入江聖奈の減量期食事管理|企業の健康経営が学ぶ視点

入江聖奈選手の減量期食事管理と企業の健康経営への応用 スポーツアスリート

練習後、体重計の数字を見ながら「今日は何を我慢しようか」と考える。減量期のアスリートにとって、それは特別なことではなく日常です。東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダリストの入江聖奈選手も、試合に合わせて年に4回ほどこの減量と向き合ってきました。

入江選手の減量期の食事管理から見えてくる結論は、栄養バランスは金額の大小ではなく「主食・主菜・副菜をそろえる」という当たり前の型で保てるということです。本記事では、公認スポーツ栄養士が示した具体的な工夫と、一人暮らしの学生アスリートが抱えるリアルな食費事情を紹介し、企業の健康経営担当者が自社の新入社員・若手社員支援に応用できる視点を解説します。

SELF CHECK

その疲れは、
どこから来ているのか

12の質問で、いま自分に効いている負荷を「量とペース/裁量/人間関係/回復」の4つに切り分けます。約2分・登録不要、回答は保存されません。

セルフチェックをする ▶

東京五輪ボクシング金メダリストが明かした「3週間で4kg」の減量現実

入江選手の減量は、当日の体重測定に向けて短期間で仕上げる形で行われます。国際女性デーに合わせて開催されたオンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」では、公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏が講師として登壇し、入江選手がゲストとして自身の体験を語りました。

入江選手は「3週間で計4kg」の減量に取り組んだ経験を明かし、大会前夜には300〜400グラムのパスタにカルボナーラのソースをかけて食べてしまい「最悪な食事をしてしまった」と苦笑いする場面もありました。トップアスリートであっても、減量期の食事管理は簡単なことではないという実態が伝わるエピソードです。

(参考)3週間で計4kg減量、最後はグミ生活に… ボクシング金メダル入江聖奈が明かす体重管理 – THE ANSWER

一人暮らしの学生アスリートが向き合う「食費500円」の現実

入江選手は取材当時、日本体育大学に在籍しながら一人暮らしをしていました。減量期以外は、午後1時のトレーニング前に朝食と昼食を兼ねてグラノーラにヨーグルトをかけて食べるのが定番だったといいます。

「今、学生で、親からのサポートを受けて生活が成り立っている状態なので、あまり食費にお金をかけたくないという思いがあります。できるだけ安い食費で食べたい。野菜や果物は高くてあまり手が届かない」と語った入江選手は、1日の食費を500円に抑えたいという具体的な目標を持っていました。金メダリストであっても、学生アスリートという立場では食費のやりくりが切実な課題になるという点は、多くの同年代の選手に共通する悩みでもあります。

Q. アスリートの減量中の食費はどのくらいが目安ですか?

明確な基準はなく、選手の置かれた環境によって異なります。入江聖奈選手の場合は学生という立場から1日500円を目安にしていましたが、栄養士は金額よりも主食・主菜・副菜をそろえることを優先するようアドバイスしています。

栄養士が示した5つの低コスト高たんぱく食材

橋本氏は、限られた食費でもバランスの良い食事をとる方法として、安いタイミングでのまとめ買いを勧めたうえで、具体的な食材のカテゴリーを提案しました。下の表は、そのやり取りをもとにHuman Soarが食材のカテゴリーごとに整理したものです。

カテゴリー 食材例 ポイント
主食(エネルギー源) こんにゃく入り主食・オートミール 低カロリーで腹持ちが良く、白米に混ぜてかさ増しもできる
主菜(たんぱく質) 豆腐バー・鮭の中骨缶 常温保存しやすく、缶詰は骨まで食べられてカルシウムも摂れる
副菜(ビタミン・食物繊維) 冷凍野菜 安いタイミングでまとめ買いでき、カット済みで手間も減らせる
骨・生理対策(カルシウム・鉄分) カッテージチーズ・ドライフルーツ 骨を丈夫にし、月経中の負担を和らげる栄養素を補える
たんぱく質の底上げ ゆで卵 主菜にもう一品加えるだけで、不足しがちなたんぱく質を手軽に補える

表:橋本玲子氏(公認スポーツ栄養士)が示した食材カテゴリーをもとにHuman Soarが整理

主食|こんにゃくとオートミールでかさ増しする

減量期は白米などの主食を減らしたくなりますが、極端に抜くと集中力が落ちてしまいます。こんにゃくを混ぜたご飯やオートミールは低カロリーながら腹持ちが良く、量を保ちながらエネルギー源を確保できる工夫として紹介されました。

主菜|豆腐バーと鮭の中骨缶でたんぱく質を確保する

主菜は最もコストがかかりやすい部分ですが、豆腐バーや鮭の中骨缶であれば価格を抑えながらたんぱく質とカルシウムを同時に摂取できます。缶詰は常温保存できるため、まとめ買いにも向いている食材です。

副菜|冷凍野菜で野菜不足と手間を同時に解決する

入江選手自身も「野菜や果物は高くてあまり手が届かない」と悩みを明かしていました。冷凍野菜であれば価格が安定しているタイミングでまとめ買いでき、カットや洗浄の手間もかからないため、自炊の負担を減らしながら副菜を確保できます。

骨・生理対策|カッテージチーズとドライフルーツで栄養を底上げする

橋本氏は、骨を丈夫にしたり月経中の負担を和らげたりする食品として、カッテージチーズやドライフルーツを提案しました。女性アスリート特有のコンディション管理の視点が反映された提案です。

たんぱく質の底上げ|ゆで卵を1品足す発想

橋本氏は「せめてゆで卵をプラスにするだけでもいいので、なんとかタンパク質を摂取することを意識してほしい」とアドバイスしました。品数を増やすのではなく、1品を足すという発想であれば、忙しい自炊生活でも実践しやすくなります。自炊の工夫という点では、プロ野球選手・伊勢大夢選手の自炊の取り組みも参考になります。伊勢大夢選手の自炊と栄養管理の記事では、練習と自炊を両立させるための具体的な工夫が紹介されています。

(参考)3週間で計4kg減量、最後はグミ生活に… ボクシング金メダル入江聖奈が明かす体重管理 – THE ANSWER

Q. 減量中でもたんぱく質を確保できる安価な食材はありますか?

豆腐バーや鮭の中骨缶、ゆで卵などが挙げられます。いずれも価格が安定しており、常温・冷蔵で保存しやすいため、まとめ買いした上で日々の食事に少しずつ組み込むことができます。

食費が心配でも欠かせない食生活の基本

橋本氏のアドバイスを振り返ると、特別な食材や高価なサプリメントではなく、当たり前の食生活を続けることの大切さが浮かび上がります。下の図は、入江選手とのやり取りから見えてきた実践のポイントを整理したものです。

入江聖奈選手の低コスト食事管理を支える3つの習慣の図解

図:1日500円という制約のなかでも欠かさない3つの実践ポイント

安い食材はタイミングを逃すと手に入りにくくなるため、価格が下がったときにまとめて購入しておくことが土台になります。そのうえで、主食・主菜・副菜という当たり前の組み合わせをそろえることを橋本氏は繰り返し強調しました。品数を増やすのではなく、ゆで卵のようにすぐ用意できる食材を1品足すという発想は、忙しい自炊生活の中でも実践しやすい工夫です。

入江選手は「分かってはいたけど、こんなにタンパク質が大事なんだと改めて感じました」と振り返り、その日から鶏肉を食べようと決意したと語っています。特別な知識よりも、当たり前を続けられるかどうかが栄養管理の質を左右するという点は、企業の健康経営にもそのまま当てはまる視点です。

Q. 食費を抑えながら栄養バランスを保つコツはありますか?

安いタイミングでのまとめ買い、主食・主菜・副菜をそろえる意識、たんぱく質を1品足す工夫の3点が土台になります。特別な食材を探すよりも、この当たり前を継続することが結果的にコストと栄養バランスの両立につながります。

一人暮らしのアスリートに学ぶ、企業の健康経営が押さえるべき食費データ

入江選手が目標にした「1日500円」という金額は、実は一人暮らしの学生全体で見ても厳しい水準です。全国大学生活協同組合連合会が2024年3月に公表した第59回学生生活実態調査によると、下宿生(一人暮らしの学生)の1か月の食費は平均25,880円(2023年10〜11月調査時点、前年比+1,750円)でした。

これを単純に日割りすると1日あたり約862円になります。入江選手が目標にしていた500円は、この平均のおよそ58%にとどまる水準であり、学生アスリートが置かれている食費のシビアさが数字からも裏付けられます。同調査では、1回あたりの食事代(有額平均)も夕食658円・昼食495円・朝食226円(いずれも2023年)となっており、外食に頼れば1日500円という目標は成立しないことも分かります。

新卒・若手社員の多くも一人暮らしを始めた直後は、同じように「食費を切り詰めながら体調を維持する」という課題に直面します。企業の健康経営担当者にとって、栄養バランスの啓発を「お金をかけられる人向けの話」にせず、限られた食費でも実践できる工夫として伝えられるかどうかが、若手社員の定着支援にもつながる視点です。

(参考)第59回学生生活実態調査の概要 – 全国大学生活協同組合連合会

Q. 一人暮らしの新入社員も同じような食費の課題を抱えていますか?

はい。全国大学生活協同組合連合会の調査では下宿生の食費は平均月29,853円(別調査年)〜25,880円程度で推移しており、1日あたり1,000円弱が相場です。入江選手が目指した500円はその半分程度で、一人暮らしを始めたばかりの新入社員にも共通しやすい課題だと考えられます。

栄養バランスの取り方は、アスリートに限らず企業のコンディション管理にも応用できる視点です。大橋悠依選手の貧血克服食の記事や、三浦佳生選手の減量期の食事管理の記事でも、限られた条件の中で栄養を整える工夫が紹介されています。

まとめ|1日500円でも実践できる栄養管理の4つのポイント

  • 減量期でも主食・主菜・副菜をそろえるという当たり前の型を崩さないこと
  • 豆腐バーや鮭の中骨缶、冷凍野菜など、価格が安定した食材をまとめ買いで確保すること
  • 品数を増やすのではなく、ゆで卵のようにすぐ用意できる一品でたんぱく質を底上げすること
  • 一人暮らしの食費の厳しさは学生・新入社員に共通する課題であり、企業の健康経営の入り口になり得ること

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました