スポーツ業界のステークホルダーとは|クラブ9者の関係と企業の立場

スポーツ業界のステークホルダーとは|クラブ9者の関係と企業の立場 スポーツビジネス

地元のプロクラブから、協賛の案内が届いた。社内で検討を始めると、「あのスタジアムは市のものではないのか」「クラブの親会社はどこか」「中継に社名は出るのか」と、クラブの外にいる相手の名前が次々に出てきます。相手はクラブ1社のはずなのに、話がどこまで広がるのか、見通しが立ちにくいはずです。

スポーツ業界のステークホルダーとは、クラブやリーグと利害をともにする関係者のことで、Jリーグはクラブの相手を、ファン・サポーター、スポンサー・パートナー、株主、行政など9者に整理しています。企業は、スポンサーのほかに、株主、サプライヤー、地域の連携先という立場でもこの輪に入れます。どの立場を選ぶかで、最初に話す相手が変わります。

この記事では、プロスポーツクラブ1つを真ん中に置き、誰が関わり、互いに何を渡し合っているのかを、Jリーグと国の公表資料で整理します。資料は、いずれも2026年10月11日に確認したものです。

スポーツ業界のステークホルダーは主語によって顔ぶれが変わる

スポーツ業界のステークホルダーを定めた法律や、公的な定義は見当たりません。公式の文書はこの語をふつうに使っていますが、挙げている相手は、クラブ、競技団体、スタジアムのどれを主語にするかで違います。資料を読むときは、まず誰を主語にした文書なのかを確かめてください。

文書 主語 挙げている相手
Jリーグクラブ経営ガイド2025(Jリーグ) Jクラブ ファン・サポーター、スポンサー・パートナー、NPO・ボランティア等、選手・監督・コーチ、メディア、株主、従業員、サプライヤー、行政、他
第3期スポーツ基本計画(令和4年3月) 中央競技団体 全国の愛好者、地方組織、スポンサー、メディア、地域社会など
スタジアム・アリーナ改革指針(平成28年11月) スタジアム・アリーナ スポーツチーム、小売、イベント、交通、消防・警察、地域住民、周辺公共団体、金融機関、メディア、飲食・宿泊などの民間企業
第二期スポーツ未来開拓会議 中間報告(2023年7月) スポーツチーム 自治体、地元企業、大学など

公式の文書が挙げるスポーツ業界のステークホルダー(出典:Jリーグクラブ経営ガイド2025、第3期スポーツ基本計画、スタジアム・アリーナ改革指針、第二期スポーツ未来開拓会議 中間報告。2026年10月11日に確認)

国の文書で語の意味を添えているのは、スポーツ庁の第3期スポーツ基本計画です。中央競技団体について、愛好者、地方組織、スポンサー、メディア、地域社会などの「多くのステークホルダー(利害関係者)が存在する」と書いています。ただし、これは競技団体の話で、プロクラブの話ではありません。

クラブを主語にして相手を網羅した公式の資料は、確かめた範囲では、Jリーグが自分でまとめた「Jリーグクラブ経営ガイド2025」だけでした。そこでこの記事では、Jリーグの整理を土台にします。Bリーグも、ファンやパートナーをはじめとするステークホルダーという言い方をしていますが、同じ細かさの表は見つけていません。

企業の側でこの語になじみがあるのは、東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードでしょう。2026年7月の版は、上場会社に、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとするステークホルダーとの協働を求めています。クラブに当てはめる決まりではありませんが、スポーツの側には、選手やメディア、リーグといった、ふつうの会社にはない相手が加わると考えると、違いをつかみやすくなります。スポーツ経営の考え方の全体はスポーツ経営の基本フレームワークで扱っています。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)第3期スポーツ基本計画(令和4年3月25日) – スポーツ庁

(参考)スタジアム・アリーナ改革指針(平成28年11月16日公表) – スポーツ庁・経済産業省

(参考)第二期 スポーツ未来開拓会議 中間報告(2023年7月) – スポーツ庁・経済産業省

(参考)B.LEAGUEとは – B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

(参考)コーポレートガバナンス・コード(2026年7月21日) – 東京証券取引所

Q. スポーツ業界のステークホルダーとは何ですか?

クラブやリーグ、競技団体と利害をともにする関係者のことです。法律上の定義はなく、スポーツ庁の第3期スポーツ基本計画は「ステークホルダー(利害関係者)」と書いています。プロクラブについては、Jリーグクラブ経営ガイド2025が、ファン・サポーター、スポンサー・パートナー、株主、行政など9者と「他」に整理しています。

Jリーグはクラブのステークホルダーを9者に整理している

スポーツ業界のステークホルダーの関係図。Jクラブを中心に、ファン・サポーター、スポンサー企業、株主、選手・監督・コーチ、行政、メディアの6者が渡すものと受け取るもの

Jリーグクラブ経営ガイド2025は、「ステークホルダーとJクラブ」という表で、相手ごとに「クラブへの提供」と「クラブからの提供」を並べています。相手は、ファン・サポーター、スポンサー・パートナー、NPO・ボランティア等、選手・監督・コーチ、メディア、株主、従業員、サプライヤー、行政の9者と、「他」です。

上の図は、そのうち6者を取り出して、クラブへ渡すものと、クラブから受け取るものを矢印にしたものです。図に入れていないNPO・ボランティア等、従業員、サプライヤーの3者は、下で補います。ガイドは、相手ごとの期待は違っても、クラブの考え方に基づいた一貫した対応が求められるとしています。

ファン・サポーターとパートナーは最も重要な存在

ガイドは、クラブ経営の原理原則として、「クラブにとって、最も重要な存在は、ファン・サポーター、そして、パートナー」だと書いています。スポンサーだけを最重要としているわけではなく、2者を並べている点が大事です。

ファン・サポーターは、競技の応援、入場料、商品の購入をクラブに渡し、試合の興行やサービス、商品を受け取ります。スポンサー・パートナーは、協賛金と協業を渡し、戦績、スポンサーメリット、アクティベーション(協賛の権利を使った施策)、クラブの価値の訴求を受け取ります。協賛する企業から見ると、自社と並んで大事にされている相手がファンである、ということになります。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

株主・選手・従業員・サプライヤーは事業を動かす相手

クラブという会社の事業を動かしているのが、この4者です。株主は資本と企業理念を渡し、戦績、名声、ブランド、経営情報を受け取ります。選手・監督・コーチは、競技と戦績を渡し、報酬やチームの編成を受け取ります。

表では、選手の側からクラブへ渡すものに「移籍金」も入っています。選手が払うという意味ではなく、選手がほかのクラブへ移るときに、元のクラブにお金が入ることを指しています。従業員は職務への貢献と労働力を渡して給与を受け取り、サプライヤーは製品とサービスを渡して、発注と対価を受け取ります。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

行政・メディア・NPOは地域との接点になる相手

行政は、クラブに「行政支援」を渡し、クラブからは、気候変動への取り組み、インクルーシブ(誰も取り残さない)な活動、地域コミュニティへの関わりを受け取ります。メディアは報道と宣伝を渡し、クラブの情報を受け取ります。NPOやボランティアは、クラブへの支援と社会活動での協働を渡し、活動の機会を受け取ります。

ガイドは行政について、地域の課題の解決に協力することで、行政に必要とされ、信頼される団体になり、「金銭的価値を超えた支援」を続けて受けられるようにする、と書いています。クラブにとって行政は、お金だけでは測れない相手だということです。協賛の話を進めるときも、クラブの後ろに自治体がいることを頭に入れておくと、話の進み方を読みやすくなります。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

クラブに入るお金はスポンサー収入が最大|53クラブ合計で約783億円

9者のうち、クラブにいちばん多くのお金を渡しているのは、スポンサー・パートナーです。Jリーグの「2025年度 クラブ経営情報開示資料」は、J1からJ3の全60クラブのうち、3月と6月が決算の7クラブを除いた53クラブの合計を公表しています。

科目 お金を渡す相手 53クラブ合計(百万円) 売上高に占める割合
スポンサー収入 スポンサー・パートナー 78,251 44.5%
入場料収入 ファン・サポーターなどの来場者 29,562 16.8%
物販収入 商品の買い手 16,882 9.6%
移籍補償金等収入 選手が移った先のクラブ 11,873 6.8%
Jリーグ配分金 Jリーグ 10,351 5.9%

Jクラブの主な収入と、お金を渡す相手(2025年度、53クラブ合計。売上高は175,699百万円。割合は本記事の計算。出典:2025年度 クラブ経営情報開示資料 – Jリーグ)

売上高の合計は175,699百万円(約1,757億円)で、スポンサー収入は78,251百万円(約783億円)です。割ると44.5%になります。この割合は、53クラブの合計から本記事で計算したもので、原典には載っていません。

原典が載せているのは、カテゴリーごとの平均の割合で、スポンサー収入はJ1が40.6%、J2が51.1%、J3が56.5%です。下のカテゴリーほど、スポンサー収入の割合が高くなっています。

クラブから出ていくお金で最も大きいのは、選手・監督・コーチへの支払いです。トップチームの人件費は、53クラブの合計で60,370百万円(約604億円)でした。売上高の約34%(本記事の計算)にあたります。

なお、6月が決算のクラブの数字は、まだこの合計に入っていません。物販収入は、委託で売る場合などがあり、買い手がファンとは限らない点にも注意が要ります。Bリーグも、2024-25シーズンのB1・B2の38クラブの合計で、営業収入65,138百万円のうちスポンサー収入が33,079百万円でした。収入源ごとの仕組みはプロスポーツクラブの収益構造で解説しています。

(参考)2025年度 クラブ経営情報開示資料 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要発表資料 – B.LEAGUE

企業がクラブに関わる4つの立場

企業がスポーツクラブのステークホルダーになる4つの立場と、クラブへ渡すもの、クラブから得るものの対応図

企業がクラブのステークホルダーになる道は、スポンサーだけではありません。Jリーグの表に出てくる相手のうち、企業が就ける立場は、スポンサー・パートナー、株主、サプライヤー、地域の連携先の4つです。上の図は、立場ごとに、クラブへ渡すものと、クラブから得るものを線でつないだものです。4つ目の「地域の連携先」は、ガイドの表のNPO・ボランティア等の欄と、Jリーグのシャレン!の定義をもとにした、本記事の整理です。

スポンサー・パートナー|協賛金と協業を渡す

最も一般的な立場です。協賛金と協業を渡し、スポンサーメリットと、アクティベーションの機会を得ます。クラブの戦績と、クラブの価値の訴求も、受け取るものに挙げられています。

ガイドは、クラブの対応方針を「宣材価値の提案」としています。クラブは、企業の宣伝にどう役立つかを提案する立場だということです。協賛の種類や金額は、下の記事でくわしく扱っています。

あわせて読みたいスポーツスポンサーとは|種類・金額・仕組みを企業向けに解説›

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

株主|資本と企業理念を渡す

出資をして、クラブの株主になる立場です。資本と企業理念を渡し、戦績、名声、ブランド、経営情報を得ます。スポンサーとの違いは、経営情報を受け取り、経営に関わる点です。

株主は大企業だけではありません。ガイドは株主の構成を3つの型に分けています。大きな企業が親会社になる「責任企業型」が全体の38%、地元の有力企業が中核になる「オーナー・有力企業型」が28%、地元の企業・個人・自治体が株主になる「市民クラブ」が33%です。

J2では、あとの2つの型が35%と50%、J3では45%と45%を占めます。株主の数が100社を超える例も少なくない、と書かれています。

この割合の基準の時点と、対象のクラブ数は、ガイドに書かれていません。また、Jリーグ規約は、議決権の15%以上を新しく持つ株主が生じる場合などに、チェアマンの承認を求めています。出資の契約や税務の個別の判断は、弁護士や税理士に確かめてください。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

サプライヤー|製品とサービスを渡す

クラブに製品やサービスを納める立場です。渡すのは製品とサービス、得るのは発注と対価で、お金の向きがスポンサーとは逆になります。

ガイドは、サプライヤーへのクラブの対応方針を「機能 コスト重視の優先」としています。協賛とは違い、機能と価格で選ばれる、ふつうの取引だということです。自社の製品でクラブの仕事を助けられるなら、協賛よりも先に、取引先として関係を始める道があります。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

地域の連携先|シャレン!と指定管理に加わる

お金ではなく、人や場所、知見を持ち寄って、クラブと地域の活動をともにする立場です。Jリーグは、地域の多様なステークホルダーとJリーグ・Jクラブが「3者以上で連携して取り組む活動」をシャレン!と呼んでいます。相手には、自治体、企業、メディア、学校、非営利団体などが挙がっています。

クラブと企業の2者だけの活動は、シャレン!とは呼ばれません。企業の社会貢献としての進め方はスポーツCSRの活動の型で整理しています。

もう1つの例が、スタジアムの指定管理です。指定管理は、自治体が、持っている施設の管理を民間の事業者などに任せる仕組みです。

ガイドに載っている例では、八戸市のスタジアムでは、クラブの運営会社が代表を務めるグループに、NPO法人八戸市サッカー協会とテルウェル東日本株式会社が構成員として入っています。仙台市のスタジアムでは、ベガルタ仙台の運営会社が代表で、シンコースポーツ、キノシタコミュニティ、前田建設工業、日本エスコンの4社が構成員です。施設を管理する力を持つ企業には、この形でクラブと組む道があります。

(参考)サステナビリティ – Jリーグ公式サイト

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

放映権はリーグに帰属し配分金としてクラブに届く

Jリーグの表には、リーグそのものと、試合を配信する事業者が出てきません。放映権をクラブが持っていないからです。試合の中継に関わるお金は、いったんリーグに入り、配分金としてクラブに届きます。

公式試合の公衆送信権はすべてJリーグのもの

Jリーグ規約の第119条は、公式試合の公衆送信権(テレビやラジオの放送、インターネットでの配信などを行う権利)は「すべてJリーグに帰属する」と定めています。配信の事業者が契約する相手は、クラブではなくリーグです。Bリーグの規約も、公式試合の公衆送信権に関する事業はBリーグに属すると定めています。

Jリーグは、DAZNとの放映権の契約を、2023年から2033年までの11年間で約2,395億円と発表しています。これは11年間の総額で、1年ごとの額は、この発表には書かれていません。クラブのスポンサーになっても、中継に関する権利は付いてこないので、中継での露出を期待する場合は、何が協賛の権利に含まれるのかをクラブに確かめてください。

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)Bリーグ規約 – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

(参考)JリーグとDAZNの新たな放映権契約について – Jリーグ公式サイト

配分金の原資は放映権料と協賛金とくじの支援経費

リーグからクラブへ渡るお金が、配分金です。「Jリーグ配分金規程」は、種類ごとに原資を書き分けています。理念強化配分金やファン指標配分金などは公衆送信権料の収益から、事業協力配分金やアカデミー支援配分金などは協賛金の収益から、一般交付金は日本スポーツ振興センターからの支援経費(スポーツ振興くじ)の範囲から出ます。

つまり、リーグのパートナー企業が払った協賛金の一部も、クラブに流れています。リーグと契約する企業の顔ぶれは、サッカーのスポンサー一覧で紹介しています。2026/27シーズンは、カテゴリーごとに全クラブへ均等に配る均等配分金が、総額80.5億円と発表されました。1クラブあたり、J1が2億7,500万円、J2が1億500万円、J3が2,250万円です。

ファン指標配分金の順位には、DAZNの視聴者数などが使われます。ファンが試合を見ること自体が、リーグを通じてクラブの収入につながる仕組みです。

(参考)Jリーグ配分金規程 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)2026/27シーズンの配分金について – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

Q. Jリーグの放映権は誰のものですか?

Jリーグのものです。Jリーグ規約の第119条は、公式試合の公衆送信権は「すべてJリーグに帰属する」と定めています。放映権料はリーグに入り、Jリーグ配分金規程に基づく配分金としてクラブに届きます。クラブのスポンサーになっても、中継に関する権利は付いてきません。

自治体は3つの顔でクラブに関わる

Jリーグの表では「行政」の1列ですが、自治体は、スタジアムの所有者、株主、ホームタウンという3つの顔でクラブに関わっています。協賛や連携の話が、クラブと企業の2者で終わらないことがあるのは、このためです。

スタジアムの所有者|建物も敷地も自治体が92%

ガイドによると、ホームスタジアムの建物と敷地の両方を自治体が持っているクラブは、55クラブで92%です。クラブが持つスタジアムは2施設、親会社が持つスタジアムは3施設にとどまります。この表の基準の時点は、ガイドに書かれていません。

クラブは、多くの場合、自治体から場所を借りて試合をしています。規約は、ホームクラブが負担する費用に、スタジアムの使用料と、クラブのパートナーの看板などの費用(スタジアムへの掲出料を含む)を挙げています。看板の料金はスタジアム広告の料金で紹介しています。

クラブ、またはクラブを含むグループが指定管理者になっているスタジアムは、21施設です。国のスタジアム・アリーナ改革指針も、指定管理者の制度によって、民間の事業者が管理や運営を担う例が増えていると書いています。同じ指針は、命名権や広告を買うスポンサーも、施設の顧客としてとらえられるとしています。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)スタジアム・アリーナ改革指針(平成28年11月16日公表) – スポーツ庁・経済産業省

株主|出資の主な目的は連携の強化

自治体は、クラブの株主にもなっています。ガイドは、自治体が出資しているクラブは「相当数になる」としたうえで、「金銭的支援というよりは、ガバナンス強化、連携強化が主な目的である」と書いています。何クラブかという数は、載っていません。

出資を考える企業にとっては、株主の集まりで自治体と同じ席に着く可能性がある、ということです。クラブの経営の健全さをリーグがどう見ているかは、下の記事で扱っています。

あわせて読みたいクラブライセンスとは|Jリーグの基準と債務超過・制裁の扱い›

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

ホームタウン|規約がクラブに地域との一体化を求める

Jリーグ規約の第24条は、クラブに、特定の市町村または特別区をホームタウンとして定めることを求めています。クラブは、ホームタウンで「地域社会と一体となったクラブ作り(社会貢献活動を含む)」を行い、スポーツの普及と振興に努めなければなりません。ホームタウンは、原則として変えられません。

クラブは、その地域から動かない相手です。国の第二期スポーツ未来開拓会議の中間報告も、スポーツチームに、自治体、地元企業、大学などの支援や協力を得て、地域での存在感を高めることを期待しています。地元の企業がクラブと長く組みやすい理由は、ここにあります。

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)第二期 スポーツ未来開拓会議 中間報告(2023年7月) – スポーツ庁・経済産業省

企業が最初に話す相手は出すものと相手の数で決まる

企業がスポーツクラブと組むときに最初に話す相手を、企業が出すものと話に加わる相手の数で4つに分けた図

誰に最初に話を持っていくかは、企業が何を出すのかと、話に加わる相手が何者いるのかで変わります。上の図は、ここまでの内容をもとに、企業の関わり方を4つの区画に置いたものです。区画の分け方と置き方は、原典にはない、本記事の整理です。

お金を出し、相手がクラブだけなのが、スポンサー・パートナーです。クラブのパートナー担当の窓口に話します。製品やサービスを出すサプライヤーも、相手はクラブだけです。こちらは事業の担当に、機能と価格を示すことになります。

お金以外を出し、自治体や学校なども加わるのが、シャレン!や指定管理です。シャレン!は3者以上が条件なので、クラブの地域連携の担当に、3者目の候補と合わせて相談する形になります。指定管理は、施設を持つ自治体が管理を任せる仕組みですから、自治体の方針を確かめるところから始まります。

お金を出し、クラブのほかにも相手がいるのが、出資と、施設の命名権です。出資は、いまの株主の構成と、リーグの承認が要る場合を先に確かめます。スタジアムの多くは自治体のものなので、施設の名前や看板の話では、所有者の自治体が当事者になる場合があります。命名権の費用はスポーツ命名権の費用と効果でまとめています。

(参考)Jリーグクラブ経営ガイド2025 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

(参考)サステナビリティ – Jリーグ公式サイト

Q. 中小企業でもプロスポーツクラブのステークホルダーになれますか?

なれます。Jリーグクラブ経営ガイド2025によると、J2とJ3では、地元の企業が株主の中心になる「オーナー・有力企業型」と「市民クラブ」が、クラブの8割から9割を占めます(割合を足したのは本記事)。出資のほかにも、スポンサー、製品を納めるサプライヤー、3者以上で地域の活動に取り組むシャレン!の連携先という立場があります。

まとめ|クラブを囲む関係者を知ってから立場を選ぶ

クラブの後ろには、ファン、株主、自治体、リーグがいます。要点を振り返ります。

  • スポーツ業界のステークホルダーに法律上の定義はなく、Jリーグはクラブの相手を9者と「他」に整理している
  • クラブが最も重要とするのは、ファン・サポーターとパートナーの2者
  • 2025年度の53クラブ合計で、スポンサー収入は78,251百万円。売上高の44.5%(本記事の計算)にあたる
  • 放映権はリーグに帰属し、クラブには配分金として届く
  • 自治体は、スタジアムの所有者、株主、ホームタウンの3つの顔を持つ
  • 企業は、スポンサー、株主、サプライヤー、地域の連携先の4つの立場で関われる

協賛の案内を受け取ったら、まず、そのクラブの株主の構成と、スタジアムの所有者を調べてみてください。クラブの会社概要や、自治体の施設のページが手がかりになります。誰が同じ輪にいるのかが分かれば、自社がどの立場で入るのか、誰に先に話すのかを決めやすくなります。スポーツ業界が抱える課題の全体像は日本スポーツ業界の8つの課題で整理しています。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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