ストレスチェック受検率は全国79.9%|企業の目標と運動の活用

ストレスチェック受検率は全国79.9%|企業の目標と運動の活用 スポーツウェルビーイング

ストレスチェックの受検率は、2025年1〜12月の全国の全業種で79.9%です。厚生労働省が2017年に初めて公表した78.0%から8割前後で推移しており、業種別では建設業の89.6%から接客娯楽業の51.7%まで約38ポイントの開きがあります。受検は労働者の義務ではないため、法令に受検率の目標値はありません。ただし受検者が10人を下回る部署は集団分析ができなくなるので、分析したい単位から逆算して目標を決め、受けやすい日時と方法を用意するのが上げ方の基本です。

ストレスチェックの締め切りが近いのに、回答した人がまだ半分。店舗や現場に散らばる社員にもう一度メールを送るべきか、それとも上司から声をかけてもらうべきか。受検率をめぐっては、こうした迷いが毎年のように出てきます。ここでは、全国の受検率と業種ごとの差、計算の仕方、目標の決め方と上げ方を、厚生労働省の資料で確かめられる範囲で整理します。

ストレスチェック受検率の全国平均|最新は2025年の79.9%

ストレスチェック受検率の全国平均は、最新の公表値で79.9%です。静岡労働局が「令和7年 ストレスチェックの実施状況」として、2025年1月1日〜12月末の報告を2026年3月末現在で集計し、全業種の受検率(資料では「検査実施率」)を静岡82.3%、全国79.9%と示しました。

厚生労働省が全国の数字を最初に公表したのは2017年7月です。50人以上の事業場が労働基準監督署に出した実施報告を2017年6月末時点で取りまとめ、ストレスチェックを実施した事業場の在籍労働者のうち、受けた人の割合を78.0%としました。事業場の規模別では77.0%〜79.1%で、規模による大きな差は出ていません。

公表時期 集計の対象 受検率
2017年7月(厚生労働省) 実施報告書を出した50人以上の事業場(2017年6月末時点) 78.0%
同・事業場の規模別 50〜99人/100〜299人/300〜999人/1,000人以上 77.0%/78.3%/79.1%/77.1%
2026年3月末現在(静岡労働局) 2025年1〜12月の全国の全業種 79.9%

出典:厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況を施行後はじめて公表します」(2017年7月26日)、静岡労働局「令和7年 ストレスチェックの実施状況」をもとに Human Soar 作成

公表値どうしで比べると、8年あまりで受検率は1.9ポイントしか動いていません。全国では「対象者の5人に1人は受けていない」状態が続いていると読めます。自社の数字が80%前後なら全国並み、90%を超えていれば上位と見てよいでしょう。

業種で見ると差ははっきりしています。2025年の全国の値を高い順に並べると次のとおりです。

業種(労働局の区分) 全国の受検率 静岡の受検率
建設業 89.6% 94.3%
製造業 87.9% 90.0%
金融広告業 85.5% 92.9%
教育研究業 82.3% 87.1%
運輸交通業 81.3% 81.8%
保健衛生業 79.4% 83.6%
商業 75.6% 73.9%
その他 75.0% 65.6%
接客娯楽業 51.7% 59.9%

出典:静岡労働局「令和7年 ストレスチェックの実施状況」(2025年1〜12月、2026年3月末現在)をもとに Human Soar 作成

全国では建設業・製造業・金融広告業が85%を超える一方、接客娯楽業は51.7%と、ほかの業種より20ポイント以上低くなっています。同じ業種でも、その他や接客娯楽業のように静岡と全国で8ポイント以上違う区分があります。

(参考)令和7年 ストレスチェックの実施状況 – 静岡労働局

(参考)ストレスチェック制度の実施状況を施行後はじめて公表します(2017年7月26日 厚生労働省) – 東京都保健医療局

Q. ストレスチェックの受検率の全国平均は何%ですか?

2025年1〜12月の全国の全業種で79.9%です。静岡労働局が2026年3月末現在の集計として公表した数字で、厚生労働省が2017年に初めて公表した78.0%から大きくは変わっていません。業種によって差があり、全国では建設業の89.6%が最も高く、接客娯楽業の51.7%が最も低くなっています。

ストレスチェック受検率の計算方法|報告書の2つの欄で割る

ストレスチェックの受検率の計算方法(検査を受けた労働者数を在籍労働者数で割る)を示した図

ストレスチェックの受検率は、検査を受けた労働者数を在籍労働者数で割って求めます。50人以上の事業場が労働基準監督署に出す「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)」に、この2つの欄があります。2017年に公表された全国の数字も、この報告を取りまとめたものです。

分母は実施月の末日の在籍労働者数

実施マニュアルは、報告書の「在籍労働者数」を、検査を実施した月の末日現在で、ストレスチェックの実施義務の対象になっている常時使用する労働者の数と定めています。週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満のパートタイム労働者や、受け入れている派遣労働者は含めません。

分子の「検査を受けた労働者数」は、報告対象期間に検査を受けた人の実人数で、2回受けた人も1人と数えます。たとえば在籍労働者が200人で、受けた人が170人なら、受検率は85.0%です。対象外のパートタイム労働者にも任意で実施している場合は、分母と分子で数える人をそろえないと受検率が実態とずれるので、社内で追うときも報告書と同じ数え方にします。

(参考)労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル – 厚生労働省

事業場の「実施率」とは別の数字

受検率とよく混同されるのが、事業場単位の「実施率」です。厚生労働省の2025年の労働安全衛生調査では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所のうち「ストレスチェックの実施」を挙げたのは64.0%、労働者50人以上の事業所に限ると89.8%でした。これは実施した事業所の割合で、社員のうち何人が受けたかを示す受検率とは分母が違います。

50人未満の事業場は報告書の提出が不要なので、受検率は社内でしか分かりません。2028年4月に50人未満も実施が義務になったあとも、報告の要否は事業場の規模で分かれます。小規模の事業場ほど、自分たちで分母と分子を記録しておく必要があります。義務化のスケジュールはストレスチェック義務化の時期と対応で整理しています。

あわせて読みたいメンタルヘルス施策の効果測定方法|人事担当者が押さえるKPIと評価フレーム›

(参考)令和7(2025)年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況 – 厚生労働省

(参考)小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月) – 厚生労働省

ストレスチェック受検率の目標|集団分析の10人から逆算する

ストレスチェックの集団分析ができるかどうかを部署の受検者数(10人以上か未満か)で分けた図

ストレスチェック受検率の目標は、法令に数値がないので自社で決めます。目安になるのは、全国の受検率の分布と、集団分析に必要な受検者の人数の2つです。

受検率の数値目標は法令になく自社で決める

労働安全衛生法第66条第5項は労働者に健康診断を受ける義務を課していますが、ストレスチェックを定めた第66条の10には同じ規定がありません。厚生労働省のQ&Aも、労働基準監督署への報告は実施状況を把握するためのもので、受検率が低いことを理由に指導することは考えていないとしています。

国の第14次労働災害防止計画(2023〜2027年度)の目標も、50人未満の事業場でストレスチェックを実施する割合を2027年までに50%以上にするという事業場単位の数字で、受検率の目標は置いていません。一方で厚生労働省の手引きは、受検率を高めることを計画(目標)の1つに位置づけてもよいとしています。

(参考)労働安全衛生法 – e-Gov法令検索

(参考)ストレスチェック制度関係 Q&A – 厚生労働省

(参考)第14次労働災害防止計画 – 厚生労働省

全国の分布では90%以上の事業場が6割

厚生労働省の委託調査(2021年8〜9月)で、回答した3,115事業場の受検率を見ると、100%が15.7%、90%以上100%未満が45.7%、80%以上90%未満が16.1%、80%未満が20.5%でした。足し合わせると、90%以上の事業場は61.4%、80%以上は77.5%になります。

この分布からは、「80%」は多くの事業場が届いている水準で、「90%」が上位6割の水準といえます。目標を置くなら90%以上、少なくとも80%を割らないことを最低線にするのが現実的です。

(参考)ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(令和4年3月) – 厚生労働省

部署ごとの分析には受検者10人が要る

受検率の目標を決めるうえで、全国平均より大事なのが集団分析の人数です。実施マニュアルは、集団分析の下限の10人を在籍している人数ではなく実際に受けた人数で数えるとしています。12人の課で受検率が75%なら受けた人は9人なので、その課だけの分析結果は事業者に渡せません。

10人を下回る場合は、より大きな部署にまとめて集計するか、調査票の57項目の合計点の平均や「仕事のストレス判定図」など個人が特定されない方法を使います。2026年6月30日公布の改正労働安全衛生規則では、集団分析を「特定の個人を識別することができない方法で」行うことが条文に入り、2027年4月1日に施行されます。分析したい部署の人数から、何人受けてもらう必要があるかを逆算して目標を決めるのが確実です。

あわせて読みたいストレスチェック実施者の要件|企業が選ぶ6職種とチーム分析›

(参考)ストレスチェックの「集団分析」を適切に実施しましょう! – 厚生労働省

Q. ストレスチェックの受検率の目標は何%にすればよいですか?

法令や国の計画に受検率の数値目標はないので、自社で決めます。厚生労働省の委託調査では、受検率が90%以上の事業場が回答の61.4%を占めていたので、90%以上を目安にする方法があります。あわせて、集団分析をしたい部署ごとに受検者が10人以上になるかを確かめて決めます。

ストレスチェックの受検率を上げる方法|勧奨と受けやすさを整える

ストレスチェックの受検率は、強制ではなく、未受検者への勧奨と受けやすい条件づくりで上げます。厚生労働省の指針は、全ての労働者が受けることが望ましいとしたうえで、受けるかどうかは本人が選べるという線を引いています。

未受検者への勧奨は回数と方法を衛生委員会で決める

指針によると、事業者は実施者から受けた人のリストを受け取るなどして受検の有無を把握し、受けていない人に受検を勧めることができます。実施者が受検の有無の情報を事業者に渡すとき、労働者の同意は要りません。勧奨の頻度や方法は企業ごとに異なるので、衛生委員会で話し合って決めるよう厚生労働省のQ&Aは求めています。

越えてはいけない線もはっきりしています。指針は、就業規則で受検を義務付け、受けない人を懲戒処分することを不利益な取扱いとして禁じています。小規模事業場向けのマニュアルも、業務命令のような形で強要しないよう求めています。勧奨は「あなたのために受けてほしい」という案内にとどめ、受けない理由を問いただす形にしないことが大切です。

(参考)心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針 – 厚生労働省

業務時間中に受けられるようにする

小規模事業場向けのマニュアルは、ストレスチェックを業務時間中に実施し、管理者が受ける時間を取れるよう配慮することを求めています。受けた時間の賃金について、厚生労働省のQ&Aは労使で協議して決めるとしたうえで、一般の健康診断と同じく支払うことが望ましいとしています。

長期の出張など業務の都合で受けられなかった人には、別に受検の機会を設ける必要があります。締め切りを過ぎた人への再受検の窓口を最初から用意しておくと、取りこぼしが減ります。

(参考)小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月) – 厚生労働省

調査票と実施時期で回答の負担を減らす

厚生労働省の委託調査では、受検したときの困りごととして「質問票に記入する時間や労力が負担だった」を3割弱の労働者が挙げています。厚生労働省の事例集には、項目数の多い調査票に切り替えたところ回答に時間がかかると不評で、受検率が82.3%から67.0%に下がり、委託先を見直して回復した情報サービス業の事例が載っています。

同じ事例集には、繁忙期と重なって受けにくい人がいたため実施時期をずらした建設業の工夫や、Web方式と紙の質問票を使い分ける考え方も紹介されています。外国人の社員には、英語・中国語・ベトナム語など10言語の調査票が厚生労働省から出ています。委託先を選ぶときは、こうした調査票の選び方や回答の方法まで比べると、ストレスチェックの外部委託先の比較で整理した観点と合わせて判断しやすくなります。

(参考)ストレスチェック制度の課題等(第2回 ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 資料3) – 厚生労働省

(参考)ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(令和4年3月) – 厚生労働省

Q. ストレスチェックを受けない社員に受検を義務付けられますか?

義務付けることはできません。労働安全衛生法は労働者に受検の義務を課しておらず、厚生労働省の指針は、就業規則で受検を義務付けて受けない人を懲戒処分することを禁じています。未受検者への受検の勧奨はでき、その方法や回数は衛生委員会で話し合って決めます。

健診や運動の日と組み合わせる|スポーツ施設の職場も受検率を見直す

受検率を上げる工夫として、健康診断や運動の健康教育の日に組み込む方法が、厚生労働省の事例集で確かめられます。一方で、労働局の集計で受検率が最も低いのは、娯楽場の事業などを含む接客娯楽業です。

健診と運動の健康教育の日に組み込んで9割を保つ

事例集に載っている製造・卸売業の事業場(労働者50〜299人・2事業場)は、毎年6月に全社員がそろって病院で受ける定期健康診断の日にストレスチェックを組み込みました。もともと午前に健診、午後に運動などの健康教育を行うプログラムだったため、午後の冒頭に15分ほどストレスチェックの時間を入れたところ、受検率は毎年9割を超えているといいます。

社員が体を動かすために集まる時間は、ストレスチェックを受けてもらう機会にもなります。社内の運動会やウォーキングの催し、体力測定などを行っている企業は、その案内と受検の案内を一緒に出す方法が考えられます。ただし指針は、健診の問診と同時に行う場合、調査票と問診票を分けるなど、受検の義務がないことを労働者が区別できるようにするよう求めています。運動の場でも「受けるかどうかは自分で選べる」ことを添えて案内します。

あわせて読みたい健康診断の運動習慣の質問|スポーツ施策に生かす企業の使い方›

(参考)ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(令和4年3月) – 厚生労働省

スポーツ施設やクラブの運営会社は接客娯楽業の51.7%を基準に見る

体育館やフィットネスクラブ、ゴルフ場、プロ野球の興行に使う野球場などの事業は、日本標準産業分類で「娯楽業」に分類されます。労働局の集計で受検率が最も低かった接客娯楽業は、労働基準法の別表第1第14号(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)にあたる区分で、全国の受検率は51.7%でした。スポーツ施設やクラブを運営する会社も、50人以上の事業場なら実施と報告の義務を負う事業者です。

こうした職場で受検率を上げるには、先に挙げた方法をシーズンや営業の形に合わせて使います。大会や繁忙期を避けて実施時期を決める、シフトの中に受検の時間を入れる、スマートフォンで受けられるWeb方式と紙の質問票を併用する、といった組み合わせです。自社の受検率を全国平均の79.9%と比べて低くても、まず接客娯楽業の51.7%を上回っているかを確かめ、部署ごとに10人の受検者を確保することから始めると目標を立てやすくなります。運動を職場の施策に取り入れる全体像はウェルビーイング施策の設計法で解説しています。

(参考)スポーツ施設提供業(別掲を除く)(日本標準産業分類) – 総務省(e-Stat)

(参考)労働基準法 – e-Gov法令検索

Q. 健康診断と同じ日にストレスチェックを実施してもよいですか?

同じ日に実施できます。厚生労働省の指針は健康診断の問診と同時に行うことを認めていますが、調査票と問診票を分けるなど、受検の義務がないことを労働者が区別できるようにする必要があります。厚生労働省の事例集には、健診の日にあわせて実施し、毎年9割を超える受検率を保っている事業場が載っています。

ストレスチェック受検率のまとめ

ストレスチェックの受検率は、全国で8割前後のまま大きくは動いていません。受検は本人が選べる仕組みなので、強制ではなく、受けやすい時間と方法を整えて上げていきます。出典は本文の各セクションに記載しています。メンタルヘルス対策を少ない費用で進める方法は中小企業のメンタルヘルス対策にまとめています。

  • 全国の受検率は2025年に79.9%、2017年の初公表は78.0%で、業種では建設業89.6%から接客娯楽業51.7%まで差がある
  • 受検率は「検査を受けた労働者数÷在籍労働者数」で、事業場単位の実施率とは別の数字
  • 法令に受検率の目標値はなく、全国では90%以上の事業場が6割。部署ごとに受検者10人を確保できるかから逆算する
  • 未受検者への勧奨はできるが、就業規則で義務付けて懲戒処分することは禁じられている
  • 健診や運動の健康教育の日に組み込むと受けやすく、スポーツ施設などの職場はシフトと繁忙期に合わせて受検の時間を取る

元気な社員が、いちばんのマーケティングになる。

社員のウェルビーイングを高め、
その元気が自然と外に伝わる仕組みをつくります。

インナーマーケティングを知る →

About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました