自治体の担当者から「スポーツでまちづくりを進めたいので、力を貸してほしい」と声がかかる。社内に持ち帰ると、「それは協賛の話なのか、施設の話なのか、健康づくりの話なのか」と聞かれ、どの部署が受けるのかも決まらない。成功事例を調べても、球場の再開発から合宿の誘致まで並んでいて、自社に近い話がどれなのか見えにくいはずです。
スポーツによるまちづくりは、スポーツを使って地域の課題を解く取り組みで、国は「スポーツ・健康まちづくり」と呼んでいます。中身は、地域の外から人を呼ぶ施策と、住民が日常的に体を動かせるようにする施策の2つです。企業の入り口は、資金を出す、事業として入る、地域の組織に加わる、の3つに分かれます。
この記事では、国の計画とスポーツ庁の事例集、施設の運営会社の公表資料をもとに、取り組みの型と11の事例、提案を募る公募、企業の入り口を整理します。資料はいずれも2026年10月11日に原典を確認しました。
スポーツによるまちづくりを国はスポーツ・健康まちづくりと呼ぶ

国の文書で「スポーツによるまちづくり」に当たる政策の名前は「スポーツ・健康まちづくり」です。第3期スポーツ基本計画の節の題は「スポーツによる地方創生、まちづくり」で、政府の総合戦略ではこれを「スポーツ・健康まちづくり」と呼ぶ、と計画の脚注が説明しています。観光の話に限らず、健康や共生社会までを含む広い言葉です。
第3期スポーツ基本計画は地域をあげた取り組みと定めた
文部科学省が令和4年3月25日に定めた第3期スポーツ基本計画は、それまでの中心だったスポーツツーリズムから、広く「まちづくり」へ対象を広げました。計画は「スポーツによる地方創生とは「まちづくり」であり」と書き、スポーツ部局だけでなく、まちづくり、医療・介護・福祉、経済振興の部局が連携する必要があるとしています。
企業に関わるのはその続きです。計画は「地域住民や企業等の多様な主体とも連携・協力して、「地域をあげて取り組む」ことが不可欠」と明記しました。自治体から声がかかるのは、計画の段階から企業が連携相手に数えられているからです。計画全体の読み方はスポーツ基本計画の内容と企業が備えることにまとめています。
(参考)スポーツ基本計画(令和4年3月25日) – 文部科学省
政府の総合戦略は3つの視点を軸に据えた
「スポーツ・健康まちづくり」という名前が最初に出てくるのは、令和元年12月20日に閣議決定された第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」です。戦略は、スポーツを活用した経済・社会の活性化、スポーツを通じた健康増進・心身形成・病気予防、自然と身体を動かしてしまう「楽しいまち」への転換、の3つの視点を挙げました。上の図は、この3つを並べたものです。
具体策としては、スポーツツーリズムの推進、集客力のあるスタジアム・アリーナの有効活用、居心地が良く歩きたくなるまちなかづくりが書かれています。戦略はここでも「地方公共団体をあげて取り組む」ことが不可欠だとしていて、3つの視点を別々の部署が別々に進める形は想定していません。
(参考)第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(令和元年12月20日閣議決定) – 内閣官房・内閣府
取り組む自治体は30.8%で目標は40%
第3期計画は、「スポーツ・健康まちづくりに取り組む地方公共団体の割合」を、令和3年度の15.6%から2026年度末に40%へ上げる目標を置きました。スポーツ庁の中間評価によると、令和6年度の実績は30.8%です。3年でおよそ2倍になりましたが、目標まではあと9.2ポイント残っています。
中間評価は、今後に向けて「人材の確保や財政基盤の確立が必要」と書いています。スポーツ審議会が令和8年7月にまとめた第4期計画の中間報告も、自治体が「観光業や商工業などの民間企業をはじめとした地域の関係者との連携の下」で取り組む必要があるとしました。人と資金を補える企業に、声がかかりやすい時期だと言えます。
(参考)第3期スポーツ基本計画に係る中間評価について – スポーツ庁
(参考)第4期スポーツ基本計画の策定について 中間報告(令和8年7月) – スポーツ審議会
Q. スポーツ・健康まちづくりとは何ですか?
スポーツや運動を使って、交流人口の拡大や、誰でも日常的に体を動かせる環境づくりに取り組み、地域の課題の解決や地域経済の活性化を図る取り組みのことです。第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(令和元年12月閣議決定)で使われた呼び名で、第3期スポーツ基本計画の「スポーツによる地方創生、まちづくり」と同じものを指します。
スポーツを核にしたまちづくりは核にするもので4つの型に分かれる
公的な資料に載っている事例を並べると、まちづくりの核になっているものは、施設、クラブ、大会と合宿、日常の運動の4つに分けられます。国の資料は、地域の外から人を呼ぶ取り組みを「アウター施策」、住民向けの取り組みを「インナー施策」と呼んでいて、4つの型はこのどちらに重心があるかも違います。分け方はこの記事の整理です。
| 型 | 核になるもの | 公的な資料に載っている例 | 企業の主な関わり方 |
|---|---|---|---|
| 施設を核にする | スタジアム、アリーナ、複合施設 | 北海道ボールパークFビレッジ、長崎スタジアムシティ、アシックス里山スタジアム、オガール(紫波町) | 自ら整備・運営する、出店する、命名権、寄附 |
| クラブを核にする | 地元のプロクラブ | 磐田市、鹿島アントラーズと県立カシマサッカースタジアム | 協賛、連携の場への参加、指定管理 |
| 大会と合宿を核にする | 大会の誘致、合宿やキャンプの受け入れ | さいたまスポーツコミッション、十日町市スポーツコミッション、沖縄市 | 宿泊・飲食・交通の受け入れ、組織の構成員 |
| 日常の運動を核にする | 健康プログラム、身近な運動の場 | 鹿嶋市、角田市 | 公民連携の事業者、運営の共同企業体 |
スポーツを核にしたまちづくりの4つの型と事例(出典:スポーツ庁「スポーツ・健康まちづくり 事例集」、同「選定拠点 事例集」、地域スポーツコミッションの活動概況、各運営会社の公表資料をもとに作成。型の分け方は本記事の整理)
施設を核にする型は民間が整備と運営を担う例が多い
規模が大きいのは、スタジアムやアリーナを核にして周りに商業施設やホテルを置く型です。北海道北広島市の北海道ボールパークFビレッジ、長崎市の長崎スタジアムシティ、愛媛県今治市のアシックス里山スタジアムは、いずれも民間企業が建てて運営する「民設民営」です。3つとも、スポーツ庁が選ぶ「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」に入っています。
今治では、整備費約40億円のうち約10億円を企業版ふるさと納税でまかない、土地は今治市が2020年1月から30年間、無償で貸しています。岩手県紫波町のオガールは、駅前の町有地10.7ヘクタールを使い、岩手県フットボールセンター(平成23年4月開場)や官民複合施設を公民連携で整えた例です。施設政策そのものはスタジアム・アリーナ改革と21の選定拠点で、整備の手法はスタジアム整備のPFIと指定管理者制度の違いで扱っています。
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(参考)「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」選定拠点 事例集 – スポーツ庁
クラブを核にする型は長い付き合いを土台にする
地元のプロクラブを核にする型では、施設を新しく建てなくても始められます。静岡県磐田市は、サッカーとラグビーのプロチームと組み、ホームゲームへの地元小中学生の観戦招待を令和4年度の3,200人から令和5年度の5,700人に増やしました。令和7年1月には、スポーツチーム、企業、金融機関、大学、行政がつながる「いわたスポーツプラットフォーム」が立ち上がり、30団体が加盟しています(令和7年2月末時点)。
クラブが施設の運営まで担う例もあります。鹿島アントラーズは2006年から茨城県立カシマサッカースタジアムの指定管理者を務め、スタジアムに併設したスポーツジムを2006年に、整形外科のクリニックを2015年8月に開きました。試合のない日にも住民が通う場所にしたわけです。クラブを取り巻く関係者の全体像はスポーツ業界のステークホルダーの整理が参考になります。
(参考)スポーツ・健康まちづくりの検討に関する関係省庁会合(2019年10月28日)資料 地域の価値を高める施設運営 – 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー
大会と合宿を核にする型は地域スポーツコミッションが担う
大会の誘致や合宿の受け入れを進める組織が、地域スポーツコミッションです。スポーツ庁は、地方公共団体、スポーツ団体、民間企業などが一体となって、スポーツによるまちづくりや地域活性化を進める組織の総称と定義しています。常設であることや、年間を通じて活動することなど4つの要件があり、2025年度の基礎調査が対象にした団体は、全国で211でした。
さいたま市が2011年10月に設立した「さいたまスポーツコミッション」は、市が「本格的スポーツコミッションとしては国内初」と説明している組織で、2018年12月に一般社団法人になりました。関東ブロック規模以上の大会を年間40大会ほど誘致しています。新潟県の十日町市スポーツコミッションは民間が立ち上げた組織で、観光協会、旅館組合、飲食店組合、リゾート会社が構成組織に入り、プロクラブのキャンプを受け入れています。合宿誘致の仕組みはスポーツツーリズムと合宿誘致の解説でも取り上げました。
(参考)【担い手】「地域スポーツコミッション」の設立・活動の支援 – スポーツ庁
(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構
(参考)一般社団法人さいたまスポーツコミッション(地域スポーツコミッションの活動概況) – スポーツ庁
(参考)十日町市スポーツコミッション(地域スポーツコミッションの活動概況) – スポーツ庁
日常の運動を核にする型は健康の事業者が加わる
住民の健康づくりを核にする型では、スポーツ関連の企業でなくても役割があります。茨城県鹿嶋市は、医療データの解析や生活習慣病のリスクを下げる知見を持つ民間事業者と公民連携を組み、一人ひとりのリスクに合わせた運動プログラムを市民に提供しました。スポーツ庁の事例集によると、成人のスポーツ実施率は令和4年度の43%から令和6年度に45%へ上がっています。
宮城県角田市は、総合スポーツ施設「かくだスポーツビレッジ」と道の駅を核にし、産官学でつくる運営組織が催しを企画しています。施設の利用者数は、令和4年度の167,575人から令和5年度の260,110人に増えました。大きな投資をしなくても、すでにある施設と事業者の知見の組み合わせで始められる型です。
成功事例は誰に向けて誰が主導したかで読み分ける

事例を自社に引き寄せて読むには、住民向けか地域外向けか、行政主導か民間主導かの2つの軸で置いてみると整理しやすくなります。上の図は、ここまでに挙げた事例のうち8つを、この2軸に置いたものです。位置は公表資料の記述をもとにしたこの記事の整理で、国が示した分類ではありません。
民間が主導して地域の外から人を呼んでいるのが、Fビレッジと、合宿を受け入れる十日町市です。同じ民間主導でも、長崎スタジアムシティと、「365日人が集い」をコンセプトに掲げる今治のスタジアムは、住民が日常的に使う場所という性格が強くなります。行政が主導する例では、鹿嶋市と磐田市が住民向け、大会を誘致するさいたま市と合宿を誘致する沖縄市が地域外向けです。
スポーツ庁が成果事例として載せたのは9つの自治体
「成功事例」と呼べる公的な根拠があるのは、スポーツ庁の「スポーツ・健康まちづくり 事例集」です。優良自治体表彰の2021年と2022年の受賞自治体から、「成果の発現・波及がみられる9つの事例」を選び、何を投じて何が変わったかを整理しています。この記事で紹介した角田市、鹿嶋市、磐田市、沖縄市は、その9つに入っています。
沖縄市は合宿の誘致に力を入れ、国内スポーツ団体の受け入れを令和3年度の932人から令和4年度の6,803人に増やしました。海外チームの合宿受け入れでは、宿泊や交通などへの直接効果約6百万円を含めて、約1千5百万円の経済波及効果が出たと事例集は書いています。金額は大きくありませんが、何に対する効果なのかが明記されている数字です。
来場者数と経済波及効果は算出した主体を確かめる
施設を核にした事例では、数字を出している主体と範囲がそれぞれ違います。Fビレッジの2025年の年間来場者数は459万1,357人で、運営会社が自社の計測システムなどで数えたものです。内訳は、公式戦71試合が223万2,364人、試合以外が235万8,993人でした。試合のない日のほうが多く、道外からの来場は112万人(24%)です。
長崎スタジアムシティは、開業2年目の年間来場者数を535万人(見込み)と発表しました。県内からの来場が86%を占めていて、図では住民向けの側に置いています。経済波及効果の年間378.3億円は、船井総合研究所が長崎県への効果として推計し、2026年10月1日に発表した数字です。来場者数と経済波及効果は別の物差しなので、事例どうしを同じ表で大小比べするのは避けたほうが安全です。
(参考)HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE ANNUAL REPORT 2025(2026年1月27日) – 株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
(参考)【長崎スタジアムシティ】開業2周年レポート 年間来場者数535万人、経済波及効果は年間約378.3億円へ(2026年10月2日) – 長崎スタジアムシティ
Q. スポーツによるまちづくりの成功事例にはどんなものがありますか?
スポーツ庁の「スポーツ・健康まちづくり 事例集」が、成果の発現・波及がみられる事例として角田市、鹿嶋市、磐田市、沖縄市など9つの自治体を載せています。施設を核にした例では、北海道ボールパークFビレッジ、長崎スタジアムシティ、アシックス里山スタジアムが、スポーツ庁の選定拠点に入っています。数字は算出した主体と範囲が事例ごとに違います。
スポーツによるまちづくりのコンペは応募できる主体で3つに分かれる
「スポーツ まちづくり コンペ」で探すと出てくる国の公募は、自治体向けの表彰、学生向けのコンペ、施設を核にしたエリアの表彰の3つです。「スポーツまちづくりコンテスト」という名前の公募は、確かめた範囲では見つかりませんでした。企業が自分の名前で応募できるのは3つ目だけです。
| 名称 | 主催 | 応募できる主体 | 2026年度の時期 |
|---|---|---|---|
| 「スポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰(スポまち!表彰) | スポーツ庁 | 自治体(共同での応募も可) | 応募締切は8月31日、表彰式典は11月17日 |
| スポーツ・健康まちづくりデザイン学生コンペティション | スポーツ庁 | 大学院、大学、短期大学、専門学校、高等専門学校、高等学校に在籍する学生 | 応募提出物の受付は9月1日から10月13日正午 |
| 「持続可能なまちづくりの基盤となるスポーツコンプレックス」表彰 | スポーツ庁、経済産業省 | 地方公共団体、法人格を有する団体(連名も可) | 参加表明は9月9日から10月9日、申請書類は10月13日から10月23日 |
スポーツによるまちづくりの提案や事例を募る国の公募(出典:スポーツ庁の各募集ページと応募要領。時期はいずれも2026年度のもの)
スポまち!表彰は自治体の計画を表彰する
スポーツ庁の「スポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰は、通称を「スポまち!表彰」といい、2021年から毎年1回開かれています。2025年までに延べ114の自治体が表彰されました。対象は、これから取り組もうとしている自治体の計画で、実績を競う賞ではありません。
評価基準には、数値目標があること、単発の事業で終わらない総合的な取り組みであること、続けられる体制があることが並んでいます。企業は応募できませんが、自治体の計画に連携先として名前が入れば、その計画が国に表彰される形になります。地元の自治体が応募を考えているかどうかは、夏の募集の前に聞いておくと動きやすくなります。
(参考)「スポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰2026の募集について – スポーツ庁
(参考)「スポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰の評価基準 – スポーツ庁
学生コンペティションは在学中の学生だけが応募できる
スポーツ・健康まちづくりデザイン学生コンペティションは、まち全体でスポーツに親しめる「場」づくりの提案を学生から募るものです。空間の使い方を提案するアイデア部門と、建築や都市の設計を示すデザイン部門があります。応募要領には「社会人からの提案は、不可」と書かれています。
2026年度は、12月に都内で二次審査と表彰式が予定されています。応募はできなくても、通学路や高架下、大学のキャンパスをどう運動の場に変えるかという提案が集まる場なので、不動産や建設、交通の事業を持つ企業にとっては、まちの使い方の着想を得る機会になります。
(参考)スポーツ・健康まちづくりデザイン学生コンペティション2026 応募要領 – スポーツ庁
スポーツコンプレックス表彰は法人が応募主体になれる
スポーツ庁と経済産業省は令和8年度、「持続可能なまちづくりの基盤となるスポーツコンプレックス」表彰の募集を始めました。スポーツコンプレックスは、核となるスポーツ施設の価値を最大にするために、周りのインフラや施設と面で連携してつくるエリアを指す言葉です。応募できるのは、その形成や運営に主体的に関わる地方公共団体と、法人格を持つ団体です。
対象は、2016年11月以降に新設や大規模改修をした施設を核とし、おおむね2年以上の運営実績があるエリアに限られます。該当する施設の運営や周辺の開発に関わっている企業であれば、自治体やクラブと連名で応募する道があります。
(参考)令和8年度「持続可能なまちづくりの基盤となるスポーツコンプレックス」表彰の募集について – スポーツ庁
企業の入り口は資金と事業と参画の3つ

企業がスポーツによるまちづくりに関わる入り口は、資金を出す、自社の事業として入る、地域の組織に加わる、の3つです。上の図は、企業の持ち物ごとに、どの入り口から誰とつながるのかを並べたものです。どれが最も効果的かを比べた公的な資料は見当たらないため、自社の持ち物から選ぶのが現実的です。
資金を出す入り口は協賛と命名権と企業版ふるさと納税
資金で関わる場合、相手はクラブや施設の運営者か、自治体かで分かれます。クラブや施設の運営者に対しては、協賛と命名権が入り口です。長崎スタジアムシティでは、クラブのパートナー企業が施設の中に直営店を出したり、互いの客を送り合ったりする例が出ています。命名権の手続きはネーミングライツ募集の読み方と応募の手順にまとめました。
自治体に対しては、企業版ふるさと納税があります。内閣府の資料によると、令和6年度は8,464社が合わせて631.4億円を寄附しました(スポーツ以外の分野を含む全体の数字です)。寄附した企業への経済的な見返りは禁止されていて、本社がある自治体への寄附は対象になりません。広告の対価として払う協賛とは性格が違うので、目的に合うほうを選びます。税の扱いは一般的な説明で、個別の判断は税理士に確認してください。
あわせて読みたい企業版ふるさと納税でスポーツ支援|スポンサーとの違いと使い方›
(参考)【長崎スタジアムシティ】開業2周年レポート 年間来場者数535万人、経済波及効果は年間約378.3億円へ(2026年10月2日) – 長崎スタジアムシティ
(参考)企業版ふるさと納税(概要) – 内閣府地方創生推進事務局
事業として入る入り口は公民連携と指定管理
自社の商品やサービスで関わる場合、相手は主に自治体です。鹿嶋市の例では、健康支援や保険の事業者が、自治体の健康づくりの事業に公民連携で加わりました。施設の運営に強みがあれば、公の施設の管理を任される指定管理者になる道があり、鹿島アントラーズのようにクラブ自身が担う例もあります。
国の事業に加わる道もあります。スポーツ庁は令和8年度、既存のスタジアムやアリーナと周辺の宿泊・商業施設を一体で運営する構想づくりを支援する事業を公募しました。公募要領は、自治体やクラブに加えて「地元の事業者や商工団体、まちづくり関係団体等」の参画を求めています。地元に店舗や拠点を持つ企業は、この協議の場に呼ばれる立場にあります。
(参考)スポーツ・健康まちづくりの検討に関する関係省庁会合(2019年10月28日)資料 地域の価値を高める施設運営 – 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー
(参考)令和8年度 スポーツ産業の成長促進事業「スポーツコンプレックス推進事業(まちづくり連携支援事業)」の公募について – スポーツ庁
地域の組織に加わる入り口は地域スポーツコミッション
資金や事業の前に、人手や店舗で関わる入り口もあります。地域スポーツコミッションは、定義の段階から民間企業が構成員に数えられていて、観光協会、商工団体、観光産業、スポーツ産業が例に挙がっています。十日町市では旅館や飲食店の組合が構成組織に入り、地元の業者が合宿向けの弁当を開発しました。
秋田県のスポーツコミッションは、スポーツボランティアの人材バンクをつくり、プロバスケットボールの試合などに派遣しています。スポーツ庁の資料には、企業が地域貢献の一環として登録する動きが出てきたと書かれています。まず社員の参加から始めて、相手の組織と顔の見える関係をつくる方法です。スポーツ業界全体の課題と合わせて見たいときは、日本のスポーツ業界の課題と市場の動向が手がかりになります。
(参考)【担い手】「地域スポーツコミッション」の設立・活動の支援 – スポーツ庁
(参考)十日町市スポーツコミッション(地域スポーツコミッションの活動概況) – スポーツ庁
(参考)令和7年度スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業取組一覧 – スポーツ庁
Q. 企業はスポーツによるまちづくりにどう関われますか?
入り口は、資金を出す、自社の事業として入る、地域の組織に加わる、の3つです。資金は協賛・命名権・企業版ふるさと納税、事業は自治体との公民連携や指定管理、組織は地域スポーツコミッションや自治体の連携の場への参加が当たります。企業版ふるさと納税は経済的な見返りが禁止されているので、広告の効果を求める場合は協賛を選びます。
関わる前に人材と資金と受け入れの上限を確かめる
スポーツ庁の事例集は、うまくいった話だけでなく、受賞した自治体がその後に直面した課題も載せています。多く挙がっているのは、人材の不足、事業費の不足、施設や宿泊の受け入れ人数の上限の3つです。企業が加わる前に、相手の計画がこの3つをどう見込んでいるかを聞いておくと、途中で止まる事態を避けやすくなります。
事例集には、中核になるキャンプ場の整備が民間事業者の撤退で止まり、誘客の事業も見通しが立たなくなった市の声があります。事業費が調達できずに計画が進まないという声や、合宿の利用と市民の利用の調整に苦労しているという声もありました。裏返せば、資金、運営の人材、宿泊や交通の受け入れを補える企業は、計画の弱いところを支える役割を担えます。
自治体の側の相談先として、スポーツ庁は「スポーツ・健康まちづくり ワンストップ相談窓口」を置いています。対象は地方公共団体などで、企業が直接使う窓口ではありませんが、連携先の自治体と一緒に計画を練るときの入り口になります。
(参考)スポーツ・健康まちづくり ワンストップ相談窓口 – スポーツ庁
まとめ|自社の持ち物から入り口を1つ選ぶ
スポーツによるまちづくりは、施設の話にも協賛の話にも健康の話にもなる広い言葉です。要点を振り返ります。
- 国の政策名は「スポーツ・健康まちづくり」。地域の外から人を呼ぶ施策と、住民向けの施策の両方を含み、企業は計画の段階から連携相手に数えられている
- 取り組む自治体の割合は令和6年度で30.8%。目標は2026年度末に40%
- 核にするものは、施設、クラブ、大会と合宿、日常の運動の4つ。スポーツ庁の事例集は9つの自治体を成果事例として載せている
- 国の公募は応募できる主体で3つに分かれ、法人が応募できるのはスポーツコンプレックス表彰
- 企業の入り口は、資金、事業、参画の3つ。数字は算出した主体と範囲を確かめて読む
最初の一歩として、自社が出せるものを資金、事業やサービス、人手や店舗の3つに分けて書き出してみてください。そのうえで、拠点のある自治体に地域スポーツコミッションがあるか、スポまち!表彰に応募する予定があるかを聞くと、どの入り口が開いているのかが分かります。
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