男子日本代表の強化合宿では、選手たちは慣れない緊張感の中で連日を過ごします。試合と同じくらい選手を消耗させるのが、実は「気を張り続けたまま眠りにつく」という状態です。バスケットボール日本代表の比江島慎選手は、2024年11月以来の代表復帰を果たした2026年の強化合宿で、自らこの難しさを率直に語っています。
比江島慎はどんな選手か|代表復帰を果たしたベテランガード
比江島慎選手はBリーグを代表するベテランガードで、数々のプレッシャーのかかる試合を経験してきた選手です。2026年、『FIBAワールドカップ2027アジア予選』に向けた強化合宿で2024年11月以来となる代表復帰を果たし、Window3のアジア予選遠征メンバーに選ばれました。
本人は現在の役割について「エースとしてではなく、流れが悪い時に短い時間でしっかりとリズムを整える」サポート役と捉えていると語っています。西田優大選手や馬場雄大選手ら若手への信頼をベースに、限られた出場時間で結果を出すことを求められる立場です。
「懐かしい感覚」代表合宿で睡眠が難しくなる理由
比江島選手は代表合宿の張り詰めた雰囲気について「懐かしい感覚ですね」と語る一方で、睡眠面での苦労を率直に明かしています。
「合宿中からずっと気を張っていなければいけない」
本人は「合宿中からずっと気を張っていなければいけないので、睡眠のほうもなかなか難しかったりします」と語っています。1次ラウンドで連敗すれば敗退の可能性もある状況下、試合前日でも神経が休まらない緊張感が続いていたことがうかがえます。
ベテランである比江島選手がこの状態を「懐かしい」と表現できるのは、過去に何度も同じ状況を乗り越えてきた経験があるからだといえるでしょう。裏を返せば、経験を重ねてもなお、代表合宿の緊張が睡眠に影響を及ぼすことを示しています。
期待に応えたいという気持ちが緊張を長引かせる
比江島選手が復帰要請を快諾した理由について「求められたことが一番大きいです。プレッシャーはありますけど、期待に応えたいです」と語っています。強い責任感や期待に応えたいという気持ちが、オンとオフの切り替えを難しくしている一因だと考えられます。
(参考)【ワールドカップ2027アジア予選】代表復帰した比江島慎が意識する今の役割「短い時間でしっかりとリズムを整えることができたら」 – BASKET COUNT
Q. 比江島慎選手が代表合宿で睡眠に苦労する理由は何ですか?
合宿中は連日にわたって気を張り続ける必要があり、試合結果次第で1次ラウンド敗退もありうる緊張感が続くためです。本人も「睡眠のほうもなかなか難しかったりします」と語っています。
アスリートの良質な睡眠に必要な習慣とは|JISS推奨6項目と代表合宿の相性
日本スポーツ振興センター(JISS)の衣笠泰介氏は、良質な睡眠のために推奨される具体的な習慣を公開しています。これを比江島選手が置かれた代表合宿の環境と照らし合わせると、実行の難しさが浮き彫りになります。
| JISSが推奨する習慣 | 代表合宿での実行難度 |
|---|---|
| 毎日同時刻に就寝・起床する | 難:移動・時差・練習時間の変動で崩れやすい |
| 入眠前のリラックス手法を習慣化する | 難:試合前は神経が高ぶりやすい |
| パソコン・スマートフォンのブルーライトを避ける | 難:戦術確認・映像分析で使用機会が増える |
※日本スポーツ振興センター(JISS)「アスリートと睡眠」掲載の推奨項目をもとに、筆者が代表合宿の環境との相性を整理。
移動と環境変化がリズムを崩す
JISSは毎日同時刻に就寝・起床することを良質な睡眠の基本としていますが、代表合宿では遠征・時差・練習スケジュールの変動が重なり、この基本を守ること自体が難しくなります。比江島選手のように国内外を転戦する代表選手ほど、このギャップは大きくなるといえます。
「気を張る」状態は入眠のリラックス手法と相性が悪い
JISSはソフトミュージックやストレッチングなど入眠前のリラックス手法の習慣化を推奨していますが、比江島選手が語るように「気を張っていなければいけない」状態が続くと、リラックス自体が難しくなります。緊張を強いられる状況下でどう意図的に切り替えるかが課題になります。
(参考)「アスリートと睡眠」 – Athlete Pathway(スポーツ庁・日本スポーツ振興センター)
Q. 良質な睡眠のためにJISSが推奨する習慣にはどのようなものがありますか?
毎日同時刻に就寝・起床すること、入眠前のリラックス手法を習慣化すること、ブルーライトを避けることなどが挙げられます。ただし代表合宿のような環境変化の大きい場面では、実行が難しくなる項目でもあります。
図解|比江島慎が置かれる「緊張と睡眠」の悪循環
比江島選手の発言を整理すると、責任感の強さが緊張を生み、緊張が睡眠を妨げ、睡眠不足がさらにコンディションへの不安を高めるという循環が見えてきます。次の図は、この構造をHuman Soarが4つの段階に整理したものです。

図:比江島慎選手の発言から整理した「責任感→緊張→睡眠不足→不安」の循環構造。
企業のプレッシャー下対応にこの発想をどう活かせるか
「期待に応えたい」という責任感が緊張を長引かせ、睡眠に影響する構造は、重要なプロジェクトを任されたビジネスパーソンにも共通します。経済産業省が推進する健康経営の枠組みでも、繁忙期・重要局面における従業員のメンタルヘルスケアは重点課題の一つに位置づけられています。
比江島選手が「気を張っていなければいけない」状況でも懐かしさを感じられるのは、過去に同じ状況を乗り越えた経験の蓄積があるためだと考えられます。企業においても、重要な局面を担う人材に対しては、事前に「緊張が続く期間は睡眠が乱れやすい」という前提を共有し、意図的な休息のタイミングを設計しておくことが、コンディション維持の観点で有効です。
Q. プレッシャーの大きい業務を担う従業員にはどんな配慮が有効ですか?
重要な局面では睡眠が乱れやすいという前提を事前に共有し、業務サイクルの中に意図的な休息のタイミングを組み込むことが有効です。緊張状態そのものをなくすのではなく、回復の機会を設計することが重要です。
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合宿や大会での疲労回復という観点では、河田珠夏選手が語る夏合宿の疲労回復と箱根駅伝予選への調整法も参考になります。オンとオフの切り替えという視点では、世界ランキング1位・上地結衣選手が貫いたオンオフの判断基準も、緊張状態との付き合い方を考えるヒントになるでしょう。
まとめ
- 比江島慎選手は2024年11月以来の代表復帰を2026年に果たしたベテランガード
- 代表合宿は「気を張り続ける」緊張感が続き、睡眠に影響が出やすい環境
- JISSが推奨する良質な睡眠の習慣は、代表合宿の環境変化と相性が悪い項目もある
- 責任感の強さが緊張を生み、緊張が睡眠を妨げるという悪循環が起こりやすい
- 企業でも重要局面を担う人材には、事前の休息設計という配慮が有効
Q. 比江島慎選手は今の代表でどんな役割を担っていますか?
エースとしてではなく、流れが悪いときに短い出場時間でリズムを整えるサポート役と本人は捉えています。西田優大選手や馬場雄大選手ら若手への信頼が、この役割認識を支えています。
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