協賛しているJリーグのクラブから、契約の更新の案内が届いた。これまでは年明けに1年分をまとめて決めていたのに、今年は春と夏の2回に分かれている。担当者に聞くと「秋春制になったので」と言う。自社の決算は3月。来年度の予算を組む時期に、クラブの順位もカテゴリーもまだ決まっていない。
秋春制とは、秋(8月)に開幕して翌年の春(5月から6月)に閉幕するシーズンの組み方です。Jリーグは「シーズン移行」と呼び、2026/27シーズンから実施しました。J1は2026年8月7日に開幕し、冬の中断をはさんで2027年6月6日に閉幕します。この記事では、言葉の意味、日程、移行の理由、雪国への影響と支援、キャンプ地の変化、そして企業や自治体の年度とのずれと、協賛の契約で確かめる点を、Jリーグの発表と自治体の資料をもとに整理します。
秋春制とは8月に開幕して翌年の5〜6月に閉幕するシーズンの組み方
秋春制(あきはるせい)は通称です。Jリーグの発表や資料では「シーズン移行」という言葉が使われています。これまでのJリーグは、2月の第3週ごろに開幕し、12月の第1週ごろに閉幕していました。移行後は、8月に開幕し、12月の中旬まで試合をして、冬に中断の期間(ウインターブレーク)を置き、2月の中旬に再開して、5月から6月に閉幕します。
Jリーグは2023年12月19日の理事会で、2026/27シーズンからの移行を決めました。この議論は初めてではありません。2017年12月には、日本サッカー協会からの提案を理事会が否決し、移行しない理由を9つ公表しています。そのなかには、学校の年度とずれること、企業の期とずれることが含まれていました。2023年は、同じ点を懸念として認めたうえでの決定です。
なお、女子のプロリーグであるWEリーグは、2021年の開幕のときから秋に始まる日程です。バスケットボールのBリーグも秋に開幕します。
(参考)2026-27シーズンからのシーズン移行について(2023年12月19日) – Jリーグ
(参考)Jリーグ「シーズン移行」〜次の30年に向けて〜(説明資料) – Jリーグ
(参考)2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録 – Jリーグ
Q. 秋春制とは何ですか?
秋(8月)に開幕して、翌年の春(5月から6月)に閉幕するシーズンの組み方です。Jリーグは「シーズン移行」と呼び、2026/27シーズンから実施しました。これまでは2月に開幕して12月に閉幕していました。移行後は、12月の中旬から2月の中旬まで、冬の中断の期間を置きます。
Jリーグの秋春制の日程|J1は8月7日開幕で2027年6月6日に閉幕
2026/27シーズンの日程は、J1と、J2・J3で少し違います。
| 項目 | J1 | J2・J3 |
|---|---|---|
| 開幕 | 2026年8月7日(金) | 2026年8月8日(土) |
| 年内の最後の節 | 第20節 12月19日 | 第22節 12月12日・13日 |
| 再開 | 2027年2月13日(土) | 2027年2月20日(土) |
| 閉幕(第38節) | 2027年6月6日(日) | 2027年5月23日(日) |
2026/27シーズンの日程(出典:Jリーグの2025年10月28日・2026年6月16日の発表)
試合の数は、移行の前と同じ38節です。2023年に決めたときは「5月の最終週ごろに閉幕」と説明されていましたが、実際のJ1の閉幕は6月6日になりました。昇格をかけたプレーオフの決勝と、J3とJFLの入れ替え戦の第2戦は、6月5日・6日に行われます。昇格や降格が決まるのは、5月の下旬から6月の上旬です。
移行の前の半年にあたる2026年2月から6月には、特別大会が行われました。J1の20クラブによる大会と、J2・J3の40クラブによる大会の2つで、昇格と降格はなく、引き分けの場合はPK戦で勝敗を決める方式でした。
新しいシーズンの出足は好調です。8月7日から9日の開幕節は、J1・J2・J3の合計で476,112人が入場し、1節あたりの最多を更新しました。J1の10試合は304,292人で、収容率は85.9%でした。ただし、冬の試合の入場者数はまだ出ていません。移行で観客が増えたか減ったかは、この時点では判断できません。
(参考)2026/27シーズン 明治安田Jリーグの開催期間を決定(2025年10月28日) – Jリーグ
(参考)2026/27明治安田Jリーグ 対戦カード決定(2026年6月16日) – Jリーグ
(参考)2026年前半 シーズン移行期の特別大会について(2024年12月17日) – Jリーグ
(参考)2026/27明治安田Jリーグ 開幕節の入場者数について(2026年8月9日) – Jリーグ
Q. Jリーグの秋春制はいつからで、日程はどうなりますか?
2026/27シーズンから始まりました。J1は2026年8月7日に開幕し、12月19日の第20節のあと冬の中断に入り、2027年2月13日に再開して、6月6日に閉幕します。J2とJ3は8月8日に開幕し、2027年5月23日に閉幕します。昇格や降格が決まるのは、5月の下旬から6月の上旬です。
Jリーグはなぜ秋春制にしたのか|公式に挙げた3つの理由
Jリーグは説明の資料のなかで、解決したい問題を挙げています。主なものは3つです。
アジアの大会とシーズンがずれた
アジアのクラブの大会であるACLが、2023年から秋に始まる日程に変わりました。Jリーグのクラブは、国内のシーズンをまたいでACLを戦うことになりました。Jリーグは、検討のきっかけの1つがACLの変更だったと説明しています。
(参考)2026-27シーズンからのシーズン移行について(2023年12月19日) – Jリーグ
欧州の移籍の時期とずれている
世界の移籍の市場は、夏に最も大きくなります。Jリーグの資料は、国際サッカー連盟の調べとして、移籍金の総額を夏が約1兆300億円、冬が約2,200億円と示しています。これまでのJリーグでは、夏はシーズンの途中でした。主力がシーズンの途中で海外に移る問題と、移籍金を得る機会の両方に関わります。移籍金の仕組みは移籍金とはで扱っています。
(参考)Jリーグ「シーズン移行」〜次の30年に向けて〜(説明資料) – Jリーグ
猛暑で選手の動きが落ちている
資料によると、J1では、時速20キロ以上で走る距離が、開幕から6か月後に19.1%減っていました。欧州の5つの主要なリーグでは、開幕から5か月後に9.8%増えています。J1は2022年、欧州は2021-22シーズンのデータです。移行によって、暑い時期の試合の数を減らし、6月から7月を休みの期間にするねらいです。
ただし、開幕は8月の上旬なので、8月と9月の試合は残ります。「猛暑を避けられる」とまでは言えません。移行後に選手の動きがどう変わったかのデータは、まだ出ていません。
(参考)Jリーグ「シーズン移行」〜次の30年に向けて〜(説明資料) – Jリーグ
(参考)2026-27シーズンからのシーズン移行について(2023年12月19日) – Jリーグ
Q. Jリーグはなぜ秋春制にしたのですか?
Jリーグが挙げた主な理由は3つです。アジアの大会であるACLが2023年から秋に始まる日程になり、シーズンがずれたこと。世界の移籍の市場が最も大きい夏が、これまではシーズンの途中だったこと。猛暑の時期に選手の走る距離が落ちていたこと。Jリーグの資料では、J1の高い強度で走る距離は、開幕から6か月後に19.1%減っていました。
秋春制のデメリットと雪国への支援|財源は約108億円

最も大きな課題は、雪の降る地域のクラブです。12月の下旬や2月の上旬は、雪でスタジアムが使えないことがあります。Jリーグの資料は、冬の中断の前に、アウェイの試合が続くクラブが出ると示していました。
アルビレックス新潟は、決定の翌日に公式サイトで見解を出しています。日程の調整、暑さへの対策、行政の年度、学校の制度、観戦の環境などを考えて、移行せずに今の日程で開催したほうがよいとの意見を伝えてきたと説明し、そのうえで決議を受け止めるとしました。
Jリーグは、移行のための財源として約108億円を用意したと説明しています。内訳は、施設の整備に50億円、キャンプの費用の補填に40億円、リスクへの備えに18億円です。
施設の整備の助成は、雪の降る地域のクラブが対象です。空気で膨らませる屋根付きの練習場、ピッチの雪を溶かす設備、ピッチを覆うカバーなどに使えます。1クラブあたりの上限は3億8,000万円で、対象は12クラブです。Jリーグの担当者は会見で、3億8,000万円で収まる施設はあまりなく、ほかの資金の調達が必要になると説明しています。足りない分は、自治体や企業の協力が前提になります。
(参考)Jリーグ「シーズン移行」〜次の30年に向けて〜(説明資料) – Jリーグ
(参考)Jリーグ理事会におけるシーズン移行決議について(2023年12月20日) – アルビレックス新潟
(参考)2025年度 第10回Jリーグ理事会後会見発言録(2025年10月28日実施) – Jリーグ
秋春制でキャンプは冬と夏の2回になる
キャンプの時期も変わりました。これまでは開幕の前の1月から2月でしたが、移行後は、開幕の前の7月と、冬の中断の期間の2回になります。
冬のキャンプ地として知られる沖縄県の報告書によると、2024年1月から3月に県内で行われたサッカーのキャンプは27チームで、経済の波及効果は約21億7,930万円と試算されています。同じ報告書は、移行後のキャンプはシーズンの途中になるため、これまでのように20クラブほどの規模で実施できるかは不透明だと書いています。
一方で、夏のキャンプという新しい需要が生まれました。北海道の発表によると、2026年度は11のクラブが、7月に道内でキャンプを行いました。受け入れたのは、苫小牧市、白老町、室蘭市、札幌市、東川町、函館市、北斗市、七飯町、網走市です。北海道は、今後の誘致や継続に向けて、2026年7月にキャンプの楽しみ方を伝えるイベントも開いています。
Jリーグは、キャンプの費用が増える分を支えるために「キャンプ支援配分金」を新しく設けました。2026/27シーズンから5年間で総額40億円で、最初のシーズンは10億円が配分されます。受け入れる自治体への支援ではなく、クラブへの配分です。
(参考)令和5年度 サッカーキャンプ誘致戦略推進事業 実施報告書(概要版) – 沖縄県
(参考)北海道プロサッカーキャンプ関連イベント「HOKKAIDO SOCCER CAMP 2026」 – 北海道
(参考)2026/27シーズンの配分金について(2026年7月28日) – Jリーグ
秋春制で企業・自治体・学校の年度とのずれが生まれる
企業にとって最も影響が大きいのは、年度のずれです。関係する暦を並べます。
| 暦 | 期間 |
|---|---|
| Jリーグのシーズン | 7月1日〜翌年6月30日(試合は8月上旬〜翌年5月下旬または6月上旬) |
| クラブの決算 | 60クラブのうち53クラブが6月期。7クラブは12月・1月・3月期 |
| 自治体の予算と施設の利用の調整 | 4月〜翌年3月 |
| 学校 | 4月〜翌年3月 |
| 3月決算の企業 | 4月〜翌年3月 |
シーズンと関係する年度(出典:Jリーグ クラブ経営ガイド2025、2025年度クラブ経営情報開示資料、理事会後会見の発言録をもとにHuman Soarが整理)
クラブの多くは、決算期をシーズンに合わせて6月に変えました。Jリーグの資料によると、2026年3月の末の時点で、6月期になるクラブが53、12月期が2、1月期が3、3月期が2です。切り替えの年は、5か月や17か月といった変則の決算になります。前の年の決算とは、そのまま比べられません。
自治体のスタジアムにも影響があります。Jリーグは、スタジアムを持つ自治体の年度と大きくずれることで、会場の確保が難しくなるという意見があったと説明しています。昇格や降格が5月に決まるため、ホームゲームの日程が確定するのは開幕の2か月前になります。
学校を卒業する選手については、これまでどおり冬の時期に加入することを原則にする方針が示されています。以前は開幕の前でしたが、これからはシーズンの途中の加入になります。
決算が変則になる影響を考えて、Jリーグはクラブライセンスの財務の基準に特例を設けました。詳しくは下の記事で扱っています。
あわせて読みたいクラブライセンスとは|Jリーグの基準と債務超過・制裁の扱い›
(参考)2023年度 第10回Jリーグ理事会後会見発言録(2023年10月24日実施) – Jリーグ
(参考)2023年度 第11回Jリーグ理事会後会見発言録(2023年11月28日実施) – Jリーグ
(参考)2026/27シーズンに向けクラブライセンス制度を改定(2025年9月18日) – Jリーグ
企業が秋春制のもとで協賛契約を結ぶときに確かめる4つのこと

協賛する企業の側で、確かめておきたい点を4つにまとめました。
契約の期間がシーズンと合っているか
Jリーグのシーズンは、7月1日から翌年の6月30日までです。リーグ自身のパートナー契約は、移行の前の半年を「特別シーズン」として、2026年1月1日から6月30日までの6か月の契約にしました。クラブとの契約も、始まりと終わりがシーズンの切れ目と合っているか、シーズンの途中の12月で切れないかを確かめます。
(参考)2026特別シーズン Jリーグパートナー契約について(2025年12月25日) – Jリーグ
(参考)2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録 – Jリーグ
(参考)2026/27明治安田Jリーグ 対戦カード決定(2026年6月16日) – Jリーグ
クラブの決算期と協賛金が計上される期
クラブが6月期に変えたのか、12月・1月・3月期のままなのかで、協賛金がどの期の売上になるかが変わります。3月決算の企業から見ると、1つのシーズンが自社の2つの年度にまたがります。8月から翌年の3月までが当期、4月から6月が翌期です。
昇格や降格が決まる時期と自社の予算の時期
昇格や降格が決まるのは、5月の下旬から6月の上旬です。3月決算の企業が翌年度の予算を固める時期には、クラブが翌シーズンにどのカテゴリーにいるかがわかりません。2017年に移行が否決されたときも、企業の期の途中に昇格や降格が決まることの難しさが理由に挙げられていました。カテゴリーが変わったときに金額や露出の条件をどうするかを、契約に書いておくと安心です。契約で確かめる点は、下の記事で整理しています。
あわせて読みたいスポーツスポンサー契約とは|企業が確かめる6項目と印紙・法律›
ホームゲームがない期間とキャンプの活用
冬の中断の期間は、J1で約8週間、J2とJ3で約10週間あります。雪の降る地域のクラブは、その前後もアウェイの試合が続くことがあります。看板や招待の機会がない期間が、いつからいつまでかを確かめます。一方で、キャンプが夏と冬の2回になったので、キャンプ地での活動という新しい場面も生まれています。
Jリーグのクラブと協賛の全体像はサッカーのスポンサー一覧で、業界全体の課題は日本スポーツ業界の8つの課題で扱っています。
(参考)2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録 – Jリーグ
Q. 秋春制でスポンサー契約はどう変わりますか?
Jリーグのシーズンが7月1日から翌年の6月30日までになったため、契約の期間をシーズンに合わせる必要が出てきます。Jリーグ自身のパートナー契約は、移行の前の半年を6か月の契約にしました。3月決算の企業から見ると、1つのシーズンが2つの年度にまたがります。昇格や降格が決まるのは5月の下旬から6月の上旬なので、カテゴリーが変わったときの条件を契約に書いておくと安心です。
まとめ|秋春制は暦のずれを先に確かめる
秋春制は、試合の時期だけでなく、お金と契約の暦を変える仕組みです。要点を振り返ります。
- 秋春制は、8月に開幕して翌年の5月から6月に閉幕する組み方。Jリーグは2026/27シーズンから実施した
- J1は2026年8月7日に開幕し、冬の中断をはさんで2027年6月6日に閉幕する
- 理由は、アジアの大会とのずれ、欧州の移籍の時期とのずれ、猛暑での選手の動きの低下
- 雪の降る地域への施設の助成は1クラブ3億8,000万円が上限で、財源の全体は約108億円
- クラブの53が6月期の決算に変わり、企業・自治体・学校の年度とずれる
協賛しているクラブがあれば、契約の始まりと終わりの日、クラブの決算期、昇格や降格で条件がどう変わるかの3点を、次の更新の前に確かめてみてください。自社の予算の時期と合わせて見ると、どこを調整すればよいかがわかります。
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