食の福利厚生の効果は、利用率、食行動、健康と仕事の3段階で測ります。最初から離職や医療費の改善を証明しようとせず、まず何割の社員が使い、食事が変わったかを見ます。JILPTの調査では制度がある人のうち食堂を使った人は69.2%で、社内の数字を比べる参考になります。スポーツ施策も同じ枠で測れます。
置き型社食を入れて半年。「で、効果はあったの?」と経営会議で聞かれて、月の売上個数しか答えられなかった。導入の前に何を測るかを決めておけばよかった、という話は珍しくありません。
この記事では、測る指標の作り方、計算の例、言ってよいことと言えないこと、スポーツ施策と合わせる方法を整理します。
食の福利厚生の効果は3段階の指標で測る
食の施策の効果は、使われたか、食事が変わったか、健康や仕事に表れたかの順に見ると整理しやすくなります。次の表の分け方と指標の例は本記事の提案です。
| 段階 | 指標の例 | 測り方 | 見る頻度 |
|---|---|---|---|
| 利用 | 利用率、利用回数、残った数 | 販売データ | 毎月 |
| 食行動 | 主食・主菜・副菜がそろう日数、朝食の頻度 | 社内アンケート | 半年ごと |
| 健康と仕事 | 健診の結果、体調による仕事への影響の自己評価 | 健診、アンケート | 年1回 |
出典:本記事の整理。
利用の指標は毎月の販売データで見る
もっとも取りやすく、担当者が手を打ちやすい指標です。利用率が低ければ、置き場所や品ぞろえを見直します。
食行動の指標は国の調査と同じ聞き方にする
国民健康・栄養調査は、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日が週に何日あるかを聞いています。ほぼ毎日の人は全国で52.8%でした。同じ聞き方にすると、全国の数字と比べられます。
(参考)令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要 – 厚生労働省
健康と仕事の指標は長い目で見る
健診の値は、食の施策だけで決まるものではなく、短い期間では変わりにくいものです。体調による仕事への影響(プレゼンティーイズム)を測る質問票もあります。使う前に開発元の利用条件を確かめます。
Q. 食の福利厚生の効果はどう測りますか?
利用率、食行動、健康と仕事の3段階で測ります。まず販売データで何割の社員が使っているかを見て、半年ごとのアンケートで食事の変化を確かめます。健診の値などは年に1回、長い目で見てください。
利用率と1人あたりの費用は計算式を先に決める

数字は定義で変わるので、計算式を先に決めます。利用率は、月に1回以上使った人数を対象の社員数で割ります。分母に在宅勤務の人や別の拠点の人を入れるかも決めておきます。
たとえば対象50人の拠点で月に30人が使えば、利用率は60%です。ESキッチンが例示する50プランの基本料金33,000円(税込)なら、対象者1人あたり月660円、利用者1人あたり月1,100円です(本記事の計算)。費用には他の負担も足して考えます。
Q. 福利厚生の利用率はどのくらいあればよいですか?
統一の基準は確認できませんでした。JILPTの調査では、制度がある人のうち食堂を使った経験がある人は69.2%、食事手当は62.9%でしたが、これは毎月の利用率ではありません。自社の最初の数字を基準に、変化を見てください。
JILPTの数字は比べ方に注意して参考にする
JILPTの2025年の調査で、制度がある人のうち使ったことがある人は、食堂69.2%、食事手当62.9%、飲食店の食券等34.6%でした。比較の参考になりますが、「これまでに使ったことがある」割合なので、月の利用率より高く出やすい数字です。
社内で同じ意味の数字を出すなら、年に1回のアンケートで「使ったことがあるか」を聞きます。あわせて制度を知っているかも聞くと、知られていないのか、知っていて使わないのかが分かります。詳しくは勤務先の食事補助の調査で整理しています。
(参考)調査シリーズNo.263「福利厚生に関する労働者調査」(2026年3月) – 労働政策研究・研修機構
効果は前後の比較に拠点の比較を足して確かめる

導入の後に数字が良くなっても、季節や働き方の変化が原因かもしれません。言えることと言えないことを分けて報告します。拠点ごとに導入の時期をずらせるなら、導入していない拠点と比べると、判断の材料が増えます。
離職や採用への効果は、他の施策の影響も受けます。「社員の○%が使い、食事のそろう日が増えた」のように、確かめた事実を報告します。効果の金額換算の考え方は健康経営のROIの計算の記事で説明しています。
あわせて読みたい健康経営のKPI設定方法|経済産業省ガイドラインに沿った実践例›
Q. 福利厚生で離職が減ったと言えますか?
導入の前後を比べただけでは言い切れません。賃金や業務の変化など他の要因があるからです。導入した拠点としていない拠点を比べ、社員の声とあわせて判断してください。
スポーツ施策と同じ枠で測ると全体が見える
運動の企画や施設の補助も、同じ3段階で測れます。参加率、週の運動日数、健診や体調の自己評価です。厚生労働省の身体活動ガイドの目安を設問に入れると、全国の基準と比べられます。
食事と運動を別々に報告すると、経営からは全体が見えません。1枚の表にまとめ、どの施策をやめて何を続けるかを年に1回決めます。社員の健康施策の全体はウェルビーイングの施策の考え方で説明しています。
(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省
導入の前に決める数字と報告の形

導入の前に、最初の数字(ベースライン)を取ります。後から取ることはできないので、アンケートは導入の前に行います。報告は月の利用、半年の行動、年の結果と分け、担当者の手間を増やしすぎないようにします。
サービスを選ぶときは、販売データをもらえるかも確認します。選び方は置き型社食の選定基準で整理しています。個人の購入履歴を上司が見られないようにすることも決めておきます。
食の福利厚生の効果測定の要点
- 利用、食行動、健康と仕事の3段階で測る
- 計算式と分母を先に決める
- 導入の前に最初の数字を取る
- 前後の比較だけで効果を言い切らない
- スポーツ施策と同じ枠で報告する
まずは対象者の人数を確かめ、導入の前に3つの質問でアンケートを取ってみてください。
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