「近くにリハビリの専門施設がない」「忙しくて通院の時間が取れない」——そう感じている人は少なくありません。結論から言うと、いまはスマートフォンやビデオ通話を使ってリハビリを進められるアプリ・サービスが10製品前後実用化されており、大きく「専門職が伴走するタイプ」と「アプリ単体でセルフケアが完結するタイプ」に分かれます。
本記事では、健康経営や福利厚生を担当する方に向けて、国内外の代表的なオンラインリハビリアプリ・サービス10製品を比較し、導入を検討する際に見るべき判断軸を整理しました。
- オンラインリハビリとは何か|企業の健康経営が注目する理由
- オンラインリハビリアプリ・サービス10選|比較表と特徴
- エクサウィザーズ|歩行評価AIで回復期リハビリ病院と伴走
- リハカツ(Tune Life)|ソニー技術で運動を採点しながら継続
- モフトレHome|訪問看護師のリハビリ経験不足を補うアプリ
- デジリハ|デジタルアートで子どもの療育をアソビに変える
- リハモ|スマホとZoomで国家資格療法士に相談できる
- Hinge Health|AIモーション解析と理学療法士がチームで伴走
- Sword Health|「AI Care」で痛み予防から術後回復まで一気通貫
- RecoveryOne|180の治療パスウェイと健康コーチング
- Limber Health|リハビリクリニックの遠隔モニタリングを支える基盤
- Vori Health|医師主導のオーソペディックケアで手術を回避
- 利用イメージを図解|症状に気づいてから専門家につながるまでの4ステップ
- 分類の視点|医療者伴走型とセルフケア型の違いを図で見る
- 企業が導入を検討する際の3つの視点
- まとめ
オンラインリハビリとは何か|企業の健康経営が注目する理由
オンラインリハビリとは、理学療法士など専門職の指導やアプリのプログラムを通じて、自宅にいながら運動器のリハビリテーションを進める仕組みです。通院の負担を減らしながら、運動器疾患やフレイル(加齢による心身の虚弱)の重症化を防ぐ手段として広がっています。
健康経営に取り組む企業にとっても無関係ではありません。腰痛や肩こりといった運動器の不調は、出社していても本来のパフォーマンスを発揮できない状態(プレゼンティーイズム)につながる主要な要因のひとつとされており、従業員が仕事を休まずに継続的にケアできる手段として、オンラインリハビリサービスへの関心が高まっています。スポーツDXという大きな枠組みの中でも、運動器ケアのデジタル化は主要なテーマのひとつです。より広い動向はスポーツDXとは|3階層構造・事例・課題を解説でも解説しています。
国もオンラインでの医療提供を後押ししています。厚生労働省は令和5年6月に公表した基本方針のなかで、情報通信機器を用いた診療・リハビリテーションの適正かつ幅広い普及を政策として掲げています。
(参考)オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針(令和5年6月) – 厚生労働省
Q. オンラインリハビリとは何ですか?
オンラインリハビリとは、スマートフォンのアプリやビデオ通話を使って、自宅にいながら理学療法士などの指導やリハビリプログラムを受けられる仕組みです。通院が難しい人でも、運動器のケアを継続しやすくなります。
オンラインリハビリアプリ・サービス10選|比較表と特徴
ここでは、公式サイトで事業内容や機能を確認できた国内外のオンラインリハビリ関連アプリ・サービスのうち、直近の実績や導入事例が公表されている10製品を紹介します。「国内で運用実態を公式サイトで確認できたサービス」と「企業の福利厚生・保険プランとして採用されている海外の主要サービス」を合わせて10製品を選定しました。まずは全体像を比較表で確認し、続けて1製品ずつ詳しく見ていきましょう。
| 製品名 | 提供元 | 主な特徴 | 対応形態 |
|---|---|---|---|
| エクサウィザーズ | 株式会社エクサウィザーズ | 歩行評価AIによる動画解析 | 医療機関経由・伴走型 |
| リハカツ(Tune Life) | 株式会社サプリム | ソニー技術で運動を採点 | アプリ単体・セルフ型 |
| モフトレHome | 株式会社Moff | 180種以上の動画トレーニング | 訪問看護事業者向け・伴走型 |
| デジリハ | 株式会社デジリハ | デジタルアート×センサーで療育 | 医療・福祉・教育施設向け・伴走型 |
| リハモ | ロッツ株式会社 | スマホ+Zoomで療法士に相談 | 個人向けオンライン相談・セルフ型 |
| Hinge Health | Hinge Health, Inc. | AIモーション解析+ケアチーム | 企業・保険者経由・伴走型 |
| Sword Health | Sword Health, Inc. | AIと臨床専門家が連携する「AI Care」 | 企業・保険者経由・伴走型 |
| RecoveryOne | RecoveryOne | 180以上の治療パスウェイ | 企業・保険者経由・伴走型 |
| Limber Health | Limber Health, A Net Health Company | クリニック向け遠隔モニタリング基盤 | クリニック向けプラットフォーム・伴走型 |
| Vori Health | Vori Health | 医師主導のオーソペディックケア | 企業・保険者経由・伴走型 |
各製品の公式サイトで確認できた情報(2026年9月時点)をもとに作成。価格・提供形態は変更される場合があります。
エクサウィザーズ|歩行評価AIで回復期リハビリ病院と伴走
エクサウィザーズは、独自の歩行評価AIを用いてスマートフォンで撮影した歩行動画を解析し、歩行速度などの状態を可視化するプロダクトを開発しています。北原病院グループなどと共同で、脳卒中や片麻痺の患者を対象にしたオンライン遠隔リハビリサービスを試験導入してきました。
個人が単体でダウンロードして使う一般消費者向けアプリというより、回復期リハビリテーション病院を中心に導入が進む、医療機関経由の伴走型サービスである点には注意が必要です。
(参考)AIデジタルヘルスプロダクト × 運動・歩行・姿勢 – 株式会社エクサウィザーズ
リハカツ(Tune Life)|ソニー技術で運動を採点しながら継続
リハカツ(Tune Life 毎日運動)は、株式会社サプリムが提供する生活習慣改善アプリです。ソニーの「モーションスコア」技術がトレーニングの動きをリアルタイムに採点し、歩数や睡眠と合わせてポイントが貯まる仕組みで、ダイエットからリハビリまで幅広い運動習慣づくりに使われています。
(参考)Tune Life(チューンライフ) – 株式会社サプリム
モフトレHome|訪問看護師のリハビリ経験不足を補うアプリ
モフトレHomeは、株式会社Moffが提供する訪問看護事業者向けのリハビリ支援アプリです。180種類以上の動画解説つきトレーニングを備え、リハビリ経験が豊富でない看護師でも、アプリのガイドに沿って利用者の在宅リハビリを実施できるよう設計されています。
(参考)訪問看護事業者向けリハビリ支援アプリ|モフトレHome – 株式会社Moff
デジリハ|デジタルアートで子どもの療育をアソビに変える
デジリハは、株式会社デジリハが開発する、デジタルアートとセンサーを組み合わせたリハビリ・療育支援ツールです。体を動かすとアートが反応する仕組みで、身体障害や発達障害のある子どもたちの「楽しい」「もっとやりたい」を引き出しながら、全国140カ所以上の病院や放課後等デイサービスで活用されています。
(参考)デジリハ(Digital Interactive Rehabilitation System) – 株式会社デジリハ
リハモ|スマホとZoomで国家資格療法士に相談できる
リハモは、ロッツ株式会社が運営するオンラインリハビリアプリです。専用アプリとビデオ通話アプリ「Zoom」を使い、8時から23時まで好きな時間に、国家資格を保有しリハモの研修・テストを受けた療法士のリハビリを自宅で受けられます。
料金は保険を使わない自由診療で、30分4,500円(税別)・60分7,273円(税別)が目安です。保険を使う訪問リハビリでは回数に上限がありますが、リハモはその制約を受けないため、産前産後や高齢者のスポーツなど幅広い場面での利用を想定しています。
(参考)リハモ|オンラインのリハビリアプリ – ロッツ株式会社
Hinge Health|AIモーション解析と理学療法士がチームで伴走
Hinge Healthは、米国発のバーチャル理学療法サービスです。「TrueMotion」というAIモーション解析技術がスマートフォンのカメラで可動域を分析し、リアルタイムのフィードバックを行いながら、理学療法士や整形外科医、健康コーチのチームが伴走します。
企業や医療保険プランを通じて従業員・加入者に提供される形態が中心で、12週間の慢性膝・腰痛プログラム参加者を対象にした研究では、痛みの平均的な減少が報告されています。個人が単体で契約するサービスではなく、勤務先や保険者の対象者であることが利用の前提になる点は理解しておく必要があります。
(参考)Hinge Health – Hinge Health, Inc.
Sword Health|「AI Care」で痛み予防から術後回復まで一気通貫
Sword Healthは、ポルトガル発のデジタルヘルス企業で、AIと臨床専門家が連携する「AI Care」を提供しています。筋骨格系の痛みに対応する「Thrive」、女性の健康に対応する「Bloom」、循環代謝に対応する「Pulse」、メンタルヘルスに対応する「Mind」といった複数のプログラムを展開しているのが特徴です。
公式サイトでは、平均的な費用対効果(ROI)が3対1、会員1人あたり年間3,177ドルの医療費削減効果があったとする自社集計を公表しています。こうした数値は同社が示す実績であり、効果には個人差がある前提で参考にするのが適切です。
(参考)Sword Health – Sword Health, Inc.
RecoveryOne|180の治療パスウェイと健康コーチング
RecoveryOneは、首・肩・腰・膝・足首など全身をカバーする180以上の治療パスウェイを持つデジタル理学療法サービスです。理学療法士の個別指導に加えて健康コーチングが付き、企業や医療保険プランを通じて提供されています。公式サイトでは、利用開始から9日程度で痛みの軽減を実感したという会員データが紹介されています。
Limber Health|リハビリクリニックの遠隔モニタリングを支える基盤
Limber Healthは、理学療法・作業療法のクリニックを対象にした、遠隔治療モニタリング(RTM)や自宅運動プログラムを提供するプラットフォームです。7,000本以上のトレーニング動画を備え、クリニックが患者の通院間の運動状況を把握できるようにする仕組みで、Mayo Clinicとの共同研究で有効性の検証も行われています。
患者が直接契約する一般消費者向けサービスではなく、クリニックが導入し、患者はそのクリニック経由で利用する法人向けプラットフォームである点は正確に理解しておきたいポイントです。
(参考)Limber Health – Limber Health, A Net Health Company
Vori Health|医師主導のオーソペディックケアで手術を回避
Vori Healthは、腰・首・関節の痛みに対して、整形外科の医師が診断からケアプランの立案までを主導する、医師主導型のバーチャル医療プラットフォームです。医師・理学療法士・管理栄養士・健康コーチが同じケアプランを共有しながらチームで対応し、AIによるモーショントラッキングで自宅での運動を追跡できます。企業や医療保険プランを通じて全米50州で提供されています。
Q. オンラインリハビリアプリは保険が使えますか?
製品によって異なります。リハモやリハカツのような国内の個人向けサービスは自由診療で、料金は自己負担です。一方、Hinge HealthやSword Health、RecoveryOneなどは企業の福利厚生や医療保険プランを通じて提供されるケースが多く、勤務先や加入している保険を通じて利用する形が一般的です。
利用イメージを図解|症状に気づいてから専門家につながるまでの4ステップ
10製品に共通するのは、いきなり治療が始まるわけではなく、気づき・自主トレ・専門家相談・記録共有という段階を踏んで進む点です。下の図は、その典型的な流れをまとめたものです。

多くのサービスでは、最初はアプリ内の運動プログラムをセルフで試し、痛みが続く場合や改善が見られない場合に、ビデオ通話や専用アプリを通じて専門職に相談する流れになっています。企業が制度として導入する場合は、この4段階目の「記録を医療者・企業と共有する」部分を、産業医や健康管理部門とどう連携させるかが運用の鍵になります。
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分類の視点|医療者伴走型とセルフケア型の違いを図で見る
10製品を並べると、「専門職がどこまで伴走するか」と「対象となる症状の重さ」という2つの軸で整理できることが分かります。Human Soarではこの2軸で10製品を4象限に分類し、図解にまとめました。

右上の「伴走型×高度ニーズ型」には、Hinge HealthやSword Health、Vori Healthのように医師・理学療法士が継続的に治療計画を管理するサービスが集まります。左下の「セルフ完結×軽度ニーズ型」には、リハカツやデジリハのように日常的な運動習慣づくりを本人・家族が主体的に進めるタイプが入ります。自社の従業員がどの象限のニーズを抱えているかを先に把握することが、製品選定の出発点になります。
Q. 医療者伴走型とセルフケア型はどちらを選ぶべきですか?
抱えている症状の重さで選びます。術後の回復や神経症状など医療的な管理が必要な場合は伴走型、運動不足の解消や姿勢改善などの軽い目的であればセルフケア型で十分なことが多いです。企業として制度に組み込む場合は、対象者の症状の分布を確認してから選ぶのが現実的です。
企業が導入を検討する際の3つの視点
オンラインリハビリサービスを福利厚生や健康経営施策として導入する場合、価格や知名度だけで選ぶと運用が定着しません。ここでは、検討時に確認しておきたい3つの視点を整理します。
対象となる症状・従業員のニーズに合っているか
腰痛・肩こりのような軽度で慢性的な不調が中心なのか、術後リハビリや神経症状のような医療的な管理が必要なケースが多いのかによって、適したサービスは変わります。まずは産業医面談やストレスチェックなどの既存データから、従業員がどのような運動器の不調を抱えているかを把握しておくと選定がぶれません。運動器の疲労状態を客観的に把握したい場合は、スポーツ現場の筋疲労を測る計測ツール3選で紹介している計測機器の考え方も参考になります。
導入形態|個人契約か、福利厚生・保険連携か
リハモやリハカツのように個人が自由診療として直接契約するタイプと、Hinge HealthやSword Healthのように企業や医療保険プランを通じて提供されるタイプとでは、導入の窓口も費用の負担者も異なります。すでに健康経営の一環で座りすぎ対策やストレッチ習慣づけに取り組んでいる企業であれば、既存の施策との連携も検討しやすくなります。あわせて座りすぎ防止アプリ11選|運動不足解消で健康経営も参考にしてください。
継続率とデータ活用|記録を健康経営に活かせるか
リハビリは一度きりの利用では効果が出にくく、継続率が成果を左右します。トレーニングの実施記録やスコアをデータとして蓄積できるサービスであれば、健康経営の取り組みとして社内で効果を可視化しやすくなります。ストレッチや柔軟性ケアのように継続のハードルが低い施策と組み合わせることも有効です。
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Q. オンラインリハビリアプリの導入コストはどのくらいですか?
製品によって幅があります。個人向けのセルフケア型アプリは月額数百円〜数千円程度、リハモのような専門家相談型は1回30分4,500円前後(税別)が目安です。Hinge HealthやSword Healthのような企業向けプラットフォームは従業員数に応じた法人契約となるため、個別の見積もり確認が必要です。
まとめ
オンラインリハビリを支援するアプリ・サービスについて、要点を振り返ります。
- オンラインリハビリは、アプリやビデオ通話を使って自宅でリハビリを進める仕組みで、厚生労働省も遠隔医療の普及を政策として後押ししている
- 紹介した10製品は、専門職が継続的に管理する「伴走型」と、本人・家族が主体的に進める「セルフケア型」の2つに大きく分かれる
- 国内サービスは自由診療での個人契約が中心、海外の主要サービスは企業・保険プラン経由での提供が中心という違いがある
- 導入検討では、対象となる症状の重さ、契約形態、継続率とデータ活用のしやすさという3つの視点で比較するとぶれにくい
- 製品ごとに提供形態や対象が異なるため、公式サイトで最新の対応範囲を確認したうえで選定することが欠かせない
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