スポーツスポンサーになる理由とは?企業132社の調査で「宣伝」が75%

スポーツスポンサーになる理由とは|企業132社の調査で宣伝が75%を示すアイキャッチ スポーツマーケティング

企業がスポーツのスポンサーになる理由で最も多いのは「自社の宣伝・イメージアップ」75.0%、次が「社会貢献・CSR」71.2%です。野村総合研究所が2023年に上場企業へ聞いた調査の結果で、商品の販売促進を挙げた企業は13.6%にとどまりました。

役員会で「地元クラブから協賛の話が来ています」と切り出したら、「それで何が返ってくるの」と聞かれて言葉に詰まった。協賛を検討したことがある人なら、一度は通る場面だと思います。

この記事では、スポンサーをする理由を企業に聞いた調査、選手を支える企業への調査、協賛企業3,184社の内訳、スポンサー企業を見る側の反応までを、公表されている数字でまとめます。スポンサーを降りる理由になりやすい点と、契約前に決めておくことも最後に整理します。

  1. スポンサーになる理由は宣伝75.0%と社会貢献71.2%が上位
    1. 3つまで選ぶと宣伝と社会貢献が7割を超える
    2. 1つに絞ると社会貢献29.5%と宣伝28.8%が並ぶ
    3. 5年で社会貢献が減り特定の地域への貢献が増えた
  2. スポンサーになる理由を4つに分けると販売目的は少数派
    1. ①会社の名前と印象を良くする|最も多い理由
    2. ②社会と地域に貢献する|満足度が最も高い
    3. ③社員のまとまりをつくる|3社に1社が挙げる
    4. ④販売と取引先づくりに使う|挙げる企業は1割台
  3. 選手を支える企業の目的は社会貢献91.7%が最多
    1. 採用時の目的は社会貢献と社内の一体感が上位
    2. 採用して良かったことは社員の一体感71.1%
  4. 地方クラブの協賛企業3,184社は8割が県内の中堅・中小
    1. 業種は建設・住宅・不動産が22.2%で最多
    2. 本社が県内にある会社が81.4%を占める
    3. 上位の協賛枠は大企業が37.5%に増える
  5. 協賛を知っている人は企業への好意が17.6%から31.3%に上がる
    1. 好意と利用意向は約10ポイント高い
    2. 知った後の変化は名前が記憶に残った19.6%が最多
    3. ファンは5〜6割がスポンサーの商品を意識して買う
    4. 10〜20代は反応が大きく働きたいも5.7%
  6. スポンサーを降りる理由になりやすいのは効果を説明できないこと
    1. 満足度は地域貢献64%に対し商品の認知度向上18%
    2. 活用に使う費用は協賛金1に対して0.4
    3. ファンでも3〜5割はスポンサーを1社も知らない
    4. 協賛しない企業の理由は予算と事業との関連の薄さ
  7. スポンサーになる前に決めておく3つのこと
    1. 理由を1つに絞って社内の文書にする
    2. 協賛を知らせる手段と予算を先に決める
    3. 1年後に見る数字を契約前に決める
  8. まとめ|スポンサーになる理由は宣伝と貢献の2本立て

スポンサーになる理由は宣伝75.0%と社会貢献71.2%が上位

企業がスポーツのスポンサーになる理由の割合|野村総合研究所2023年調査132社の回答

スポンサーになる理由は、宣伝と社会貢献の2つが7割を超え、ほかの理由を大きく引き離しています。上のグラフは、野村総合研究所が公益財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団の委託で行った「企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査」の結果です。

調査は2023年7〜8月に東京証券取引所の全上場企業を対象に行われ、234社が回答しました。このうち2022年度に合計100万円以上のスポーツ支援をしていた企業は132社で、回答企業の56.4%にあたります。理由を答えたのはこの132社です。

なお、ここでいうスポーツ支援には、チームや大会への協賛だけでなく、選手個人のスポンサー、自社チームの保有、施設の命名権なども含まれます。「スポンサーがつく理由」をチーム側から知りたい場合も、企業が何を期待しているかを見れば同じ答えになります。スポーツを使った企業活動の全体像はスポーツマーケティングの定義と市場規模で整理しています。

3つまで選ぶと宣伝と社会貢献が7割を超える

重視していることを3つまで選ぶ設問では、「自社の宣伝・イメージアップ」が75.0%、「社会貢献・CSR」が71.2%でした。3位の「特定の地域への貢献」は37.1%、4位の「社員の活性化や連帯感醸成」は35.6%で、上位2つとのあいだに30ポイント以上の開きがあります。

以下、「その競技全体の活性化」20.5%、「自社の商品の販売促進・販路開拓」13.6%、「その競技・選手の競技力向上」10.6%、「他企業との交流」3.8%、「スポーツ事業の立ち上げ・拡大」1.5%と続きます。選手を強くしたい、競技を盛り上げたいという理由は、主な動機ではないことが分かります。

1つに絞ると社会貢献29.5%と宣伝28.8%が並ぶ

最も重視していることを1つだけ選ぶ設問では、「社会貢献・CSR」が29.5%、「自社の宣伝・イメージアップ」が28.8%でほぼ並びました。3番目は「特定の地域への貢献」15.2%、4番目は「社員の活性化や連帯感醸成」8.3%です。

社会貢献と地域への貢献を足すと44.7%になり、宣伝の28.8%を上回ります。3つまで選べるなら宣伝も入れるけれど、1つだけと言われたら貢献を選ぶ企業が多い、という読み方ができます。

5年で社会貢献が減り特定の地域への貢献が増えた

同じ調査は2018年度の実態についても行われており(回答103社)、5年間の変化が分かります。3つまで選ぶ設問で「社会貢献・CSR」は77.7%から71.2%へ下がり、「特定の地域への貢献」は31.1%から37.1%へ上がりました。

最も重視する理由でも、社会貢献・CSRは37.9%から29.5%に下がり、特定の地域への貢献は10.7%から15.2%に上がっています。広く社会のためという理由から、どの地域のためかをはっきりさせた理由へ、重心が移っているわけですね。

販売促進・販路開拓は10.7%から13.6%へ少し増えましたが、依然として1割台です。

(参考)企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査結果(2024年4月) – 株式会社野村総合研究所

(参考)アフターコロナ、アフター東京オリンピック・パラリンピックの企業のスポーツ支援 – 株式会社野村総合研究所

Q. 企業がスポンサーになる一番の理由は何ですか?

最も多い理由は「自社の宣伝・イメージアップ」で、上場企業132社のうち75.0%が挙げています(野村総合研究所、2023年調査、3つまで選択)。ただし1つだけ選ぶ設問では「社会貢献・CSR」が29.5%で、宣伝の28.8%をわずかに上回りました。宣伝と貢献の2つが、ほぼ同じ重さで並んでいます。

スポンサーになる理由を4つに分けると販売目的は少数派

スポンサーになる理由は、会社の印象、社会と地域への貢献、社員のまとまり、販売と取引の4つに分けられ、販売を目的にする企業は少数です。野村総合研究所の9つの回答項目を、企業が何を得ようとしているかで束ね直すと次のようになります。

分類 あてはまる回答 割合(3つまで選択) 企業が得ようとしているもの
①会社の名前と印象 自社の宣伝・イメージアップ 75.0% 名前を覚えてもらう、良い会社だと思ってもらう
②社会と地域への貢献 社会貢献・CSR/特定の地域への貢献 71.2%/37.1% 地域での信用、社会的な責任を果たしているという評価
③社員のまとまり 社員の活性化や連帯感醸成 35.6% 社内の共通の話題、会社への愛着
④販売と取引 自社の商品の販売促進・販路開拓/他企業との交流 13.6%/3.8% 売上、取引先との関係

野村総合研究所「企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査結果」(2024年4月)の回答項目を、Human Soar編集部が4つに分類。割合は同調査の数値(スポーツ支援を実施する上場企業132社、3つまで選択)。

①会社の名前と印象を良くする|最も多い理由

4つの中で最も多いのが、会社の名前と印象を良くするという理由です。ニールセン スポーツ ジャパンが協賛企業57社に聞いた「スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019」でも、国内スポーツへの協賛の目的は「自社のイメージ構築/改善」78%、「自社の認知度向上」69%が上位でした。

海外でも順位は同じです。ドイツ連邦スポーツ科学研究所(BISp)が2024年に行った企業調査では、協賛している194社が「非常に重要」とした目的は、企業イメージの向上35%、知名度の向上34%の順でした。

中小企業が協賛に取り組むときの進め方は、次の記事で扱っています。

あわせて読みたい中小企業のスポーツ協賛入門|2026年版›

(参考)スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019(抄出版) – ニールセン スポーツ ジャパン株式会社

(参考)Sportsponsoring & Sportwerbung in der breiten Unternehmensbasis(2024年12月) – ドイツ連邦スポーツ科学研究所(BISp)

②社会と地域に貢献する|満足度が最も高い

社会と地域への貢献は、2番目に多い理由であり、協賛した企業の満足度が最も高い理由でもあります。ニールセン スポーツ ジャパンの2019年調査では、国内スポーツへの協賛の目的に「自社の社会的責任(CSR)/地域貢献ができること」を挙げた企業は60%でした。

この目的について「満足」と答えた企業は64%で、13項目の中で最も高くなっています。貢献を理由にした協賛は、期待と結果のずれが小さいと言えます。

経済産業省の報告書も、企業とクラブの関係は地域貢献として支える協賛から始まり、ロゴを出す広告露出型、一緒に事業をつくる課題解決型へ広がってきたと整理しています。

(参考)令和7年度地域牽引スポーツクラブチームのモデル創出に向けた調査事業 調査報告書(2026年3月) – 経済産業省

③社員のまとまりをつくる|3社に1社が挙げる

社員の活性化や連帯感を理由にする企業は35.6%で、およそ3社に1社です。ニールセン スポーツ ジャパンの2019年調査でも、「自社と従業員のエンゲージメント強化」を国内スポーツ協賛の目的に挙げた企業は47%ありました。

応援するチームや選手がいると、部署をまたいだ共通の話題が生まれます。試合の観戦や選手との交流を社内行事にしている会社が多いのは、この理由によるものです。

海外では採用と結びつける企業もあります。ドイツの調査では、「従業員の採用・定着」を非常に重要とした企業は全体で14%でしたが、売上500万ユーロ以上の企業では29%でした。

④販売と取引先づくりに使う|挙げる企業は1割台

販売促進・販路開拓を理由にする企業は13.6%、他企業との交流は3.8%です。協賛を直接の売上につなげようとする企業は、上場企業では少数派だと分かります。

一方で、取引先を試合に招く使い方は広く行われています。ニールセン スポーツ ジャパンの2019年調査では、「ビジネスのお客様を招待し関係性を構築」を目的に挙げた企業が国内スポーツで49%ありました。

経済産業省がデロイト トーマツに委託した2025年度の事業では、セミナーに参加した企業71社に、活用を期待するスポーツの価値を5つまで聞いています。回答は「知的財産・ブランド価値」43社、「ネットワーク価値(地域・ファン・企業間)」41社、「人的資産(選手・コーチ等)」30社の順でした。ロゴを出すことより、つながりを使うことに関心が集まっています。協賛の実績が多い企業の顔ぶれはスポーツ協賛に積極的な12社の一覧で確認できます。

(参考)令和7年度スポーツリーグ・クラブのパートナーシップ形成促進のための広報事業 事業報告書(2026年2月) – 経済産業省

選手を支える企業の目的は社会貢献91.7%が最多

選手個人を支える企業に目的を聞くと、社会貢献が91.7%で最も多く、チームや大会への協賛よりも貢献と社内向けの目的が強く出ます。日本オリンピック委員会(JOC)は、就職支援制度「アスナビ」で選手を社員として採用した企業に調査を続けています。

この調査は協賛契約ではなく採用の話ですが、選手個人に会社のお金を使う理由を企業に直接聞いた、国内では数少ない資料です。選手個人とスポンサー契約を結ぶ理由だけを企業に聞いた公開調査は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。

採用時の目的は社会貢献と社内の一体感が上位

JOCの「アスリート採用企業の意識調査2026」は、アスナビで選手を採用した131社を対象に2026年1月30日〜2月17日に行われ、68社が回答しました。このうち2025年1月以降に採用した36社の採用時の目的は、1位が「社会貢献(スポーツ支援・地域貢献)」91.7%、2位が「社内一体感の醸成」83.3%、3位が「企業認知の向上」75.0%です。

上場企業全体の調査では宣伝が1位でしたが、選手個人を支える企業では宣伝にあたる「企業認知の向上」が3位に下がります。選手1人を支える場合は、名前を売るより、会社の中と外に向けた姿勢を示す意味合いが強いわけですね。

達成度も高く、「十分に達成できている」「少し達成している」の合計は、社会貢献85.2%、企業イメージの向上83.6%、社内一体感の醸成72.1%でした。総合的な満足度は83.6%(入社済みの61社)です。

あわせて読みたいアスリート個人スポンサー契約|企業が組む際の実務ポイント›

(参考)アスリート採用企業の意識調査2026 – 公益財団法人日本オリンピック委員会

採用して良かったことは社員の一体感71.1%

2024年4月公表の「第7回アスナビ意識調査 企業編」(対象169社、集計83社)では、採用して良かったことを聞いています。最も多かったのは「社員の一体感醸成に寄与した」71.1%で、「企業イメージの向上に寄与した」60.2%、「社員のモチベーションに変化があった」42.2%が続きました。

「企業の業績アップに寄与した」は2.4%です。選手を支えることの成果は、売上ではなく社内の空気と会社の印象に出る、と企業自身が答えています。

2026年の調査では、今後も選手を採用したいと答えた企業は54.1%でした。採用したくないと答えた企業はありませんでしたが、費用や社内の体制を理由に人数を増やすことには慎重な声も紹介されています。

(参考)第7回「アスナビ」意識調査 企業編(2024年4月) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

地方クラブの協賛企業3,184社は8割が県内の中堅・中小

ここまでの調査は上場企業や大企業が中心でした。では地方のクラブを実際に支えているのはどんな会社なのか。Human Soar編集部が8クラブの公式サイトに載っている協賛企業を数えたところ、延べ3,184社の約8割が県内の中堅・中小企業でした。

数えたのは、サッカーのモンテディオ山形、ブラウブリッツ秋田、FC今治、ガイナーレ鳥取と、バスケットボールの秋田ノーザンハピネッツ、茨城ロボッツ、琉球ゴールデンキングス、香川ファイブアローズです。地方の中小企業が協賛する理由を割合で示した公開調査は見つからなかったため、まず誰が協賛しているかを確かめました。

見た項目 結果 補足
業種 建設・住宅・不動産が22.2%で最多 業種が分かった2,835社の内訳。8クラブ中6クラブで1位
本社の所在地 クラブと同じ県内が81.4% 所在地が分かった2,531社の内訳。不明の653社を含めた全体では64.7%
協賛枠 上位の枠は大企業が37.5% 各クラブの上から2区分の320社。それ以外の枠では14.1%

Human Soar編集部が8クラブの公式サイトの協賛企業一覧から集計(2026年10月6日取得。モンテディオ山形とガイナーレ鳥取は2025年11月〜2026年8月時点の保存ページ)。同じクラブ内の重複を除いた延べ3,184社。業種・所在地・規模は社名と各社の公開情報から分類しており、1社ずつの確認はしていないため、1割前後の誤りを含む可能性があります。8クラブは無作為に選んだものではなく、社数の割合であって協賛金額の割合ではありません。

業種は建設・住宅・不動産が22.2%で最多

業種が分かった2,835社のうち、最も多かったのは建設・住宅・不動産の629社(22.2%)です。以下、サービス353社(12.5%)、製造298社(10.5%)、卸・小売・商社279社(9.8%)、医療・福祉・介護276社(9.7%)、飲食・食品219社(7.7%)、自動車販売・整備190社(6.7%)と続きました。

8クラブのうち6クラブで建設・住宅・不動産が1位で、残るFC今治とモンテディオ山形は製造が1位でした。FC今治は運輸・物流も16.3%あり、造船と海運のまちという土地柄がそのまま出ています。

上位には、一般の消費者に商品を売らない業種が並びます。こうした会社が協賛する理由は、販売促進よりも、採用や地域での信用にあると考えるのが自然です。ただしこれは内訳からの推測で、各社に理由を聞いた結果ではありません。

本社が県内にある会社が81.4%を占める

本社の所在地が分かった2,531社のうち、クラブと同じ県内に本社がある会社は2,060社(81.4%)でした。規模が分かった2,512社では、地域の中堅・中小企業が2,092社(83.3%)です。

上場企業の調査で「特定の地域への貢献」が増えていたことと、向きは同じです。地方クラブの協賛は、地元の会社が地元のクラブを支える形が基本になっています。

クラブごとの協賛企業の構成は、モンテディオ山形のスポンサー、ブラウブリッツ秋田のスポンサー、ガイナーレ鳥取のスポンサーの各記事で個別にまとめています。

上位の協賛枠は大企業が37.5%に増える

各クラブの協賛区分のうち上から2つの枠に入っている320社に限ると、大企業・全国企業の割合は37.5%でした。それ以外の枠の14.1%と比べて2倍以上です。県内に本社がある会社の割合も、上位の枠では69.1%に下がります。

ユニフォームの胸や最上位のパートナー枠は金額が大きく、全国企業や地元の大手が入ります。その下に、数万円から数十万円の枠で地元の中小企業が数百社並ぶ、という2層の構造です。

金額の水準は、Jリーグ全クラブのスポンサー収入ランキングでクラブ別に確認できます。

Q. スポンサーに建設業の会社が多いのはなぜですか?

地方8クラブの協賛企業を数えると、建設・住宅・不動産が22.2%で最も多い業種でした(Human Soar編集部集計、2026年10月)。理由を各社に聞いた調査はありませんが、一般の消費者に商品を売る業種ではないため、採用や地域での信用づくりが目的だと考えられます。上場企業の調査でも、販売促進を理由にする企業は13.6%にとどまっています。

協賛を知っている人は企業への好意が17.6%から31.3%に上がる

スポンサーを見る側の反応を調べると、協賛していることまで知っている人は、企業を知っているだけの人より好意も利用意向も高くなります。電通が全国15〜69歳の7,200人に行った「スポーツ総合調査2025」(調査期間2025年10月24日〜11月6日、2026年3月10日発表)の結果です。

この調査は、主要な大会やリーグに協賛している企業について、「企業を知っている人」と「協賛していることまで知っている人」を比べています。協賛の設問に答えたのは3,600人です。

協賛を知った後の変化 全体 10〜20代 30〜40代 50〜60代
名前が記憶に残った 19.6% 21.0% 19.7% 18.5%
興味・関心が高まった 16.8% 23.6% 18.6% 11.1%
一流であるという認識が高まった 16.6% 20.5% 18.8% 12.3%
理解が深まった 13.6% 19.2% 15.9% 8.6%
商品・サービスを調べてみたいと思った 12.2% 18.7% 16.1% 5.1%
ファンになった 11.2% 16.5% 13.6% 5.7%
商品・サービスを購入・利用した 10.0% 15.3% 12.1% 5.0%
話題にしたい・誰かに話したいと思った 8.0% 12.9% 9.8% 3.8%
この企業の存在を初めて知った 6.9% 10.1% 8.0% 3.9%
この企業で働きたいと思った 3.8% 5.7% 4.7% 2.0%

出典:電通「スポーツ総合調査2025」図表12。大会やリーグの協賛スポンサーを知っていると答えた人に、協賛を知ったことによる気持ちの変化を聞いたもの(複数回答)。

好意と利用意向は約10ポイント高い

企業に好感を持っている人の割合は、企業を知っている人で17.6%、協賛まで知っている人で31.3%でした。商品・サービスを今後利用したい人は19.5%に対して29.7%、現在利用している人は21.3%に対して29.9%です。

どの項目も、協賛まで知っている人のほうが約10ポイント高くなっています。企業イメージでも、「社会貢献活動に熱心」「活気がある」「成長力がある」「信頼性がある」などの項目で、協賛まで知っている人のほうが高い結果でした。

ただし、協賛を知っている人はもともとスポーツへの関心が高い層に偏っている可能性があります。協賛したから好意が上がった、とまでは言い切れない点に注意が必要です。

知った後の変化は名前が記憶に残った19.6%が最多

協賛を知ったことで起きた変化を聞くと、最も多いのは「名前が記憶に残った」19.6%で、「興味・関心が高まった」16.8%、「一流であるという認識が高まった」16.6%が続きました。「商品・サービスを購入・利用した」は10.0%、「この企業の存在を初めて知った」は6.9%です。

協賛が知られた先で起きるのは、まず記憶と関心の変化で、購入まで進む人は10人に1人という水準です。裏返すと、どの項目も8割以上の人は選んでいません。協賛を知っても気持ちが変わらない人のほうが多いことも、同じ表から読み取れます。

海外の数字も似ています。調査会社YouGovが2026年のサッカーワールドカップを見る予定の人に聞いた調査では、英国でスポンサーに「より好意的になる」と答えた人は17%、「より否定的になる」は5%で、過半は変わらないという答えでした。

(参考)FIFA World Cup 2026 sponsorship: will Brits notice and where?(2026年5月) – YouGov

ファンは5〜6割がスポンサーの商品を意識して買う

応援するチームがあるファンに限ると、反応はずっと大きくなります。ファンベースカンパニーとインテージの「スポーツファン調査2027」(2026年7月調査)では、応援するチームのスポンサーを知っているファンのうち、「スポンサー企業の商品・サービスだと意識して購入・利用したことがある」と答えた人は、プロ野球48.5%、Jリーグ55.6%、リーグワン61.1%、Bリーグ56.3%でした。

「スポンサーだと知ったことで購入・利用意向が高まった」も、プロ野球50.0%、Jリーグ58.7%、リーグワン60.6%、Bリーグ58.8%です。スポンサー企業の印象で最も多かった答えは、JリーグとBリーグで「地域や社会に貢献している」(27.2%、31.4%)でした。

世界でも、ファンと一般の人には差があります。ニールセン スポーツが2025年に公表したレポートでは、大会スポンサーのブランドを「より魅力的」と感じる人は、世界のサッカーファンで67%、一般の人で54%でした。

(参考)スポーツファン調査2027 無料版レポート(2026年10月) – 株式会社ファンベースカンパニー・株式会社インテージ

(参考)2025年グローバルスポーツレポート発表のお知らせ(2025年7月) – ニールセン スポーツ ジャパン株式会社

10〜20代は反応が大きく働きたいも5.7%

電通の調査では、年代が若いほど協賛への反応が大きく出ました。企業への好意は、10〜20代で23.0%から39.1%へ16.1ポイント上がり、50〜60代の15.5%から27.1%(11.6ポイント)より差が大きくなっています。

協賛を知って「興味・関心が高まった」は10〜20代で23.6%、50〜60代で11.1%と、2倍以上の開きがあります。「購入・利用した」も15.3%と5.0%で3倍です。

「この企業で働きたいと思った」は全体で3.8%、10〜20代で5.7%でした。若い世代で高いのは確かですが、数字そのものは小さいので、協賛だけで採用が動くと期待するのは早いと言えます。

(参考)電通、「スポーツ総合調査2025」を実施(2026年3月10日) – 株式会社電通

Q. スポンサーになると売上は上がりますか?

売上が上がると言い切れるデータはありませんが、協賛を知っている人のほうが利用意向は高くなります。電通の2025年調査では、協賛を知って「商品・サービスを購入・利用した」と答えた人は10.0%でした。応援するチームのスポンサーを知っているファンに限ると、5〜6割が意識して購入・利用したことがあると答えています(ファンベースカンパニー・インテージ、2026年調査)。

スポンサーを降りる理由になりやすいのは効果を説明できないこと

スポンサーを降りる理由、撤退する理由そのものを割合で示した公開調査は見つかりませんでした。ただ、協賛を続けている企業が何に困っているかを聞いた調査はいくつもあり、答えは「効果を社内で説明できない」にほぼ集まっています。

先に全体の動きを確認しておくと、協賛をやめる企業は多数派ではありません。野村総合研究所の2023年調査では、5年前と比べてスポーツ支援の金額を拡大した企業が52.1%、縮小した(やめた場合を含む)企業は10.3%でした(165社)。

では、続けている企業は何に困っているのか。経済産業省の2026年3月の報告書は、企業への聞き取りから、クラブと何ができるのか分かりにくい、クラブ側の担当者が替わると止まる、効果を数字で示しにくく社内で費用を説明する必要がある、の3点を課題として挙げています。

満足度は地域貢献64%に対し商品の認知度向上18%

ニールセン スポーツ ジャパンの2019年調査は、国内スポーツへの協賛について目的ごとの満足度を聞いています(55社)。「満足」と答えた割合は、「自社の社会的責任(CSR)/地域貢献ができること」が64%だったのに対し、「自社の認知度向上」は42%、「自社のイメージ構築/改善」は30%でした。

商品に関わる目的はさらに低く、「商品/サービスの認知度向上」18%、「商品/サービスの売上拡大・シェア拡大」6%です。経済産業省も会議資料でこの調査を引き、CSR・地域貢献以外の目的は満足度が50%未満だと指摘しています。

宣伝を理由に協賛を始めても、手応えがあるのは貢献のほうです。宣伝や販売だけを理由にしていると、数年後に「効果が出ていない」という評価になりやすい構図です。

(参考)パートナー企業との共創について(スポーツ未来開拓会議 事務局資料) – 経済産業省・スポーツ庁

活用に使う費用は協賛金1に対して0.4

同じニールセン スポーツ ジャパンの調査によると、日本企業が協賛の権利を活用するために使う費用は、協賛金1に対して0.4でした(「わからない」を除く42社の平均)。資料が比較として引いている世界平均は、協賛金1に対して2.2です(IEGの2017年調査)。

権利の活用とは、協賛していることを知らせる広告、試合会場での催し、取引先の招待、社員向けの企画などを指します。日本企業は協賛金を払ったあとの使い方にお金をかけておらず、その差は約5.5倍あります。

知られていなければ効果は出ず、効果が出なければ社内で説明できません。協賛の成果の測り方と続け方は、次の記事で具体的に扱っています。

あわせて読みたい企業のスポーツ協賛|効果測定で単年契約を脱する共創プラン›

ファンでも3〜5割はスポンサーを1社も知らない

協賛が知られていない実態は、ファンの調査にも出ています。ファンベースカンパニーとインテージの「スポーツファン調査2026」(2025年6月調査、4,629人)では、応援するリーグのスポンサーを1社も知らないファンが、プロ野球で46.0%、Jリーグで30.6%、リーグワンで31.9%いました。

ファンですらこの水準なので、一般の人にはさらに届いていないと考えるのが妥当です。前の章で見た好意や購入の数字は、すべて協賛を知っている人の話でした。

協賛の効果は、知られて初めて生まれます。ロゴを出しただけで終わらせないことが、続けられるかどうかの分かれ目になります。

(参考)スポーツファン調査2026 無料版レポート(2026年1月) – 株式会社ファンベースカンパニー・株式会社インテージ

協賛しない企業の理由は予算と事業との関連の薄さ

協賛していない企業に理由を聞いた調査は、国内では見つかりませんでした。参考になるのはドイツ連邦スポーツ科学研究所の2024年調査で、協賛していない205社の理由は「予算が無い」42%、「自社の製品とスポーツの関連が薄い」41%、「利点を感じない」32%でした(複数回答)。

同じ調査では、会社の規模で目的が変わることも分かっています。売上50万ユーロ未満の企業で最も多かった目的は「既存顧客のつなぎとめ」40%で、500万ユーロ以上の企業では「新規顧客の獲得」40%でした。

日本の中小企業について同じ設問で聞いた調査はまだありません。国内で確認できるのは、上場企業の理由と、地方クラブの協賛企業の8割が県内の中堅・中小だという内訳までです。

Q. スポンサーを降りる理由で多いものは何ですか?

降りる理由を割合で示した公開調査は見つかっていませんが、続けている企業の悩みは「効果を社内で説明できない」に集まっています。協賛企業の満足度は、地域貢献で64%、商品の認知度向上で18%でした(ニールセン スポーツ ジャパン、2019年調査)。なお、5年前より支援額を縮小した上場企業は10.3%で、拡大した企業の52.1%を大きく下回ります(野村総合研究所、2023年調査)。

スポンサーになる前に決めておく3つのこと

ここまでの数字を踏まえると、スポンサーになる前に決めておくことは3つあります。理由を1つに絞ること、知らせる手段と予算を先に決めること、1年後に見る数字を決めることです。どれも契約書に判を押す前でないと決めにくいものです。

理由を1つに絞って社内の文書にする

最初に、4つの理由のうちどれを一番の目的にするかを1つ決めて、短い文書に残します。宣伝も貢献も社員も、と並べると、1年後に何をもって成功とするかが決められません。

迷ったら、満足度の数字が参考になります。貢献を目的にした企業の満足度は64%、商品の認知度向上は18%でした。地元のクラブへの協賛なら、地域への貢献か社員のまとまりを一番に置くほうが、あとで説明しやすくなります。

協賛を知らせる手段と予算を先に決める

次に、協賛していることを誰に、どうやって知らせるかを決めます。自社のサイト、採用ページ、名刺、社内報、取引先の観戦招待など、協賛金とは別に手間と費用がかかるものを書き出します。

日本企業の活用費は協賛金1に対して0.4でした。協賛金の全額を権利料に使い切る前に、知らせるための予算を一部でも残しておくと、ファンでも3〜5割が知らないという状態を避けやすくなります。

1年後に見る数字を契約前に決める

最後に、1年後に確認する数字を2つか3つ決めておきます。貢献が目的なら地域の催しへの参加回数や自治体・学校からの問い合わせ、社員が目的なら観戦に参加した社員の数、採用が目的なら応募者が協賛に触れた回数、といった具合です。

数字は大きくなくてかまいません。決めておくこと自体が、翌年の更新の場で「何が返ってきたのか」に答える材料になります。Forresterの2024年の調査でも、企業のマーケティング責任者の76%がスポーツ協賛の投資対効果の算定に苦労していると答えており、測り方を後から考えるのは世界共通の失敗です。

(参考)Sports Sponsorships Surge Despite Fuzzy ROI(2025年6月) – Forrester

まとめ|スポンサーになる理由は宣伝と貢献の2本立て

企業がスポーツのスポンサーになる理由を、調査の数字で振り返ります。

  • スポンサーになる理由は「自社の宣伝・イメージアップ」75.0%と「社会貢献・CSR」71.2%が上位で、販売促進は13.6%(野村総合研究所、2023年、上場企業132社)
  • 5年前と比べて社会貢献・CSRが減り、特定の地域への貢献が31.1%から37.1%に増えた
  • 選手を採用して支える企業の目的は、社会貢献91.7%、社内一体感83.3%、企業認知75.0%の順(JOC、2026年)
  • 地方8クラブの協賛企業3,184社は、建設・住宅・不動産が22.2%で最多、約8割が県内の中堅・中小(Human Soar編集部集計)
  • 協賛を知っている人は企業への好意が17.6%から31.3%に上がるが、ファンでも3〜5割はスポンサーを1社も知らない。知らせる手段と1年後に見る数字を契約前に決めておく

宣伝のためか、貢献のためか。理由を1つ決めてから協賛の話を進めると、社内の説明も、クラブや選手との話し合いも進めやすくなります。

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました