アスリート採用企業13社|アスナビ実績で見る採用メリット

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「アスリート採用に興味はあるが、実際にどんな企業がどれくらい採用しているのか分からない」——採用担当者からよく聞く悩みです。求人サイトで「アスリート採用」と検索しても、事例は数社しか出てこず、判断材料に乏しいのが実情です。結論から言うと、JOC(日本オリンピック委員会)の就職支援制度「アスナビ」の公開実績を独自に集計すると、2021年4月〜2026年7月の入社実績だけで127件、のべ13社が複数回にわたって選手を受け入れています。本記事では、この一次データをもとに採用実績の多い企業13社を紹介し、企業がアスリート採用を続ける理由と、採用担当者が押さえておくべき実務ポイントを解説します。

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  1. アスリート採用とは|検討中の採用担当者が最初に知るべきこと
  2. JOCアスナビ実績を独自集計|アスリート採用企業13社の顔ぶれ
    1. 城北信用金庫|フェンシング・スキーなど幅広い競技を継続受け入れ
    2. 株式会社INPEX|資源開発大手が支えるウィンタースポーツ選手
    3. 株式会社長谷工コーポレーション|マンション建設最大手が示す多競技受け入れ
    4. オリエンタル酵母工業株式会社|食品原料メーカーが続けるフェンシング選手支援
    5. 東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社|金融グループの水泳・スケート選手支援
    6. 新東工業株式会社|産業機械メーカーが支える多競技選手
    7. 株式会社光和|継続的な受け入れ実績を持つ企業
    8. 全日本空輸株式会社|航空会社が続けるスキー・陸上選手の採用
    9. 日本特殊陶業株式会社|アーチェリー選手を継続支援するメーカー
    10. 株式会社小泉|住宅設備商社が支える陸上・スキー選手
    11. トーヨーメタル株式会社|金属加工メーカーのビーチバレー選手支援
    12. ハウスコム株式会社|賃貸仲介大手が続けるスキー・バレー選手の採用
    13. 日本通運株式会社|物流大手が支えるショートトラック・アイスホッケー選手
    14. 株式会社オリエントコーポレーション|信販大手が続ける陸上選手の採用
  3. なぜ企業はアスリート採用を続けるのか|4つの活用タイプ
    1. ①広告塔型|大会での活躍を企業の認知拡大につなげる
    2. ②デュアルキャリア型|競技と業務を両立させる勤務形態を整備する
    3. ③即戦力人材型|競技で培った行動特性を業務に転用する
    4. ④セカンドキャリア支援型|引退後の生活基盤づくりを支える
  4. アスリート採用がもたらす3つの企業メリット
    1. 目標達成に向けた行動特性が組織文化に波及する
    2. 採用ブランディングとしての対外的な発信力
    3. 地域・業界内での関係構築につながる
  5. 採用担当者が押さえるべき3つの実務ポイント
    1. 面談で見極めるべきは競技実績より「両立への意思」
    2. 雇用形態は柔軟な独自区分で設計する
    3. 競技との両立を支える体制を配属先ごとに整える
  6. アスリート採用を始めるための3ステップ
    1. ステップ①|採用目的の言語化
    2. ステップ②|JOCアスナビ等の窓口活用
    3. ステップ③|受け入れ体制の整備
  7. まとめ|自社に合ったアスリート採用の型を見極める

アスリート採用とは|検討中の採用担当者が最初に知るべきこと

アスリート採用とは、競技を継続する現役選手や、競技引退後のセカンドキャリアを歩む元アスリートを、企業が正社員・契約社員として雇用する取り組みを指します。「広告塔として大会に出てもらう」というイメージが先行しがちですが、実際には勤務時間を調整しながら競技と業務を両立する「デュアルキャリア型」の採用が主流です。

JOCが運営する「アスナビ(現役アスリート就職支援制度)」は、企業とアスリートをマッチングする無料の仲介制度です。2010年の開始以来、企業側の登録・面談・採用までを一貫して支援しており、実際の入社実績が毎年JOC公式サイトで更新・公開されています。この公開データこそが、どの企業がどれだけ継続的にアスリートを受け入れているかを客観的に把握できる数少ない一次情報です。

JOCアスナビ実績を独自集計|アスリート採用企業13社の顔ぶれ

JOC公式サイト「就職決定・内定選手」ページに掲載されている2021年4月1日入社分から2026年7月1日入社分までの実績(オリンピックを目指すアスリート、n=127件)を独自に集計し、採用人数の多い順に13社を抽出しました。信用金庫や総合建設、資源開発、金融、運輸まで業種は幅広く、特定の業界に偏らず全国の企業がアスリート採用に取り組んでいることが分かります。

順位 企業名 アスナビ採用人数(2021/4〜2026/7)
1 城北信用金庫 6人
2 株式会社INPEX 5人
3 株式会社長谷工コーポレーション 4人
3 オリエンタル酵母工業株式会社 4人
5 東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 3人
5 新東工業株式会社 3人
5 株式会社光和 3人
5 全日本空輸株式会社 3人
5 日本特殊陶業株式会社 3人
5 株式会社小泉 3人
5 トーヨーメタル株式会社 3人
5 ハウスコム株式会社 3人
5 日本通運株式会社 3人
5 株式会社オリエントコーポレーション 3人

※JOC公式サイト「就職決定・内定選手」(オリンピックを目指すアスリート)に掲載された2021年4月1日〜2026年7月1日入社分(n=127件)をHuman Soarが独自に集計・ランキング化。同数の場合は五十音順で表示。

城北信用金庫|フェンシング・スキーなど幅広い競技を継続受け入れ

東京都北部を地盤とする信用金庫で、今回の集計期間中に6人と最多の受け入れ実績があります。フェンシング、スキー、陸上競技、アーチェリーなど競技の幅が広く、特定の競技に絞らず継続的に選手を採用している点が特徴です。地域金融機関としての採用ブランディングと、選手が地元で長く働き続けられる環境づくりを両立させている好例といえます。

株式会社INPEX|資源開発大手が支えるウィンタースポーツ選手

国内最大手の石油・天然ガス開発会社であるINPEXは、スキーやトライアスロン、スポーツクライミングなど、五輪でのメダル獲得も期待される競技の選手を継続的に採用しています。2024年・2026年ともに複数名を同時に採用しており、単発ではなく制度として定着させている点が読み取れます。

株式会社長谷工コーポレーション|マンション建設最大手が示す多競技受け入れ

マンション建設で国内最大手の総合建設・不動産会社です。フェンシング、アイスホッケー、アーチェリーの選手を複数年にわたり採用しており、建設業界でも珍しい継続的なアスリート採用の事例です。

オリエンタル酵母工業株式会社|食品原料メーカーが続けるフェンシング選手支援

食品原料や実験動物用飼料などを手がけるメーカーで、フェンシング選手を毎年のように採用してきました。特定の競技団体と長期的な関係を築くことで、採用のミスマッチを減らしている事例です。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社|金融グループの水泳・スケート選手支援

東海東京証券を中核とする金融グループです。水泳やスケートの選手を継続的に採用しており、金融業界でもアスリート採用が定着していることを示しています。

新東工業株式会社|産業機械メーカーが支える多競技選手

鋳造機械や環境装置を手がける産業機械メーカーです。水泳、カーリング、スポーツクライミングなど競技の幅が広く、製造業でもアスリート採用の裾野が広がっていることが分かります。

株式会社光和|継続的な受け入れ実績を持つ企業

体操・トランポリンなどの選手を複数年にわたり採用してきた実績があります。特定の企業規模や業種に限らず、継続的な受け入れ体制を持つ企業がアスリート採用を制度化しやすいことを示す一例です。

全日本空輸株式会社|航空会社が続けるスキー・陸上選手の採用

ANAグループとして知られる航空会社で、スキー、陸上競技、水泳など幅広い競技の選手を毎年のように採用しています。空港業務や接客部門とアスリートの規律・体力を組み合わせる採用が定着しています。

日本特殊陶業株式会社|アーチェリー選手を継続支援するメーカー

自動車部品などを手がける大手メーカーで、アーチェリー選手を複数年採用しています。技術力を強みとする製造業でも、競技と両立できる勤務環境の整備が進んでいることがうかがえます。

株式会社小泉|住宅設備商社が支える陸上・スキー選手

住宅設備を扱う総合商社で、陸上競技やスキーの選手を継続的に採用しています。商社系企業でもアスリート採用が広がっている事例です。

トーヨーメタル株式会社|金属加工メーカーのビーチバレー選手支援

銅製品やろう付け材料を手がける金属加工メーカーです。ビーチバレーボールの選手を複数年連続で採用しており、特定競技との継続的な関係構築が見られます。

ハウスコム株式会社|賃貸仲介大手が続けるスキー・バレー選手の採用

賃貸仲介大手として知られる不動産会社です。スキーやビーチバレーボールの選手を複数年採用しており、接客業とアスリートの相性の良さを裏付けています。

日本通運株式会社|物流大手が支えるショートトラック・アイスホッケー選手

物流大手の日本通運は、ショートトラックやアイスホッケー、ビーチバレーボールの選手を継続的に採用しています。全国に拠点を持つ企業ならではの勤務地調整のしやすさが、選手の受け入れやすさにつながっていると考えられます。

株式会社オリエントコーポレーション|信販大手が続ける陸上選手の採用

信販・クレジットカード事業大手で、陸上競技の選手を複数年にわたり採用しています。金融関連業界でも継続的なアスリート採用の枠組みが機能している例です。

Q. アスナビを使ったアスリート採用に費用はかかりますか?

JOCへの登録・マッチング仲介自体は無料です。ただし採用後の給与・社会保険料、競技活動への配慮による勤務調整コストは企業側の負担になります。

なぜ企業はアスリート採用を続けるのか|4つの活用タイプ

13社の顔ぶれを見ると、企業がアスリートに何を期待しているかは一様ではありません。JOCアスナビの公開情報とHuman Soarの分析をもとに、企業がアスリートを採用する目的を4つの類型に整理しました。自社がどのタイプを目指すのかを決めてから制度設計に入ると、採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。

①広告塔型大会での活躍を通じて企業名の露出・認知拡大を狙う。広報部門やCM起用と連動させるケースが多い。
②デュアルキャリア型競技と業務を両立させる勤務形態を整備し、選手としての活動と会社員としてのキャリアを並走させる。今回の13社の多くがこの型に該当する。
③即戦力人材型競技引退後、目標達成力や規律性を評価し、営業・管理職などの即戦力として採用する。新卒・中途を問わない。
④セカンドキャリア支援型引退後の生活基盤づくりを社会貢献として位置づけ、地域金融機関などが担い手になることが多い。

①広告塔型|大会での活躍を企業の認知拡大につなげる

選手が大会で結果を出すことを通じて、企業名・ブランドの露出を高めることを主目的とするタイプです。広報部門と連携し、SNSやCM、社内報での発信と組み合わせるケースが多く見られます。ただし競技成績に採用効果が左右されやすいという側面もあります。

②デュアルキャリア型|競技と業務を両立させる勤務形態を整備する

練習時間や遠征日程に配慮した勤務形態を用意し、選手としての活動と会社員としてのキャリアを並走させるタイプです。今回のランキング上位企業の多くがこの型に該当し、フェンシングや水泳など個人競技の選手を中心に採用されています。

③即戦力人材型|競技で培った行動特性を業務に転用する

競技引退後、目標達成に向けた計画力や規律性、プレッシャー下での判断力を評価し、営業職や管理職の即戦力として採用するタイプです。新卒・中途を問わず、体育会系出身者の採用全般にも共通する考え方です。

④セカンドキャリア支援型|引退後の生活基盤づくりを支える

引退後のアスリートが安定した生活基盤を築けるよう支援すること自体を目的とするタイプです。地域に根ざした信用金庫や地方企業が担い手になることが多く、地域社会への貢献という側面が強く出ます。

アスリート採用がもたらす3つの企業メリット

アスリート採用は単なる社会貢献にとどまらず、企業経営に具体的なメリットをもたらします。ここでは13社の実績分析から見えてきた3つの効果を整理します。

目標達成に向けた行動特性が組織文化に波及する

アスリートは日々の練習計画を立て、数値目標に向けて継続的に取り組む習慣を持っています。こうした行動特性が配属先のチームに波及し、目標管理の意識が周囲にも広がるという声が採用企業から多く聞かれます。単に「本人ができる」だけでなく、チーム全体の働き方に良い影響を与える点が評価されています。

採用ブランディングとしての対外的な発信力

今回上位に入った企業の多くは、自社サイトや採用ページでアスリート採用の実績を公開しています。学生や中途求職者に対して「多様な人材を受け入れる企業」という印象を与えられるため、採用広報の一環としても機能しています。

地域・業界内での関係構築につながる

信用金庫や地域に根ざした企業がランキング上位に入っていることからも分かるように、アスリート採用は地域社会や競技団体との関係を深める手段にもなります。地元出身選手を採用することで、地域住民や取引先からの好意的な評価につながるケースもあります。

Q. アスリート採用はどんな業種の企業でも可能ですか?

可能です。今回のランキングでも金融・建設・製造・運輸・不動産と業種は多岐にわたります。重要なのは業種ではなく、練習時間や遠征に配慮した勤務形態を用意できるかどうかです。

あわせて読みたいスポーツ採用とは|企業メリット・リスク・求人相場を解説

採用担当者が押さえるべき3つの実務ポイント

アスリート採用を検討する際、採用担当者が事前に詰めておくべき実務上の論点は多岐にわたります。ここでは面談・雇用形態・両立支援の3点に絞って解説します。

面談で見極めるべきは競技実績より「両立への意思」

採用面談では、競技実績そのものよりも「入社後も競技を続けたいのか、引退して業務に専念したいのか」という本人の意向を丁寧に確認することが重要です。高パフォーマー人材としてのアスリート採用|転職市場の実態でも解説している通り、意向が曖昧なまま採用すると、練習時間の確保をめぐって現場との摩擦が生じやすくなります。

雇用形態は柔軟な独自区分で設計する

現役選手を採用する企業の多くは、通常の勤務時間を短縮したり、遠征時の休暇制度を別途設けたりする独自の雇用区分を用意しています。就業規則に競技活動への配慮条項を明記しておくことで、現場マネージャーが個別判断に迷わずに済みます。

競技との両立を支える体制を配属先ごとに整える

配属先の上長やチームメンバーに対して、採用時点でアスリート採用の目的と勤務条件を共有しておくことが欠かせません。情報共有が不十分だと、練習や大会出場のたびに周囲の理解を得づらくなり、選手側の負担が増えてしまいます。

アスリート採用を始めるための3ステップ

実際にアスリート採用を検討する企業が、何から着手すればよいのかを3つのステップに整理しました。

1採用目的の言語化:広告塔・デュアルキャリア・即戦力・セカンドキャリア支援のどれを目指すかを社内で合意する
2JOCアスナビ等の窓口活用:JOCの相談窓口に企業登録し、希望する競技・雇用条件を伝えてマッチングを依頼する
3受け入れ体制の整備:配属先への事前説明、勤務形態・休暇制度の整備、社内周知を面談前に完了させる

ステップ①|採用目的の言語化

まず経営層と人事部門で、なぜアスリートを採用するのかという目的を明文化します。目的が定まらないまま採用すると、配属先とのミスマッチや「なぜこの人だけ特別扱いなのか」という社内の不公平感につながりかねません。

ステップ②|JOCアスナビ等の窓口活用

JOCのアスナビでは、企業側が希望する職種・勤務条件を登録すると、条件に合う選手候補を紹介してもらえます。競技団体経由での紹介や、静岡県のように自治体が運営する雇用支援窓口を活用する方法もあります。

ステップ③|受け入れ体制の整備

面談・内定の前に、配属予定部署への説明会や就業規則の整備を済ませておくことが望ましいです。元アスリート採用でタレントパイプラインを強化する企業戦略で紹介している通り、受け入れ体制が整っている企業ほど、採用後の定着率が高い傾向にあります。

Q. 中小企業でもアスリート採用は現実的ですか?

可能です。今回のランキングにも中堅・非上場企業が複数含まれており、企業規模よりも勤務調整の柔軟性と受け入れ体制の準備度が採用成功のカギになります。

Q. アスナビ以外にアスリートを採用する方法はありますか?

競技団体への直接相談、静岡県などの自治体による雇用支援窓口、民間の人材紹介サービスなど複数の経路があります。自社が求める競技・人物像に応じて窓口を使い分けるとよいでしょう。

まとめ|自社に合ったアスリート採用の型を見極める

  • JOCアスナビの公開実績(2021年4月〜2026年7月、n=127件)を独自集計すると、城北信用金庫・INPEX・長谷工コーポレーションなど13社が継続的にアスリートを採用している
  • 企業がアスリートを採用する目的は「広告塔型」「デュアルキャリア型」「即戦力型」「セカンドキャリア支援型」の4つに整理できる
  • アスリート採用のメリットは、目標達成力の組織への波及、採用ブランディング、地域・業界内での関係構築の3点
  • 採用担当者は競技実績よりも「両立への意思」を面談で確認し、柔軟な雇用形態と受け入れ体制を事前に整えることが成功のカギ
  • 企業規模に関わらず、JOCアスナビや自治体窓口を使えば中小企業でもアスリート採用は現実的な選択肢になる

(参考)就職決定・内定選手(アスナビ) – 日本オリンピック委員会

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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