スポーツに関わる仕事一覧|人事向けに年収を公的データで整理

スポーツに関わる仕事一覧|人事向けに年収を公的データで整理 スポーツ人材

スポーツに関わる仕事は、競う・教える・動かす・支えるの4領域に分けると全体像がつかめます。公的な職業情報サイトに載る5職種の年収は384.8万円から736.8万円まで開いていて、いちばん高いのはプロスポーツ運営団体職員(企画・運営)の736.8万円でした。

スポーツ人材の採用や育成を担う立場だと、「スポーツ経験者」「トレーナー」「運営職」と呼び名がばらばらで、どの職種がどんな条件で人を集めているのかを横並びで見る機会は多くありません。ここでは、文部科学省の資料に載るスポーツ人材の分け方と、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に載る職種別の数値を並べて、職種の違いと入り口の違いを確かめます。企業での活用の考え方はスポーツ人材とは|企業の活用パターンと導入手順にまとめています。

スポーツに関わる仕事は競う・教える・動かす・支えるの4領域に分けられる

スポーツに関わる仕事を競う・教える・整える・動かす・支えるの領域で整理した図(プロ選手やトップアスリート、指導者やスポーツ栄養士、団体の経営や施設運営、審判員やボランティア)

文部科学省のサイトに載る審議会資料(2016年10月公開)は、スポーツに関わる人材を、プレイヤー、指導者、専門スタッフ、審判員・スポーツボランティア、サポーター、経営人材、政策人材、民間事業者、報道関係者の9つに分け、別に国際競技団体などで活躍する国際人材も挙げています。この記事ではその9つを、仕事の中身が近いものでまとめて4領域に整理しました(4領域への分け方は本記事の整理です)。

競う仕事|地域クラブや部活動の競技者から職業として競技するプロ選手まで

競う仕事は、資料でいうプレイヤーにあたります。地域のクラブや部活動で取り組む人からトップアスリートまでが含まれ、職業として競技に取り組む人はその一部です。同じ資料は、JOCが2010年に行った調査で、強化指定選手等の約半数(47.4%)が引退後の就職先に不安を持っていたと紹介しています。競技を終えたあとに別の職種へ移る人が一定数いるため、採用の側から見ると、競う仕事は「入口」より「出口」の話になりやすい領域です。

(参考)スポーツ人材の育成・確保について(資料6) – 文部科学省

教える仕事|指導者とスポーツ医科学の専門スタッフが中心

教える仕事には、競技や運動を教える指導者と、医科学の知識で選手を支える専門スタッフ(公認スポーツドクター、公認スポーツデンティスト、スポーツ栄養士など)が入ります。資料では、国や地方への要望として「スポーツ指導者の養成」を挙げた人が2014年度の調査で34.9%に上り、2004年の29.1%から増えていると紹介されています。現場のコンディション管理を担う職種は、アスレティックトレーナーとは|スポーツ現場の資格と企業での役割でも詳しく扱っています。

動かす仕事|団体の経営から政策・施設運営・用品メーカーまでの事業側

動かす仕事は、資料の経営人材(マーケティング、ガバナンス、施設運営、興行など)、政策人材、民間事業者(用品製造やスポーツ施設の運営)にあたります。スポーツ庁は2017年度から2020年度にかけて、スポーツ団体へ専門人材や外部人材を呼び込む事業と、実践的な経営人材を育てるカリキュラムづくりを進めてきました。企業から見ると、他業界の経験を持つ人が入りやすい領域です。

(参考)スポーツ経営人材の育成・活用 – スポーツ庁

支える仕事|審判員・ボランティア・サポーター・報道が試合と大会を成り立たせる

支える仕事は、審判員、スポーツボランティア、サポーター、報道関係者です。資料は、笹川スポーツ財団の2015年の調査として、スポーツボランティアの実施率が成人全体で7.7%、今後やってみたい人が14.5%だったと紹介しています。20歳代では実施率5.9%に対して希望率18.1%と、関心と実際の参加に差がありました。社員のボランティア参加を促すなど、企業が職種の募集とは別の形で関わりやすい領域です。

Q. スポーツに関わる仕事にはどんな種類がありますか?

競う・教える・動かす・支えるの4領域に分けると整理しやすくなります。文部科学省の資料はスポーツ人材をプレイヤー、指導者、専門スタッフ、審判員・スポーツボランティア、サポーター、経営人材、政策人材、民間事業者、報道関係者の9つを挙げていて、これを仕事の中身が近いもの同士でまとめたのが4領域です。

年収は5職種のうちプロスポーツ運営団体職員が736.8万円で最も高い

職業情報提供サイト(job tag)に載るスポーツ関連の5職種を並べると、年収の幅は384.8万円から736.8万円でした。いちばん高いのはプロスポーツ運営団体職員(企画・運営)で、いちばん低いスポーツ用品販売との差は352万円です。

職種 年収(全国) 平均年齢 月間労働時間 入職の条件
プロスポーツ運営団体職員(企画・運営) 736.8万円 43歳 158時間 特定の学歴や資格は不要。新卒採用は少なく中途の即戦力が中心
理学療法士 443.6万円 36.2歳 157時間 養成校で3年以上学び、国家試験に合格して免許を取る
柔道整復師・はり師・きゅう師 454.2万円 37.6歳 159時間 養成施設・認定校で3年以上学び、国家試験等で免許を取る
スポーツインストラクター 442万円 38.3歳 165時間 特に学歴や資格は必要とされない
スポーツ用品販売 384.8万円 43.6歳 161時間 特に学歴や資格は必要とされない

出典:職業情報提供サイト(job tag)の各職業ページ(2026年10月30日確認)に掲載の全国値(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工したもの)を、Human Soar が5職種で横並びにしたもの。job tag では柔道整復師とはり師・きゅう師に同じ数値が掲載されているため1行にまとめた。倍率や差額は計算による。

プロスポーツ運営団体職員は年収736.8万円|経験者採用が前提になる

プロスポーツ運営団体職員(企画・運営)の年収は736.8万円、平均年齢は43歳です。job tagには、特定の学歴や資格は必要とされない一方で新卒採用は少なく、中途採用の即戦力が求められると書かれています。ファンクラブ運営ならタレントのマネジメント経験が有利になることがあると例示されており、他業界で積んだ経験がそのまま評価されやすい職種です。年収はインストラクター(442万円)の約1.7倍ですが、平均年齢も4歳以上高く、経験年数の差を含んだ数字として読む必要があります。

(参考)職業詳細 プロスポーツ運営団体職員(企画・運営) – 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)

理学療法士は年収443.6万円|養成校3年以上と国家試験が入口になる

理学療法士の年収は443.6万円、平均年齢は36.2歳で、5職種のなかでは最も若い構成です。養成校で3年以上学び、国家試験に合格して免許を取る必要があります。年収はスポーツインストラクターとの差が1.6万円しかなく、資格が必要かどうかだけでは年収水準が決まらないことが、この数字から読み取れます。

(参考)職業詳細 理学療法士(PT) – 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)

柔道整復師・はり師・きゅう師は年収454.2万円|免許のある職種として並ぶ

柔道整復師は養成施設で3年以上学んだうえで国家試験に合格することが必要で、はり師・きゅう師は認定された専門学校や大学・短大で3年以上修学して免許を取ります。job tagでは3つの職業に同じ年収454.2万円、平均年齢37.6歳、月間労働時間159時間が掲載されています。スポーツの現場ではトレーナー業務と重なる場面もありますが、ここでの数値は職種区分ごとの全国値で、スポーツ現場の勤務者だけの数字ではありません。

(参考)職業詳細 柔道整復師 – 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)

(参考)職業詳細 はり師・きゅう師 – 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)

スポーツインストラクターは年収442万円|資格がなくても入れる指導職

スポーツインストラクターの年収は442万円、平均年齢は38.3歳、月間労働時間は165時間と、5職種のなかでは労働時間が最も長い職種です。入職にあたって特に学歴や資格は必要とされず、体育系の大学や専門学校の卒業者が多い一方で、施設の運営力を期待されて他の学部から入る人もいます。入社後に健康運動指導士などの資格を取るケースが多いとされています。

(参考)職業詳細 スポーツインストラクター – 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)

スポーツ用品販売は年収384.8万円|5職種で最も低いが入りやすい

スポーツ用品販売の年収は384.8万円で、5職種のなかでは最も低くなっています。特に学歴や資格は必要とされず、大型店では学校を通じた定期採用、中小の小売店では求人広告や縁故による採用が多いと書かれています。年収だけを見れば低めですが、スポーツへの関心と接客力があれば入れる、最も間口の広い入口です。

あわせて読みたいアスリート社員とは|企業が雇う前に決める労務と税の扱い›

(参考)職業詳細 スポーツ用品販売 – 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)

Q. スポーツに関わる仕事で年収が高いのはどの職種ですか?

job tagに載るスポーツ関連の5職種では、プロスポーツ運営団体職員(企画・運営)の736.8万円が最も高く、平均年齢は43歳です。ほかの4職種は384.8万円から454.2万円で、スポーツ用品販売が最も低くなっています。数値は令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工した全国値です。

資格が必須の職種と不要の職種では入り口が分かれる

スポーツに関わる仕事の入り口を免許の要否で分けた図(理学療法士・柔道整復師・はり師きゅう師は免許が必須、スポーツインストラクターと用品販売と運営団体職員は資格が不要)

5職種のうち、免許や国家試験が必要なのは理学療法士、柔道整復師、はり師・きゅう師です。スポーツインストラクター、スポーツ用品販売、プロスポーツ運営団体職員は、job tagに特定の学歴や資格は必要とされないと書かれています。

ただし、資格が不要でも誰でも同じ条件で入れるわけではありません。インストラクターは体育系の大学や専門学校の卒業者が多く、運営団体職員は新卒採用が少なくて中途の即戦力が求められます。資格が要る職種は養成校で3年以上学ぶ期間がかかり、採用側から見ると、入職者の年齢や経歴の幅が資格の有無で変わります。

資格が必要な職種を募集に加えるなら、免許の有無を応募条件に明記する必要があります。必要としない職種では、経験や適性をどう見るかが採用の中心になります。面接で何を聞くかはスポーツ業界の面接|採用担当者が聞く質問と評価の見方が参考になります。

Q. スポーツに関わる仕事に資格は必要ですか?

職種によって異なります。理学療法士は養成校で3年以上学んで国家試験に合格する必要があり、柔道整復師やはり師・きゅう師も養成施設や認定校で3年以上学んで免許を取ります。一方、スポーツインストラクターとスポーツ用品販売は、job tagで特に学歴や資格は必要とされないとされています。

人事が最初に決める3つのこと|募集の領域・資格の要否・外部人材の入口

スポーツに関わる仕事の募集を職名で探す方法から役割で探す方法に変える図(教える・動かす役割で条件を書き、免許は資格職だけ必須にする)

スポーツ人材を採用・育成する側は、職種名で探すより、どの領域のどんな役割を任せたいかから逆算すると、条件を書きやすくなります。次の3つを先に決めておくと、募集の設計がぶれません。

募集職種を4領域のどこに置くかを決める

たとえば社内の運動プログラムを担う人を探すなら教える仕事、スポーツチームとの協業を進める人を探すなら動かす仕事に当たります。領域が決まれば、競う仕事の経験者なら引退後の就職先を探している層、動かす仕事なら他業界から移る経験者層というように、探す先が変わります。

あわせて読みたいスポーツ経験者の採用基準の作り方|面接で見抜く3軸›

資格が要る職種と要らない職種で応募条件の書き方を分ける

理学療法士のように免許が必須の職種は、募集要項に免許名を明記しないと応募者が集まりません。インストラクターや用品販売のように資格が不要な職種は、免許の代わりに「どんな場面で何を教えた経験があるか」を条件にすると、経験者が応募しやすくなります。資格を取ってもらう前提で採用するなら、入社後に健康運動指導士などを取るケースが多いというjob tagの記載が、研修計画を立てる際の目安になります。

元アスリートなど外部人材が入る入口を用意する

前述のとおり、強化指定選手等の約半数が引退後の就職先に不安を持っていました。競技を終えた人を受け入れる入口を用意すると、競う仕事で培った経験を、動かす仕事や教える仕事へつなげられます。元アスリートの現場での活かし方はビジネスアスリート思考で仕事の成果を上げる方法|5つの実践習慣で整理しています。

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スポーツに関わる仕事の全体像のまとめ

スポーツに関わる仕事は、領域・資格・年収の3つを並べると違いが見えます。採用や育成を考えるときの要点は次のとおりです。

  • スポーツに関わる仕事は、競う・教える・動かす・支えるの4領域に分けると整理しやすい
  • job tagの5職種では、年収は384.8万円から736.8万円で、プロスポーツ運営団体職員が最も高い
  • 理学療法士、柔道整復師、はり師・きゅう師は免許が必須で、インストラクターと用品販売は資格が不要
  • 採用する側は、職種名ではなく領域と役割から条件を書き、資格の要否で応募条件の書き方を分ける

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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