ランニングクルーとは|運営する企業の実例と関わり方を図解

ランニングクルーとは|運営する企業の実例と関わり方を図解 スポーツウェルビーイング

平日の夜、店の前の歩道におそろいのシャツを着た30人ほどが集まり、掛け声とともに走り出していく。隣の商業施設も、近くのスポーツ用品店も、同じような集まりを始めたと聞く。販促の会議で「うちもランニングクルーを作れないか」と声が上がっても、何から決めればよいのか、誰に断ればよいのかが分からず、話が止まりがちです。

ランニングクルーは、決まった場所と時間に集まって一緒に走る仲間の集まりで、国内ではスポーツブランド、スポーツ用品の小売店、商業施設や不動産会社、ホテルが運営に乗り出しています。一方で、公的な統計では走る人の数そのものは増えていません。企業の関わり方は、コミュニティの運営、発着点の提供、協賛、社内のランクラブの4つに分かれます。

この記事では、ランクラブを運営する企業10社の公式発表と、スポーツ庁・笹川スポーツ財団・韓国政府の統計、皇居周辺の団体利用の決まりをもとに、定義、国内の実例、数字、関わり方、集団で走る前の確認先を整理します。資料はいずれも2026年10月11日に原典を確認しました。

  1. ランニングクルーは決まった場所に集まって走る仲間の集まり
    1. 企業の公式発表はランクラブやランニングコミュニティと呼ぶ
    2. 記録を競う陸上クラブより交流とスタイルに重心を置く
    3. ランニングコアは走るための服を普段にも着る流れを指す
  2. 国内の実例は運営する企業で4つに分かれる
    1. スポーツブランドは直営店を拠点に自社の靴を試す場をつくる
    2. スポーツ用品の小売店はグループランを店の機能に加えた
    3. 商業施設と不動産会社は働く人と公園を軸に会員を集める
    4. ホテルと飲食店は走った後の時間までを1回の催しにする
  3. 走る人の数は公的な統計で減少か横ばいが続く
    1. 笹川スポーツ財団の推計は758万人で2020年から約300万人減った
    2. スポーツ庁の調査では実施率が10%台で横ばい
    3. 韓国は主な種目に走ることを挙げる人が4.8%から7.7%に増えた
  4. 企業の関わり方は持ち物で4つに分かれる
    1. 製品を持つ企業はコミュニティを自前で運営する
    2. 店舗や施設を持つ企業は発着点を提供する
    3. 資金を出す企業は大会やコミュニティに協賛する
    4. 従業員を抱える企業は社内のランクラブを支える
  5. 集団で公道を走る前に人数と場所で確認先を決める
    1. 道路交通法では歩行者の通行と道路使用の許可が関わる
    2. 皇居周辺は20名以上の団体に手続きを求めている
    3. ソウル市は一列か小グループで走るよう呼びかけた
  6. 企画書を書く前に決めておく3つのこと
    1. 走る人が減る中で来てほしい相手を1つに絞る
    2. 参加費と条件は無料から年会費までの型から選ぶ
    3. 続ける仕組みと数える項目を初回の前に決める
  7. まとめ|走る人の数より集まる場の設計で決まる

ランニングクルーは決まった場所に集まって走る仲間の集まり

ランニングクルーの3つの要素の図解。運動、交流、ファッションが重なるところに、一緒に走る集まりであるランニングクルーがある

ランニングクルーは、決まった場所と時間に集まり、一緒に走ることを楽しむグループを指す呼び名です。法律や公的な統計に定義は無く、企業の公式発表では「ランクラブ」「ランニングコミュニティ」と呼ばれることのほうが多くなっています。上の図は、公式発表に出てくる説明を運動・交流・ファッションの3つに分けたもので、分け方は本記事の整理です。

企業の公式発表はランクラブやランニングコミュニティと呼ぶ

国内の企業が自社の集まりを何と呼んでいるかを公式発表で見ると、呼び名は1つに決まっていません。アディダス ジャパンは「グローバル規格のランニングコミュニティ」、HOKAを展開するDeckers Japanは「公式ランクラブ」、アルペンは「ランコミュニティブランド」と書いています。

「ランニングクルー」は、個人や店が始めたグループが名乗る場面で多く使われる言葉です。韓国のソウル市は発表文の中で「러닝크루(달리기 동호회)」、つまりランニングクルー(走る同好会)と括弧で説明を添えています。指しているものは同じで、決まった場所に集まって一緒に走る集まりだと読めば足ります。

(参考)<9月17日(土)日本初上陸>adidas公式グローバルランニングコミュニティ「adidas Runners of Tokyo」が発足(2016年8月18日) – アディダス ジャパン株式会社

(参考)HOKA国内最大の直営ストア「HOKA Harajuku」が神宮前交差点に2月22日(木)よりオープン!(2024年2月9日) – Deckers Japan合同会社

(参考)ランナーが生まれ、集まり、成長する。アルペンが始動させるランコミュニティブランド「ALPEN RUN」1号店が4月24日(金)都立明治公園内にオープン。(2026年3月31日) – 株式会社アルペン

(参考)배려하고 동행하는 러닝 문화, 서울시가 앞장선다(2024年11月12日) – ソウル特別市 観光体育局

記録を競う陸上クラブより交流とスタイルに重心を置く

陸上クラブとランニングクルーを分ける公的な定義はありません。公式発表で確認できる最も近い説明は、アディダス ジャパンが2026年1月16日の発表に書いた「ライフスタイルランニング」です。同社は、ランニングを「競技や記録のためだけでなく、日常の一部として楽しむ」流れが広がっているとし、「ファッションやカルチャーと融合し、走ることを通じて仲間とつながり、自分らしさを表現する」スタイルだと説明しました。

記録を伸ばす練習会との違いは、この3点に表れます。走ること自体は同じでも、走った後の時間や着るものまでを含めて楽しむ点が、企業にとっての接点になります。なお、同社は2016年に「adidas Runners of Tokyo」を始めた際、自社のプログラムを「気軽に」参加できる無料のコミュニティとは一線を画す本格的な内容だと説明していて、ブランドのランクラブにも記録志向のものはあります。

(参考)アディダスからライフスタイルランニングカルチャーに向けたランニングシューズ「EVO SL WOVEN」新カラーと新ランニングアパレルコレクション「DAY//Ø」を発売開始(2026年1月16日) – アディダス ジャパン株式会社

ランニングコアは走るための服を普段にも着る流れを指す

ランニングコアは、走るための靴や服を、機能と見た目の両方で選び、普段着としても着る流れを指すファッション業界の呼び名です。公的な定義は無く、今回確認した企業の公式発表にもこの語は出てきませんでした。ファッション媒体のFASHIONSNAPは2026年3月2日の寄稿記事で、韓国の動きを「いわば“ランニングコア(Running+Core)”と呼べる潮流」と紹介し、「走るときだけでなく、日常のワードローブとしても成立する点」が魅力だと書いています。

ランニングクルーが「人の集まり」を指すのに対し、ランニングコアは「着こなしの流れ」を指します。2つは別の言葉ですが、集まって走る場が着るものを見せ合う場にもなるため、一緒に語られることが多くなっています。アパレルや小売の企業にとっては、クルーへの関わりが商品の見せ方につながる理由がここにあります。

(参考)韓国のZ世代が熱狂する“ランニングコア” トレンドの背景を探る(2026年3月2日) – FASHIONSNAP

Q. ランニングクルーとは何ですか?

決まった場所と時間に集まり、一緒に走ることを楽しむグループを指す呼び名です。法律や公的な統計に定義は無く、企業の公式発表では「ランクラブ」「ランニングコミュニティ」と呼ばれることも多くあります。国内ではスポーツブランド、スポーツ用品の小売店、商業施設、ホテルなどが運営しています。

国内の実例は運営する企業で4つに分かれる

国内で公式発表を確認できたランクラブやグループランは、運営する企業の種類で4つに分けられます。スポーツブランド、スポーツ用品の小売店、商業施設・不動産会社、ホテル・飲食店です。運営する企業が変わると、集まる場所と参加の条件が変わります。4つの分け方は本記事の整理です。

運営する企業 公式発表で確認できた例 発表された参加の条件
スポーツブランド adidas Runners of Tokyo/HOKA RUN CLUB/New Balance Run Club Tokyo/ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI 直営店が拠点。大会に向けた期間制では参加費18,200円(税込・大会参加費込み)
スポーツ用品の小売店 ALPEN RUN MEIJI PARK/OSHMAN’S RUN&FITNESS KYOTO/ムラサキスポーツ 大丸心斎橋店 店を発着点にしたグループラン。ランニングステーションを併設する店もある
商業施設・不動産会社 Minato Mirai Run Club/Runner’s Park Tokyo 会員登録制。無料会員0円、有料会員は年24,000円の例
ホテル・飲食店 runWESTIN with On×横浜ビール 1回ごとの申込み。参加費3,500円(税込)・最大30名の例

国内のランクラブ・グループランの実例(各社の公式発表をもとに作成。金額と条件は発表時点のもの。出典:各社のプレスリリース 2016年8月〜2026年9月)

スポーツブランドは直営店を拠点に自社の靴を試す場をつくる

スポーツブランドのランクラブは、直営店を拠点にし、自社の靴を履いて走ってもらう場として設計されています。アディダス ジャパンは2016年9月17日に「adidas Runners of Tokyo」を始め、渋谷の直営店(毎週土曜・朝)など3拠点で週3日以上の活動を予定すると発表しました。2018年の発表では、メンバー数が2,000人を超えたとしています。

HOKAは2024年2月22日に開いた「HOKA Harajuku」の2階を「HOKA RUN CLUB」のコミュニティスペースにし、最新の靴の試走とランセッションを定期的に行うとしました。アシックスジャパンは2023年8月の発表で、丸の内の店舗でコーチによるランニングイベントを連日開き、平日は参加費無料だと案内しています。

大会と組み合わせる形もあります。ニューバランスジャパンは、オフィシャルパートナーを務める東京レガシーハーフマラソン2026に向け、約10週間の「New Balance Run Club Tokyo」を募集しました。先着600名に出走権を付け、参加費は18,200円(税込・大会参加費13,200円込み)、参加資格には同社のランニングシューズで出走することが入っています。

(参考)<9月17日(土)日本初上陸>adidas公式グローバルランニングコミュニティ「adidas Runners of Tokyo」が発足(2016年8月18日) – アディダス ジャパン株式会社

(参考)『adidas RUNBASE』リニューアルオープン/『adidas Mobile RUNBASE』誕生 – アディダス ジャパン株式会社

(参考)HOKA国内最大の直営ストア「HOKA Harajuku」が神宮前交差点に2月22日(木)よりオープン!(2024年2月9日) – Deckers Japan合同会社

(参考)ランニングエコシステムを体現するランステーション併設総合型ストア「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」がリニューアル!(2023年8月23日) – 株式会社アシックス

(参考)ニューバランス 「東京レガシーハーフマラソン2026」に向け、New Balance Run Club Tokyo メンバー募集開始(2026年7月2日) – 株式会社ニューバランスジャパン

スポーツ用品の小売店はグループランを店の機能に加えた

スポーツ用品の小売店は、2025年末から2026年にかけて、グループランを前提にした店を続けて開いています。アルペンは2026年4月24日、都立明治公園内に「ALPEN RUN MEIJI PARK」を開き、新ブランド「ALPEN RUN」を「ランという体験とコミュニティを提供」するものだと説明しました。連日、テーマの違うグループランやイベントを開くとしています。

オッシュマンズ・ジャパンは2026年6月27日、京都にランニングステーションを併設した新業態の1号店を開きました。グループランは、NIKE、On、SALOMONなどのブランドと組んで開く予定だと発表しています。ムラサキスポーツは2025年12月12日、大阪・心斎橋に同社初のランニング特化の店を開き、店を拠点にした定期グループランを予定すると発表しました。

ムラサキスポーツの発表で目を引くのは、「ラン+スイーツ」「ラン+ビール」のように、走った後の時間を共有する「アフターコミュニケーション」を大切にすると書いている点です。小売店にとってのグループランは、靴を売る前後の時間を店で過ごしてもらう仕組みだと読めます。

(参考)ランナーが生まれ、集まり、成長する。アルペンが始動させるランコミュニティブランド「ALPEN RUN」1号店が4月24日(金)都立明治公園内にオープン。(2026年3月31日) – 株式会社アルペン

(参考)オッシュマンズ初のランニング、フィットネス特化型新業態「OSHMAN’S RUN&FITNESS」第1号店「OSHMAN’S RUN&FITNESS KYOTO」2026年6月27日(土)オープン!(2026年6月1日) – 株式会社オッシュマンズ・ジャパン

(参考)ムラサキスポーツ初のランニング分野に特化したライフスタイル提案型新店舗『ムラサキスポーツ 大丸心斎橋店』2025年12月12日(金)オープン(2025年12月4日) – 株式会社ムラサキスポーツ

商業施設と不動産会社は働く人と公園を軸に会員を集める

商業施設と不動産会社は、エリアで働く人や公園の利用者を会員として集める形を取っています。横浜のMARK IS みなとみらい(運営:三菱地所プロパティマネジメント)は、ランニングアプリのRuntripと組み、2026年9月に「Minato Mirai Run Club」を始めました。対象はエリアで働く人が中心で、第1回は近隣企業の就業者に限って開いています。

同施設は、登録して毎月10km以上走った人に、施設内のスポーツ用品店で使えるポイント10%還元のクーポンを出します。発表文には「ランニング、ショッピング、飲食体験を結びつけた継続的なコミュニティの循環」を生み出すとあり、走る前後の買い物と食事までを施設の中で完結させる狙いが書かれています。

都立明治公園では、東京建物を代表とする企業連合が設立したTokyo Legacy Parksが、2025年7月に「Runner’s Park Tokyo」を立ち上げました。無料会員は0円、有料会員は年24,000円(月額2,000円・初回限定価格)で、有料会員は公園内のスパのロッカーとシャワーを無料で使えます。公園を整備・運営する事業者が、施設の利用とコミュニティを組み合わせた例です。

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(参考)みなとみらいを走る。街と繋がる。みなとみらいエリアのランニングコミュニティ「Minato Mirai Run Club (みなとみらいランクラブ)」を始動(2026年9月3日) – 三菱地所プロパティマネジメント株式会社

(参考)都立公園初のPark-PFI事業 都立明治公園が活動拠点のランニングコミュニティ「Runner’s Park Tokyo」誕生(2025年7月3日) – 東京建物株式会社

ホテルと飲食店は走った後の時間までを1回の催しにする

ホテルと飲食店は、走った後の飲食までを含めた1回ごとの催しとして組んでいます。ウェスティンホテル横浜は、スポーツブランドのOnと組んだグループランニング「runWESTIN」を定期的に開いていて、2024年6月13日の回は地元の横浜ビールとの共催でした。ホテルから横浜マリンタワーまで約4キロを走り、展望台でビールやソフトドリンクで乾杯する内容です。

この回の参加費は3,500円(税込)、定員は最大30名でした。ホテルが更衣室とタオルを用意し、荷物はスタッフがゴールまで運びます。自社の設備と人手をそのまま使えるのがホテルの強みで、飲食店は「走った後に立ち寄る先」として組む相手になります。

(参考)【ウェスティンホテル横浜】開業2周年を記念したランニングイベント「runWESTIN with On×横浜ビール」を開催(2024年4月30日) – マリオット・インターナショナル ジャパン

Q. 大阪にも企業が運営するランニングクルーはありますか?

公式発表で確認できた例として、ムラサキスポーツが2025年12月12日に大阪・心斎橋に開いたランニング特化の店があります。同社は店を拠点にした定期グループランを予定すると発表しました。開催日や参加方法は変わるため、各社の公式の案内で確かめてください。

走る人の数は公的な統計で減少か横ばいが続く

ランクラブの開設は続いていますが、日本で走る人の数は増えていません。笹川スポーツ財団の推計では2020年を頂点に減っていて、スポーツ庁の調査でも実施率は10%台で横ばいです。「ランニング人口が伸びているから」という前提で企画を立てると、集客の見込みを誤ります。

笹川スポーツ財団の推計は758万人で2020年から約300万人減った

笹川スポーツ財団が2025年10月9日に発表した調査結果では、20歳以上で年1回以上ジョギング・ランニングをした人の割合は、2024年に7.4%でした。推計実施人口は758万人です。2020年の10.2%・1,055万人、2022年の8.5%・877万人から減り続け、同財団は「過去最高を記録した2020年の1,055万人からは約300万人減少した」と書いています。

内訳には偏りがあります。男性は11.4%、女性は3.3%で、女性20歳代は2020年の15.8%から2024年の4.9%へ下がりました。一方、男性の40・50歳代は前回より増え、都市規模別では東京都区部が10.1%で最も高くなっています。誰に向けた集まりにするかを決めるときの材料になります。

(参考)ジョギング・ランニング推計実施人口は758万人(2025年10月9日) – 公益財団法人笹川スポーツ財団

スポーツ庁の調査では実施率が10%台で横ばい

スポーツ庁の令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(令和7年11月、18〜79歳、有効回収40,000件のWeb調査)では、この1年間に「ランニング(ジョギング)・マラソン・駅伝」を行った人は10.7%でした。種目別ではウォーキング、階段昇降、トレーニングに次ぐ4番目です。

同じ調査の過去の集計を見ると、令和4年度11.5%、令和5年度10.8%、令和6年度11.3%で、4年間ほぼ動いていません。笹川スポーツ財団の調査とは対象の年齢も方法も違うため、2つの数字を並べて増減を言うことはできませんが、どちらの調査でも「増えている」とは読めません。

(参考)【別紙】令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果の概要 – スポーツ庁

(参考)スポーツの実施状況等に関する世論調査(各年度の調査票・集計表) – スポーツ庁

韓国は主な種目に走ることを挙げる人が4.8%から7.7%に増えた

ランニングクルーの話題でよく引き合いに出される韓国には、公的な調査で確認できる変化があります。韓国の文化体育観光部が2026年1月19日に発表した「2025年国民生活体育調査」(満10歳以上の9,000人、訪問面接)では、規則的に運動する人が主に行う種目(3つまで)に「走ること(ジョギング、マラソンを含む)」を挙げた割合が、2024年の4.8%から2025年は7.7%に上がりました。

この数字は走る人の人数ではなく、規則的に運動する人の中での割合です。韓国のランニング人口を「1,000万人」とする記事もありますが、今回、公的な出どころは確認できませんでした。日本の企業が韓国の動きを企画の根拠にするなら、使える数字はこの調査の範囲にとどまります。

(参考)’25년 국민 생활체육 참여율 62.9%, 전년 대비 2.2%포인트 상승(2025年国民生活体育調査の結果・2026年1月19日) – 大韓民国 文化体育観光部

企業の関わり方は持ち物で4つに分かれる

企業がランニングクルーに関わる4つの形の図解。製品はコミュニティの運営、店舗・施設は発着点の提供、資金は協賛、従業員は社内ランクラブの支援につながる

企業がランニングクルーに関わる形は、自社が何を持っているかで4つに分かれます。製品を持つ企業はコミュニティを運営し、店舗や施設を持つ企業は発着点を提供し、資金を出す企業は協賛し、従業員を抱える企業は社内のランクラブを支えます。上の図は、公式発表に書かれた狙いをこの4つに対応させたもので、分け方は本記事の整理です。

製品を持つ企業はコミュニティを自前で運営する

靴やウェアを持つ企業は、ランクラブを自前で運営し、製品を試してもらう場にしています。HOKAは原宿の店で最新の靴の試走を行い、ニューバランスジャパンは参加資格に自社の靴での出走を入れました。参加者が製品を履いて走る時間そのものが、売り場では作れない体験になります。

この形は、コーチやスタッフの人件費、場所、運営の手間をすべて自社で持つことになります。協賛で得た権利を催しや体験に変えて使う考え方は、スポーツ協賛のアクティベーションと同じで、製品を見せるだけで終わらせないことが要点です。

(参考)HOKA国内最大の直営ストア「HOKA Harajuku」が神宮前交差点に2月22日(木)よりオープン!(2024年2月9日) – Deckers Japan合同会社

(参考)ニューバランス 「東京レガシーハーフマラソン2026」に向け、New Balance Run Club Tokyo メンバー募集開始(2026年7月2日) – 株式会社ニューバランスジャパン

店舗や施設を持つ企業は発着点を提供する

店舗や商業施設、ホテルを持つ企業は、集合と解散の場所を提供することで関われます。更衣室、ロッカー、荷物の預かりといった設備があれば、参加者は手ぶらで集まれます。HOKAの原宿の店は男女の更衣室とロッカーを備え、ウェスティンホテル横浜は更衣室とタオルを用意しました。

狙いは、走る前後の滞在です。MARK IS みなとみらいは、ランニング前後の買い物や食事、参加者どうしの交流までを施設内で楽しめるとし、毎月10km以上走った人にクーポンを出して来店を促しています。自社で運営の手が足りない場合は、同施設のようにランニングアプリの事業者と組む方法があります。

(参考)みなとみらいを走る。街と繋がる。みなとみらいエリアのランニングコミュニティ「Minato Mirai Run Club (みなとみらいランクラブ)」を始動(2026年9月3日) – 三菱地所プロパティマネジメント株式会社

(参考)【ウェスティンホテル横浜】開業2周年を記念したランニングイベント「runWESTIN with On×横浜ビール」を開催(2024年4月30日) – マリオット・インターナショナル ジャパン

資金を出す企業は大会やコミュニティに協賛する

製品も場所も持たない企業は、協賛という形で関われます。Runner’s Park Tokyoには、ニューバランスジャパン、大塚製薬、ガーミンジャパンの3社が協賛しています。会員の特典には協賛社による靴・ウェアの無料貸出やドリンクの提供があり、協賛社は自社の製品を走る場面で使ってもらえます。

大会の協賛と、定期的に集まるコミュニティへの協賛とでは、接点の持ち方が違います。大会は年1回で人数が多く、コミュニティは人数が少ない代わりに同じ人と何度も会えます。どちらが合うかは、広く名前を知ってもらいたいのか、決まった相手に製品を使い続けてもらいたいのかで決まります。

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(参考)都立公園初のPark-PFI事業 都立明治公園が活動拠点のランニングコミュニティ「Runner’s Park Tokyo」誕生(2025年7月3日) – 東京建物株式会社

従業員を抱える企業は社内のランクラブを支える

4つ目は、顧客ではなく自社の従業員に向けた関わり方です。スポーツ庁は、従業員の健康増進のためにスポーツの実施に取り組む団体を「スポーツエールカンパニー」として認定していて、2026年は過去最多の1,635団体が認定されました。背景には、20代から50代の働く世代のスポーツ実施率が全体の平均より低いことがあります。

認定を受けた企業の発表には、社内のサークルへの補助が出てきます。JVCケンウッドは2022年の認定について、階段の利用を促す運動と並んで「『ランニング』『ヨガ』などさまざまな社内スポーツサークルへの補助」が評価されたと発表しました。社内のランクラブは、費用を補助するだけで始められる施策です。

健康経営の認定制度の全体像は健康経営の認定要件と申請手順に、スポーツを従業員の健康や組織づくりに使う考え方はウェルビーイング施策の設計法にまとめています。

(参考)「スポーツエールカンパニー2026」過去最多の1,635団体を認定(令和8年1月30日) – スポーツ庁

(参考)スポーツエールカンパニー – スポーツ庁

(参考)スポーツ庁より「スポーツエールカンパニー」に認定(News Release 2022年2月24日) – 株式会社JVCケンウッド

集団で公道を走る前に人数と場所で確認先を決める

皇居周辺を団体で走るときの手続きの図解。20名以上の団体は桜田門前広場の利用申請と道路使用許可の申請に進み、20人未満は歩道利用マナーを守る

グループランを始める前に確かめるのは、何人で、どこを走るかです。走る場所の管理者と所轄の警察署が確認先になり、人数が増えるほど手続きが要る可能性が高くなります。上の図は、団体利用の決まりが文書になっている皇居周辺を例に、人数で手続きが分かれる様子を示したものです。以下は一般的な内容の紹介で、個別の判断は所轄の警察署や弁護士などの専門家に確認してください。

道路交通法では歩行者の通行と道路使用の許可が関わる

道路交通法に「ランニング」「ジョギング」という言葉は出てきません。関わるのは歩行者の通行と、道路の使用についての条文です。第10条は、歩道と車道の区別がある道路では歩行者は歩道を通行しなければならないと定め、第76条は、交通の妨害となるような方法で道路に立ちどまっていることなどを禁じています。集合や記念撮影で歩道をふさぐ場面は、この条文と関わります。

第77条は、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為のうち、都道府県の公安委員会が定めたものについて、所轄の警察署長の許可を受けなければならないとしています。何人から、どんな形で対象になるかは地域の定めと警察署の判断によるため、定期的に大人数で走る企画は、事前に所轄の警察署へ相談するのが確実です。

(参考)道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) – e-Gov法令検索

皇居周辺は20名以上の団体に手続きを求めている

団体で走るときの決まりが最も詳しく文書になっているのが皇居周辺です。環境省の皇居外苑管理事務所は、桜田門前広場を集合場所に使う20名以上の団体に承認の手続きを求めています。もとになっているのは、千代田区が主催する検討会が定め、平成25年9月1日から始まった「地域ルール」です。

地域ルールの資料は、対象を「道路使用許可申請の対象となる20人以上で集まる競技会、ランニングイベント、ウオーキング」と説明し、広場の利用が認められた後に丸の内警察署で道路使用許可を申請する流れを示しています。スタートは1回100名までで間隔を5分以上空けること、周回は反時計回りであること、3月15日から4月15日の観桜期は団体利用ができないことも決まっています。

企業が見落としやすいのは宣伝の扱いです。桜田門前広場では、横断幕の持込み、広告・宣伝にあたるゼッケンやウェアの使用、試供品やチラシの配布が禁止されています。20人未満の集まりは地域ルールの対象外ですが、歩行者優先、反時計回り、無理な追い越しの禁止などの「皇居周辺歩道利用マナー」を守るよう求められています。資料によると、地域ルールは自主的なルールで罰則は無いものの、許可の条件に反した場合は管理者から注意や指導があります。

(参考)皇居ラン(マラソン)について – 環境省 皇居外苑管理事務所

(参考)競技会・ランニングイベントの地域ルールについて – 公共空間活用検討会(皇居周辺地域委員会)

ソウル市は一列か小グループで走るよう呼びかけた

ランニングクルーが増えた韓国のソウル市では、行政が走り方の呼びかけを始めています。ソウル市は2024年11月の発表で、一部のランニングクルーが歩行者に配慮せずに走ったり、大きな音を出したりする例が起きているとして、「マナーのあるソウルランニング」というキャンペーンを行うと公表しました。首都圏で活動する25の民間ランニングクルーが参加しています。

市がコースに置いた看板の文言は、「団体で走るときは一列または小グループで」「写真を撮るときは自分と他の人の安全を考えて」「大きな声や音楽は他の人には騒音になる」の3つです。同じ発表によると、市が運営する「7979ソウルランニングクルー」には同年に5千人余りが参加しました。集まりが増えれば歩行者との摩擦も増えるという順番は、日本でも同じだと考えておくのが安全です。

(参考)배려하고 동행하는 러닝 문화, 서울시가 앞장선다(2024年11月12日) – ソウル特別市 観光体育局

Q. グループランに道路使用許可は必要ですか?

人数や走る場所、走り方によって変わるため、所轄の警察署への確認が必要です。道路交通法第77条は、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼす行為のうち公安委員会が定めたものに、警察署長の許可を求めています。皇居周辺の資料は、20人以上で集まるランニングイベントを道路使用許可申請の対象と説明しています。

企画書を書く前に決めておく3つのこと

ランクラブを始める企業が企画書の最初に書くべきなのは、誰に来てもらうか、どんな条件で参加してもらうか、何を数えるかの3つです。国内の公式発表を見るかぎり、売上や来店への効果を数字で公表している例は見当たりません。効果の目安を他社から借りられない以上、自社で数える項目を先に決めておく必要があります。

走る人が減る中で来てほしい相手を1つに絞る

走る人の総数が増えていない以上、「ランナー全般」を相手にすると集客は伸びにくくなります。国内の実例は、相手をはっきり絞っています。MARK IS みなとみらいはエリアで働く人、ニューバランスジャパンは特定の大会に出る人、Runner’s Park Tokyoは公園を拠点に仲間やコーチを探す人です。

統計も絞り込みの手がかりになります。笹川スポーツ財団の調査では、実施率は東京都区部で最も高く、男性の40・50歳代は増えています。自社の店や施設の周りにいる人と重なる層から決めるのが現実的です。

(参考)ジョギング・ランニング推計実施人口は758万人(2025年10月9日) – 公益財団法人笹川スポーツ財団

参加費と条件は無料から年会費までの型から選ぶ

参加の条件には、公式発表で確認できた範囲でも4つの型があります。予約だけで参加できる無料の催し、1回ごとの参加費、年会費の会員制、大会の参加費を含む期間制です。無料は人を集めやすい一方で運営費が自社の持ち出しになり、会費制は人数が絞られる代わりに設備の利用と組み合わせやすくなります。

自社の製品の着用を条件にするかどうかも、ここで決めます。条件にすれば製品を試してもらう場になり、条件にしなければ参加の間口が広がります。どちらを取るかは、ランクラブを販売の場と見るか、来店のきっかけと見るかで変わります。

続ける仕組みと数える項目を初回の前に決める

1回きりの催しとランクラブの違いは、同じ人が繰り返し来ることです。MARK IS みなとみらいの「毎月10km以上でクーポン」は、走る習慣と来店を結びつける仕組みの例です。開催の頻度、担当者、雨の日の扱いを初回の前に決めておかないと、数か月で途切れます。

数える項目は、参加人数だけでは足りません。初参加と2回目以降の人数、参加した日の購入や飲食、会員登録の数を回ごとに記録しておけば、半年後に続けるかどうかを判断できます。協賛で関わる場合の成果の考え方は、スポーツスポンサーになるメリットの記事が参考になります。

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まとめ|走る人の数より集まる場の設計で決まる

ランニングクルーへの関わり方を、公式発表と統計から整理しました。要点は次のとおりです。

  • ランニングクルーは、決まった場所と時間に集まって一緒に走る仲間の集まり。公的な定義は無く、企業は「ランクラブ」「ランニングコミュニティ」と呼ぶことが多い
  • 国内では、スポーツブランド、スポーツ用品の小売店、商業施設・不動産会社、ホテル・飲食店が運営している
  • 走る人の数は増えていない。笹川スポーツ財団の推計は2024年に758万人で、2020年から約300万人減った
  • 企業の関わり方は、コミュニティの運営、発着点の提供、協賛、社内のランクラブの4つ
  • 集団で公道を走る前に、場所の管理者と所轄の警察署に確認する。皇居周辺は20名以上の団体に手続きを求めている

最初の一歩は、自社の店や施設の前から何人で、どの道を走るのかを地図に書き出し、その道と集合場所の管理者を調べることです。相手と条件が決まれば、小さな人数で試す回から始められます。

元気な社員が、いちばんのマーケティングになる。

社員のウェルビーイングを高め、
その元気が自然と外に伝わる仕組みをつくります。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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