NFLの収益はリーグ全体では公表されていませんが、選手との労使協定と2026年のサラリーキャップから逆算すると、年間で約250億ドル前後になります。そのうち放映権料などリーグがまとめて受け取るお金は32チームに配られ、財務を公表しているグリーンベイ・パッカーズは2026年3月期にリーグから過去最高の4億5,320万ドルを受け取りました。選手に払う費用の総額は収入の48〜48.5%と決められており、収入が増えるとサラリーキャップも自動で上がる仕組みです。
米国で事業を広げる会議でNFLの名前が出たものの、どれほどの規模のリーグなのか、なぜ毎年のように上限額が上がるのか、数字で説明できる資料が見当たらない。ここでは、NFLと選手会の労使協定、NFLの公式発表、パッカーズの年次報告といった一次情報をもとに、NFLの収益の大きさと分配の仕組み、日本のリーグとの違いを整理します。
NFLの年間収益はいくらか|労使協定から逆算すると約250億ドル前後

NFLの年間収益は、選手に払う費用の総額を、労使協定で決まった「収入に占める選手の取り分」で割ると見積もれます。リーグは総収入を公表していませんが、選手費用と取り分の割合は公表された資料で確かめられるためです。
選手に払う費用は収入の48〜48.5%と決まっている
NFLと選手会(NFLPA)が2020年3月15日に結んだ労使協定は、2030年シーズンの終わりまで有効です。協約では、2021〜2030年の各年について、選手に払う費用の総額(Player Cost Amount)を、見込まれるリーグ全体の収入の48%以上、48.5%以下に収めると定めています。
サラリーキャップは、この選手費用の総額から福利厚生の見込み額を引き、チームの数で割って求めます。つまり、リーグの収入が増えれば選手費用が増え、1チームあたりの上限も自動で上がる仕組みです。新しい放映権の契約が一定の条件を満たした年には、選手の取り分が48.5%を超えて最大48.8%まで上がる規定もあります。
(参考)Collective Bargaining Agreement(2020年3月15日) – NFL・NFLPA
2026年のサラリーキャップから計算すると約248億〜253億ドル
NFLは2026年2月27日、2026年のサラリーキャップを1チーム3億120万ドルにすると各チームに伝えました。NFLの広報担当のブライアン・マッカーシー氏は同じ日にSNSで、福利厚生の7,760万ドルを足すと、選手のために使う額は1チーム3億7,880万ドルになると説明しています。
3億7,880万ドルに32チームを掛けると、選手費用の総額は約121億ドルです。これを48.5%で割ると約250億ドル、48%で割ると約253億ドル、上限の48.8%で割ると約248億ドルになります。1ドル=150円で計算すると約3.7兆〜3.8兆円です。
協約には見込みと実績の差を翌年以降に調整する仕組みもあるため、この数字は2026年の見込みに基づく目安です。それでも、リーグの収入がおよそ250億ドルの規模にあることは、公表された数字だけで確かめられます。
(参考)NFL announces 2026 salary cap set at $301.2 million per team(2026年2月27日) – NFL.com
Q. NFLの年間収益はいくらですか?
NFLはリーグ全体の収益を公表していませんが、労使協定と2026年のサラリーキャップから逆算すると約250億ドル前後になります。協約は選手に払う費用の総額をリーグ収入の48〜48.5%に収めると定めており、2026年の選手費用は1チーム3億7,880万ドルです。調整の仕組みもあるため、あくまで目安の数字です。
NFLのサラリーキャップの推移|収益の伸びで4年に約1.45倍
NFLのサラリーキャップは、2022年の2億820万ドルから2026年の3億120万ドルへ、4年で約1.45倍になりました。上限は収入に連動して決まるので、この推移はリーグの収益の伸びをそのまま映しています。
| 年 | 1チームのサラリーキャップ | 変化 |
|---|---|---|
| 2022年 | 2億820万ドル | 初めて2億ドルを超えた |
| 2024年 | 2億5,540万ドル | 2022年から4,720万ドル増 |
| 2025年 | 2億7,920万ドル | 前年から2,380万ドル増 |
| 2026年 | 3億120万ドル | 前年から2,200万ドル増。初めて3億ドルを超えた |
出典:NFL.com「NFL announces 2026 salary cap set at $301.2 million per team」(2026年2月27日)をもとに Human Soar 作成
NFL.comは2026年の発表で、この伸びを「フットボールのビジネスが好調であること」の表れだと説明しています。上限が上がると、各チームは同じ年に選手の給与をそれだけ多く払えるようになります。
上限だけでなく、使う額の下限もあります。労使協定は、2024〜2026年の3年間を通じて、各チームが選手に現金で払う額をサラリーキャップの合計の90%以上にするよう定めており、足りなければ不足分を選手に払います。リーグ全体でも、同じ期間の上限の合計の95%を下回らないことが保証されています。
上限と下限の幅が狭いため、どのチームも収入の伸びに合わせて選手に投資することになります。パッカーズの2026年の報告では、選手の獲得と放出が重なったことで、選手関連の費用が前の年より1億3,170万ドル増えました。
(参考)NFL announces 2026 salary cap set at $301.2 million per team(2026年2月27日) – NFL.com
(参考)Packers' finances remain strong amidst changing NFL landscape(2026年7月24日) – Green Bay Packers
NFLの収益構造と分配の仕組み|全国収入はリーグが32チームに配る

NFLの収益は、リーグがまとめて受け取って各チームに配る全国収入と、各チームが自分で稼ぐ地元収入の2つでできています。チームはこの2つを合わせた収入から選手に給与を払い、その総額が労使協定で決めた割合に収まるように上限が設けられています。
全国収入|放映権料などをリーグがまとめて受け取る
全国収入の中心は、リーグが一括で売る放映権料です。パッカーズは、全国収入の伸びをNFLの放送契約や配信サービスの広がりと結びつけて説明しています。2026年3月期の全国収入は前の年より2,060万ドル(4.8%)増えて4億5,320万ドル、2025年3月期は3,030万ドル(7.5%)増えていました。
仮に32チームがパッカーズと同じ額を受け取ったとすると、全国収入の合計は約145億ドルです。前のセクションで逆算したリーグ全体の収入(約250億ドル)と比べると、約6割がリーグから配られるお金だと分かります。対象の年が少し違うため目安ですが、2つの公表資料から同じ傾向が読み取れます。
リーグが得た資産も均等に分けられます。2026年の報告によると、NFLはNFL NetworkなどをESPNに売り、見返りに受け取ったESPNの持ち分を32チームで均等に分けました。また、ポストシーズンの試合の入場料は開催したチームではなくリーグに入ります。
(参考)Packers' finances remain strong amidst changing NFL landscape(2026年7月24日) – Green Bay Packers
(参考)Packers' finances staying in good shape(2025年7月23日) – Green Bay Packers
地元収入|チケット・スポンサー・物販はチームが稼ぐ
地元収入は、チケット、スポンサー、物販、催しなど、チームが本拠地で稼ぐお金です。本拠地の試合数で大きく変わり、パッカーズはレギュラーシーズンの本拠地開催が9試合あった2025年3月期に、地元収入が3,460万ドル(13.7%)増えました。8試合に戻った2026年3月期も1,340万ドル増えています。
NFLは1試合に集まる観客の数も、米国のプロリーグで群を抜いています。ジェトロの米国スポーツ市場の調査では、2016年の1試合あたりの平均観客数はNFLが6万7,405人で、MLBの3万132人、NBAの1万7,884人を大きく上回りました。同じ表では日本のプロ野球が2万9,116人、J1が1万7,968人です。
地元収入はチームの努力で伸ばせる部分ですが、チームごとの差も生まれます。パッカーズは2026年の報告で、ほかのチームはプライベート・エクイティ(投資ファンド)から資金を得たり、新しいスタジアムに公的な資金が入ったりしている一方、市民が株主の自分たちにはその道がないことを課題に挙げました。スポンサー収入の中身はNFLのスポンサーの仕組みで詳しく解説しています。
(参考)Packers' finances staying in good shape(2025年7月23日) – Green Bay Packers
(参考)米国スポーツ市場・産業動向調査(2018年3月) – 日本貿易振興機構(ジェトロ)
選手への分配|収入の種類で選手費用に入れる割合が違う
労使協定は、収入を「リーグの放映権」「ポストシーズンとリーグ関連会社」「チームの地元収入」の3つに分けています。選手費用の計算では、放映権の55%、ポストシーズンとリーグ関連会社の45%、地元収入の40%を足し合わせます。
放映権の割合がいちばん高いので、放映権料が伸びた年ほど選手費用とサラリーキャップが大きく上がります。こうして足した額が、前のセクションの48〜48.5%の範囲に収まるよう調整されます。
(参考)Collective Bargaining Agreement(2020年3月15日) – NFL・NFLPA
Q. NFLの収益はどのように分配されますか?
NFLの収入は、リーグがまとめて受け取る全国収入と、各チームが自分で稼ぐ地元収入に分かれます。全国収入の中心は放映権料で、パッカーズは2026年3月期にリーグから過去最高の4億5,320万ドルを受け取りました。チームはこれに地元収入を足して、選手に給与を払います。
NFLの放映権料と日本での視聴|契約額は非公表で日本はDAZN
NFLの放映権料は、2021年に結んだ長期契約の金額をリーグが公表していないため、正確な額は分かりません。公表されているのは契約の相手と期間、各社が持つ試合の枠で、日本ではDAZNが配信を担っています。
2021年の長期契約|5社と2033年シーズンまで
NFLは2021年3月18日、Amazon、CBS、ESPN/ABC、FOX、NBCの5社と、2023年から2033年シーズンまでの長期契約を結んだと発表しました。Amazon Prime VideoがThursday Night Footballを独占で配信する、NFL初の配信だけの契約も含まれています。すべての試合を無料の地上波でも届ける方針は続けるとしています。
コミッショナーのロジャー・グッデル氏はこの発表で、直前に結んだ選手会との労使協定と合わせて、リーグにかつてない安定をもたらすと述べました。放映権の契約期間が長いほど、収入とサラリーキャップの見通しが立ち、チームは複数年の選手契約や投資を計画しやすくなります。放映権の売り方の基本はスポーツ放映権ビジネスの仕組みで整理しています。
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(参考)NFL completes long-term media distribution agreements through 2033 season(2021年3月18日) – NFL.com
日本での視聴|DAZNが2023年から10年間配信する
NFLとDAZNグループは2023年2月7日、2023年シーズンから10年間、米国外のファンに向けてNFL Game Pass Internationalを提供すると発表しました。レギュラーシーズン、ポストシーズン、スーパーボウルの全試合が対象で、中国を除く世界で、DAZNの単独の契約か追加のパッケージとして提供されます。
DAZNは日本では2016年からNFLを配信してきており、この契約はその関係を広げたものです。この発表でもNFLは、国内外への配信と広い収益配分を、自らが築いた成功の型として紹介しています。日本の放映権料が全国収入にどれだけ含まれるかは公表されていません。
(参考)NFLがDAZNと長期契約を締結 2023年シーズンより世界中のファンへNFLゲームパス・インターナショナルを提供(2023年2月7日) – DAZNグループ
Q. NFLの放映権料はいくらですか?
NFLは2021年3月18日に発表した放映権の長期契約について、契約額を公表していません。発表されたのは、Amazon、CBS、ESPN/ABC、FOX、NBCの5社と2023年から2033年シーズンまで契約したことと、各社が持つ試合の枠です。チームが受け取る全国収入の推移から、放映権料の伸びをうかがうことはできます。
NFL・NBA・MLBとJリーグ・Bリーグの比較|分配と選手費用の決め方
NFLの特徴は、リーグが配るお金の額が大きく、選手費用に超えられない上限があることです。米国の3リーグと日本の2リーグについて、公表されている分配の額と選手費用の決まりを並べると次のようになります。
| リーグ | リーグから1チームに配る額 | 選手費用の決まり |
|---|---|---|
| NFL(米・32チーム) | 全国収入はパッカーズで4億5,320万ドル(2026年3月期) | ハードキャップ(超えられない上限)3億120万ドル(2026年) |
| NBA(米・30チーム) | リーグは公表していない | サラリーキャップ1億6,496万1,000ドル、課税ライン2億42万8,000ドル(2026-27年) |
| MLB(米・30球団) | リーグは公表していない | 上限なし。課税計算用の年俸総額が2億4,400万ドルを超えると課税(2026年) |
| J1(日本) | 均等配分金は1クラブ2億7,500万円(2026/27シーズン) | ― |
| Bプレミア(日本) | ― | サラリーキャップ8億円 |
NFLの配る額はパッカーズの全国収入。J1の均等配分金には公衆送信権料の均等配分のほか、アカデミー支援費などクラブ数に応じて均等に配るものを含む。出典:Green Bay Packers(2026年7月24日)、NFL.com(2026年2月27日)、NBA(2026年6月30日)、MLB.com「Competitive Balance Tax」、Jリーグ(2026年7月28日)、B.LEAGUE「サラリーキャップ制度」をもとに Human Soar 作成
1ドル=150円で計算すると、パッカーズの全国収入4億5,320万ドルは約680億円で、J1の均等配分金2億7,500万円の約247倍です。Jリーグは均等配分のほか、成績やファン指標に応じた配分金も設けています。仕組みはJリーグの分配金の解説で詳しく紹介しています。
選手費用の決め方は、リーグごとに違います。NBAは上限を超えても契約できる場合があるサラリーキャップと課税の組み合わせで、MLBは上限を設けず、年俸総額が基準を超えた球団に課税する方式です。Bプレミアは8億円の上限を設けました。各リーグの上限の詳しい違いはサラリーキャップの解説にまとめています。
上限の違いは、優勝するチームの顔ぶれにも表れているとMLB自身が見ています。MLB.comは2026年6月、コミッショナーの会見を伝える記事で、過去10年のワールドシリーズ優勝の90%を市場の大きい上位15球団が占めたとし、2012年以降に市場の小さい球団の優勝は1回だけなのに対し、上限のあるNFLでは5回あると比べました。MLBは次の労使交渉で上限と下限の導入を提案していますが、選手会は受け入れない姿勢です。
日本全体と比べると、スポーツ庁と経済産業省の資料では、日本のスポーツ市場規模は2021年に10.0兆円でした。対象も年も違うため単純には比べられませんが、NFLという1つのリーグの収入の目安(約3.7兆〜3.8兆円)は、その4割近い大きさです。
(参考)NBA sets Salary Cap for 2026-27 season at $164.961 million(2026年6月30日) – NBA Communications
(参考)Competitive Balance Tax – MLB.com
(参考)2026/27シーズンの配分金について(2026年7月28日) – Jリーグ
(参考)B.革新 サラリーキャップ制度 – B.LEAGUE
(参考)スポーツ未来開拓会議 今後のスポーツの成長産業化を見据えた、当面の取組等についてのとりまとめ(2025年4月) – スポーツ庁・経済産業省
NFLの収益の仕組みから日本のリーグ経営と協賛企業が読み取れる3つのこと
NFLの仕組みは規模がまったく違うので、そのまま日本に持ち込めるわけではありません。それでも、リーグに協賛する企業や、クラブ経営に関わる企業が判断の材料にできる点が3つあります。スポーツ界の課題の全体像はスポーツビジネスの課題の整理も参考にしてください。
放映権の伸びを選手と全チームに自動で回している
NFLでは放映権料が増えると、全国収入として全チームに配られ、同時に選手費用の計算に55%が入ります。収入の伸びを誰がどれだけ受け取るかが、交渉のたびではなく協約の式で決まっている点が特徴です。
Jリーグも、DAZNなどから入る公衆送信権料を均等配分金に含めて配っています。協賛先のリーグを見るときは、リーグ全体の収入が増えたときにクラブへどう配られるかを、配分金の規程や理事会の発表で確かめておくと、協賛先のクラブの数年後の体力を読みやすくなります。
上限と下限があるから全チームが選手に投資する
NFLの各チームは、上限を超えられない一方で、2024〜2026年のような複数年の期間を通じて上限の90%以上を選手に使う義務があります。そのため、どのチームも一定の水準まで戦力に投資し、市場の小さいチームにも優勝の機会が残ります。
協賛する企業から見ると、戦力の差が開きにくいリーグでは、順位にかかわらず試合の価値が保たれやすくなります。協賛の効果を順位だけで測らず、来場者や視聴者の数など、リーグ全体の人気を示す数字と合わせて見ることが大切です。
リーグの数字とクラブの数字を分けて読む
パッカーズの例のように、リーグから配られる全国収入が増えていても、選手の入れ替えが重なった年には営業損益が赤字になることがあります。リーグ全体の好調と、協賛先の1チームの財務は別のものです。
日本で協賛先を選ぶときも、リーグの放映権料や配分金の総額だけでなく、クラブごとの決算で人件費と営業収益の関係を確かめます。上場企業が持つプロ野球の球団の数字の読み方はプロ野球の収益の記事で紹介しています。
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Q. NFLはなぜ儲かるのですか?
NFLは自らの成功の要因として、国内外への配信、広い収益配分、全米に根づいたチームなどを挙げています。加えて、選手に払う費用の総額が収入の一定割合に決められているため、収入が増えても費用だけが先に膨らむことがありません。ただしパッカーズの2026年の報告のように、選手の獲得や放出が重なった年には営業損益が赤字になることもあります。
NFLの収益のまとめ
NFLの収益は、リーグが一括で売る放映権料を中心に、労使協定の式で選手と32チームに配られる仕組みです。数値の出典は本文の各セクションに記載しています。
- NFLの年間収益は非公表だが、労使協定と2026年のサラリーキャップから逆算すると約250億ドル前後
- 選手に払う費用の総額は収入の48〜48.5%で、サラリーキャップは2022年から4年で約1.45倍の3億120万ドルになった
- 全国収入はリーグが配り、パッカーズは2026年3月期に4億5,320万ドルを受け取った。32チーム分でリーグ収入の約6割が目安
- 2021年の放映権契約は5社と2033年シーズンまでで、契約額は非公表。日本ではDAZNが2023年から10年間配信する
- 日本のリーグや協賛先を見るときは、収入の伸びがクラブにどう配られるかと、クラブごとの決算を分けて確かめる
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