サイクルツーリズムとは|国指定12ルートと企業の受け入れ条件

サイクルツーリズムとは|国指定12ルートと企業の受け入れ条件 スポーツビジネス

サイクルツーリズムとは、自転車で景色や地域の観光資源を楽しみながら移動する観光で、国は2019年にナショナルサイクルルート制度を作り、2026年7月の第3次指定で指定ルートは12になりました。滋賀県は琵琶湖一周サイクリング「ビワイチ」の2024年の体験者を約11万9千人と推計し、その経済波及効果を約21億2千万円と試算しています。

自転車で地域を走る人は、途中で泊まり、食べ、自転車を預け、ときには自転車ごと電車や船で移動します。だからこそ、宿泊施設、交通事業者、自転車店、飲食店といった地元の企業がどこまで受け入れられるかで、地域に落ちるお金が変わります。ここでは、国土交通省の制度と指定ルートの公表データ、しまなみ海道やビワイチの数字をもとに、サイクルツーリズムの仕組みと、企業がどこで関われるかを整理します。

  1. サイクルツーリズムとは|自転車で巡り地域でお金を使ってもらう観光
    1. 国が後押しするルートは2段階ある
    2. 国が掲げる目標は旅行者の1.78%
  2. 国土交通省のナショナルサイクルルート|指定12ルートと指定要件
    1. 指定要件は必須28項目と推奨27項目
    2. 第3次の6ルートは必須項目の一部を改善方針つきで満たした
  3. サイクルツーリズムの成功事例|しまなみ海道とビワイチとりんりんロード
    1. しまなみ海道|通行料の無料化でレンタサイクルが1.8倍
    2. ビワイチ|体験者は3年連続で10万人を超えた
    3. つくば霞ヶ浦りんりんロード|船と列車で自転車を運ぶ
  4. サイクルツーリズムの経済効果|ビワイチは年21億円と試算
    1. ビワイチは宿泊が伸びて経済効果が25%増えた
    2. サイクリングしまなみ2024は1日の大会で4億円
    3. 経済効果の数字は計算の範囲を確かめて読む
  5. インバウンドのサイクルツーリズム|しまなみの貸出は3割が外国人
    1. 大会には27の国と地域から479人が出走した
    2. 国の計画は多言語の案内と国際会議の誘致を掲げる
  6. 企業がサイクルツーリズムに関わる方法|宿泊・輸送・修理で受け入れる
    1. 宿泊施設は自転車の保管と荷物の預かりから
    2. 交通事業者は自転車を運ぶ手段をつくる
    3. 自転車店とレンタルは故障と緊急時を支える
    4. 飲食店と観光施設は立ち寄る理由になる
  7. サイクルツーリズムのまとめ

サイクルツーリズムとは|自転車で巡り地域でお金を使ってもらう観光

サイクルツーリズムの推進モデルルート117ルートの中に国のナショナルサイクルルート12ルートがあり、その中に第1次指定の3ルートがある入れ子の図

サイクルツーリズムは、自転車に乗ること自体を楽しみながら、沿道の景色や食、文化に触れて地域を巡る観光です。国が2026年5月29日に閣議決定した第3次自転車活用推進計画は、5つの目標の1つに「サイクルツーリズム等の推進による観光地域づくりや地域の活性化」を掲げています。計画は、観光地での二次交通や地域内の周遊にも自転車を使い、地域経済に寄与するマーケットを形成することをねらいとしています。

国が後押しするルートは2段階ある

国の取り組みは、2段階のルートで進んでいます。1つは、官民の協議会が走行環境や受入環境の整備、情報発信を続ける「サイクルツーリズム推進モデルルート」で、複数の市町村にまたがる広域のルートです。第3次計画は、このモデルルートの数を117ルート(令和7年度)から140ルート(令和12年度)に増やすことを指標にしています。

もう1つが、モデルルートの中から国が指定するナショナルサイクルルートです。第3次指定では、既存の指定ルートを含むモデルルート117ルートを対象に指定要件への適合状況が調べられ、候補が選ばれました。全国のモデルルートは北海道から沖縄県まで、国土交通省のモデルルートのページで一覧できます。

(参考)サイクルツーリズムの推進 モデルルート – 国土交通省 自転車活用推進本部

国が掲げる目標は旅行者の1.78%

第3次計画は、国内旅行(宿泊・日帰り)でバイク・自転車を利用した旅行者の割合を、1.54%(令和7年)から1.78%(令和12年)に高めることも指標にしています。訪日客については、2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人、消費額15兆円を達成するために地方への誘客が必要だとし、自転車を含めた移動手段の確保を挙げています。

スポーツを旅の目的にする観光全体の考え方はスポーツツーリズムと合宿誘致の仕組みで、スポーツ業界全体が抱える課題は日本スポーツ業界の8つの課題で解説しています。

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(参考)第3次「自転車活用推進計画」を本日閣議決定(令和8年5月29日) – 国土交通省

(参考)第3次自転車活用推進計画(令和8年5月) – 国土交通省 自転車活用推進本部

Q. サイクルツーリズムとは何ですか?

自転車で沿道の景色や地域の観光資源を楽しみながら移動する観光のことです。国の第3次自転車活用推進計画は、サイクルツーリズムを観光地域づくりや地域の活性化の手段として推進すると定めています。走ること自体を楽しむだけでなく、途中の宿泊や飲食、体験で地域にお金が落ちる点が、地域や企業にとっての意味になります。

国土交通省のナショナルサイクルルート|指定12ルートと指定要件

ナショナルサイクルルートは、国土交通省の自転車活用推進本部が、日本を代表し世界に誇りうるサイクリングルートとして指定し、国内外にPRする制度です。2019年9月に制度ができ、2019年11月の第1次で3ルート、2021年5月の第2次で3ルート、2026年7月23日の第3次で6ルートが指定され、合わせて12ルートになりました。

ルート 都道府県 延長 指定
つくば霞ヶ浦りんりんロード 茨城県 176km 第1次(2019年11月)
ビワイチ 滋賀県 193km 第1次(2019年11月)
しまなみ海道サイクリングロード 広島県・愛媛県 70km 第1次(2019年11月)
トカプチ400 北海道 403km 第2次(2021年5月)
太平洋岸自転車道 千葉県〜和歌山県の6県 1,487km 第2次(2021年5月)
富山湾岸サイクリングコース 富山県 102km 第2次(2021年5月)
ふくしま浜通りサイクルルート 福島県 179km 第3次(2026年7月)
フジイチ 山梨県・静岡県 163km 第3次(2026年7月)
雪国魚沼Golden Cycle Route 新潟県 193km 第3次(2026年7月)
いしかわ里山里海サイクリングルート 石川県 517km 第3次(2026年7月)
鳥取うみなみロード 鳥取県 152km 第3次(2026年7月)
あまいち 熊本県 152km 第3次(2026年7月)

出典:国土交通省「ナショナルサイクルルート」、同「第3次ナショナルサイクルルート指定式」(令和8年7月23日)、同 審査委員会資料をもとに Human Soar 作成。延長は国土交通省のページの表記

12ルートの延長は70kmのしまなみ海道から1,487kmの太平洋岸自転車道まで幅があります。島を橋で結ぶしまなみ海道のように短いルートもあれば、北海道のトカプチ400のように帯広市を起点に8の字で403kmを走るルートもあり、走り方も泊まり方も大きく違います。

(参考)ナショナルサイクルルート – 国土交通省 自転車活用推進本部

(参考)「新・自転車アンバサダー任命式」、「第3次ナショナルサイクルルート指定式」(令和8年7月23日) – 国土交通省

指定要件は必須28項目と推奨27項目

指定要件は、ルート設定、走行環境、受入環境、情報発信、取組体制の5つの観点で決められています。審査委員会の資料によると、満たすべき必須項目は28項目、満たすことが望ましい推奨項目は27項目です。このうち受入環境は、必須6項目に対して推奨が16項目と最も多く、サイクリストを迎える側のサービスの厚みが問われる部分です。

必須項目の例として、ルートの延長がおおむね100km以上であること(島しょ部を除く)、矢羽根などで自転車の通行空間が整備されていること、路面表示や案内看板があること、鉄道駅などにレンタサイクルや着替え場所を備えた「ゲートウェイ」があることが挙げられています。受入環境の要件には、休憩できる環境、自転車を運搬しながら移動できる環境、安心して宿泊できる環境、自転車のトラブルや緊急時に対応できる環境が並びます。

指定は一度きりではありません。国は3〜5年ごとに、自転車活用推進計画の期間内に1回フォローアップを行い、要件を満たさなくなったルートは指定を取り消すとしています。

(参考)令和7年度第1回ナショナルサイクルルート審査委員会 資料1 既存ルートの取組状況(令和8年3月) – 国土交通省

第3次の6ルートは必須項目の一部を改善方針つきで満たした

2026年7月の審査資料では、第3次の6ルートとも、必須28項目のうち19〜24項目を満たし、残りは「概ね要件を満たし改善方針が示されている」という評価でした。受入環境の推奨16項目で満たしていた数は、フジイチと鳥取うみなみロードが14項目、雪国魚沼Golden Cycle Routeが12項目、いしかわ里山里海サイクリングルートが8項目、ふくしま浜通りサイクルルートとあまいちが7項目です。

指定されたあとも、受入環境には埋めるべき項目が残っているということです。宿や交通、修理といったサービスを地元の企業が用意できれば、ルートの評価を上げる側に回れます。

(参考)令和8年度第2回ナショナルサイクルルート審査委員会 資料2 ナショナルサイクルルート指定審査の概要(令和8年7月) – 国土交通省

Q. ナショナルサイクルルートとは何ですか?

国が日本を代表し世界に誇りうるサイクリングルートとして指定するルートです。2019年9月に制度ができ、2026年7月の第3次指定で12ルートになりました。走行環境、受入環境、情報発信などの指定要件を満たしたルートの中から、第三者委員会の審査を経て、自転車活用推進本部長である国土交通大臣が指定します。

サイクルツーリズムの成功事例|しまなみ海道とビワイチとりんりんロード

第1次に指定された3ルートは、指定から6年以上たち、利用者数や受け入れ施設の数が公表されています。国の審査委員会が2026年3月にまとめた既存ルートの取組状況から、第1次・第2次の5ルートの数字を並べ、延長100kmあたりの宿泊施設の数を計算しました(太平洋岸自転車道は県ごとの集計のため除いています)。

ルート 延長 サイクルステーション 宿泊施設 100kmあたりの宿泊施設 年間利用者(推計)
つくば霞ヶ浦りんりんロード 176km 537か所 35か所 19.9か所 13.2万人(令和6年度)
ビワイチ 193km 243か所 60か所 31.1か所 11.9万人(令和6年)
しまなみ海道サイクリングロード 70km 231か所 64か所 91.4か所 33.3万人(平成30年度)
トカプチ400 403km 23か所 21か所 5.2か所 公表なし
富山湾岸サイクリングコース 102km 10か所 19か所 18.6か所 2.7万人(令和6年度)

出典:国土交通省「令和7年度第1回ナショナルサイクルルート審査委員会 資料1 既存ルートの取組状況」(令和8年3月)をもとに Human Soar 作成。延長は国土交通省「ナショナルサイクルルート」の表記。100kmあたりの宿泊施設は宿泊施設数を延長で割った値

100kmあたりで見ると、しまなみ海道は宿泊施設が91.4か所で、2番目のビワイチ(31.1か所)の約3倍です。70kmと短い区間に、サイクリストを受け入れる宿が集まっていることが分かります。反対に403kmあるトカプチ400は5.2か所で、宿と宿の間が長く、荷物の運搬や途中の休憩をどう用意するかが重くなります。

宿泊施設は、指定後に大きく増えました。同じ資料では、ビワイチが12か所から60か所、しまなみ海道が22か所から64か所、トカプチ400が15か所から21か所、富山湾岸サイクリングコースが2か所から19か所へ広げたと報告されています。

(参考)令和7年度第1回ナショナルサイクルルート審査委員会 資料1 既存ルートの取組状況(令和8年3月) – 国土交通省

しまなみ海道|通行料の無料化でレンタサイクルが1.8倍

しまなみ海道では、愛媛県と広島県などが減収の一部を負担し、2014年(平成26年)7月から自転車の通行料金を無料にしています。本来は因島大橋50円、来島海峡大橋200円など6つの橋で合わせて500円かかる区間です。無料化は延長が続き、2026年4月1日から2028年3月31日までの継続が決まりました。

愛媛県によると、無料化のあと、沿線のレンタサイクルターミナル10か所の年間貸出台数は、令和元年度に平成25年度の1.8倍となり、6.8万台増えました。沿線の主要観光地12か所の入込客数も、令和元年には平成25年の1.3倍、48万人増になっています。県はこれらを、無料化による効果として挙げています。

(参考)瀬戸内しまなみ海道の自転車通行料金の無料化の継続(2年間)に関するお知らせ(令和8年3月13日) – 愛媛県 土木部 道路建設課

ビワイチ|体験者は3年連続で10万人を超えた

滋賀県は、アプリ「ビワイチサイクリングナビ」の走行データと、自転車の通行台数を数えるエコカウンターのデータから体験者数を推計しています。2023年に過去最高の12万8千人、2024年は約11万9千人、2025年は約11万5千人で、3年連続で10万人を超えました。

県はビワイチが県有数の観光・アクティビティのコンテンツとして定着しているとし、2026年4月にはアプリに、走った時間に応じて休憩を促したり、近くのおすすめスポットを知らせたりする機能を加えました。走る人の数だけでなく、どこに立ち寄るかまで設計している点が、ほかの地域が参考にしやすいところです。

(参考)3年連続で10万人以上が体験するビワイチ(2026年4月10日) – 滋賀県

つくば霞ヶ浦りんりんロード|船と列車で自転車を運ぶ

茨城県のつくば霞ヶ浦りんりんロードの令和6年度の利用者は、国の資料で13.2万人(推計)とされています。同じ資料では、遠回りや自転車の回送のための手段として、霞ヶ浦の船で自転車を運ぶ「霞ヶ浦広域サイクルーズ」の寄港先を増やし、サイクルトレイン「B.B.BASE」なども運行していると報告されています。

176kmを一度に走り切れない人でも、船や列車を組み合わせれば一部の区間だけを楽しめます。令和7年度には、台湾とシンガポールからのインバウンドツアーも実施されました。

(参考)令和7年度第1回ナショナルサイクルルート審査委員会 資料1 既存ルートの取組状況(令和8年3月) – 国土交通省

サイクルツーリズムの経済効果|ビワイチは年21億円と試算

サイクルツーリズムの経済効果として自治体が公表している数字では、滋賀県のビワイチが2024年に約21億2千万円です。ただし、通年の観光か1日の大会か、県内のどこまでを数えるかで計算の範囲が違うため、地域どうしの数字は並べて比べられません。

ビワイチは宿泊が伸びて経済効果が25%増えた

滋賀県は、2024年のビワイチの経済波及効果を約21億2千万円と試算しました。体験者数は前年より9千人(7%)減ったのに、経済波及効果は前年比で約25%増えています。県は、レンタサイクルで気軽に走る人や、宿泊しながらビワイチを楽しむ人の割合が増えたことが伸びた理由だとみています。

県のアンケートでは、ビワイチで宿泊する人の1人あたりの観光消費額は、一般の宿泊者よりやや多いという結果も出ています。経済波及効果を体験者数で割ると、1人あたり約1万8千円になります。日帰りで通り過ぎてもらうより泊まってもらうほうが地域に残るお金が増えることを、県の分析も示しています。

(参考)令和6年の琵琶湖一周サイクリング体験者数は過去2番目に多い「約11万9千人」でした(2025年4月28日) – 滋賀県

サイクリングしまなみ2024は1日の大会で4億円

2024年10月27日に開かれた国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2024」について、広島県は経済効果を4億4,338万円と公表しました。内訳は直接効果が2億9,185万円、間接効果が1億5,153万円で、いよぎん地域経済研究センターが算出しています。

参加者のアンケートでは、大会の前日か当日に宿泊した人が73.4%でした。大会は1日でも、参加者の多くが前後で泊まるため、宿泊と飲食に効果が広がります。

(参考)国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2024」の成果について(令和7年3月5日) – 広島県 商工労働局観光課

経済効果の数字は計算の範囲を確かめて読む

2つの数字は、通年の観光客の消費から試算したものと、1日の大会の参加者・観客・事業費から推計したものという違いがあります。経済効果は、どの消費を数えるか、県外に流れる分をどう差し引くかで大きく変わります。自治体の数字を協賛や出店の判断に使うときは、対象期間と計算方法を先に確かめます。

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Q. サイクルツーリズムの経済効果はどのくらいですか?

公表された例では、滋賀県がビワイチの2024年の経済波及効果を約21億2千万円と試算しています。体験者数は約11万9千人で、宿泊しながら走る人の割合が増えたことが伸びにつながったと県はみています。経済効果は計算の範囲や方法で大きく変わるので、地域どうしの数字をそのまま比べないようにします。

インバウンドのサイクルツーリズム|しまなみの貸出は3割が外国人

外国人の利用は、サイクルツーリズムで伸びが大きい部分です。しまなみ海道のレンタサイクルでは、外国人への貸出台数の割合が令和元年度の16%から、令和6年度には32%まで高まりました。

(参考)瀬戸内しまなみ海道の自転車通行料金の無料化の継続(2年間)に関するお知らせ(令和8年3月13日) – 愛媛県 土木部 道路建設課

大会には27の国と地域から479人が出走した

サイクリングしまなみ2024には、国内の全47都道府県と、海外の27の国と地域から合わせて3,446人が出走しました。海外からの出走者は479人で約14%と過去最高でした(国内に住む外国籍の人を含む)。国・地域別では台湾が206人で最も多く、中国61人、アメリカ50人、韓国49人と続きます。

広島県の誘客の働きかけを受けて、台湾の旅行会社3社が大会に参加するツアーを実施し、大会に加えて江田島やさざなみ海道も巡りました。1日の大会を、周辺の地域を巡る旅行につなげた例です。

(参考)国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2024」の成果について(令和7年3月5日) – 広島県 商工労働局観光課

国の計画は多言語の案内と国際会議の誘致を掲げる

第3次自転車活用推進計画は、ナショナルサイクルルートなどの情報を日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトなどで発信し、国内外のサイクリストを呼び込むとしています。シェアサイクルを使う訪日外国人に向けて、日本の交通ルールを多言語で伝える取り組みも盛り込まれました。

また2027年(令和9年)には、自転車の国際会議「Velo-city」が日本で初めて愛媛県で開かれる予定です。海外からの来訪が見込まれる時期として、外国語での案内や自転車の輸送の準備を始める目安になります。訪日客がスポーツをどう楽しみたいかは観戦したい訪日客の国籍別データも参考になります。

(参考)第3次自転車活用推進計画(令和8年5月) – 国土交通省 自転車活用推進本部

企業がサイクルツーリズムに関わる方法|宿泊・輸送・修理で受け入れる

サイクルツーリズムの受入環境で企業が担う仕事を、宿泊施設、交通事業者、自転車店・レンタル、飲食・観光施設の4つに分けた図

企業がサイクルツーリズムに関わるいちばん確かな方法は、ナショナルサイクルルートの指定要件のうち受入環境にあたるサービスを、自社の本業で引き受けることです。指定要件と県の認定制度に書かれている受け入れの内容は、宿泊施設、交通事業者、自転車店・レンタル、飲食・観光施設の4つの仕事に分けられます。

宿泊施設は自転車の保管と荷物の預かりから

滋賀県は2022年2月に「滋賀県サイクリストにやさしい宿」の認定制度を作り、最初に50施設を認定しました。認定には、自転車の客室への持ち込みか屋内の安全な場所での保管、チェックイン前とチェックアウト後の手荷物の一時預かりと駐車場所の提供、自転車を含む宅配便の受け取りと発送、スポーツタイプの自転車に合う空気入れと修理工具の貸し出し、観光情報の提供の7項目をすべて満たす必要があります。

認定されると認定証が出て、県のウェブサイトなどで紹介されます。一方で年に1回の状況確認があり、基準を満たせなくなれば取り消されることもあるので、担当者が替わっても続けられる体制で申し込みます。

(参考)「滋賀県サイクリストにやさしい宿」認定式について – 滋賀県

(参考)「滋賀県サイクリストにやさしい宿」認定実施要項 – 滋賀県 観光文化スポーツ部

交通事業者は自転車を運ぶ手段をつくる

指定要件には、ルート沿いに自転車を運搬しながら移動できる環境が入っています。りんりんロードの船や列車のように、自転車を分解せずに載せられる便があれば、坂道や長い区間を避けたい人、帰りだけ楽をしたい人も呼び込めます。鉄道、バス、旅客船の事業者にとっては、自転車を載せられる便そのものが観光の商品になります。

自転車店とレンタルは故障と緊急時を支える

受入環境の要件には、自転車のトラブルに対応できる環境と、緊急時のサポートが得られる環境もあります。ゲートウェイのレンタサイクル、出張修理、トラブルのときに自転車と人を運ぶ搬送サービスは、地元の自転車店や運送会社が担える仕事です。しまなみ海道のように訪日客の利用が多いルートでは、外国語で説明できるかどうかも大切になります。

飲食店と観光施設は立ち寄る理由になる

指定要件には、いつでも休憩できる環境と、地域の魅力を満喫でき地域振興にも寄与する環境が含まれます。自転車を置ける場所を用意した飲食店や、その土地の食や体験を出せる観光施設は、サイクリストが途中で止まる理由になります。地域ぐるみの取り組みに加わる方法はスポーツによるまちづくりの成功事例、自転車業界の企業の顔ぶれは自転車・モビリティ業界の11社比較にまとめています。

(参考)ナショナルサイクルルート – 国土交通省 自転車活用推進本部

Q. サイクリストを受け入れる宿は何を用意すればよいですか?

自転車を屋内で安全に保管できること、手荷物の一時預かり、宅配便での自転車の受け取りと発送、空気入れと修理工具の貸し出しが基本です。滋賀県の「サイクリストにやさしい宿」は、これらに駐車場所と観光情報の提供を加えた7項目をすべて満たすことを認定の条件にしています。

サイクルツーリズムのまとめ

サイクルツーリズムは、走る人を地域に呼び、泊まって食べてもらうことで地域にお金を残す観光です。数字の出典は本文の各セクションに記載しています。

  • 国は2019年にナショナルサイクルルート制度を作り、2026年7月の第3次指定で12ルートになった
  • 指定要件は必須28項目と推奨27項目で、受入環境の推奨項目には指定後も埋める余地が残る
  • しまなみ海道は通行料の無料化でレンタサイクルが1.8倍に増え、令和6年度は貸出の32%が外国人だった
  • ビワイチの経済波及効果は2024年に約21億2千万円で、宿泊する人が増えたことが伸びにつながった
  • 企業は宿泊、輸送、修理、飲食という本業のサービスで受け入れの担い手になれる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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