、自分が休むと業務が止まるという負担から離れ、休暇を取りやすくなります。副担当は、本番の処理を経験することで、担当できる業務の幅が広がります。
見る数字は「一人で処理できる人が1人しかいない重要業務の数」です。この数が減っていれば、属人化が解けています。もう1つ「副担当が本番で処理した回数」を見ると、副担当が名前だけになっていないかが分かります。
Human Soarからのコメント
ラグビーは、いちばん替えのききにくい位置にこそ、交代要員を先に決めて届け出て、育てておくことを求めています。バックオフィスも同じで、属人化は担当者の頑張りでは解けません。誰が何をできるかを書き出し、副担当が本番で処理する機会を計画に組み込む。御社の業務の実際から、その備えを一緒につくります。
よくあるご質問
Q. 副担当を置くほど人数に余裕がありません。それでも進められますか?
進められます。副担当を付けるのは全業務ではなく、支払や給与など止まると困る業務だけです。他の部署の社員や経営者が副担当を務める形もご提案します。人数が少ない会社ほど、1人が抜けたときの影響が大きくなります。
Q. マニュアルを作れば十分ではありませんか?
手順書は必要ですが、それだけでは足りません。手順書を読んだことと、期限までに処理できることは違うためです。このプログラムでは、副担当が本番で処理し、見つかった例外を手順書に足すところまでを1回の流れにします。
Q. 経理を外部に委託する場合にも役に立ちますか?
役に立ちます。委託しても、委託先への依頼や確認は社内の誰かが行います。その窓口が1人しかいなければ、同じように止まります。業務の一覧を作る段階で、委託する業務と社内に残す業務を分けることもできます。
FREE DOCUMENT
関連する資料を無料でダウンロード











コメント