置き型社食を入れたのに利用が伸びない。食品が余り、担当者の手間だけが増えて、続けるかどうかも決められない。スポーツ栄養学の「活動の予定から、いつ何を食べるかを決める」考え方を使い、勤務に合わせた置き方と判断の基準を整えます。
対象となるお客さま
- 置き型社食を導入したものの、利用が伸びない総務・人事の担当者
- 健康経営の一環として、社員の食事の支援を見直したい責任者
- 交替勤務や残業があり、社員の食事の時間がそろわない職場の管理者
よくあるお悩み
- 使う人が一部に偏り、届いていない社員がいる
- 期限切れの食品が出て、補充と回収の手間だけが増える
- 続けるか、変えるか、やめるかを判断できない
課題|置き型社食のデメリットは、利用の偏り・廃棄・手間が重なること
置き型社食は、調理設備がなくても職場に食事を用意できる福利厚生です。ただし、困りごとは置いた後の運用で出てきます。しかも1つずつ別々に起きるのではなく、つながって起きます。
利用が一部の社員に偏ると、動かない品が残ります。残った品は期限が近づいて廃棄になり、担当者は補充や回収、問い合わせへの対応に時間を取られます。利用の記録が全体の数しかなければ、どの勤務の社員に届いていないのかも分かりません。
こうなると、続ける理由もやめる理由も説明できません。品を入れ替えても手応えがつかめないまま、判断だけが先送りになります。
原因|勤務の時間帯と食べられる場所を確かめないまま置いている
社員の意識が低いから使われない、とは限りません。原因は次の3つです。
- 勤務の違いを見ていない:早番、夜勤、残業、出社日の少ない社員では、食べられる時間が違います。
- 品ぞろえが場面と合っていない:温める場所や時間がなければ、加熱の要る品は手に取りにくくなります。
- 記録が判断につながっていない:全体の利用数だけでは、どの勤務に届いていないかが分かりません。
食事の状況は、年代や時間帯で大きく違います。令和6年の国民健康・栄養調査で、朝食を欠食した人の割合は20〜29歳が31.1%、30〜39歳が23.0%、40〜49歳が18.3%、50〜59歳が16.1%、60〜69歳が10.9%でした。一方、20〜29歳の昼食の欠食は7.2%です。ここでの欠食には、菓子や果物だけ、錠剤だけで済ませた場合も含みます。働く人に限った数字ではなく、調査日1日の食事を記録したものです。
(参考)令和6年国民健康・栄養調査報告 第1部 第10表(令和6年10〜11月調査) – 厚生労働省
時間の制約も、すべての人に同じようにあるわけではありません。令和5年の同じ調査(20歳以上)で、「主食・主菜・副菜を組み合わせて食べる」ことの妨げに「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」を挙げた人は、男性13.3%、女性20.8%でした。最も多い回答は「特にない」で、男性57.7%、女性54.2%です。
(参考)令和5年国民健康・栄養調査結果の概要 図20 – 厚生労働省
出社の有無も関わります。国土交通省の令和7年度の調査(令和7年10〜11月、WEB調査)では、雇用されて働く人のうち、直近1年間にテレワークをした人は16.8%でした。職場に置くだけでは、出社しない日の食事には届きません。だから、全員に同じものを置く前に、勤務ごとの違いを確かめます。
スポーツ知見|スポーツ栄養学は、活動の予定に合わせて食べる時間と内容を決める
スポーツ栄養学では、食事を活動の予定とセットで考えます。その基本を示すのが、米国栄養・食事療法学会(Academy of Nutrition and Dietetics)、カナダ栄養士会(Dietitians of Canada)、米国スポーツ医学会(ACSM)の共同声明「Nutrition and Athletic Performance」です。Thomas、Erdman、Burke がまとめ、2016年に Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics と Medicine & Science in Sports & Exercise に掲載されました。声明は、次の考え方を共通の前提に置いています。
- 目標を固定しない:栄養の目標と必要量は一定ではなく、練習計画の周期と日々の練習の負荷に合わせて変えます。
- 1人ずつ合わせる:種目の特性、目標、現実的な制約、食の好み、食べたときの反応をふまえて計画を立てます。
- 1日の総量だけで考えない:1日の中で、運動との関係でいつとるかまで考えます。
実行の場面にも触れています。運動中に飲食できる機会は競技の規則や性質で変わり、自分に合う補給の計画は練習で試して見つけるよう勧めています。また、遠征や共同生活では、健康的な食品を手に入れにくい、食事を準備する機会が限られる、日課が定まらないといった要因が、食事の質を下げることがあるとしています。
形を比べると、職場と同じです。選手の練習と試合の予定に合わせて補給を決めるように、職場でも勤務時間・シフト・休憩・残業の予定に合わせて、いつ誰が何を食べられるようにするかを決められます。
ただし、試合と仕事は同じではありません。この声明の対象は競技者と活動的な成人で、会社員の職場で確かめたものではありません。扱うのは競技者の健康と運動の成果であり、社員の健康状態や仕事の成果が上がることを示すものでもありません。そこで、体重あたりの栄養量などの数値は持ち込まず、「予定から逆算して食べられる機会を決め、試して直す」という手順だけを使います。個別の栄養の相談は、管理栄養士や産業保健の専門職につなぎます。
解決策|勤務の予定から、いつ・誰が・何を食べられるかを決める
サービスを乗り換える前に、いまの置き方を勤務の予定に合わせて組み直します。手順は3つです。
- 勤務の時間帯を書き出す:勤務表から、始業・終業・休憩・残業の時間を勤務パターンごとに整理します。
- 食べられる場所を確かめる:冷蔵庫や電子レンジの有無、休憩室を使える時間、補充が届く時間を現場で確かめます。
- 場面に合う品の条件を決める:温める必要、食べるのにかかる時間、保存の方法、期限の長さ、アレルギー表示の見やすさで条件を決めます。
決めた内容は、次のような勤務別の食事マップにまとめます。下の表は例で、実際は御社の勤務表と現場の確認をもとに作ります。
| 勤務 | 食べられる場面 | 確かめること | 置く品の条件 |
|---|---|---|---|
| 早番 | 始業の前後の短い時間 | 出社から始業までの時間 | 温めずに短い時間で食べられる |
| 日勤 | 昼休憩 | 休憩の長さと、外に出る社員の多さ | 昼の混む時間でも取りやすい |
| 残業がある勤務 | 夕方の休憩 | 残業が多い曜日と時期 | 夕方にも数が残っている |
| 夜勤・交替勤務 | 深夜の休憩 | 休憩室と電子レンジを使える時間 | 補充が止まる時間でも切らさない |
| 出社日が少ない社員 | 出社した日だけ | 出社する曜日 | 職場に置く以外の手段も検討する |
あとは、勤務パターンごとに利用と廃棄を記録し、品ぞろえと補充の時間を直します。どの食品が健康によいかは、このプログラムでは断定しません。見るのは、社員が勤務の中で実際に食べられるかどうかです。
進め方|1つの拠点で勤務と利用を調べ、8週間試してから広げる
すべての拠点を一度に変えると、どの変更が効いたのか分からなくなります。まず1つの拠点で試し、利用の広がりと廃棄の変わり方を確かめてから広げます。
診断では、勤務表と利用の記録、担当者の作業を整理し、社員への短い聞き取りで、食べられない場面を確かめます。設計・試行では、勤務別の食事マップと品ぞろえの基準を作り、8週間運用して週ごとに記録します。定着では、ほかの拠点に広げ、四半期ごとの見直しを社内の予定に組み込みます。
期間は目安です。診断だけ、1つの拠点だけといった始め方もご提案します。Human Soarは聞き取りの様式づくり、記録の整理と分析、基準の文書化を担います。御社には勤務表と利用データ、いまのサービスの契約条件の共有と、試す拠点の決定をお願いします。
成果物|勤務別の食事マップと、続ける・変える・やめるの判断基準を残す
成果物は、御社の勤務と記録をもとに一緒に作ります。支援が終わった後も、担当者が替わっても使えるようにします。
最初に作る「勤務別の食事マップ」は、勤務パターンごとに食べられる時間と場所、足りない場面を1枚にまとめたものです。担当者が置き場所や補充の時間を決めるときに使います。次の「品ぞろえの基準」は、温める必要や期限の長さなどの条件を決めたもので、品を入れ替えるときに誰が選んでも同じ考え方で選べます。
「利用と廃棄の記録シート」には、勤務パターンごとの利用者の数と、廃棄した品の数を毎週書きます。最後の「続ける・変える・やめるの判断基準」は、利用の広がりと廃棄の多さの組み合わせで次の行動を決めるものです。目標の値は試行の前に御社と決め、担当者が経営に報告するときの根拠にします。
期待できる効果|続ける理由もやめる理由も、記録をもとに説明できる
経営にとっては、福利厚生を続けるかどうかを、記録をもとに判断できるようになります。担当者は、補充と回収の予定を勤務に合わせて組めるので、場当たりの対応から離れられます。社員は、自分の勤務の中で食べられる品と時間が分かります。
見る数字は「勤務パターン別の利用者の割合」と「廃棄した品の割合」の2つです。全体の利用数が増えても、一部の勤務に偏ったままなら成果とは見ません。なお、このプログラムは食事の機会を整えるもので、社員の健康状態の変化を約束するものではありません。スライド下のセルフチェックで2つ以上当てはまれば、運用を見直す時期です。
Human Soarからのコメント
置き型社食が使われないとき、品ぞろえやサービスの比較から考えたくなります。ただ、先に確かめたいのは、社員がいつ、どこで食べられるかです。活動の予定から食事を決めるスポーツ栄養学の手順は、その確かめ方の手がかりになります。御社の勤務表を一緒に見ながら、続けるか、変えるか、やめるかを判断できる状態を作ります。
よくあるご質問
Q. 置き型社食のデメリットは何ですか?
運用面では、利用の偏り、食品の廃棄、担当者の補充や回収の手間が挙げられます。出社しない日には使えない点もあります。どれも勤務の時間帯や置き場所と関わるので、勤務パターンごとに確かめると対策を立てやすくなります。
Q. 冷凍の置き型社食に替えれば、廃棄は減りますか?
替えるだけで減るとは言い切れません。保存できる期間が長い品でも、冷凍庫と電子レンジ、温める時間がなければ手に取られにくいからです。先に勤務ごとの休憩の長さと設備を確かめ、使える場面があるかを見てから判断します。
Q. 利用率が低いなら、すぐにやめるべきですか?
すぐには決めません。まず勤務パターンごとの利用と廃棄を記録し、届いていない勤務があるかを確かめます。置き方や品ぞろえを変えて試し、それでも目標に届かないときに、やめる判断をします。
FREE DOCUMENT
関連する資料を無料でダウンロード











コメント