秋田県には、企業が社員として選手を雇用して運営する実業団が4チームあります。野球、バドミントン、バスケットボール2チームで、いずれも公式サイトで活動状況を公開しています。都市対抗野球で全国優勝した経験を持つチームもあれば、設立10年でWリーグまで上がったチームもあります。各チームの規模と、選手がどう働いているかまで、公式情報で確認して整理しました。
秋田県の実業団は4チーム
まず一覧です。競技も、運営する企業の業種も、創部からの年数もばらばらです。
| チーム | 競技 | 運営企業 | 創部・設立 | 拠点 |
|---|---|---|---|---|
| TDK硬式野球部 | 野球(男子) | TDK | 1959年 | にかほ市 |
| 北都銀行バドミントン部 | バドミントン(女子) | 北都銀行 | 1971年 | 秋田市 |
| JR東日本秋田 ペッカーズ | バスケットボール(男子) | JR東日本 秋田支社 | 昭和22年(1947年) | 秋田市 |
| プレステージ・インターナショナル アランマーレ | バスケットボール(女子) | プレステージ・インターナショナル | 2015年4月 | 秋田市 |
出典:各チーム公式サイト(2026年9月20日時点)
創部年に70年近い開きがある
最も古いのはペッカーズで昭和22年、つまり戦後すぐの1947年です。最も新しいアランマーレは2015年で、開きは68年あります。企業スポーツというと古くからの制度に見えますが、新しく始めた企業もあるということです。
1つの県に同じ競技が2チーム
バスケットボールが男女それぞれ1チームずつあります。ペッカーズが男子、アランマーレが女子です。運営する企業は鉄道と、保険・金融のBPOを手がける会社で、業種はまったく違います。
(参考)北都銀行|S/Jリーグ チーム紹介 – 日本バドミントン協会
(参考)JR秋田支社バスケットボール部 ペッカーズ – JR東日本
(参考)チームについて – アランマーレ秋田バスケットボールチーム
TDK硬式野球部|秋田で唯一の全国制覇
4チームの中で全国優勝の経験があるのはTDKだけです。拠点はにかほ市で、TDKの創業の地にあたります。
1959年創部、都市対抗18回出場
創部は1959年です。1973年の第44回都市対抗野球大会で初出場を果たし、翌1974年には第1回日本選手権野球大会にも初出場しました。
公式サイトが公表している通算成績は、都市対抗野球大会が出場18回・優勝1回、日本選手権野球大会が出場14回です。
2006年、第77回都市対抗野球大会で初優勝
優勝は2006年の第77回大会です。社会人野球の最高峰である都市対抗で頂点に立った企業チームは限られており、秋田県の実業団としては唯一の記録です。
選手とスタッフで39名
公式サイトの選手・スタッフ紹介には39名が掲載されています。うち役職の記載があるスタッフが11名で、部長、副部長、監督、コーチ、マネージャーなどが置かれています。投手、捕手、内野手、外野手の区分で選手が紹介されており、それぞれ生年月日、出身校、今シーズンの抱負が公開されています。
チームスローガンは「All Out ~新たな歴史への挑戦~」です。
北都銀行バドミントン部|1971年創部の女子トップリーグ
日本バドミントン協会が運営するS/Jリーグに所属する女子チームです。秋田県からの参加はこのチームだけです。
創部は1971年、50年以上続いている
創部は1971年で、半世紀以上にわたって活動が続いています。事務局は秋田市中通に置かれ、練習に使う体育館は秋田県スポーツ科学センターです。
選手8名、監督は元日本代表の佐々木翔
リーグ公式サイトに掲載されている選手は8名です。スタッフはオーナー、部長、監督、コーチ、トレーナー、マネジャーが置かれ、監督は佐々木翔が務めています。選手の1人である田中果帆はマネジャーを兼務しており、競技と運営の両方を担う形になっています。
リーグ成績は最高2位
S/Jリーグでの過去最高順位は2017年の2位で、2024年はSブロック4位でした。全日本実業団でも過去最高は2017年の2位、2025年は5位です。トップを争える位置にはありますが、優勝には届いていません。
企業PRとして「一人ひとりの情熱と知恵と挑戦で、東北を幸せと希望の産地にします」という文言がリーグのチームページに掲載されています。競技チームのページが企業のメッセージを伝える場にもなっている例です。
(参考)北都銀行|S/Jリーグ チーム紹介 – 日本バドミントン協会
JR東日本秋田 ペッカーズ|選手の所属部署が公開されている

実業団とプロの違いがいちばん分かりやすいのがこのチームです。選手紹介に、1人ずつの社内の所属部署が書かれています。
17名が4つの部署に分かれて働いている
公式サイトに掲載されている選手は17名です。所属は総務部が7名、事業推進部が6名、設備部が3名、安全企画ユニットが1名となっています。
つまり全員が鉄道会社の社員として配属先を持ち、そのうえで競技をしています。プロ契約の選手が所属先として企業名を掲げているのとは、根本的に仕組みが違います。
秋田県出身は17名中1名だけ
出身地を数えると、秋田県出身は1名です。残る16名は北海道、青森県、山形県、茨城県が2名、千葉県、埼玉県、東京都、山梨県、福井県、兵庫県、福岡県、鹿児島県が2名、そしてマリ共和国とウガンダ共和国から各1名です。出身校は11校に分かれています。
地元の選手を集めたチームではなく、全国と海外から人を採って秋田で働いてもらう仕組みだということが、この数字から分かります。実業団は地域スポーツの受け皿であると同時に、企業にとっては採用の経路でもあります。
2026年は県内の主要大会で2つ優勝
2026年5月17日の第81回秋田県男女総合バスケットボール選手権大会(第102回天皇杯・第93回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファーストラウンド 秋田県ラウンド)と、2026年7月5日の第77回秋田県民スポーツ大会バスケットボール競技で、いずれも優勝しています。
チーム名は白神山地のクマゲラから
ペッカーズの由来は、秋田県と青森県の県境にある白神山地に生息する天然記念物の野鳥クマゲラ(ブラックウッドペッカー)です。小さな体で大きな樹に挑むように、東北人特有の粘り強さと強靭な体力・正確な技術を兼ね備えたチームになりたい、という願いが込められています。練習場は秋田ノーザンゲートスクエアです。
(参考)JR秋田支社バスケットボール部 ペッカーズ – JR東日本
アランマーレ秋田|10年でWリーグまで上がった

4チームの中で最も新しく、そして最も急激に競技レベルを上げてきたのがアランマーレです。
2015年、女性の活躍を掲げて設立
株式会社プレステージ・インターナショナルが「地域を元気にしたい」「女性の活躍を応援したい」という考えから設立しました。2015年4月に山形県酒田市の女子バレーボールチームと秋田県秋田市の女子バスケットボールチーム、2016年4月に富山県射水市の女子ハンドボールチームが加わり、3チームとも同じアランマーレという名称です。
チームコンセプトには「地域のみなさまに愛され、共に成長するチーム」「女性が活躍できる場を増やし、女性応援のシンボルとなるチーム」が掲げられています。チーム名はイタリア語でオレンジを意味するaranciaと海を意味するmareを組み合わせた造語で、ファンは「シップメイト」と呼ばれます。
県内大会から全国リーグまでの10年
公開されている戦績を追うと、上がり方が分かります。2015年から2016年度は主に県内大会に出場する段階でした。2016年9月に全日本実業団バスケットボール競技大会へ初出場し、2017年9月には同大会で全国ベスト8に入ります。
2018年度から2020年度は社会人地域リーグ(東北リーグ)を戦い、2021年度に第23回Wリーグへ参入しました。初年度は13チーム中12位です。2022年度は14チーム中10位、2023年度は14チーム中13位と苦戦が続きました。
リーグが2部制になった2024-25シーズンはフューチャーリーグ6チーム中5位、2025-26シーズンは7チーム中3位と順位を上げています。
2026-27のスローガンは昇格
2026-27シーズンのスローガンは「橙志を燃やせ – Rise as one –」で、プレミアリーグ昇格へ向けてチーム、シップメイト、地域とともに立ち向かうと表明しています。
地域活動としては、スポーツ教室の開催、地域の学校を訪問しての食育活動、地域イベントへの参加、交通安全活動などが挙げられています。
(参考)チームについて – アランマーレ秋田バスケットボールチーム
(参考)Aranmare 公式サイト – プレステージ・インターナショナル
同じ秋田の実業団でも、人の集め方が違う
TDK硬式野球部とJR東日本秋田ペッカーズは、どちらも秋田県の実業団です。しかし選手の出身を並べると、集め方がまったく違うことが分かります。
| 項目 | TDK硬式野球部 | JR東日本秋田 ペッカーズ |
|---|---|---|
| 公式サイト掲載人数 | 39名(スタッフ含む) | 17名(選手) |
| 秋田県内の学校出身 | 13名 | 1名 |
| 出身校の数 | 26校 | 11校 |
| 高校から直接入社 | 7名 | 記載なし(全員が大学出身) |
| 海外出身 | 記載なし | 2名(マリ共和国、ウガンダ共和国) |
出典:TDK「選手・スタッフ」およびJR東日本「ペッカーズ 選手紹介」の掲載内容を2026年9月20日に集計。TDKは出身校名から秋田県内の学校を数えた。
TDKは地元の高校から採っている
TDKの39名のうち13名が秋田県内の高校出身です。本荘高、金足農業高、秋田商業高、能代松陽高、角館高、大曲高、由利高、由利工業高、湯沢翔北高、ノースアジア大明桜高、秋田経法大付高と、県内各地の学校名が並びます。そのうち7名は高校から直接入社しており、大学を経ていません。
高校野球が盛んな県で、地元の選手が卒業後も県内で競技を続けられる受け皿になっている、という構図が見えます。
ペッカーズは全国と海外から採っている
一方のペッカーズは、秋田県出身が17名中1名です。北海道から鹿児島県まで14の都道府県と、マリ共和国、ウガンダ共和国から選手が集まっています。
この違いは競技の事情によるものと考えられます。県内に有力な供給源がある野球と、全国規模で選手を探す必要があるバスケットボールでは、採用の範囲が変わります。
企業にとっての意味は違ってくる
地元から採るチームは、地域での雇用と定着に効きます。全国から採るチームは、県外から人を呼び込む経路になります。どちらが優れているという話ではなく、企業が競技部に何を期待するかで形が変わるということです。
採用を人材戦略の一部として設計する考え方は人材育成会社の選び方でも触れています。
(参考)JR秋田支社バスケットボール部 ペッカーズ – JR東日本
実業団とプロは何が違うか
ここまでの4チームを見たうえで、あらためて整理します。
| 項目 | 実業団 | プロクラブ |
|---|---|---|
| 選手の立場 | 企業の社員。部署に配属される | クラブと契約したプロ選手 |
| 運営主体 | 企業の一部門(○○部) | 独立した運営法人 |
| 収入源 | 企業の予算 | スポンサー収入、入場料、物販など |
| 引退後 | 社員として勤務を続けられる | 次の所属先を探す |
出典:本記事で扱った4チームの公式サイト記載内容をもとに整理(2026年9月20日時点)
所属部署の公開が何を意味するか
ペッカーズが選手ごとに総務部、事業推進部、設備部と明記しているのは、単なる情報公開ではありません。競技を続けながら会社の業務にも就いているという事実を示すものです。
秋田県内で見ると、プロクラブには秋田ノーザンハピネッツ(バスケットボール)やブラウブリッツ秋田(サッカー)があります。同じ競技でも、ペッカーズとノーザンハピネッツでは選手の立場がまったく違います。
境界はあいまいになってきている
ただし線引きは単純ではありません。アランマーレはWリーグという全国リーグで戦っており、競技レベルではプロクラブと変わらない環境にあります。一方で運営は企業が担っています。
企業がスポーツチームを持つ形は1つではなく、全国の事例は企業スポーツチームを持つ会社一覧で整理しています。
企業が競技部を持つと何が起きるか
4チームの公開情報から読み取れる範囲で、企業側の見え方を整理します。
採用|全国と海外から人が集まる
ペッカーズの出身地の内訳が示すとおり、競技部は全国からの採用経路として機能しています。秋田県内で働き手を確保するのが難しい業種にとって、これは無視できない仕組みです。マリ共和国とウガンダ共和国出身の選手が在籍していることからも、範囲が国内に限られていないことが分かります。
採用の観点から人材育成を考える場合は人的資本投資とはの整理もあわせて参考になります。
広報|地域での露出が継続的に生まれる
北都銀行はリーグのチームページに企業メッセージを掲載しています。アランマーレは地域の学校を訪問しての食育活動や交通安全活動を行っています。どちらも、広告枠を買うのとは違う形で企業名が地域に出続ける仕組みです。
引退後の受け皿がある
社員である以上、競技を退いたあとも勤務を続けられます。プロ選手が引退後の進路を自分で探さなければならないのに対し、実業団には制度としての受け皿があります。企業から見れば、競技経験を積んだ社員が現場に戻ってくることになります。
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秋田で実業団を調べるときの注意点
「実業団」という呼び方は統一されていない
チームの呼称は「○○部」「クラブ」「チーム」とばらばらで、公式サイトでも実業団という語を使っていない場合があります。TDKは「企業スポーツ活動」という見出しでまとめており、JR東日本は「JR秋田支社バスケットボール部」と部署名のように表記しています。検索で見つからない場合は、企業名と競技名で探すほうが早道です。
休部・廃部の情報は残りにくい
企業スポーツは景気や経営判断の影響を受けます。過去に活動していたチームの情報はウェブ上に残り続けるため、現在も活動しているかは公式サイトの更新日で確認してください。本記事の4チームは、いずれも2026年の試合結果や活動報告が公開されていることを確認しています。
プロクラブと混同しやすい
秋田県には秋田ノーザンハピネッツやブラウブリッツ秋田といったプロクラブもあります。バスケットボールは男女それぞれに実業団とプロが存在するため、チーム名で区別する必要があります。
(参考)JR秋田支社バスケットボール部 ペッカーズ – JR東日本
よくある質問
Q. 秋田県の実業団は何チームありますか?
公式サイトで活動を確認できるのは4チームです。TDK硬式野球部(にかほ市・野球)、北都銀行バドミントン部(秋田市・バドミントン)、JR東日本秋田ペッカーズ(秋田市・男子バスケットボール)、プレステージ・インターナショナル アランマーレ(秋田市・女子バスケットボール)です。
Q. 実業団の選手は社員として働いているのですか?
チームによりますが、JR東日本秋田ペッカーズは選手17名の所属部署を公開しており、総務部7名、事業推進部6名、設備部3名、安全企画ユニット1名となっています。企業の社員として配属先を持ちながら競技をしている形です。
Q. 秋田県の実業団で全国優勝した経験があるチームはありますか?
TDK硬式野球部が2006年の第77回都市対抗野球大会で優勝しています。通算では都市対抗野球大会に18回出場して優勝1回、日本選手権野球大会に14回出場しています。
Q. 実業団は地元出身の選手が中心ですか?
必ずしもそうではありません。JR東日本秋田ペッカーズの場合、選手17名のうち秋田県出身は1名で、ほかは全国14の都道府県とマリ共和国・ウガンダ共和国の出身です。
Q. 実業団とプロチームはどう違いますか?
選手の立場と運営主体が違います。実業団は企業の一部門で、選手は社員として部署に配属されます。プロクラブは独立した運営法人で、選手はクラブと契約したプロです。引退後に社員として勤務を続けられる点も実業団の特徴です。
Q. 新しくできた実業団もありますか?
あります。プレステージ・インターナショナル アランマーレは2015年4月に設立され、2021年度にWリーグへ参入しました。2025-26シーズンはフューチャーリーグ7チーム中3位で、プレミアリーグ昇格を目標に掲げています。
(参考)チームについて – アランマーレ秋田バスケットボールチーム
(参考)北都銀行|S/Jリーグ チーム紹介 – 日本バドミントン協会
まとめ
- 秋田県の実業団は4チーム:TDK硬式野球部、北都銀行バドミントン部、JR東日本秋田ペッカーズ、プレステージ・インターナショナル アランマーレ
- 創部年の開きは68年:最古は1947年のペッカーズ、最新は2015年のアランマーレ
- 全国優勝はTDKの1回:2006年の第77回都市対抗野球大会。通算18回出場
- 選手は社員として部署に所属する:ペッカーズは17名の配属先を公開している
- 地元出身とは限らない:ペッカーズの秋田県出身は17名中1名
- 新設のチームも伸びている:アランマーレは設立6年でWリーグ参入、現在はプレミアリーグ昇格を目標にしている
企業がスポーツを人材育成や組織づくりに使う方法は、チームを持つ以外にもあります。
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