ランニングフォーム分析アプリ10選|健康経営担当者向け

ランニングフォーム分析アプリ・デバイス10選の比較イメージ スポーツDX

社内のランニング部や駅伝チームで、ここ数か月ケガの相談が増えていませんか。結論から言うと、フォームの崩れは数値で可視化するとかなり早い段階で見つかります。本記事では、健康経営の現場でも使えるランニングフォーム分析アプリ・デバイスをStryd、COROS POD 2、Runmetrixなど10製品で比較しながら、選び方と社内展開の手順を解説します。

読者として想定しているのは、健康経営スポーツ施策を担当する人事・総務のご担当者や、社内ランニング部・駅伝チームの運営に関わる経営層です。専門用語は都度かんたんに補足しますので、エンジニアではない方でも読み進められます。

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ランニングフォーム分析とは|健康経営担当者が注目する理由

ランニングフォーム分析とは、走っているときの接地の仕方や上下動、腕の振り方などをアプリやセンサーで数値化し、ケガのリスクや効率の良さを客観的に把握する取り組みです。感覚だけに頼らず「どこが崩れているか」を数字で示せるのが最大の特徴です。

くわしい制度・技術動向は スポーツDXとは|3階層構造・事例・課題を解説 でも整理していますが、ランニングフォーム分析はこの「スポーツDX」の中でも個人の身体データを扱う領域にあたります。

企業がここに注目する理由は単純で、社内のランニング施策で参加者がケガをすると、施策自体の継続が難しくなるからです。笹川スポーツ財団の調査によると、20歳以上のジョギング・ランニング実施率は2020年の10.2%をピークに減少が続き、2024年は7.4%、推計実施人口は758万人まで落ち込んでいます。マラソン大会の減少に加えて、一度始めた人が継続できていないことも背景にあると分析されています。

つまり社内施策でも「始めてもらう」以上に「ケガなく続けてもらう」ことが重要になっており、フォームの崩れを早期に見つけられるツールの価値が上がっています。

(参考)ジョギング・ランニング推計実施人口は758万人(スポーツライフ・データ2024) – 笹川スポーツ財団

Q. ランニングフォーム分析アプリはどんな企業に向いていますか?

社内にランニング部や駅伝チームがある企業、健康経営の一環でウォーキング・ランニング施策を行っている企業に向いています。スマホ動画の撮影だけで完結するアプリなら、専用の運動施設がなくても導入できます。

ランニングフォーム分析アプリ・デバイス10選|健康経営で使える製品を比較

ここからは実際に使われている製品・サービスを紹介します。公式サイトまたは公式アプリストアのページで機能を確認できた、ランニングフォーム分析に特化したアプリ・センサー・デバイスのうち、現在も提供が継続している10製品を選定しました。

上位の製品は事業モデルや強みまで踏み込んで紹介し、残りは要点を絞って紹介します。まずは一覧表で全体像をつかんでください。

製品名 提供企業・提供元 主な機能・特徴 対応プラットフォーム
Stryd Stryd, Inc.(米国) シューズ装着型のパワーメーター。出力(ワット)と接地時間などを計測 Garmin・COROS・Suunto・Polar・Apple Watch等と連携
Garmin Running Dynamics Pod Garmin Ltd. 腰装着の小型ポッド。上下動・接地時間・左右バランスを計測 対応Garmin GPSウォッチ
COROS POD 2 COROS Wearables, Inc. シューズ・ウエスト装着可能。ランニングフォームテストで着地タイプを判定 対応COROS GPSウォッチ
Zwift RunPod Zwift, Inc. 低価格な入門フットポッド。速度とケイデンスを計測 Zwiftアプリ(iOS/Android/PC)
Polar Running Index Polar Electro Oy 心拍数とペースからVO2maxを推定するウォッチ標準機能 対応Polar GPSウォッチ+Polar Flow
Runmatic スポーツ科学者チーム開発 スロー動画で接地時間・滞空時間・左右差を科学的に解析 iOS(iPhone/iPad)
Movaia Movaia Tech Ltd.(英国) スマホ動画のアップロードで13項目をAI解析し改善ドリルを提案 Webブラウザ(PC/スマホ)
RunForm AI PacoStudio 側面・背面の2アングル動画から4つのスコアを算出 iOS(iPhone/iPad)
Runmetrix アシックスジャパン株式会社×カシオ計算機株式会社 腰装着の専用センサーとアプリでフォームを評価し練習メニューを提案 専用センサー+スマホアプリ(国内)
AIスポーツトレーナー 個人開発者(Haruto Watanabe氏) 10秒程度の動画をAI解析し改善ドリルを自動生成。多競技対応 iOS/Android(国内)

表1 ランニングフォーム分析アプリ・デバイス10製品の比較(各社公式サイト・公式アプリストアの情報をもとにHuman Soarが2026年9月時点で作成)

Stryd|フットポッド型パワーメーターの定番

Strydはシューズのレースに装着するフットポッド型のセンサーで、走りの出力を「パワー」(ワット数)という単一の指標で可視化します。Garmin・COROS・Suunto・Polar・Apple Watchなど主要なGPSウォッチとBluetoothやANT+で連携でき、既存の時計を買い替えずに導入できるのが強みです。

接地時間や上下動などフォームに関連する指標も取得でき、無料の自社アプリとWebダッシュボードで詳細な分析が可能です。パワーという分かりやすい数字で疲労度や強度を管理したい企業のランニング部と相性が良い製品です。

(参考)Stryd 公式サイト

Garmin Running Dynamics Pod|手持ちのGarminウォッチを拡張する純正ポッド

Garmin Running Dynamics Podは、ウエストバンドの背面に装着する重さ14gの小型ポッドです。上下動・接地時間・左右バランス・ストライド長といった指標を計測し、対応するGarminのGPSウォッチにリアルタイムで表示します。

電池寿命は約1年と長く、装着の手間さえクリアすればメンテナンスの負担が小さいのが特徴です。すでに社員にGarminウォッチが浸透している企業であれば、追加投資を最小限に抑えて導入できます。

(参考)Running Dynamics Pod – Garmin

COROS POD 2|フォームテストで着地タイプを判定

COROS POD 2はシューズまたはウエストに装着できる5.6gの軽量センサーです。対応するCOROSのGPSウォッチと連携し、「ランニングフォームテスト」を実行すると、接地が地面に近いGround Runnerか、滞空時間が長いAerial Runnerかを判定してくれます。

接地時間や左右バランスといった高度な指標も継続的に記録できるため、個人の変化を追いかけたい健康経営担当者にも扱いやすい製品です。

あわせて読みたいスポーツ映像分析アプリ10選|コーチング精度を上げる選び方

(参考)COROS POD 2 – COROS

Zwift RunPod|低価格で始められる入門フットポッド

Zwift RunPodは、もともとMilestonePodという製品をZwiftが買収して発売した、比較的安価な入門用フットポッドです。速度とケイデンス(歩数)を計測し、トレッドミルでのランニングをZwiftアプリの中に反映させます。

フォームの詳細な分析よりも、まずは走行データを可視化してモチベーションを保ちたい社内ランニング部の入口として使いやすい製品です。

(参考)The Zwift RunPod – Zwift

Polar Running Index|追加投資ゼロで走力を可視化

Polar Running Indexは、Polar製のGPSウォッチに標準搭載されている機能です。走行中の心拍数とペースから最大酸素摂取量(VO2max)を推定し、走のトレーニング効率をスコアとして示します。

専用センサーの追加購入が不要で、すでにPolarウォッチを使っている社員がいれば今日から使えます。Polar Flowアプリでスコアの推移を追えるので、健康経営の年次報告に使う推移データとしても扱いやすいです。

(参考)Running Index – Polar

Runmatic|スロー動画で接地時間を科学的に計測

Runmaticは、iPhoneのスローモーション撮影機能を使って走行・スプリントの技術を分析するアプリです。接地時間や滞空時間、ストライド頻度、左右の非対称性などを、学術誌Journal of Applied Biomechanicsで妥当性が検証された計算式で解析します。

専用センサーを買わずに科学的な裏付けのある分析をしたい場合の選択肢になります。

(参考)Runmatic – App Store

Movaia|AIが13項目を採点し改善ドリルまで提案

Movaiaは、スマホで撮影した走行動画をWeb上にアップロードするだけで、ケイデンスや接地時間、上下動、骨盤の傾きなど13項目のバイオメカニクス指標をAIが解析するサービスです。専用のセンサーや実験室は不要です。

解析結果から優先度の高い3項目「Top 3」を提示し、30日間の改善ドリルプログラムまで自動生成してくれるのが特徴です。無料プランもあるため、まず数名で試してみたい場合に向いています。

あわせて読みたいトレーニング負荷を測るデバイス徹底比較

(参考)Movaia 公式サイト

RunForm AI|側面と背面の2アングルでスコア化

RunForm AIは、側面と背面の2つのアングルから撮影した走行動画をAIが解析するアプリです。ランニングエコノミー・着地メカニクス・体幹の安定性・左右対称性という4つのスコアを算出し、コーチング用のフィードバックを添えてくれます。

現時点では英語のみの対応ですが、動画を送るだけで完結する手軽さは他の動画型アプリと共通しています。

(参考)RunForm AI 公式サイト

Runmetrix|アシックス×カシオの国産フォーム分析

Runmetrixは、アシックスジャパン株式会社とカシオ計算機株式会社が共同開発した国内発のサービスです。腰に装着する約42gの専用モーションセンサー(IPX7相当の防水)とスマホアプリを組み合わせて、ランニングフォームを分析します。

アシックスのスポーツ工学の知見をもとにフォームを評価し、改善のための「からだづくりプログラム」や、個人の目的・レベルに合わせた練習メニューを自動作成してくれます。日本語のサポート体制が整っている点は、国内企業が導入する際の安心材料になります。

(参考)Runmetrix – CASIO

AIスポーツトレーナー|10秒動画で陸上フォームを診断

AIスポーツトレーナーは、個人開発者が提供する国産のアプリで、スマホで撮影した10秒程度の動画をAIが解析し、膝の上がり方や腕振り、接地パターンなどランニング・陸上競技のフォームを診断します。課題に応じた改善ドリルを自動生成してくれるのも特徴です。

無料プランから始められ、陸上以外にも野球やサッカーなど複数競技に対応しているため、社内に複数のスポーツ部がある企業でも扱いやすいアプリです。

(参考)AIスポーツトレーナー – App Store

導入前に製品を見極める2つの軸|精度と手軽さで選ぶ分類

10製品を並べてみると、実は「分析の深さ」と「導入の手軽さ」という2つの軸で整理できます。この軸を先に理解しておくと、自社の予算や運用体制に合った製品を選びやすくなります。

ランニングフォーム分析アプリ・デバイスの分類図|分析の深さと導入の手軽さの2軸

手軽さを優先するなら、スマホ動画だけで完結するMovaia、RunForm AI、AIスポーツトレーナー、Runmaticのような動画解析型が入り口になります。すでにGPSウォッチが社員に浸透しているなら、Polar Running Indexのような追加コストがほぼゼロの機能を先に試すのも合理的です。

より精密なバイオメカニクスデータを継続的に記録したい場合は、COROS POD 2やRunmetrixのような専用センサー型が向いています。Stryd、Garmin Running Dynamics Pod、Zwift RunPodはパワーや速度・ケイデンスといった走行データの土台をつくる位置づけで、フォームそのものより負荷管理を重視する企業に適しています。

Q. センサー型とアプリ型はどちらを選ぶべきですか?

まずは追加投資が不要なアプリ型で始め、継続利用者が増えた段階でセンサー型に投資する順番がおすすめです。初期費用を抑えながら効果を検証できます。

健康経営スポーツ施策にどう活かすか|社内ランニング部・駅伝の実例

ランニングフォーム分析は、健康経営優良法人の認定項目そのものではありませんが、社内スポーツ施策の継続率やケガによる離脱の防止に直結します。フォームの変化を数値で示せると、参加者自身が「続けるほど改善している」実感を持ちやすくなるのも利点です。

社内ランニング部や駅伝チームを運営している企業であれば、まず希望者にアプリ型のツールを配布し、月1回のフォームチェック会を設けるだけでも効果測定の土台ができます。ウェアラブル端末そのものの選び方は ウェアラブル10社比較|健康経営に効く選び方 でも詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。

産業医やトレーナーと連携できる体制がある企業では、フォーム分析の結果を個別面談の材料として使い、ケガのリスクが高い社員に早めに声をかける運用も広がっています。

Q. ランニングフォーム分析は健康経営の評価にどう関係しますか?

直接の認定項目ではありませんが、ケガによる休職・離脱の防止や運動継続率の向上は、健康経営の取り組みが重視する成果指標の改善につながります。フォーム分析データを社内報告に活用する企業も増えています。

導入を成功させる3ステップ|PoCから全社展開まで

製品を選んだら、いきなり全社に配布するのではなく、段階を踏んで導入すると失敗を防げます。ここでは3つのステップに分けて、それぞれで押さえておきたいポイントを説明します。

健康経営施策にランニングフォーム分析を導入する3ステップのロードマップ図

STEP1 小規模PoC|希望者5〜10名でツールの負担感を検証する

いきなり全社展開すると、操作方法の問い合わせ対応やデータの見方の説明に時間を取られてしまいます。まずは希望者5〜10名程度でアプリ型のツールを試し、撮影の手間や結果の分かりやすさといった運用面の負担感を確認しましょう。

このタイミングで 心拍・自律神経(HRV)を測るアプリ・デバイス のような他の計測ツールと組み合わせるかどうかも検討しておくと、次のステップで比較がしやすくなります。

STEP2 効果測定|フォームの数値とケガの発生率を比較する

PoC参加者について、導入前後でフォームの数値やケガの発生率、継続率を記録して比較します。ここで数字が改善していれば、投資対効果を経営層に説明する材料になります。

逆に数値に変化が出ない場合は、製品の相性よりも運用方法(フィードバックの頻度やフォロー体制)に課題がある可能性が高いため、先に運用面を見直すことをおすすめします。

STEP3 全社展開|社内ランニング部・駅伝チームへ広げる

効果が確認できたら、社内ランニング部や駅伝チームへ展開します。産業医やトレーナーと連携できる体制を整えたうえで展開すると、ケガのリスクが高い社員への早期フォローがしやすくなります。

全社展開の段階では、全員に同じ製品を強制するのではなく、動画型・センサー型それぞれの選択肢を残しておくと、参加者の負担感を抑えながら継続率を高められます。

Q. 導入効果はどのくらいの期間で確認できますか?

アプリ型であれば1〜2か月のPoCでも、フォームの数値変化や参加者の継続率は確認できます。ケガの発生率など長期的な指標は、最低でも半年程度のデータ収集をおすすめします。

まとめ|10製品の比較から始める健康経営スポーツ施策の強化

ランニングフォーム分析アプリ・デバイスは、動画だけで完結する手軽な製品から専用センサーで精密に計測する製品まで幅が広く、健康経営スポーツ施策に合わせて選べます。最後に本記事の要点を振り返ります。

  • ジョギング・ランニングの実施率は低下傾向にあり、社内施策では「継続してもらう」工夫がより重要になっている
  • Stryd、Garmin Running Dynamics Pod、COROS POD 2、Zwift RunPod、Polar Running Index、Runmatic、Movaia、RunForm AI、Runmetrix、AIスポーツトレーナーの10製品を公式情報をもとに比較した
  • 製品は「分析の深さ」と「導入の手軽さ」の2軸で整理でき、まずは動画型のアプリから試すのが失敗しにくい
  • 導入は小規模PoC→効果測定→全社展開の3ステップで進めると、投資判断がしやすくなる
  • 産業医やトレーナーと連携できる体制があれば、フォーム分析データを個別フォローの材料として活用できる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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