勤務先の食事補助の調査を再集計すると、29人以下の会社で働く人は食堂より食事手当を求める割合が約2.9倍高く、1,000人以上ではほぼ同じでした。JILPTの2025年の3,000人調査によるものです。正規以外の人は導入と必要の差が特に大きくなっています。食の制度はスポーツ栄養の案内を届ける入口にもなります。
食事補助を入れるか検討していて、社長から「うちの規模で求められているのか」と聞かれた。業者の資料は導入後の満足度が中心で、働く人が本当に求めているのかを確かめる数字が見つかりにくいものです。
この記事では、公的機関の調査を規模、雇用形態、年齢で読み直します。アンケートを新たに行ったものではなく、公表された統計の再集計です。
働く人の3,000人調査で食事手当は必要31.8%に対し導入14.6%
労働政策研究・研修機構(JILPT)は2025年9月、15〜79歳の雇用労働者3,000人にインターネットで調査しました。食事の制度の結果は次のとおりです。これは民間調査会社の登録モニターへの調査で、企業に聞いた導入率ではありません。
| 制度 | ある | ない | わからない | 必要だと思う | ある人の利用 |
|---|---|---|---|---|---|
| 食堂 | 24.4% | 62.9% | 12.7% | 20.9% | 69.2% |
| 食事手当 | 14.6% | 68.1% | 17.3% | 31.8% | 62.9% |
| 外部飲食店の食券等 | 3.5% | 76.0% | 20.5% | 9.7% | 34.6% |
出典:JILPT調査シリーズNo.263。n=3,000。「ある人の利用」は制度があると答えた人のうち利用した経験がある割合です(食堂n=731、食事手当n=439、食券等n=104)。
見落としやすいのが「わからない」です。食事手当で17.3%、食券等で20.5%の人が、勤務先に制度があるかを知りません。制度を入れる前に、今ある制度を伝えるだけで変わる部分があるかもしれません。
(参考)調査シリーズNo.263 本文 – 労働政策研究・研修機構
Q. 食事補助の導入率はどのくらいですか?
JILPTの2025年の調査で、勤務先に食堂がある人は24.4%、食事手当は14.6%、外部飲食店の食券等は3.5%でした。これは働く人の回答で、企業に聞いた導入率ではありません。
小さな会社で働く人ほど食堂より食事手当を求める
必要だと思う割合を勤務先の規模で分けると、違いがはっきりします。29人以下では食事手当が食堂の約2.9倍ですが、1,000人以上ではほぼ同じです(倍率は本記事の計算)。
| 勤務先の規模 | 食堂 | 食事手当 | 食券等 | 手当÷食堂 |
|---|---|---|---|---|
| 29人以下(n=533) | 8.8% | 25.1% | 5.8% | 約2.9倍 |
| 30〜99人(n=496) | 14.9% | 32.7% | 9.3% | 約2.2倍 |
| 100〜299人(n=442) | 22.4% | 35.1% | 9.0% | 約1.6倍 |
| 300〜999人(n=380) | 26.3% | 37.1% | 10.0% | 約1.4倍 |
| 1,000人以上(n=798) | 31.8% | 35.0% | 13.5% | 約1.1倍 |
出典:JILPT調査シリーズNo.263の図表2-1-30、33、36をもとに本記事で計算しました。規模がわからないと答えた351人は除いています。
小さな会社で食堂を求める人が少ないのは、現実的でないと感じているためかもしれません。理由までは調査から分かりません。少人数なら、食堂の代わりに置き型やカード型を比べるのが現実的です。選び方は置き型社食の選定基準で整理しています。
(参考)調査シリーズNo.263 本文 – 労働政策研究・研修機構
Q. 中小企業でも食事補助は求められていますか?
JILPTの調査では、29人以下の会社で働く人の25.1%、30〜99人では32.7%が食事手当を必要だと答えました。29人以下は全体より低いものの、4人に1人の割合です。社内で聞いて確かめてください。
正規以外の人は食事手当の導入と必要の差が大きい
雇用形態で分けると、食事手当の差は正規雇用が15.4ポイント、正規以外が19.4ポイントです(本記事の計算)。正規以外の人の必要は29.1%で、勤務先にあると答えたのは9.7%でした。
| 項目 | 正規雇用(n=1,638) | 正規以外(n=1,362) |
|---|---|---|
| 食堂 ある | 29.9% | 17.7% |
| 食堂 必要 | 24.0% | 17.2% |
| 食事手当 ある | 18.7% | 9.7% |
| 食事手当 必要 | 34.1% | 29.1% |
| 食券等 ある | 5.0% | 1.6% |
| 食券等 必要 | 11.6% | 7.5% |
出典:JILPT調査シリーズNo.263。
パートや契約社員が多い職場では、対象者の範囲を決めるときに、この差を意識します。対象を正社員だけにすると、説明が難しくなることもあります。税の条件は社食と福利厚生で整理しています。
(参考)調査シリーズNo.263 本文 – 労働政策研究・研修機構
(参考)調査シリーズNo.263「福利厚生に関する労働者調査」(2026年3月) – 労働政策研究・研修機構
年齢で見ると食事手当はどの世代でも3割を超える
食堂は20歳以上で年齢が高いほど低くなり、20〜29歳の25.5%に対し60歳以上は17.9%です。一方、食事手当は20歳以上のどの年代も31〜34%でほぼ同じです。19歳以下は20人と少ないので、参考にしません。
| 年齢 | 食堂 | 食事手当 | 食券等 |
|---|---|---|---|
| 20〜29歳(n=513) | 25.5% | 31.6% | 11.5% |
| 30〜39歳(n=526) | 22.1% | 32.3% | 12.0% |
| 40〜49歳(n=566) | 22.1% | 33.6% | 9.9% |
| 50〜59歳(n=543) | 19.3% | 31.1% | 9.6% |
| 60歳以上(n=832) | 17.9% | 31.5% | 7.3% |
出典:JILPT調査シリーズNo.263の図表2-1-31、34、37。必要だと思う割合です。
年代を問わず求められているので、若手向けの施策と決めつけず、全社員に案内します。
(参考)調査シリーズNo.263 本文 – 労働政策研究・研修機構
調査から言えることと言えないことを分ける

この調査は、働く人の意識を知るには役立ちますが、言えないこともあります。社内の説明では、次の線引きを守ります。
- 言える:働く人のうち、どのくらいが必要だと答えたか
- 言えない:導入すれば離職や採用がどれだけ改善するか
- 言えない:置き型社食だけの市場規模や導入率
- 言えない:回答者の属性を日本の働く人全体に広げた正確な割合
置き型社食に限った公的な統計は、今回の確認では見つかりませんでした。制度の動きは食の福利厚生の最新動向で整理しています。
(参考)調査シリーズNo.263「福利厚生に関する労働者調査」(2026年3月) – 労働政策研究・研修機構
Q. 食事補助で離職は減りますか?
この調査からは言えません。必要だと答える人が多いことと、導入して離職が減ることは別の話です。自社で導入の前後の利用率や社員の声を比べて確かめてください。
食の制度はスポーツや運動の案内を届ける入口になる

同じ調査で、運動施設やフィットネスの利用補助を必要だと思う人は10.0%で、食事手当の31.8%の3分の1ほどでした(本記事の計算)。運動の制度は必要とする人が限られますが、食事は多くの人に関わります。
そこで、食事の制度の案内にスポーツ栄養の基本を添え、運動の機会につなげます。スポーツの現場で基本とされる主食、主菜、副菜、乳製品、果物の組み合わせは、誰にでも伝えやすい話題です。流れは本記事の提案です。社員の健康施策の全体はウェルビーイングの施策の考え方で説明しています。
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(参考)アスリートの食事の基本は? – JSC/HPSC Female Sport ナビ
(参考)調査シリーズNo.263「福利厚生に関する労働者調査」(2026年3月) – 労働政策研究・研修機構
勤務先の食事補助の調査の要点
- 食事手当は必要31.8%に対して導入14.6%
- 29人以下では手当が食堂の約2.9倍求められている
- 正規以外の人は導入と必要の差が大きい
- 食事手当は年代を問わず3割を超える
- 導入の効果や置き型社食の市場規模までは言えない
まずは同じ3つの質問(制度を知っているか、必要か、使ったか)を社内で聞いてみてください。
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