地元のレーシングチームから、来シーズンの協賛の資料が届く。車体にロゴを入れられると書いてあるものの、どの場所にいくらで入るのか、同じ金額でシリーズや大会に出したら何が変わるのかは、資料を1つ見ただけでは比べられません。野球やサッカーの協賛の経験があっても、勝手が違うと感じる場面です。
モータースポーツのスポンサーは、協賛する相手が「シリーズ・大会・チーム・ドライバー」の4層に分かれ、車体にロゴが入るのはチームの層です。金額を公開している募集資料では、車体のステッカーが1レース3万円から、サーキットの看板が年6万6000円(税込)からあり、協賛金を「100万〜2000万円」と示す団体もあります。
ただし、金額を集計した公的な統計は見つからず、「相場」と呼べる数字はありません。この記事では、公式の資料で確かめられた区分と金額、車体のロゴの位置の決まり、地元の企業が協賛した実例を、2026年10月11日時点の情報で整理します。
モータースポーツのスポンサーは協賛先が4層に分かれる

モータースポーツの協賛先は、上から「シリーズ」「大会(各戦)」「チーム」「ドライバー」の4層です。層ごとに窓口になる相手が違い、社名が出る場所も変わります。国内の四輪の競技を統轄するのは日本自動車連盟(JAF)で、国内競技規則は自らを「国内の自動車競技」を「管理統轄する唯一の権威」と定めていますが、協賛を募るのはJAFではなく、シリーズの運営会社や各戦の主催者、チームです。
球技の協賛が「リーグ・クラブ・選手」の3層で語られるのに対し、モータースポーツでは各戦が1つの層になります。サーキットや地域のクラブが1戦ごとに主催するためです。このほかに、会場であるサーキットの看板という選択肢もあります。
(参考)JAFについて – 日本自動車連盟(JAFモータースポーツ)
(参考)JAF国内競技規則(2025年1月1日) – 日本自動車連盟
シリーズの協賛は名称の冠とシリーズパートナー
いちばん上の層は、年間のシリーズそのものへの協賛です。SUPER GTは公式サイトで、現在の名称を「AUTOBACS SUPER GT(オートバックス・スーパージーティ)」と説明しています。スーパー耐久の2026年の名称は「ENEOS スーパー耐久シリーズ2026 Empowered by BRIDGESTONE」で、どちらもシリーズの名前に企業名が入る形です。
名称に入らない区分もあります。ボッシュは2026年の発表で、SUPER GTを運営する株式会社GTアソシエイションと「シリーズパートナー」としての契約を更新し、期間は2026年から2030年までの5年間だと公表しました。同社はGT500クラスの全車に共通の部品を供給しており、お金だけでなく製品を出す協賛でもあります。製品を提供する協賛の考え方はサプライヤー契約の解説にまとめています。
シリーズの協賛は、年間を通じて全戦で社名が出ます。SUPER GTの公式サイトは2019年の実績として、全8戦の平均観客動員を48,639人、年間の総動員数を389,110人と載せています。TOYOTA GAZOO Racingのサイトには、2024年の1戦平均が42,975人、総観客動員が343,800人という記載があります。全日本スーパーフォーミュラ選手権は、運営する日本レースプロモーションが2025年シーズンの合計来場者数を26万3900人と発表しました。
(参考)SUPER GTとは – SUPER GT オフィシャルサイト
(参考)SUPER GT「シリーズパートナー」のスポンサーシップ契約更新に関するプレスリリース(2026年) – ボッシュ
(参考)2025年 SUPER GTとは? – TOYOTA GAZOO Racing
(参考)瑶子女王杯2025 SUPER FORMULA 来場者数過去最高更新! – SUPER FORMULA 公式WEBサイト
大会の協賛は各戦の冠とプログラム広告
2つ目の層は、1戦ごとの大会への協賛です。全日本ラリー選手権の2026年第7戦「MSCCラリー in 福島伊達 2026」は、主催するマツダスポーツカークラブが協賛の資料を公開しています。冠スポンサーにあたる「オフィシャルパートナー プレミアム」は1社のみで200万円から300万円(税別)、公式プログラムの広告は10万円と15万円(税別)です。
世界選手権の大会にも協賛の階層があります。世界ラリー選手権のラリージャパンは、公式サイトでパートナーをTitle Partner、Gold Partner、Bronze Partners、Official Supporters & Suppliersなどに分けて載せており、Title PartnerはFORUM8です。実行委員会は2026年大会の日本全国への経済波及効果を約150億1400万円と算出しています。
富士スピードウェイで開かれた2026年の世界耐久選手権(WEC)第6戦は、3日間で延べ72,400人が来場したと同サーキットが発表しました。大会の協賛は、その週末と開催地に露出を集中させたいときの選択肢です。名称に企業名を付ける協賛の費用は冠スポンサーの記事で扱っています。
(参考)MSCC Rally in 福島伊達2026 ご協賛・ご出展のお願い – マツダスポーツカークラブ
(参考)FIA世界ラリー選手権フォーラムエイト・ラリージャパン2026の経済波及効果について – ラリージャパン2026実行委員会
(参考)2026 FIA 世界耐久選手権 第6戦 富士6時間耐久レース 大会3日間で過去最多更新となる延べ72,400人(前年比109%)のお客様が来場! – 富士スピードウェイ
チームの協賛はチーム名と車体のロゴ
3つ目の層がチームで、車体にロゴが入るのはこの層です。いちばん大きな形は、チーム名や車名に企業名が入るものです。SUPER GTの2026年のエントリーでは、GT500クラスに「TGR TEAM au TOM’S」の「au TOM’S GR Supra」、「Astemo REAL RACING」の「Astemo HRC PRELUDE-GT」といった名前が並びます。
車体やレーシングスーツのロゴは、もっと小さな金額から募集されています。全日本ロードレースに参戦する二輪のRS-ITOHは、2026年の募集ページに「ご支援をして頂ける金額により、ステッカーの貼り付け位置は異なります」と書き、メインスポンサーには企業名や商品名をチーム名に加えることもできるとしています。金額は次の章でまとめます。
(参考)チーム&ドライバー(2026 シリーズエントリー) – SUPER GT オフィシャルサイト
(参考)RS-ITOH スポンサー募集 レース活動にご協賛お願いします – RS-ITOH
ドライバーの協賛はスーツとヘルメットのロゴ
4つ目の層は、ドライバー個人との契約です。チームとの契約とは別に結ぶもので、ロゴはドライバーが身に着けるものに入ります。名古屋市に本社を置くトビラシステムズは、名古屋市出身の野村勇斗選手とのスポンサー契約を発表し、野村選手が「当社のロゴを掲出したレーシングスーツやヘルメットを使用します」と説明しました。
ドライバーはシーズンごとにチームやカテゴリーが変わることがあります。野村選手も発表の時点で、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権とSUPER GTのGT300クラスの両方に出場する予定でした。個人との契約では、ロゴは選手のスーツやヘルメットに付くので、車体のロゴとは分けて考えます。
(参考)トビラシステムズ、レーシングドライバー 野村勇斗選手とスポンサー契約を締結 – トビラシステムズ株式会社
モータースポーツのスポンサー料は公開例で1レース3万円から
金額を公開している募集資料を集めると、下は1レース3万円のステッカーから、上は2,000万円まで幅があります。シリーズや上位チームは金額を公開しておらず、協賛金を集計した公的な統計も確認できませんでした。次の表は公開されている例であり、相場ではありません。
| 協賛先 | 公開されている金額の例 | 条件 |
|---|---|---|
| チームの車体・スーツ | 1レース3万円から/1口1万円(ロゴは10口から)/年間39万6000円から660万円/100万〜2,000万円 | 税の表記が無い資料が多い。年間か1レースかは資料ごとに違う |
| サーキットの看板 | 年6万6000円・年11万円(税込) | 看板の大きさで変わる。設置と撤去の費用を別とする施設もある |
| 大会の協賛(全日本ラリーの1戦) | 10万円から300万円(税別) | プログラム広告・出展・オフィシャルパートナーの区分 |
公開されている募集資料の金額(2026年10月11日確認。出典:RS-ITOH、SACCESS RACING、SHIBATA RACING TEAM、日本モータースポーツ協会、桶川スポーツランド、本庄サーキット、マツダスポーツカークラブの各資料)
チームの車体は位置と期間で金額が変わる
チームの募集は、ロゴの位置と期間の組み合わせで金額が決まります。RS-ITOHは車体を色分けし、「レッドエリアスポンサー 1,000,000円〜」「オレンジエリアスポンサー 50,000円〜(1レース)」「ブルーエリアスポンサー 30,000円〜(1レース)」としています。ブルーエリアで鈴鹿8時間耐久の1戦だけなら3万円、という計算例も載っています。
FIA-F4に参戦するSACCESS RACINGは1口1万円で、10口からマシンにロゴが入り、50口で「フロントカウル部分」と場所が決まります。100口を超える場合の例として「フロントウイング150万円 サイドパネル300万円」も挙げています。日本モータースポーツ協会は協賛金を「100万〜2000万円」とし、車種とステッカーの場所や大きさで変わると説明しています。
ドリフト競技のD1グランプリなどに参戦するSHIBATA RACING TEAMは、2026年度の区分を6つ公開しています。ブロンズ39万6000円からダイヤモンド660万円までで、車両へのロゴは全区分に付き、レーシングスーツはゴールド(132万円)以上です。協賛一覧の表には税込か税別かの表記が無いので、申し込む前に確かめてください。球技のクラブの料金はスポーツスポンサー料の公表例と見比べられます。
(参考)RS-ITOH スポンサー募集 レース活動にご協賛お願いします – RS-ITOH
(参考)スポンサー募集について – SACCESS RACING
(参考)スポンサー募集 – 一般社団法人日本モータースポーツ協会
(参考)スポンサー募集 – SHIBATA RACING TEAM
サーキットの看板は年6万6000円からの公開例がある
サーキットの看板は、チームの成績に左右されず、走行会や練習の日にも人の目に入ります。埼玉県の本庄サーキットは場内看板を、90cm×360cmで年6万6000円、180cm×720cmで年11万円(いずれも税込)と公開しています。設置と撤去の費用は広告主の負担です。
同じ埼玉県の桶川スポーツランドは、コース外周の看板を1年間1枚11万円(税込、作成と管理の費用込み)で募集しています。高さ1,400mmの看板を10枚以上申し込むと、そのコーナーの命名権が付くとも書かれています。一方、国際レースを開く岡山国際サーキットは、看板の場所とネーミングライツのメニューを載せたうえで「掲載料金に関してはお問合せください」としており、金額は公開していません。
あわせて読みたいスタジアム広告の料金|企業が出す球場看板は年6万円から›
(参考)サーキットコース外周の広告看板を募集中! – 桶川スポーツランド
大会の協賛は10万円から300万円の区分がある
大会の協賛は、開催地の企業が1回だけ出せる形です。前の章で挙げたMSCCラリー in 福島伊達 2026の資料では、公式プログラムの広告が半ページ10万円・1ページ15万円、会場への出展が10万円から20万円、オフィシャルパートナーが50万円から、冠は200万円から300万円です。金額はすべて税別で書かれています。
この大会は2026年9月25日から27日の開催で、協賛の募集締切は9月1日でした。年間の契約と違い、開催の1か月ほど前まで検討できます。
(参考)MSCC Rally in 福島伊達2026 ご協賛・ご出展のお願い – マツダスポーツカークラブ
車体のロゴの位置はシリーズの規則とチームの区分で決まる
車体のどこにロゴを入れられるかは、シリーズの規則が先に決め、残った面をチームが区分して募集します。JAFの国内競技規則は「車両につける広告は自由とする」を原則とし、JAFが競技会に特別の条件を定められるとしています。細かな指定は、シリーズごとの規則にあります。
(参考)JAF国内競技規則(2025年1月1日) – 日本自動車連盟
シリーズが指定する場所はチームが売る面から外れる
スーパー耐久の2026年の競技規則は、車体のいくつかの場所をシリーズ側の指定物に充てています。競技番号は前席ドアの左右、フロントガラス、リアの4か所に表示し、左右のドアには運営団体(STMO)が指定するゼッケンベースを貼ります。フロントガラスは上端から150mmの幅に指定のステッカーを貼り、ゼッケンベースやフロントガラスのスポンサー帯は指定の物を使う決まりです。
タイヤについても、指定のステッカーを前後バンパーの右端と左端に貼ることが義務になっています。つまり、ドアの一部やフロントガラスの上部、バンパーの端は、チームが自由に売れる面ではありません。希望する位置がシリーズの指定と重ならないかを、申し込む前にチームへ確かめておくと行き違いを防げます。
(参考)SuperTaikyu2026 Sporting Regulation – 一般社団法人スーパー耐久未来機構
チームは位置ごとに区分を設けている
残った面は、目立つ場所ほど高い区分になります。RS-ITOHの色分けやSACCESS RACINGの「フロントウイング」「サイドパネル」のように、位置の名前と金額を対応させた資料なら、社内で比べやすくなります。位置を示していない資料を受け取ったときは、ロゴの位置と大きさを図で出してもらうのが近道です。
ロゴが入るのは車体だけではありません。SHIBATA RACING TEAMの表には、レーシングスーツ、ピットに掲げる選手のバナー、チームウエア、会場のブース内の看板が区分ごとに並んでいます。同業の企業が同じ車に並んでもよいかは、一業種一社の考え方を参考に決めておけます。
(参考)RS-ITOH スポンサー募集 レース活動にご協賛お願いします – RS-ITOH
(参考)スポンサー募集について – SACCESS RACING
(参考)スポンサー募集 – SHIBATA RACING TEAM
Q. モータースポーツのスポンサーのロゴは車体のどこに入りますか?
シリーズが指定する場所を除いた面に、チームが決めた区分に応じて入ります。スーパー耐久の2026年の規則では、ドアのゼッケンベース、フロントガラスの上端150mm、前後バンパーの端は指定のステッカーの場所です。そのほかの面は、チームが位置ごとに金額を分けて募集しています。
モータースポーツのスポンサー一覧には自動車以外の業種も並ぶ

公式サイトでスポンサーやパートナーの一覧を見ると、自動車メーカーや部品の会社だけでなく、通信、金融、飲料、不動産などの企業が並んでいます。チームには協賛金のほかに、タイヤや部品、整備を担う人も集まり、それぞれがロゴの掲出や研修の場といった別のものを受け取ります。上の図は、この記事で確かめた資料の範囲で、チームと関係者のやり取りを整理したものです。
シリーズの運営団体との間にもやり取りがあります。スーパー耐久の2026年の規則では、年間エントリーのチームは全戦分の参加料を一括で納めます。タイヤはブリヂストン1社の指定で、チームは支給されたステッカーを車体に貼ります。
チーム名と車名に入る企業は通信や石油まで広がる
チーム名や車名に入っている企業名を拾うと、業種の広がりが分かります。SUPER GTのGT500クラスの2026年のエントリーには、au、Deloitte、ENEOS、KeePer、DENSO、Astemo、STANLEY、MOTULなどの名前が入っています。通信、コンサルティング、石油、自動車部品と、業種はさまざまです。
全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式サイトの「OFFICIAL PARTNERS」には、HondaやTOYOTA GAZOO Racing、YOKOHAMAと並んで、富士通、AWS、Salesforce、三菱UFJ銀行、JR東海、アサヒドライゼロなどのロゴがあります。別枠の「地域連携パートナーシップ」には、三重県鈴鹿市や栃木県茂木町などの自治体が載っています。なお、ロゴの並びから協賛の区分や金額までは分かりません。
(参考)チーム&ドライバー(2026 シリーズエントリー) – SUPER GT オフィシャルサイト
(参考)SUPER FORMULA 公式WEBサイト(OFFICIAL PARTNERS) – 株式会社日本レースプロモーション
1チームのパートナーは36の名前が並ぶ例がある
1つのチームに何社が関わるのかは、チームの公式サイトで確かめられます。SUPER GTのGT300クラスに参戦するKONDO RACINGは、協賛企業を「パートナー」と呼び、2026年の体制のページに36のロゴを載せています。日産自動車や横浜ゴム、日本特殊陶業のほか、サントリー、ミニミニ、ドーミーホテルといった自動車以外の名前もあります。
このチームの車は「リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R」という名前で、整備は日産・自動車大学校と日産の販売会社のメカニック、KONDO RACINGが共同で担っています。協賛する企業がお金だけでなく人も出している例です。こうした関係者の全体像はスポーツマーケティングの基本とあわせて読むと整理しやすくなります。
(参考)SUPER GT 300(2026 チーム体制) – KONDO RACING
(参考)SuperTaikyu2026 Sporting Regulation – 一般社団法人スーパー耐久未来機構
Q. モータースポーツのスポンサーの一覧はどこで確認できますか?
シリーズとチームの公式サイトで確認できます。SUPER GTはチームと車の名前に入る企業を「チーム&ドライバー」のページで、スーパーフォーミュラは「OFFICIAL PARTNERS」の欄で公開しています。チームごとの一覧は、KONDO RACINGのように各チームのサイトに載っています。
地元企業がモータースポーツのスポンサーになる理由は3つある
企業が公式に発表した協賛の理由を読むと、「地元のチームやドライバーの応援」「整備士の育成と研修」「取引先との縁」の3つに分けられます。今回確かめた8件の発表には、売上や認知度がどれだけ上がったかという数字は書かれていませんでした。効果を数字で示したいなら、協賛の前に測る項目を自社で決めておく必要があります。
同じ地域のチームやドライバーを応援する
1つ目は、同じ地域に根差す相手を応援するという理由です。北海道で港湾工事を手がける西村組は2025年2月、北海道を拠点にスーパー耐久へ参戦するKOSHIDO RACINGとの契約を発表し、「同じ北海道に根差し、地元を盛り上げていこうという志を持つ企業として応援させていただきます」と書きました。
先に挙げたトビラシステムズも、本社のある名古屋市の出身であることを理由にしています。発表文には「同じ名古屋を拠点とする企業として、地元から世界へ挑戦する若い力を応援したい」とあります。地域のつながりを前面に出す協賛は、採用や取引先への説明でも伝えやすい理由になります。
あわせて読みたいスポーツスポンサーになるメリット|企業が得るものと協賛先の選び方›
(参考)有限会社恒志堂さまが運営する「KOSHIDO RACING」とのスポンサーシップ契約を締結しました。(2025年2月6日) – 株式会社西村組
(参考)トビラシステムズ、レーシングドライバー 野村勇斗選手とスポンサー契約を締結 – トビラシステムズ株式会社
整備士の育成と研修につなげる
2つ目は、人を育てる場として使うという理由です。自動車を扱うグッドスピードは2019年、SUPER GTのGT300クラスに参戦するPACIFIC RACING TEAMの公式スポンサーになり、エントラント名は「PACIFIC RACING with GOOD SPEED」になりました。発表では、協賛に加えて「当社の若手整備士を各レースにメカニック研修生として派遣する」としています。
KONDO RACINGのGT300の活動も、自動車整備の人材を育てる「日産メカニックチャレンジ」と結び付いています。2026年4月に協賛を発表したCMCエクスマニコムは、この取り組みを「次世代を担う自動車整備人財の育成を目的とした取り組み」と紹介しました。エナジーウィズも2023年、趣旨に賛同して契約し、シーズン中はレースカーに自社のロゴが載ると発表しています。
(参考)PACIFIC RACING TEAMの公式スポンサーに就任のお知らせ(2019年3月18日) – 株式会社グッドスピード
(参考)Super GT(GT300クラス)への協賛決定のお知らせ(2026年4月2日) – 株式会社CMCエクスマニコム
(参考)KONDO RACINGとスポンサー契約を締結しました – エナジーウィズ株式会社
取引先との縁から車両にステッカーを出す
3つ目は、取引先とのつながりがきっかけになる例です。建設業界向けの技術を紹介しているスギテックは、全日本ラリー選手権に参戦する兼松由奈選手との契約を知らせるページで、「大東建託株式会社様のご縁から」選手の車両に「ステッカー出資しています」と書いています。
大きな金額でなくても、ステッカー1枚から関係が始まることが分かります。チームの側も、こうした小口の協賛を集めるために1口や1レース単位の区分を用意しています。
(参考)有限会社スギテック ラリードライバー兼松 由奈選手とスポンサー契約を締結。 – 有限会社スギテック
スポンサー契約は体制発表から最終戦までの1年で進む

モータースポーツの協賛は、冬の体制発表から秋の最終戦までを1つの区切りとして動きます。TOYOTA GAZOO Racingは2026年の活動計画を2025年12月19日に発表しました。SUPER GTの2026年の日程は、4月11日・12日の岡山国際サーキットで始まり、11月のモビリティリゾートもてぎが最終戦です。
企業の発表の時期も、この流れに沿っています。この記事で挙げた例では、西村組が2月6日、グッドスピードが3月18日、CMCエクスマニコムが4月2日と、開幕の前後に集中しています。車体のデザインは開幕までに決まるので、年間の契約を考えるなら冬のうちにチームと話を始めるのが現実的です。
シーズンが始まってからでも、入り口はあります。RS-ITOHのような1レース単位のステッカーや、開催の約1か月前まで募集している大会の協賛です。最終戦の後は、掲出された写真や来場者数の記録をまとめ、翌年の募集を確かめる時期になります。図のうち「最終戦の後」の項目は公式の資料に書かれた手順ではなく、本記事の整理です。
(参考)TOYOTA GAZOO Racing、2026年 モータースポーツ活動計画を発表 – TOYOTA GAZOO Racing
(参考)SUPER GTとは – SUPER GT オフィシャルサイト
モータースポーツのスポンサー契約の前に確かめる3つの点
契約の前には、「成績を広告に使うときの決まり」「自社の業界の広告の基準」「協賛金の税務上の科目」の3つを確かめておきます。どれもチームの資料には書かれていないことが多く、協賛する企業の側で調べる項目です。契約書に入れる項目はスポーツスポンサー契約の確認点にまとめています。
成績を広告に使うときは条件を明示する
協賛したチームが勝ったとき、その成績を自社の広告に使うには決まりがあります。JAFの国内競技規則は「虚偽の広告」の条で、競技の広告を行う場合には、競技の性質、車両の分類、クラス区分、取得した成績を明示しなければならないと定めています。公衆に疑いを生じさせるような書き落としや付け足しには、罰則を課すことができるとされています。
モータースポーツは1つのレースに複数のクラスが混ざって走ります。クラスでの優勝を総合優勝のように見せないよう、「◯◯クラス優勝」とクラス名まで書くのが安全です。
(参考)JAF国内競技規則(2025年1月1日) – 日本自動車連盟
たばこと酒類は業界の自主基準を確かめる
JAFの規則は広告を原則自由としていますが、業界の側に基準がある業種もあります。日本たばこ協会の自主規準は、スポンサーシップの条件として「観客の75%以上が20歳以上であること」「電波媒体等による放送・通信を意図するものでないこと」「競技上の成功のために強い体力を必要とするものでないこと」などを挙げています。企業広告には適用しないとも書かれています。
酒類の業界の自主基準は、広告で使わない表現として「飲酒運転につながる表現」「スポーツ時や入浴時の飲酒を推奨誘発する表現」を挙げています。どちらも法律やJAFの規則ではなく業界団体の基準で、モータースポーツを名指しした条はありません。自社がこうした業種にあたる場合は、業界団体の基準とシリーズの規則の両方を確かめてください。
(参考)製造たばこに係る広告、販売促進活動及び包装に関する自主規準(2026年4月1日改定) – 一般社団法人日本たばこ協会
(参考)酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準(令和8年7月1日最終改正) – 飲酒に関する連絡協議会
協賛金の科目は見返りの有無で分かれる
協賛金の税務は、国税庁の一般的な区分に沿って考えます。国税庁のタックスアンサーにモータースポーツを名指しした説明は無く、ここで紹介するのは一般的な取扱いです。国税庁は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は交際費等に含まれず広告宣伝費になると説明しています。
一方で、寄附金や拠出金と呼ばれる支出でも、広告宣伝費や交際費等とされるものは寄附金から除かれ、「個々の実態をよく検討した上で判定する必要があります」とされています。法人が寄附金として支出したものでも、役員等が個人として負担すべき性格の支出は、その人への給与になるという説明もあります。
ロゴの位置や期間を契約書に書き、掲出された写真を残しておくと、支出の中身を説明しやすくなります。取引先をサーキットに招く費用や、経営者自身の参戦にかかる費用は扱いが変わることがあるため、個別の判断は税理士に確かめてください。
(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁
(参考)No.5262 交際費等と寄附金との区分 – 国税庁
(参考)No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算 – 国税庁
Q. モータースポーツのスポンサー料は経費になりますか?
ロゴの掲出など宣伝の見返りが決まっていれば、一般には広告宣伝費として扱う考え方になります。国税庁は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は交際費等に含まれず広告宣伝費になると説明しています。見返りの無い支出や招待の費用は扱いが変わるため、個別の判断は税理士に確かめてください。
まとめ|モータースポーツのスポンサーは層と位置から選ぶ
モータースポーツの協賛は、どの層に出すかと、ロゴがどこに入るかを先に決めると比べやすくなります。要点は次のとおりです。
- 協賛先はシリーズ・大会・チーム・ドライバーの4層で、車体にロゴが入るのはチームの層
- 公開されている金額は1レース3万円のステッカーから2,000万円まであり、公的な相場は無い
- 車体にはシリーズが指定する場所があり、チームが募集するのは残りの面
- 地元企業の発表では、地域の応援、整備士の育成、取引先の縁が理由に挙がっている
- 成績の広告の決まり、業界の自主基準、税務の科目は契約の前に確かめる
手元に協賛の資料があるなら、ロゴの位置と大きさ、期間、金額が税込か税別かの3点をチームに確かめるところから始めてください。資料がまだ無い場合は、地元のサーキットの看板や、近くで開かれる大会の協賛の募集を調べると、少ない金額から試せます。
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