ストレスチェックの対象者|パート・派遣・役員の扱いとスポーツ団体

ストレスチェックの対象者|パート・派遣・役員の扱いとスポーツ団体のアイキャッチ スポーツウェルビーイング

ストレスチェックの対象者は「常時使用する労働者」で、期間の定めのない契約(1年以上使う予定の契約を含む)であり、かつ週の労働時間が同じ仕事をする通常の労働者の4分の3以上という、2つの要件をどちらも満たす人です。パートやアルバイトも要件を満たせば対象者になり、派遣社員は派遣元が実施します。役員は原則として対象外です。

年に1回の実施を前に名簿を作り始めると、週3日のパートさん、先月入社した人、休職中の人、派遣会社から来ている人をどう扱うかで手が止まります。さらに「50人以上か」を数えるときは、対象者とは別の数え方をする点が見落とされがちです。ここでは厚生労働省の指針・実施マニュアル・Q&Aをもとに、雇用の形ごとの扱いと、選手や試合運営のスタッフを抱えるスポーツ団体・クラブでの考え方を整理します。

  1. ストレスチェックの対象者は「常時使用する労働者」|契約期間と労働時間で決まる
    1. 要件1|期間の定めのない契約か1年以上使う予定の契約
    2. 要件2|週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上
    3. 4分の3未満でも2分の1以上なら実施が望ましい
  2. 雇用形態別のストレスチェック対象者|パート・派遣・出向・役員の扱い
    1. 役員は業務執行権のない兼務役員だけが労働者になる
    2. 出向・海外勤務・外国人は契約の実態で判断する
  3. 派遣社員のストレスチェックは派遣元が実施|派遣先の役割
    1. 派遣元は雇っている人数で義務を判断する
    2. 派遣先は集団分析に派遣社員を含めるのが望ましい
    3. 派遣先が派遣社員の交代を求めてはいけない場面
  4. ストレスチェックの「50人」の数え方|対象者とは別にパート・派遣も含める
  5. 入社直後・休職中・長期出張の社員の扱い|実施する時点で決める
    1. 入社直後の社員は基準日を決めて判断する
    2. 休職中・長期の病気休業の社員は実施しなくてよい
    3. 長期出張などで受けられなかった社員には別の機会を設ける
  6. スポーツ団体・クラブ・実業団のストレスチェック対象者|選手は契約の形で分かれる
    1. 実業団・アスリート社員は社員として対象者になる
    2. プロ契約の選手は労働者に当たるかを実態で確かめる
    3. 試合運営のアルバイトは50人の数には入りやすい
  7. ストレスチェックの対象者のまとめ

ストレスチェックの対象者は「常時使用する労働者」|契約期間と労働時間で決まる

ストレスチェックの対象者を判定する流れ(役員・委託、派遣社員、契約期間、週の労働時間の4分の3と2分の1)を示した図

ストレスチェックの対象者は、労働安全衛生規則第52条の9が定める「常時使用する労働者」です。事業者はこの人たちに、1年以内ごとに1回、定期にストレスチェックを行わなければなりません。「常時使用する労働者」の考え方は一般定期健康診断の対象者と同じで、次の2つの要件をどちらも満たす人を指します。

(参考)労働安全衛生規則(第52条の9) – e-Gov法令検索(デジタル庁)

要件1|期間の定めのない契約か1年以上使う予定の契約

1つ目は契約期間です。期間の定めのない労働契約で働く人のほか、期間を定めた契約でも、契約期間が1年以上の人、更新によって1年以上使う予定の人、すでに1年以上続けて使っている人が含まれます。半年契約を更新して働き続けているパートさんは、通算で1年以上になる見込みがあればこの要件を満たします。

(参考)労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂) – 厚生労働省

要件2|週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上

2つ目は労働時間です。1週間の労働時間が、その事業場で同じ種類の仕事をする通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であることが条件です。正社員の所定が週40時間の職場なら、週30時間以上働く人が当てはまります(40時間×4分の3で計算)。呼び名がパート・アルバイト・契約社員のどれであっても、この2つを満たせば実施の義務がある対象者です。小規模事業場向けのマニュアルも、契約の名称や国籍には関わらないと明記しています。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に入っているかどうかでも決まりません。日本年金機構によると、週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満でも、対象となる事業所で週20時間以上働き、学生でない人は、短時間労働者として社会保険の加入対象になります。社会保険に入っているパートさんでも、週の労働時間が4分の3に届かなければ、ストレスチェックでは義務の対象外ということがあります。名簿は社会保険の加入者リストを流用せず、労働時間から作り直します。

(参考)短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大 – 日本年金機構

(参考)小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月) – 厚生労働省

4分の3未満でも2分の1以上なら実施が望ましい

週の労働時間が4分の3に届かない人でも、要件1を満たし、通常の労働者のおおむね2分の1以上働いている人には、ストレスチェックを実施することが望ましいとされています。義務ではありませんが、同じ職場で働くパートさんを外すと、職場ごとの集団分析の結果が実態からずれます。どこまでを対象にするかは衛生委員会で話し合い、社内規程に書いておくと毎年の判断がぶれません。

(参考)労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂) – 厚生労働省

Q. ストレスチェックの対象者にパートやアルバイトは含まれますか?

契約期間と労働時間の2つの要件を満たせば含まれます。期間の定めがない(または1年以上使う予定の)契約で、週の労働時間が同じ仕事をする通常の労働者の4分の3以上なら、パートやアルバイトという呼び名に関係なく実施の義務がある対象者です。4分の3未満でも、おおむね2分の1以上なら実施することが望ましいとされています。

雇用形態別のストレスチェック対象者|パート・派遣・出向・役員の扱い

雇用の形ごとの扱いを、厚生労働省の実施マニュアル、Q&A、小規模事業場マニュアル、労働基準法の通達から一覧にしました。どの区分でも、最後は「実施する時点で2つの要件を満たすか」で判断します。

雇用の形 扱い 根拠
正社員(期間の定めのない契約) 対象者(週の労働時間が4分の3以上なら) 規則第52条の9、実施マニュアル
契約社員(1年以上の契約、更新で1年以上の見込み) 対象者(4分の3以上なら) 実施マニュアル
パート・アルバイト(4分の3以上) 対象者 実施マニュアル、Q&A Q19-10
パート・アルバイト(おおむね2分の1以上4分の3未満) 義務の対象外だが実施が望ましい 実施マニュアル
1年未満で終わる短期の契約 義務の対象外 実施マニュアル
派遣社員 派遣元が実施。派遣先は集団分析に含めるのが望ましい 指針、Q&A Q18-1
在籍出向の社員 労働契約の実態で出向元か出向先かを判断 Q&A Q0-7
日本の会社から海外へ長期出張している社員 対象者(現地法人の雇用なら対象外) Q&A Q0-6
外国人の社員 国籍に関わらず要件で判断 小規模事業場マニュアル
役員(業務執行権・代表権のある人) 労働者でないため対象外 労働基準法第9条、通達
部長などを兼ね賃金を受ける役員 その限りで労働者。要件を満たせば対象者 昭和23年基発第461号

出典:厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」「ストレスチェック制度関係Q&A」「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」「ストレスチェック指針」「労働基準法における労働者性の関連通達」をもとに Human Soar 作成

役員は業務執行権のない兼務役員だけが労働者になる

労働安全衛生法の「労働者」は、労働基準法第9条の労働者を指します。第9条は労働者を「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めているため、会社の経営を任された役員は原則として対象者になりません。ただし厚生労働省の通達(昭和23年3月17日付け基発第461号)は、業務執行権や代表権を持たない役員が工場長や部長の職にあって賃金を受ける場合、その限りで労働者だとしています。いわゆる使用人兼務役員は、要件を満たせば対象者として扱うのが安全です。

(参考)労働安全衛生法(第2条・第66条の10) – e-Gov法令検索(デジタル庁)

(参考)労働基準法における労働者性の関連通達(令和7年3月時点) – 厚生労働省労働基準局

出向・海外勤務・外国人は契約の実態で判断する

在籍出向の社員は、労働契約の関係がある事業者が実施します。出向先との間に労働契約の関係があるかは、指揮命令や賃金の支払いなどを総合して判断するため、出向元か出向先かは出向の実態で決まります。どちらで実施する場合も、集団分析は出向先で出向者を含めて行うのが望ましいとされています。海外については、現地法人に雇われている人には日本の法律が適用されず、日本の会社から長期出張している人には実施が必要です。外国人の社員は国籍に関わらず同じ要件で判断し、厚生労働省は外国語版の調査票も公表しています。

(参考)ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月22日更新) – 厚生労働省

(参考)ストレスチェック制度 関係法令等 – 厚生労働省

派遣社員のストレスチェックは派遣元が実施|派遣先の役割

派遣社員のストレスチェックで派遣元が行うこと(実施・結果の通知・面接指導・就業上の措置)と派遣先が行うこと(受検への配慮・集団分析・措置への協力)を並べた図

派遣社員のストレスチェックと面接指導は、派遣元が実施します。ストレスチェック指針は、派遣先に対して、派遣元が行うストレスチェックや面接指導を派遣社員が受けられるよう配慮することを求めています。一般定期健康診断と同じく、雇用契約を結んでいる側が実施する、と覚えておくと迷いません。

(参考)心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針 – 厚生労働省

派遣元は雇っている人数で義務を判断する

派遣元に実施の義務があるかは、派遣元と雇用契約を結んでいる派遣社員が50人以上いるかで判断します。厚生労働省のQ&Aは、派遣社員を200人雇っている派遣元には、何人をどこに派遣していても実施の義務があると説明しています。面接指導を行うときは、派遣元は派遣先から通知された労働時間に加え、必要に応じて勤務の状況や職場環境の情報を派遣先に求めます。この依頼には、あらかじめ派遣社員本人の同意が必要です。面接指導の結果に基づく就業上の措置も派遣元が講じ、派遣先の協力が必要なときは、本人の同意を得たうえで派遣先に協力を求めます。

(参考)ストレスチェック制度関係Q&A(Q18-1) – 厚生労働省

派遣先は集団分析に派遣社員を含めるのが望ましい

派遣先には派遣社員にストレスチェックを行う義務はありませんが、指針は、派遣先の職場の集団分析に派遣社員も含め、その結果に基づいて職場の改善を行うことが望ましいとしています。これは法令の努力義務ではなく、指針による望ましい措置です。派遣先が派遣社員にも実施した結果を派遣元が使う場合は、派遣元が派遣先に実施を委託し、費用も派遣元が負担する必要があります。本人の同意を得て結果の写しを受け取るだけでは、派遣元が実施したことにはなりません。

(参考)ストレスチェック制度関係Q&A(Q18-2・Q18-3) – 厚生労働省

派遣先が派遣社員の交代を求めてはいけない場面

指針は、派遣先がしてはならない不利益な取扱いを挙げています。面接指導の結果に基づく措置への協力を求められたこと、本人の同意を得てストレスチェックの結果を提供されたこと、派遣先が行うストレスチェックを受けなかったことなどを理由に、派遣社員の交代を求めることです。派遣社員を集団分析に含めるときは、受けるかどうかは本人の自由であることを最初に伝えておきます。

(参考)心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針 – 厚生労働省

Q. 派遣社員のストレスチェックは派遣元と派遣先のどちらが行いますか?

実施の義務は派遣元にあります。派遣先には派遣社員に実施する義務はありませんが、職場ごとの集団分析に派遣社員も含めることが望ましいとされています。派遣先が派遣社員にも実施した場合でも、派遣元が委託して費用を負担しない限り、派遣元が実施したことにはなりません。

ストレスチェックの「50人」の数え方|対象者とは別にパート・派遣も含める

実施の義務があるかを決める「常時50人以上」は、対象者とは別の数え方をします。厚生労働省のQ&Aは、50人の判断は契約期間や週の労働時間ではなく、常態として使用しているかで決めるとしています。そのため、週1回しか出勤しないアルバイトでも、継続して雇い常態として使っていれば数に含め、派遣先の事業場では派遣社員も数えます。

「常時50人以上」の判断 ストレスチェックの対象者
何を決めるか 実施義務と労働基準監督署への報告があるか 誰に受けてもらうか
見る単位 事業場(同じ場所にある工場・事務所・店舗など) 一人ひとり
パート・アルバイト 継続して常態として使用していれば、週1回の勤務でも数える 1年以上かつ週の労働時間が4分の3以上の人だけ
派遣社員 派遣先の事業場の人数に含める 派遣先の対象者には含めない(派遣元の対象者)
労働基準監督署への報告の人数 - 「在籍労働者数」はこの対象者の数を書く

出典:厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A」(Q0-12・Q18-1・Q19-10)「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」をもとに Human Soar 作成

Q&Aの例では、正社員40人と派遣社員20人の合計60人が働く派遣先の事業場は、50人以上なので実施の義務があります。ただし派遣先が義務として実施する相手は正社員40人で、派遣社員20人は派遣元の対象者です。逆に、対象者が50人未満でも、短時間のパートを含めると50人以上になり、労働基準監督署への報告が必要になる場合があると小規模事業場マニュアルは注意を促しています。報告書の「在籍労働者数」の欄には、50人を数えた人数ではなく対象者の数を書きます。

人数は会社全体ではなく事業場ごとに数えます。同じ会社でも、場所が離れた支店や店舗は原則として別の事業場です。2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場も令和10年4月1日から実施が義務になります。施行後は「50人以上か」が実施の義務を分けなくなりますが、労働基準監督署への報告は50人以上の事業場に限られるため、数え方は引き続き必要です。準備の進め方はストレスチェック義務化はいつからかの解説にまとめています。

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査(実態調査)によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所のうちストレスチェックを実施している割合は、労働者50人以上の事業所で89.8%、30〜49人で57.8%、10〜29人で58.1%でした。義務の境目である50人を下回ると、実施の割合は大きく下がります。

(参考)小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月) – 厚生労働省

(参考)令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要(事業所調査) – 厚生労働省

入社直後・休職中・長期出張の社員の扱い|実施する時点で決める

入社直後や休職中の人は、ストレスチェックを実施する時点の状態で扱いを決めます。法令に細かな定めがない部分は、衛生委員会で話し合って社内規程に書き、毎年同じ基準で運用します。

入社直後の社員は基準日を決めて判断する

ストレスチェックは1年以内ごとに1回、定期に行うもので、健康診断のように雇い入れたときに行う決まりはありません。入社したばかりの社員も、実施する時点で2つの要件を満たしていれば対象者です。実施マニュアルにある社員向け案内文の例では、対象者を「何月1日時点で就業している社員」と書いています。このように基準日を決めておけば、実施期間の途中で入社した人をどう扱うかで迷いません。

(参考)労働安全衛生規則(第52条の9) – e-Gov法令検索(デジタル庁)

(参考)労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂) – 厚生労働省

休職中・長期の病気休業の社員は実施しなくてよい

実施する時期に休職している人には、ストレスチェックを実施しなくても差し支えないとされています。実施マニュアルの社内規程の例では、実施期間に休職していた社員のうち、休職期間が1か月以上の人を対象外としています。育児休業や産前産後休業の扱いは原典に個別の記載がないため、休職と同じに扱うかを規程で決めておきます。復職した人を対象に含めたい場合は、次の実施期間を待たずに受けてもらう日を設ける方法もあります。

(参考)労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂) – 厚生労働省

長期出張などで受けられなかった社員には別の機会を設ける

出張など業務の都合や、やむを得ない理由で受けられなかった人には、別に受ける機会を設ける必要があります。長期の病気休業の人は実施しなくても差し支えありません。受けるかどうかは本人が決めることで、ストレスチェックには一般定期健康診断と違って受検の義務がありません。ただし、受ける機会を用意するところまでは事業者の役割です。

(参考)ストレスチェック制度関係Q&A(Q3-7) – 厚生労働省

(参考)小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月) – 厚生労働省

Q. 入社したばかりの社員もストレスチェックの対象者ですか?

実施する時点で対象者の要件を満たしていれば対象者です。ストレスチェックは1年以内ごとに1回、定期に行うもので、雇い入れたときに行う決まりはありません。厚生労働省の実施マニュアルの案内文の例のように、「何月1日時点で就業している社員」と基準日を決めておくと、入社時期による迷いがなくなります。

スポーツ団体・クラブ・実業団のストレスチェック対象者|選手は契約の形で分かれる

プロクラブの運営会社、実業団を持つ企業、スポーツ施設を運営する会社も、労働者を使用する事業者として同じ決まりに従います。迷いやすいのは選手と、試合の日だけ働くスタッフの扱いで、選手は雇用契約か選手契約かで分かれます。クラブの事務所と試合会場・練習場が別の場所にあれば、事業場も原則として別に数えます。全体の考え方は企業のウェルビーイング施策の全体像とあわせて確かめてください。

(参考)小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月) – 厚生労働省

実業団・アスリート社員は社員として対象者になる

実業団の選手やアスリート社員は、会社と雇用契約を結ぶ社員なので、ほかの社員と同じ要件で判断します。JOCの就職支援「アスナビ」は、トップアスリートを「社員」(正社員・契約社員)として採用する制度で、企業は雇用主になると説明しています。2026年7月10日時点で252社/団体460名の採用が決まっています。JOCは、競技活動が優先されるため通常の従業員と同じ勤務時間を確保できないとも説明しています。週の労働時間が4分の3に届くかは、競技の時間を労働時間としてどう扱う契約かで変わるため、アスリート社員を雇う前に決める労務の扱いを先に固め、判断に迷う場合は労働基準監督署や社会保険労務士に確認します。

(参考)アスナビ よくある質問 – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)「第37回アスナビ採用企業情報交換会」を開催(2026年7月22日) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

プロ契約の選手は労働者に当たるかを実態で確かめる

プロクラブと選手契約を結ぶ選手は、労働者に当たらなければ会社の義務の対象外です。国税庁は、プロ野球選手やプロサッカーの選手に支払う報酬を、「報酬・料金」として源泉徴収の対象に挙げています。厚生労働省の通達でも、競輪の出走選手は日当や賞金が労働の対償ではないとして労働者ではないとされました(昭和25年4月24日付け基収第4080号)。ただし労働者に当たるかは、契約の形式や名称ではなく、指揮監督の下で働いているか、報酬がその対価かという「使用従属性」で個別に判断されます。実業団とプロの契約の違いは実業団とプロの違いで整理しています。

義務の対象外の選手にもセルフチェックの機会を用意したい場合、厚生労働省は個人事業者等の方向けの調査票(暫定版・57項目)を公表しています。義務ではないので、受けるかどうかは選手に任せ、結果をクラブが見ない形で使います。

(参考)No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは – 国税庁

(参考)労働基準法における「労働者」とは – 厚生労働省

試合運営のアルバイトは50人の数には入りやすい

試合の日だけ働くチケットもぎりや場内整理のアルバイトは、1年未満の契約で週の労働時間も短ければ、対象者には当たりません。一方で「常時50人以上」の数え方では、週1回の出勤でも継続して雇い常態として使っていれば数に含めます。シーズンを通して同じスタッフを雇い続けるクラブは、対象者は少なくても50人を数える段階で人数が増え、労働基準監督署への報告が必要になる場合があります。選手を雇用契約で抱えるかどうかでも人数は変わるため、シーズン前に事業場ごとの人数を数え直しておくと安心です。

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(参考)ストレスチェック制度関係Q&A(Q0-12) – 厚生労働省

Q. プロスポーツの選手はクラブのストレスチェックの対象者ですか?

選手が労働基準法上の労働者に当たるかどうかで決まります。雇用契約を結ぶ社員選手は要件を満たせば対象者ですが、労働者に当たらない選手契約なら会社の義務の対象外です。労働者かどうかは契約の名前ではなく指揮監督や報酬の実態で判断されるため、迷う場合は労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。

ストレスチェックの対象者のまとめ

対象者の判断は、雇用の形の呼び名ではなく、契約期間と週の労働時間という2つの要件で決まります。実施の体制づくりはストレスチェック実施者の要件、費用を抑える進め方は中小企業のメンタルヘルス対策にまとめています。数値は本文の各セクションの出典で確かめられます。

  • 対象者は、期間の定めのない(または1年以上の見込みの)契約で、週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上の人
  • 4分の3未満でもおおむね2分の1以上の人には実施が望ましい
  • 派遣社員は派遣元が実施し、派遣先は集団分析に含めるのが望ましい
  • 「常時50人以上」は対象者とは別に、短時間のパートや派遣先の派遣社員も含めて事業場ごとに数える
  • 役員と、労働者に当たらない選手契約の選手は義務の対象外。迷う場合は、まず労働基準監督署や社会保険労務士に確認する

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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