コンプライアンス研修の形骸化対策|スポーツのドーピング防止教育に学ぶ

コンプライアンス研修の形骸化対策|スポーツのドーピング防止教育に学ぶ ソリューション
SOLUTION|コンプライアンス × 人材育成

毎年コンプライアンス研修をしているのに、相談窓口の場所を知らない従業員が多い。そんな状態を変えます。スポーツのドーピング防止で国際的に定められた「教育の基準」を手本に、誰に・何を・どこまでできるようにするかを決め直し、毎年見直せる教育計画をつくります。

コンプライアンス研修設計内部通報人材育成

このプログラムについて相談する

対象となるお客さま

  • コンプライアンス研修を毎年実施している法務・コンプライアンス部門の担当者
  • 研修の受講率は高いのに、不正やトラブルが減らないと感じている経営者
  • 内部通報窓口を設けたものの、使われているか分からない人事・総務の担当者

よくあるお悩み

  • 全員に同じeラーニングを年1回配信して終わっている
  • 受講率は分かるが、現場で判断できるようになったかは分からない
  • 研修の中身が毎年ほぼ同じで、見直すきっかけがない
ISSUE

課題|内部通報制度を理解している就労者は4割に届かない

リスク別コンプライアンス教育設計プログラム|内部通報制度の理解度と、コンプライアンス違反による倒産の件数

毎年コンプライアンス研修を行っていても、基本の中の基本である内部通報制度でさえ、従業員に伝わっていないことがあります。

消費者庁が2023年11月に就労者1万人に聞いた調査では、内部通報制度を「よく知っている」は11.9%、「ある程度知っている」は26.7%で、合わせても4割に届きませんでした。「知らない」は36.5%です。体制の整備が義務になっている従業員301人以上の事業者でも、301人以上1,000人以下で57.6%、5,000人超で47.7%が制度を理解していませんでした。

(参考)内部通報制度に関する就労者1万人アンケート調査の結果について(令和6年2月) – 消費者庁

違反が表に出たときの影響も大きくなっています。帝国データバンクの調査では、コンプライアンス違反が判明した企業の倒産は2025年に278件でした。前年より減ったものの、コロナ禍前を大きく上回る水準で、2025年の倒産のうち負債額が大きい上位20社の9社がコンプライアンス違反による倒産でした。

(参考)コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2025年) – 株式会社帝国データバンク

CAUSE

原因|全員に同じ内容を配り、受講したかだけを確かめている

リスク別コンプライアンス教育設計プログラム|研修が形だけになる3つの原因と、通報しない理由の最多

研修そのものが役に立たないわけではありません。同じ調査では、制度を「よく知っている」人が知ったきっかけの最多は「勤務先等における研修・周知」でした。届く人には届いています。問題は研修の組み立て方で、原因は次の3つです。

  • 対象を分けていない:お金を扱う部署も、取引先と接する部署も、管理職も新人も同じ内容です。違反が起きやすい立場に厚く教える設計になっていません。
  • 「知っている」で止まっている:ルールを読んで理解度テストに答えても、迷う場面で誰に何を言えばよいかまでは身につきません。
  • 受講率しか測っていない:受講率は100%に近づいても、判断できるようになったかは測っていません。測っていないので、翌年の内容を変える理由もできません。

実際、重大な法令違反を目撃してもどこにも相談・通報しない理由の最多は「誰に相談・通報したら良いか分からない」でした。知識を渡すだけでなく、迷ったときに動けるところまでを研修の目標にする必要があります。

(参考)内部通報制度に関する就労者1万人アンケート調査の結果について(令和6年2月) – 消費者庁

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|ドーピング防止は、検査より先に教育する対象を決める

リスク別コンプライアンス教育設計プログラム|世界アンチ・ドーピング機構の教育に関する国際基準の4つの決まりと、職場への置き換え

世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、2021年1月に「教育に関する国際基準(International Standard for Education)」を発効させました。各国のアンチ・ドーピング機関や競技団体が守る決まりで、根本にある考え方は「選手がアンチ・ドーピングに最初に触れるのは、検査ではなく教育であるべき」というものです。

この基準は、教育を「やったかどうか」ではなく計画として扱います。まず現状を評価し、教育の対象になりうる集団と、いま行っている教育をすべて書き出します。次に優先する対象を「教育対象者プール」として決めます。最低限、検査の対象として登録された選手と、処分を終えて復帰する選手は必ず含め、選手を支えるスタッフでは影響力の大きい人を優先します。

学習目標は、対象ごとに「知っている」「理解している」「できる」の3段階で定めます。目標は測定でき、期限のあるものにし、教育は毎年評価して翌年の計画に生かします。研修を形だけにしないための仕組みが、規則として組み込まれているわけです。

(参考)International Standard for Education(2021) – World Anti-Doping Agency

ただし、試合と仕事は同じではありません。スポーツでは教育の後にドーピング検査があり、守れているかを外から確かめられます。会社には同じ検査がありません。そのため、判断演習の結果と、相談窓口への相談件数・内部監査の指摘を組み合わせて、教育が届いたかを確かめます。

SOLUTION

解決策|対象・目標・演習・評価の4つを決め直す

リスク別コンプライアンス教育設計プログラム|研修を組み直す4つの決めごとと、それぞれで変えること

研修の回数を増やすのではありません。いまの研修を土台に、次の4つを決め直します。

  • 対象を分ける:お金や契約を扱う職務、取引先と接する職務、管理職、異動・昇格した直後の人など、違反が起きやすい立場を優先する対象として決めます
  • 目標を3段階で決める:対象ごとに「知っている」「理解している」「できる」の中身を書き、優先する対象は「できる」まで求めます
  • 自社の場面で演習する:接待の誘い、締め日直前の数字の修正の依頼など、自社で起こりうる迷う場面を教材にし、誰に何を言うかを答えてもらいます
  • 毎年評価して翌年に生かす:受講率に加えて演習の結果と相談件数を見て、翌年の対象と教材を入れ替えます

全員に必要な基本は、これまでどおりeラーニングで効率よく伝えます。時間をかけるのは、優先する対象に向けた演習です。研修の時間を全員に均等に割るのではなく、違反が起きやすい立場に回します。

APPROACH

進め方|リスクの高い1部門から始め、年次の教育計画にする

リスク別コンプライアンス教育設計プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

最初から全社の研修を作り替えると、準備に時間がかかり、何が効いたのかも分からなくなります。まずリスクの高い1部門で試し、効果を確かめてから広げます。

診断では、いま行っている研修と周知をすべて書き出し、過去の相談・通報や内部監査の指摘から、違反が起きやすい職務と立場を洗い出します。設計・試行では、1部門を対象に学習目標と判断演習を作り、実際に演習を行って結果を確かめます。定着では、全社の対象者リストと年次の教育計画にまとめ、年に1回の評価で翌年の計画を決める流れを整えます。

期間は目安です。診断だけ、1部門だけといった始め方もご提案します。Human Soarは様式の用意・聞き取り・演習の教材づくり・年次評価の進行を担い、御社には研修資料と相談・監査の記録の共有、試す部門の決定をお願いします。

OUTPUT

成果物|毎年の教育計画を社内で回せる4つの道具

リスク別コンプライアンス教育設計プログラム|プロジェクトの4つの成果物と活用場面

成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の研修資料と記録をもとに、一緒に作ります。

最初にできるのが「教育対象者リスト」です。違反が起きやすい職務と立場を、優先度の順に並べた一覧で、誰にどれだけ時間をかけるかを決める土台になります。次に、対象ごとに「知っている」「理解している」「できる」の中身を書いた「立場別の学習目標表」を作ります。研修の担当者が教材を選ぶとき、何をどこまで教えるかを迷わず決められます。

研修の場では、自社で起こりうる迷う場面を集めた「判断演習集」を使います。答えと、相談先・報告の手順を対にしてあるので、管理職が部内の勉強会で使うこともできます。最後に、受講率・演習の結果・相談件数を1枚にまとめる「年次評価シート」を整えます。毎年の評価から翌年の対象と教材を決める流れまで作るので、支援が終わった後も社内だけで見直しを続けられます。

VALUE

期待できる効果|受講率ではなく、迷ったときに動ける人が増える

リスク別コンプライアンス教育設計プログラム|経営・現場・担当者の3つの効果と、研修を見直す時期かを確かめるセルフチェック

経営にとっては、どの立場に教育が届いていて、どこが手薄かを毎年の数字で説明できるようになります。取締役会や監査への報告にも使えます。現場の管理職は、部下から相談を受けたときの対応と報告先が決まっているので迷いません。研修の担当者は、毎年の評価をもとに内容を入れ替える根拠を持てます。

見る数字は、受講率ではなく「優先する対象の判断演習の正答率」です。もう1つ「相談窓口を知っている従業員の割合」を、研修の前後で同じ聞き方で確かめます。スライド下のセルフチェックで2つ以上当てはまれば、研修の組み立てを見直す時期です。

COMMENT

Human Soarからのコメント

スポーツのドーピング防止では、意図していなくても選手が責任を負う「厳格責任」が原則です。だからこそ、検査の前に教えることを国際的な規則で決め、毎年見直す仕組みにしています。会社の不祥事も、表に出てからでは取り戻すのに時間がかかります。いまの研修を土台に、限られた時間で効く教え方を、御社の職務と記録に合わせて一緒に組み立てます。

FAQ

よくあるご質問

Q. いまのeラーニングはやめる必要がありますか?

やめる必要はありません。全員に必要な基本は、これまでどおりeラーニングで伝えます。変えるのは、違反が起きやすい立場に向けた判断演習を加えることと、受講率に加えて演習の結果を測ることの2点です。

Q. 内部通報制度の周知にも使えますか?

使えます。消費者庁の調査では、重大な法令違反を目撃してもどこにも相談・通報しない理由の最多が「誰に相談・通報したら良いか分からない」でした。そのため、窓口の場所と使い方を全員の「できる」の目標に入れ、演習の中で実際に答えてもらいます。

Q. 従業員300人以下の会社でも依頼できますか?

できます。300人以下の事業者は内部通報体制の整備が努力義務ですが、違反が起きやすい職務があることは変わりません。対象の区分を2〜3つに絞り、1回の診断と演習づくりから始める形もご提案できます。

元気な社員が、いちばんのマーケティングになる。

社員のウェルビーイングを高め、
その元気が自然と外に伝わる仕組みをつくります。

インナーマーケティングを知る →

About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました