スタジアムグルメ運営会社10社|企業の参入モデル比較

スタジアムグルメ運営会社10社の参入モデル比較 スポーツビジネス

試合開始前のスタンドで漂う焼き鳥の匂い、7回裏の売店に並ぶ長い列、選手プロデュースメニューを求めてSNSで話題になる新商品。スタジアムグルメは今や観戦体験そのものを左右する要素になっていますが、「あの売店の中身を誰が作っているのか」を意識したことがある読者は多くないはずです。

結論から言うと、スタジアムの飲食サービスには大きく2つのプレイヤーがいます。球場を保有・運営する会社が飲食も自ら手掛ける「直営型」と、球場の外から専門のフードサービス企業が運営を受託する「外部委託型」です。本記事では、この2つのモデルに沿って国内10社を比較し、企業がこの市場と関わる際のポイントを整理します。

SELF CHECK

その疲れは、
どこから来ているのか

12の質問で、いま自分に効いている負荷を「量とペース/裁量/人間関係/回復」の4つに切り分けます。約2分・登録不要、回答は保存されません。

セルフチェックをする ▶
  1. スタジアムグルメ・飲食サービス業界とは|誰が売店の中身を作っているのか
  2. スタジアムを直営で運営する会社5社|球場そのものを管理する会社
    1. 株式会社ウエルネス阪神|阪神甲子園球場の飲食を一括運営
    2. 株式会社横浜スタジアム|ハマスタの飲食売店を自社運営
    3. 株式会社大阪シティドーム|京セラドーム大阪のモール運営
    4. 株式会社東京スタジアム|味の素スタジアムのフードコート運営
    5. 株式会社東京ドーム|遊園地・ホテルと一体運営する飲食&物販部
  3. 全国のスタジアムへ飲食サービスを供給する専門企業5社|外部委託型のプレイヤー
    1. エームサービス株式会社|2007年参入・8球場でスタジアム飲食を受託
    2. 株式会社LEOC|横浜FCなどアスリート施設の食事提供を受託
    3. 株式会社ダイナック|有明アリーナなど大型スポーツ施設の飲食を運営
    4. シダックス株式会社|公共・観光施設のレストラン・カフェ運営を受託
    5. ロイヤルフードサービス株式会社|みずほPayPayドームのホークスカフェを運営
  4. 直営型と外部委託型|10社を2つの参入モデルで図解整理
    1. 直営型|球場運営会社が意思決定権を持つモデル
    2. 外部委託型|複数施設へ横展開する専門企業が窓口になるモデル
  5. エームサービスに見る参入の広がり|2007年から17年間で8球場を受託
  6. 企業がスタジアム飲食市場に参入・提携する際に押さえたい3つの視点
    1. 視点1|直営型施設には運営会社への直接提案が必要
    2. 視点2|外部委託型には専門企業経由での横展開を検討する
    3. 視点3|地域産品・自社ブランドの持ち込みは施設側の選定条件を確認する
  7. まとめ|スタジアムグルメ運営10社と参入のポイント

スタジアムグルメ・飲食サービス業界とは|誰が売店の中身を作っているのか

プロ野球・Jリーグのスタジアムやドーム球場では、来場者向けの飲食提供の担い手が施設ごとに異なります。球場運営会社が自社の一部門として飲食を運営するケースもあれば、給食・レストラン経営のノウハウを持つ専門企業に運営を委託するケースもあります。

エームサービス株式会社は2007年にスタジアムビジネスへ参入し、以降ZOZOマリンスタジアムや横浜スタジアムなど全国8つの野球場でフードサービスを受託してきました。一方、阪神甲子園球場や横浜スタジアムのように、球場運営会社自身が売店を直営するケースも存在します。どちらのモデルが優れているというより、施設の成り立ちや自治体との関係性によって選ばれる仕組みが異なります。

Q. スタジアムの売店は誰が運営していますか?

球場運営会社が自社で直営する場合と、給食・レストラン運営の専門企業へ委託する場合の2パターンがあります。どちらのモデルかは施設の設立経緯や運営体制によって異なります。

スタジアムを直営で運営する会社5社|球場そのものを管理する会社

まず、球場・ドームの管理運営会社が自ら飲食サービスも手掛けている5社を紹介します。いずれも球場運営の一部として売店やレストランを直接運営しており、外部への委託を介さない点が特徴です。

株式会社ウエルネス阪神|阪神甲子園球場の飲食を一括運営

株式会社ウエルネス阪神は、阪神電気鉄道が100%出資する子会社で、1990年9月の設立です。阪神甲子園球場における飲食店の受託運営、阪神タイガース選手食堂の運営、名物「甲子園カレー」の販売・卸売のほか、タイガースのチームショップ・ファンショップの運営も手掛けています。

(参考)会社情報 – 株式会社ウエルネス阪神

株式会社横浜スタジアム|ハマスタの飲食売店を自社運営

株式会社横浜スタジアムは、横浜公園内の多目的球場「横浜スタジアム(ハマスタ)」そのものを保有・運営する会社です。場内の複数のフードショップを自社サイトで案内しており、横浜DeNAベイスターズの選手プロデュースメニューなども球場の運営体制のもとで提供されています。

(参考)フードショップ – 横浜スタジアム

株式会社大阪シティドーム|京セラドーム大阪のモール運営

株式会社大阪シティドームは1992年1月設立、資本金2億5千万円の会社で、京セラドーム大阪の多目的ホール経営・管理に加え、飲食店・物販店の経営そのものを事業内容に掲げています。2階の「スタジアムモール」をはじめとする場内飲食エリアの運営主体です。

(参考)京セラドーム大阪 公式サイト

株式会社東京スタジアム|味の素スタジアムのフードコート運営

株式会社東京スタジアムは、味の素株式会社とはネーミングライツ契約の関係にあるのみで、施設そのものの管理・運営主体です。場内のフードコート「ポケットガーデン」をはじめとする飲食施設の運営を担っています。

(参考)会社概要 – 味の素スタジアム

株式会社東京ドーム|遊園地・ホテルと一体運営する飲食&物販部

株式会社東京ドームは1936年12月設立、東京ドームシティ全体の開発・運営を手掛ける総合エンターテインメント企業です。営業本部の下に「飲食&物販部」を設置し、球場内外の飲食・物販事業を自社で展開しています。

(参考)会社概要 – 株式会社東京ドーム

全国のスタジアムへ飲食サービスを供給する専門企業5社|外部委託型のプレイヤー

次に、球場の外側から飲食運営そのものを受託する専門企業5社を紹介します。給食・レストラン経営で培ったノウハウを複数のスタジアムへ横展開している点が、直営型との違いです。

エームサービス株式会社|2007年参入・8球場でスタジアム飲食を受託

エームサービス株式会社は、三井物産と米国アラマーク社の合弁により1976年に設立された給食サービス会社です。2007年にスタジアムビジネスへ参入して以降、ZOZOマリンスタジアム、横浜スタジアム、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島、京セラドーム大阪、ナゴヤドームなど8つの野球場でフードサービスを受託し、選手プロデュースメニューの開発やアスリートへの栄養サポートも手掛けています。

(参考)スタジアム/エンターテインメント施設のフードサービス – エームサービス株式会社

株式会社LEOC|横浜FCなどアスリート施設の食事提供を受託

株式会社LEOCは、全国3,000カ所以上の施設に食事サービスを提供する給食委託会社です。2005年からJリーグ横浜FCのオフィシャルクラブパートナーとして協賛し、2007年には専用施設「横浜FC・LEOCトレーニングセンター」を開設。管理栄養士・調理師によるアスリート向けの栄養管理・食事提供を強みとしています。

(参考)アスリートの食事・栄養管理 – 株式会社LEOC

株式会社ダイナック|有明アリーナなど大型スポーツ施設の飲食を運営

株式会社ダイナックは1958年、サントリーの関係会社として設立された飲食店経営企業です。約50ブランドの直営店舗運営に加え、「スポーツ・レジャー施設運営」を6つの事業の柱の一つに掲げ、全国約90カ所のゴルフ場や有明アリーナなど大型スポーツ・レジャー施設の飲食運営を手掛けています。

(参考)ダイナック公式サイト

シダックス株式会社|公共・観光施設のレストラン・カフェ運営を受託

シダックス株式会社は1960年創業のシダックスグループの持株会社です。グループ会社のシダックスコントラクトフードサービスを通じて、テーマパーク・公園・公共施設・観光施設向けにレストラン・カフェの運営を受託しており、大型集客施設における飲食運営のノウハウをスタジアムと同様の環境で培っています。

(参考)レストラン・カフェ運営 – シダックス

ロイヤルフードサービス株式会社|みずほPayPayドームのホークスカフェを運営

ロイヤルフードサービス株式会社は、ロイヤルホールディングスグループで外食産業を担う企業です。みずほPayPayドーム福岡のコンコース内で「ホークスカフェ by ROYAL」を運営し、福岡ソフトバンクホークスの選手とのタイアップメニューなどを展開しています。

(参考)ホークスカフェ 2021年シーズンの新“スタ飯” – ロイヤルホールディングス株式会社

直営型と外部委託型|10社を2つの参入モデルで図解整理

ここまで紹介した10社を、Human Soarが「誰が飲食運営の意思決定権を持つか」という軸で整理しました。同じ「スタジアムグルメ」でも、担い手の立場によって企業が関わる際の窓口が変わってきます。

企業名 種別 主な運営施設 特徴
株式会社ウエルネス阪神 直営型 阪神甲子園球場 鉄道会社系・選手食堂も運営
株式会社横浜スタジアム 直営型 横浜スタジアム 球団と連携した企画メニュー
株式会社大阪シティドーム 直営型 京セラドーム大阪 物販・駐車場まで一体運営
株式会社東京スタジアム 直営型 味の素スタジアム フードコートを直接運営
株式会社東京ドーム 直営型 東京ドーム 遊園地・ホテルと一体運営
エームサービス株式会社 外部委託型 8球場(2007年~) 複数球場への横展開が最大手
株式会社LEOC 外部委託型 横浜FCトレーニングセンター他 アスリート向け栄養管理に強み
株式会社ダイナック 外部委託型 有明アリーナ他 飲食店経営ノウハウを横展開
シダックス株式会社 外部委託型 テーマパーク・観光施設他 給食・レストラン運営が主軸
ロイヤルフードサービス株式会社 外部委託型 みずほPayPayドーム福岡 外食チェーンのノウハウを活用

各社公式サイト・プレスリリースをもとにHuman Soarが集計・作成(2026年9月時点)。

直営型|球場運営会社が意思決定権を持つモデル

直営型は、球場・ドームを保有または長期運営する会社自身が飲食も担うため、企業が新メニューや協賛企画を持ち込む際の窓口は球場運営会社そのものになります。選手やチームとの連携企画がスピーディーに実現しやすい一方、複数施設への同時展開はしにくい構造です。

外部委託型|複数施設へ横展開する専門企業が窓口になるモデル

外部委託型は、複数のスタジアムを同時に受託する専門企業が窓口になるため、1社と組めば複数施設への同時展開を相談しやすいのが特徴です。エームサービスのように8球場を横断して受託している企業であれば、地域を跨いだ商品展開の相談がしやすくなります。

Q. 直営型と外部委託型はどちらが主流ですか?

今回確認できた範囲では件数は拮抗しています。ドーム球場や鉄道会社系の球場は直営型が多く、複数球場を横断する大手給食会社は外部委託型として運営を受託する傾向が見られます。

エームサービスに見る参入の広がり|2007年から17年間で8球場を受託

外部委託型のなかでも、エームサービスは公式サイトで受託実績を年次入りで公開している数少ない企業です。同社が自ら開示している野球スタジアムの受託年を、Human Soarが時系列に並べ直しました。

受託開始年 施設名 所在地
2007年 ZOZOマリンスタジアム 千葉
2009年 横浜スタジアム 横浜
2009年 MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島 広島
2011年 京セラドーム大阪 大阪
2015年 ナゴヤドーム 愛知
2015年 ほっともっとフィールド神戸 兵庫
2023年 Tower11日本ハムフードホール 北海道

エームサービス株式会社「スタジアム/エンターテインメント施設」ページの受託実績(野球スタジアムに限定)をHuman Soarが年代順に並べ替えて集計。2007年の甲子園球場向けフードサービスコンサルティング(2008年まで)は単発案件のため除く。

2007年から2023年にかけて受託施設が全国へ広がった――2007年の千葉を皮切りに、2009年に横浜・広島、2011年に大阪、2015年に愛知・兵庫、2023年に北海道と、ほぼ2〜4年おきに新しい地域の球場へ受託が広がっていることが分かります。1社が長期間かけて全国展開している点は、スタジアム飲食市場が単発の商談ではなく、継続的な信頼関係の積み上げで動く業界であることを示しています。

Q. エームサービス以外にも複数のスタジアムを受託している企業はありますか?

今回確認できた範囲では、エームサービスほど複数球場の受託年を公開している企業は見当たりませんでした。ダイナックはスポーツ・レジャー施設運営を事業の柱の一つに掲げていますが、個別施設ごとの受託年は公開されていません。

企業がスタジアム飲食市場に参入・提携する際に押さえたい3つの視点

ここまでの10社を踏まえ、スタジアムグルメ市場に自社商品や協業の形で関わりたい企業向けに、実務上の視点を3つ整理します。

視点1|直営型施設には運営会社への直接提案が必要

直営型の施設に自社の商品やメニューを持ち込みたい場合、窓口は球場運営会社そのものです。選手プロデュースメニューのような企画は、球団・チームとの調整も同時に必要になるため、運営会社に加えて球団側の担当部署も視野に入れて提案する必要があります。

視点2|外部委託型には専門企業経由での横展開を検討する

複数の球場に自社商品を展開したい場合は、エームサービスのように複数施設を横断して受託している専門企業と組む方が効率的です。1社との契約が複数拠点への展開につながる可能性がある点は、直営型にはないメリットです。

視点3|地域産品・自社ブランドの持ち込みは施設側の選定条件を確認する

「地域の名産品を使ったメニュー」を売店に置きたい中小企業も少なくありません。この場合、施設や受託企業が実施する新規メニューの募集・選定の仕組みを事前に確認することが重要です。エームサービスは地域の名産品や環境に配慮した食材を使ったメニューを定期的に入れ替えていると公表しており、こうした企業は新規提案を受け付けている可能性があります。

Q. 中小企業でもスタジアムの飲食枠に参入できますか?

可能性はあります。運営会社や受託企業が地域産品を使ったメニューを定期的に入れ替えている例があるため、まずは対象施設の運営窓口に新規メニュー提案の受付有無を問い合わせることから始めるとよいでしょう。

スタジアムグルメと同様に、スポーツ市場全体の成長性を踏まえて自社の参入余地を検討したい場合は、市場規模のデータも合わせて確認しておくと判断材料が増えます。

スポーツ業界の市場規模2026年版|成長分野・ビジネストレンドと将来予測では、政策指標の推移や企業の参入着眼点を解説しています。また、看板・ユニフォーム協賛といった形でスタジアムと関わりたい場合は、スポーツスポンサー市場|2026年投資機会もあわせて参考にしてください。

まとめ|スタジアムグルメ運営10社と参入のポイント

スタジアムの飲食サービスを手掛ける10社を、直営型・外部委託型の2モデルで振り返ります。

  • スタジアムの飲食運営には、球場運営会社が自ら手掛ける「直営型」と、専門企業が受託する「外部委託型」の2モデルがある
  • 直営型はウエルネス阪神・横浜スタジアム・大阪シティドーム・東京スタジアム・東京ドームの5社で、球場そのものの運営会社が飲食も担う
  • 外部委託型はエームサービス・LEOC・ダイナック・シダックス・ロイヤルフードサービスの5社で、複数施設への横展開力が強み
  • エームサービスは2007年から2023年にかけて8球場へ受託を広げており、地域を跨いだ長期的な信頼関係の積み上げが業界の特徴
  • 企業がこの市場に関わるには、直営型施設への直接提案・外部委託企業経由での横展開・地域産品の持ち込みという3つの視点で窓口を見極めることが重要

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました