神奈川県の実業団7チーム|川崎・横浜・相模原の企業競技部

神奈川県の実業団7チーム スポーツビジネス

「神奈川の実業団」を調べると、名前は出てくるのに、どの企業が何を持っているのかが一覧になっていません。プロクラブと企業の競技部が同じページに混ざって並ぶためです。

この記事では、国内トップリーグに所属し、企業が保有する競技部として運営されている神奈川拠点のチームを、リーグ公式サイトと自治体の公開情報で確認して整理します。確認できたのは7チーム、保有する企業は5社でした。

神奈川県の実業団は川崎・横浜・相模原に7チームある

ここで言う実業団は、企業が競技部として保有し、企業名をチーム名に冠しているチームを指します。運営会社が独立した法人になっているプロクラブは、後半で別に扱います。

チーム 保有企業 競技・所属 拠点
東芝ブレイブアレウス 東芝 硬式野球(都市対抗) 川崎市
富士通フロンティアーズ 富士通 アメリカンフットボール(Xリーグ) 川崎市
富士通レッドウェーブ 富士通 女子バスケットボール(Wリーグ) 川崎市
富士通陸上競技部 富士通 陸上競技 川崎市
NECレッドロケッツ川崎 NEC 女子バレーボール(SVリーグ) 川崎市
横浜キヤノンイーグルス キヤノン ラグビー(リーグワン ディビジョン1) 横浜市
三菱重工相模原ダイナボアーズ 三菱重工業 ラグビー(リーグワン ディビジョン1) 相模原市

出典:川崎市「かわさきスポーツパートナー」、ジャパンラグビー リーグワン「チーム一覧(2025-26シーズン)」、SVリーグ「SV.LEAGUE WOMEN チーム一覧」、富士通「Fujitsu Sports」をもとに作成

7チームのうち5チームが川崎市に集まっています。しかも川崎の5チームは、東芝・富士通・NECという3社だけで占められています。しかも富士通は1社で3つの競技部を持っています。

ラグビーの2チームは、チーム名に「横浜」「相模原」という市名が入っています。企業名だけでチームを呼ばなくなっているのが、この2チームの特徴です。

なお、この7チームは本記事が確認できた範囲です。社会人野球の企業チームや実業団陸上の登録チームは他にもあり、県内の実業団を網羅した数字ではありません。

Q. 神奈川県の実業団にはどんなチームがありますか?

トップリーグに所属し企業が保有しているチームとしては、東芝ブレイブアレウス(野球)、富士通フロンティアーズ(アメフト)、富士通レッドウェーブ(女子バスケ)、富士通陸上競技部、NECレッドロケッツ川崎(女子バレー)、横浜キヤノンイーグルス(ラグビー)、三菱重工相模原ダイナボアーズ(ラグビー)があります。

(参考)かわさきスポーツパートナー – 川崎市

(参考)チーム一覧(2025-26シーズン) – ジャパンラグビー リーグワン

川崎市は6チームを「かわさきスポーツパートナー」に認定している

かわさきスポーツパートナー6チームの内訳

川崎市には、市内を拠点とするトップチームを市が認定する制度があります。根拠は「かわさきスポーツパートナー等設置要綱」で、2013年4月1日に制定され、2016年4月1日に改正されています。市は目的を「スポーツの推進及び川崎市のイメージアップを図る」ことと説明しています。

2026年7月時点で認定されているのは6チームです。川崎フロンターレ、川崎ブレイブサンダース、富士通レッドウェーブ、NECレッドロケッツ川崎、富士通フロンティアーズ、東芝ブレイブアレウスの6つで、市はこの6チームが協力する「ボールゲームフェスタ」を開催しています。

注目したいのは内訳です。6チームのうち4チームは企業が保有する競技部で、独立した運営会社を持つプロクラブは川崎フロンターレと川崎ブレイブサンダースの2つだけです。自治体が「地域のトップチーム」として束ねている枠に、実業団とプロクラブが同じ資格で並んでいます。

企業側から見ると、これは自社の競技部が市の広報や事業に組み込まれることを意味します。市の施設での展示、市長表敬、市民招待といった企画に、企業名を冠したチームが継続的に登場する形です。

Q. かわさきスポーツパートナーとは何ですか?

川崎市をホームタウンとして活躍するトップチームを市が認定する制度です。2013年4月1日制定の要綱にもとづき、2026年7月時点で6チームが認定されています。うち4チームは企業が保有する競技部です。

(参考)【川崎市要綱】かわさきスポーツパートナー等設置要綱 – 川崎市

富士通は1社で3つの競技部を持っている

富士通は1935年に川崎工場で創業した企業です。創立50周年にあたる1985年にアメリカンフットボール部と女子バスケットボール部が正式にスタートし、1990年に陸上競技部が強化スポーツチームに指定されました。競技部は、いずれも創業の地である川崎を拠点にしています。

アメリカンフットボールのフロンティアーズは、1984年に富士通グループの経験者が同好会として発足したのが始まりです。「仕事もフットボールも日本一に」をスローガンに翌1985年に正式発足し、日本選手権「ライスボウル」を2014・2016・2017・2018・2019・2021・2022・2023シーズンに制しています。優勝8回はXリーグでも突出した数字です。

女子バスケットボールのレッドウェーブは1985年創部。「赤い波が強豪チームを脅かす存在となるように」という意味で1993年に命名されました。全日本総合選手権で2005・2006・2007年に優勝、Wリーグでは2007年と2023年に優勝しています。

陸上競技部は1990年、全国各地の事業所で活動していた部員を集結させて発足しました。競歩・長距離・マラソンからトラック&フィールド、パラ陸上まで種目が広いのが特徴で、国際大会への代表選手を継続的に送り出しています。

3つの競技部に加えて、女子チアリーダー部フロンティアレッツもあります。同社はこれらをまとめて「Fujitsu Sports」として公開し、SDGsや共生社会の取り組みと結びつけて発信しています。企業スポーツを広報活動の柱のひとつに位置づけている形です。

1社が複数の競技部を持つ形は珍しく、埼玉県では日本通運が6つの部を持つ例があります。

Q. 富士通はどんなスポーツチームを持っていますか?

アメリカンフットボール部フロンティアーズ、女子バスケットボール部レッドウェーブ、陸上競技部の3つの競技部と、女子チアリーダー部フロンティアレッツがあります。いずれも創業の地である川崎市を拠点にしています。

(参考)ホーム – Fujitsu Sports 富士通スポーツの活動

東芝ブレイブアレウスは1958年創部、都市対抗優勝7回

硬式野球の東芝ブレイブアレウスは1958年創部です。都市対抗野球大会で7回、日本選手権で1回優勝しています。川崎市は同チームを「数多くのプロ野球選手を輩出し、歴史と伝統がある名門」と紹介しています。

大会 優勝年
都市対抗野球大会 1978/1983/1988/1991/1999/2007/2010
日本選手権(社会人野球) 1988

出典:川崎市「東芝ブレイブアレウスを紹介!」(更新日2024年8月15日)

優勝年を並べると、1978年から2010年までのおよそ30年に集中しています。都市対抗は企業チームが都市の代表として出場する大会で、東芝は川崎市代表として出場します。市は出場が決まるたびに壮行会を開いており、2025年の第96回大会、2026年の第97回大会でも実施されました。

チームは市内の保育園で「ティーボール教室」を開くなど、地域活動にも出ています。企業の競技部が、市の代表という立場と地域活動の担い手という立場を同時に持っている例です。

Q. 東芝の野球部は強いのですか?

1958年創部で、都市対抗野球大会での優勝は7回(1978・1983・1988・1991・1999・2007・2010)、日本選手権(社会人野球)での優勝が1回(1988)あります。川崎市代表として都市対抗に出場しています。

(参考)東芝ブレイブアレウスを紹介! – 川崎市

実業団がプロクラブになる——川崎ブレイブサンダースの場合

川崎ブレイブサンダースの運営が移った流れ

川崎市の認定6チームのうち、川崎ブレイブサンダースは企業の競技部ではなく独立した運営会社を持つプロクラブです。ただし歴史は実業団のものです。

クラブの公式サイトに掲載されている会社概要では、運営会社の名称は「株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース」、設立は2018年1月11日とされています。そしてそのすぐ横に「クラブ創設1950年」と併記されています。クラブロゴについても「1950年から続く歴史を背負う誇り」と説明されています。

つまり、1950年に始まった競技部としての歴史はそのままに、2018年に運営の主体だけが新しい会社へ移った形です。チーム名からは企業名が消え、代わりに「川崎」が前に出ました。ホームアリーナは市の施設であるとどろきアリーナです。

企業が競技部を持ち続けるか、運営を外に出すかは、企業スポーツの分かれ道です。川崎では、同じ市内で両方の形が並存しています。東芝は野球部を自社で持ち続け、バスケットボールは別の会社に移りました。

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Q. 川崎ブレイブサンダースは実業団ですか?

現在は株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース(2018年1月11日設立)が運営するプロクラブです。ただしクラブ創設は1950年で、企業の競技部としての歴史を引き継いでいます。

(参考)クラブ概要 – 川崎ブレイブサンダース

企業名に地域名を足す流れが神奈川でも進んでいる

神奈川の実業団3チームは、チーム名に市名が入っています。NECレッドロケッツ川崎、横浜キヤノンイーグルス、三菱重工相模原ダイナボアーズです。企業名を残したまま、拠点の市名を並べる形が定着しつつあります。

チーム名 名前に入る企業 名前に入る地域
NECレッドロケッツ川崎 NEC 川崎(後置)
横浜キヤノンイーグルス キヤノン 横浜(前置)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 三菱重工業 相模原(中置)

出典:SVリーグ「SV.LEAGUE WOMEN チーム一覧」、ジャパンラグビー リーグワン「チーム一覧(2025-26シーズン)」をもとに作成

これは神奈川だけの話ではありません。バレーボールのSVリーグ女子は14チームが所属していますが、チーム名に地域名が入っていないのはデンソーエアリービーズだけで、残る13チームには県名や市名が入っています。ラグビーのリーグワンも、ディビジョン1の12チームのうち11チームの名前に都県名や市名が入っています。

企業にとっては、露出のされ方が変わることを意味します。企業名だけのチーム名であれば全国に対する広報ですが、地域名が付くと、その地域での認知と結びつきが前に出ます。採用や地域取引を重視する企業ほど、この形は使いやすくなります。

協賛という形で関わる場合も同じで、スポーツ協賛の目的を地域に置くか全国に置くかで、選ぶ相手は変わります。

Q. なぜ実業団のチーム名に地域名が入るようになったのですか?

リーグ側が地域密着を運営方針に掲げていることが背景にあります。SVリーグ女子は14チーム中13チームが、ラグビーのリーグワンはディビジョン1の12チーム中11チームが、チーム名に地域名を含んでいます。

(参考)SV.LEAGUE WOMEN チーム一覧 – SVリーグ

川崎市はアメリカンフットボールを市の施策にしている

川崎市のアメリカンフットボール施策の4つの柱

川崎市は「アメリカンフットボールを活用したまちづくり取組指針」を公開しています。一競技を名指しした施策の指針を自治体が持っているのは珍しく、その背景には富士通フロンティアーズの存在があります。

指針は4つの柱で構成されています。アメリカンフットボールと川崎の魅力発信・相互イメージアップ、アメリカンフットボールの拠点化の推進、アメリカンフットボールを活用した地域商業・経済の活性化、そしてフラッグフットボールを通じた子どもたちの健全育成・市民の絆の強化です。

企業の競技部が、市の魅力発信や商業活性化の手段として位置づけられていることになります。フロンティアーズが本拠地とする富士通スタジアム川崎の名称にも企業名が入っており、施設・チーム・市の施策が同じ言葉で結びついています。

企業スポーツは社内向けの福利厚生や一体感づくりという文脈で語られがちですが、川崎の例は、自治体の政策と接続することで外向きの資産にもなることを示しています。

Q. 自治体が特定の競技を施策にすることはあるのですか?

川崎市は「アメリカンフットボールを活用したまちづくり取組指針」を公開しており、魅力発信、拠点化、地域商業・経済の活性化、フラッグフットボールによる子どもの健全育成という4つの柱を掲げています。

(参考)アメリカンフットボールを活用したまちづくり取組指針 – 川崎市

神奈川で実業団を調べるときの3つの注意

1つめは、拠点の所在地とチーム名の地域が一致しない場合があることです。企業の本社所在地、競技部の練習拠点、ホームゲームの開催地は、それぞれ別のこともあります。調べる目的が採用なら練習拠点、協賛なら試合の開催地というように、見るべき住所が変わります。

2つめは、実業団とプロクラブの線引きです。川崎ブレイブサンダースのように、競技部の歴史を引き継ぎながら運営が独立した会社に移っているケースがあります。企業名がチーム名から消えても、その企業が出資や協賛を続けていることもあり、名前だけでは関係がわかりません。

3つめは、リーグ再編でチーム名が変わることです。バレーボールは2024-25シーズンからSVリーグが始まり、多くのチームが名称を変えています。過去の記事や資料に出てくるチーム名が、現在の名称と違う場合があります。数字や実績を引用するときは、どの時点の名称かを確認する必要があります。

企業がスポーツに関わる形は、競技部を持つ、協賛する、施設を提供する、自治体の事業に参加するなど複数あります。茨城県のように企業が体育館を建てて地域に開放している例もあり、神奈川の集中型とは違う形が各地にあります。

Q. 実業団とプロクラブはどう見分ければよいですか?

運営主体を見るのが確実です。企業の一部門として運営されていれば実業団、独立した運営会社があればプロクラブというのが基本的な区別です。公式サイトの会社概要やチーム紹介に運営法人名が記載されています。

(参考)スポーツ庁 – 文部科学省

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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