ピックルボールを企業で導入|社内チーム戦の始め方と効果測定

ピックルボールを企業で導入する社内チーム戦の始め方と効果測定の解説 スポーツウェルビーイング

毎年同じ飲み会や運動会では、参加する顔ぶれが固定されて、普段運動しない社員ほど足が遠のいていきます。社内イベントを任されると、新しい企画を探しつつ、全員が参加しやすいかどうかで悩むことになります。

ピックルボールは、バドミントンコート1面と少人数のチーム戦から始められるラケットスポーツです。この記事では、ピックルボール日本連盟の公式ルールと、国内の企業対抗大会の実例をもとに、社内で開く4手順、開催形式の選び方、効果を測る3つの指標をまとめます。

ピックルボールが社内イベントに向く理由|バドミントンコートと同じ広さで始められる

ピックルボールが社内イベントに向くのは、コートが小さく、ルールが少なく、ダブルスで進むからです。ピックルボール日本連盟は、コートの広さを「テニスコートの約3分の1、バドミントンコートと同じ広さ」と紹介しています。穴のあいたプラスチック製のボールを、パドルと呼ばれる板状のラケットで打ち合います。

運動が得意な社員だけが活躍する競技では、社内イベントとして続きません。ダブルスが主流のピックルボールは、ペアで声を掛け合いながら進むので、部署や年次をまたいだ組み合わせも作りやすくなります。公式ルールの要点を、社内大会での意味と合わせて整理しました。

項目 公式ルールの内容 社内大会での意味(Human Soarの見立て)
コートの広さ テニスコートの約1/3で、バドミントンコートと同じ広さ 体育館のバドミントンコートを活用できる可能性がある
サーブ アンダーハンドで1回のみ。打つ瞬間の手首が、へそより低い位置にあること 強く打ち込めないので、初心者でもラリーが始まりやすい
ツーバウンドルール サーブを受ける側は1回バウンドさせてから返す。サーブ側の返球も1回バウンドさせ、3球目以降はノーバウンドで打てる 最初の2球がゆるやかになり、展開を目で追いやすい
キッチン(ノンボレーゾーン) ネットの両側7フィート(2m13cm)以内はボレー禁止 ネット際の打ち合いが激しくなりすぎない設計になっている
得点と試合 サーブ権があるときだけ得点。1ゲームは11点先取(15点・21点の場合もある)で、10対10なら2点差がつくまで 1試合の長さを読みやすく、大会の時間割を組みやすい

出典:ピックルボール日本連盟の公式ルール・基本情報をもとにHuman Soarが整理しました。右列は想定される活用上の意味であり、公式の記述ではありません。

ルールの数は少なくても、ツーバウンドルールとキッチンだけは最初に確認が必要です。大会の冒頭に5分ほど、実際にボールを打ちながら説明すると、初心者でもすぐに試合に入れます。

(参考)公式ルール – ピックルボール日本連盟

(参考)基本情報 – ピックルボール日本連盟

Q. ピックルボールは運動経験のない社員でも楽しめますか

はい、初心者でも始めやすい競技です。ピックルボール日本連盟は「簡単・シンプル・スタイリッシュ」を特徴に挙げ、子どもからシニアまで楽しめるとしています。ただし、普段運動しない社員は急な動きで体を痛めやすいため、準備運動を必ず入れてください。

企業対抗ピックルボールの実例|&BIZ CUP 2025は6拠点・84チームが参加

国内で規模を確認できる企業対抗ピックルボールは、三井不動産のテナント向けポータルサイト「&BIZ」が開く大会です。2025年は都内6拠点で開催され、139チームの応募から84チームが当選し、参加者は約550名でした。

開催拠点 参加企業数
赤坂 11社
大崎 8社
豊洲 11社
日比谷 12社
日本橋 14社
八重洲 16社
合計(延べ) 72社
拠点あたりの平均 12.0社

出典:&BIZ「企業対抗ピックルボール&BIZ CUP 2025 実施レポート」の拠点別参加企業数をもとに、Human Soarが合計と平均を算出しました。複数の拠点に出場した企業の重複は考慮しておらず、延べ数です。

応募139チームに対して当選は84チームで、当選率は約60%(倍率は約1.7倍)でした。参加者約550名を84チームで割ると1チームあたり約6.5名で、ダブルスの試合を交代しながら回す運用だったと読み取れます。

運営の工夫も参考になります。2025年9月26日に日比谷で開かれた大会では、3点ごとに選手を交代し、6点でコートを入れ替える独自ルールが使われ、16チームが出場しました。応募は40チーム近くに上り、定員を超えています。入れ替えの多い運営にすると、技量に差があっても全員が出番を持てます。

2026年も同様の大会が計画されています。開催前の発表では、都内7拠点で5月下旬から7月末まで予選を行い、約130社規模の参加を見込み、決勝は11月に日本橋三井ホールで開く予定です。目的は、オフィスビルに入居する企業同士の交流や、新たなビジネス機会の創出とされています。

(参考)企業対抗ピックルボール &BIZ CUP 2025 実施レポート – &BIZ

(参考)「企業対抗ピックルボール」で描く、働く場の未来 – マイナビニュース

(参考)テナントの交流促進で企業対抗ピックルボール大会 – 日刊ビル新聞(sjt)

社内チーム戦を開く4手順|目的の設定から当日運営と振り返りまで

社内でピックルボール大会を開く4手順の流れ図(目的と対象、会場と用具、形式とルール、運営と振り返り)

社内で開くなら、体育館1面を使った半日の部署対抗戦が現実的な出発点です。目的を決め、会場を押さえ、形式を固め、当日運営と振り返りまで進める4手順で考えると、抜けが出にくくなります。

手順① 目的と参加対象を1つに絞る

最初に決めるのは、この大会で何を変えたいかです。「部署をまたいだ交流」「運動を始めるきっかけづくり」など、目的を1つに絞ります。目的が複数あると、あとで効果を測るときに何を見ればよいか分からなくなります。

参加対象は、まず部署横断で4〜6チーム、1チーム4人前後を目安に考えてください。これはHuman Soarの目安で、公式の基準ではありません。運動が苦手な社員には、審判や得点係といった役割を用意しておくと、全員がイベントに関われます。

手順② 会場と用具を押さえる

会場は、自治体の体育館、民間のレンタルコート、福利厚生で契約している施設などが候補です。申し込みの前に、その施設の利用規約でピックルボールが使えるかを確認してください。バドミントンコートと同じ広さなので、ネットやラインの扱いは施設に相談します。

用具はパドル、ボール、ネットが必要です。貸し出しの有無は施設ごとに違うため、問い合わせで確認します。参加者のケガに備えて、会社の加入保険や福利厚生の補償範囲も、総務であらかじめ確認しておくと安心です。

手順③ 形式とルールを決める

初回は、11点先取の1ゲーム制で、少人数の総当たり戦にするとわかりやすくなります。ペアはくじ引きにして、部署が混ざるようにします。前の章で紹介した「3点ごとに選手交代、6点でコートチェンジ」の方式を取り入れると、全員の出番を確保できます。

ルールの説明は、ツーバウンドルールとキッチンの2点に絞ります。そのほかの細かい決まりは、当日の進行役が試合の中で補足すれば十分です。

手順④ 当日を運営して振り返りまで終える

当日は、準備運動、水分補給、休憩の時間をスケジュールに入れてください。海外の小規模な研究(40〜85歳の15人を対象とした6週間の介入)では、ピックルボールのプレー中は約1分で中強度の運動に達し、心拍数は1分あたり79〜158回の範囲だったと報告されています。平均の消費エネルギーは60分で約350キロカロリーでした。普段運動しない社員にとっては、思ったより体に負荷がかかる可能性があります。

終了後は、その場でアンケートを取ります。質問は次の章で紹介する3つの指標に合わせておくと、開催後の集計が楽になります。

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(参考)Can Pickleball Help Middle-aged and Older Adults Get Fit? – ACE(米国運動協議会)

社内大会か企業対抗戦か|人数と目的で開催形式を選ぶ

ピックルボールの開催形式を、社内完結、複数部署、他社交流の3つに分けて選ぶ判断図

開催形式は、参加する範囲と運営の手間で3つに分かれます。社内で完結させるか、複数の部署や事業所を巻き込むか、他社との交流まで広げるかを、目的に合わせて選んでください。

社内完結の部署対抗戦は、体育館1面で足りる規模なので、最初の1回に向いています。複数の事業所があるなら総当たりのリーグ戦が選択肢になりますが、コートの数や日程の調整が必要で、運営の負担は大きくなります。

他社との交流が目的なら、&BIZ CUPのように主催者が運営する企業対抗大会へ出場する方法もあります。自社で会場や審判を用意する必要がなく、運営を主催者に任せやすいのが利点です。まずは社内の小さな大会で手応えをつかみ、次の段階で外に広げる順番だと、失敗のリスクが下がります。

社内イベントの選択肢を広げたいときは、スポーツ観戦を使ったチームビルディングの企業事例と費用感も比較の材料になります。

あわせて読みたい社内運動会でチームビルディングを進める手順と効果›

Q. ピックルボールは社内大会と企業対抗戦のどちらから始めればよいですか

まずは社内大会から始めるのがおすすめです。体育館1面と少人数のチームで試せるため、運営の手間と費用を抑えながら、参加率や社員の反応を確かめられます。手応えがあれば、次の段階で他社との企業対抗戦に広げてください。

効果の測り方|参加率・継続率・交流度の3指標を開催前に決める

効果を示すには、開催前に3つの指標、参加率・継続率・交流度を決めておくことが欠かせません。スポーツ庁の令和6年度の世論調査では、20歳以上の週1日以上のスポーツ実施率は52.5%、実施希望率は66.6%で、差は14.1ポイントありました。社内にも「やりたいのにできていない」層がいる前提で、参加のしやすさを測っていきます。

指標 測り方 測るタイミング
参加率 申込者数÷対象者数。部署別・年代別にも分ける 開催の直後
継続率 2回目以降も参加した人数÷初回の参加者数 開催の3か月後
交流度 「普段関わらない部署の人と話した」を5段階で聞く 開催の直後

出典:スポーツ庁「令和6年度スポーツの実施状況等に関する世論調査」(令和7年3月11日公表)の数値です。表の指標と測り方はHuman Soarの整理です。

(参考)令和6年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します – スポーツ庁

指標① 参加率で入り口の広さを見る

参加率は、イベントの入り口が全員に開かれていたかを示します。全体の数字だけでなく、部署別や年代別に分けて見ると、どの層が参加しづらいかが分かります。参加率が低い層には、時間帯や運動への不安など、理由を聞き取って次回の設計に反映させてください。

指標② 継続率で習慣になったかを見る

継続率は、初回の参加者のうち、その後も参加した人の割合です。1回きりの盛り上がりで終わったのか、運動する習慣につながったのかを分けて見られます。3か月後に2回目の大会や練習会を案内し、その参加者数を数えるのが簡単です。

指標③ 交流度で部署の壁が下がったかを見る

交流度は、このイベントを開いた目的に最も近い指標です。「普段話さない部署の人と話せたか」を、開催の直後に5段階で聞きます。数字が低い場合は、ペアを部署混合にするなど、チームの組み方を見直す材料になります。

国の枠組みを使うなら、スポーツ庁の「スポーツエールカンパニー」認定制度があります。従業員の健康増進に向けた積極的な取り組みを認定するもので、令和6年度時点で1,498団体が認定されています。社内大会の記録は、取り組みの一つとして整理しやすい材料です。地域ごとの認定状況はスポーツエールカンパニー認定1635団体の全数調査で詳しく扱っています。

あわせて読みたいスポーツエールカンパニーとは?認定基準・申請方法・取得メリットを解説›

(参考)スポーツ庁における働き世代の運動実施率向上に向けた取組 – 経済産業省(スポーツ庁健康スポーツ課資料)

国内の競技人口は推計33万人|数字の読み方と導入時の注意点

国内のピックルボール競技人口は、2026年3月時点の民間推計で約33万人です。ただし、調査主体も集計方法も年によって違うため、3つの数字を単純に比べて伸び率を計算することはできません。

時点 出典 人数 数え方
2024年4月 ピックルボール日本連盟(基本情報) 約5,000人 連盟の記載。数え方の詳細は明記なし
2025年3月 ピックルボールワン(推計) 約4.5万人 自社メディアの月間利用者数に、到達率とプレイヤー比率を掛けた推計
2026年3月 ピックルボールワン(インターネット調査) 約33万人(週1回以上は約15万人) 一般消費者3万人への調査をもとに、「現在プレーしている」人を頻度を問わず数えた推計

出典:ピックルボール日本連盟、株式会社ピックルボールワンの公表資料をHuman Soarが整理しました。集計方法が異なるため、数値の直接比較はできません。

同じ調査では、ピックルボールを知っている人の割合(認知率)は13.1%で、まだ試したことのない潜在層は約1,189万人と推計されています。競技人口の少なさは、社内大会ではむしろ好都合です。経験者がほとんどいない前提で組めるため、技量の差が小さく、全員が同じスタートラインに立てます。

運営側の注意点は、会場の予約と問い合わせ先です。競技人口が急増している以上、人気のある時間帯は予約が競合する可能性があります。統括団体も2026年4月に再編されました。一般社団法人日本ピックルボール協会とピックルボール日本連盟が統合し、同月14日付で新団体「Pickleball Japan」に一本化されています。大会や講習会の問い合わせ窓口が変わる場合もあるので、最新の情報は連盟の公式サイトで確認してください。

スポーツを取り入れた組織づくり全体の考え方はウェルビーイングとは?成果につながる設計、スポーツそのものを軸にした実践設計はスポーツウェルビーイングとはで詳しく解説しています。

(参考)日本のピックルボール市場調査2026 – ピックルボールワン

(参考)ピックルボール国内競技人口の推計 – ピックルボールワン

(参考)JPAとPJFが正式統合、新体制「Pickleball Japan(PJ)」始動 – ピックルボール日本連盟

Q. ピックルボールの国内の競技人口はどれくらいですか

民間企業の調査では、2026年3月時点で約33万人と推計されています。これは「現在プレーしている」人を頻度を問わずに数えた値で、週1回以上プレーする人は約15万人です。国が全国を継続して集計した公的な統計は確認できないため、目安として扱ってください。

まとめ|ピックルボールの社内大会は小さく始めて指標で育てる

ここまでの内容を、5つのポイントに絞って振り返ります。

  • ピックルボールはバドミントンコートと同じ広さで、ツーバウンドルールとキッチンの2点を押さえれば初心者でも試合になります。
  • 国内の企業対抗大会の実例では、&BIZ CUP 2025が6拠点で84チーム・約550名の規模でした。
  • 社内で開くなら、目的の設定、会場と用具、形式とルール、当日運営と振り返りの4手順で進めます。
  • 最初は体育館1面の部署対抗戦から始め、手応えがあれば企業対抗戦に広げるのが安全です。
  • 効果は、参加率・継続率・交流度の3指標を、開催前に決めて測ります。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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