リピーターが増えない店舗へ|スポーツ観戦に学ぶ再来店の設計

リピーターが増えない店舗へ|スポーツ観戦に学ぶ再来店の設計 ソリューション
SOLUTION|店舗運営 × 顧客体験

クーポンを配っても、2回目の来店につながらない。そんな店舗に向けて、スポーツ庁と経済産業省がスタジアム・アリーナ向けにまとめた「顧客体験価値の向上」の整理を使い、来店の前から帰ったあとまでを場面に分けて、不満を減らすことと楽しみを増やすことを店舗ごとに設計します。

店舗運営リピーター顧客満足組織開発

このプログラムについて相談する

対象となるお客さま

  • 実店舗を持つ小売チェーン・専門店の経営者
  • 店舗運営・販促・顧客満足を担当する本部の責任者
  • 常連のお客さまを増やしたい店長・エリアマネージャー

よくあるお悩み

  • 値引きやクーポンを配っても、2回目の来店につながらない
  • お客さまの意見が苦情の対応で終わり、店づくりに生かせていない
  • 店舗によって売場や接客の良し悪しがばらつき、理由が分からない
ISSUE

課題|通販で買える時代に、店に来る理由が残っていない

来店体験設計プログラム|消費者向けの電子商取引の市場規模とEC化率、EC化率が高い分野

お客さまは、店に来なくても同じ商品を買えるようになりました。経済産業省の「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」では、2024年の消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は26.1兆円で、前年の24.8兆円から5.1%増えています。物販のうちネットで買われた割合(EC化率)は9.8%で、前年より0.4ポイント上がりました。

分野によっては、すでに大きな割合がネットに移っています。EC化率が高いのは「書籍、映像・音楽ソフト」の56.45%、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」の43.03%、「生活雑貨、家具、インテリア」の32.58%です。

こうした中で、店舗は「また行きたい」と思ってもらえる理由を持たなければ、比べられて終わります。値引きやクーポンで一度は来てもらえても、同じことはほかの店にもネットにもできます。2回目、3回目の来店をどう生むかが、店舗の課題です。

(参考)令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました – 経済産業省

CAUSE

原因|お客さまの体験を、店内と苦情だけで見ている

来店体験設計プログラム|リピーターが増えない3つの原因と、よくある取り組みとの違い

接客の質やスタッフの意欲だけの問題ではありません。原因は次の3つが重なっていることにあります。

  • 店内しか見ていない:お客さまの体験は、来店前に調べるところから、帰って商品を使うところまで続いています。売場と接客だけを直しても、来店前の不安や、帰ったあとの印象は変わりません。
  • 不満を減らすことと、楽しみを増やすことを分けていない:苦情への対応で不満は減っても、それだけでは「また行きたい」理由は生まれません。逆に楽しい企画をしても、レジ待ちや品切れの不満があれば帳消しになります。
  • 場面ごとの記録がない:見ている数字が売上と来店数だけだと、どの場面でお客さまが離れているのかが分かりません。お客さまの意見も、場面に分けて集めていなければ、次の改善に使えません。

この3つは、値引きやクーポンを増やしても解消しません。必要なのは、来店の流れを場面に分けて、場面ごとに何を直し、何を足すかを決めることです。

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|スタジアム運営は、観客の体験を7つの場面に分けて整える

来店体験設計プログラム|スタジアム・アリーナ改革ガイドブックの7つの場面と、不満を減らす・楽しみを増やすの2方向

スポーツ庁と経済産業省は、2025年6月に「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」の第3版を公表しました。その中の「顧客体験価値の向上」の節では、スタジアム・アリーナが持続的に成長するには、何度も繰り返し訪れてもらえる施設になることが重要だとしています。顧客には熱心なファンだけでなく、これまでスポーツになじみや関心の薄かった人も含めて考えるよう求めています。

注目したいのは、取り組みの分け方です。ガイドブックは、取り組みを観客が体験する「場面」ごとに7つに分類しています。場面は、自宅にいる日常から、来場、施設内、試合などのイベント中、退場、イベント後まで続きます。そのうえで、それぞれを顧客の「ネガティブな体験を軽減する」ものと「ポジティブな体験を増大させる」ものの2方向で整理しています。たとえば「来場に向けた安心感」「退場時の快適性」は前者、「イベントへ向けた楽しみ」「イベント後の楽しみ・余韻」は後者です。

事例として、来場者が満足度をその場で返せる仕組みを置き、問題にすぐ対応している海外のスタジアムや、来場回数に応じてクーポンや限定グッズを渡す北海道のボールパークのアプリが紹介されています。ガイドブックは、これらをすべて導入しなければならないわけではなく、施設の意義やコンセプト、重視したい顧客に応じて取り組む内容を選ぶことが重要だとしています。

(参考)スタジアム・アリーナ改革ガイドブック<第3版>(令和7年6月) – スポーツ庁・経済産業省

ただし、試合と仕事は同じではありません。スタジアムは決まった日に大勢が一度に集まり、試合そのものが来場の目的です。店舗では、お客さまが毎日ばらばらの時間に一人ずつ来て、目的は買い物です。そのため、場面は来店の流れに合わせて5つ前後に絞り、お客さまの意見も試合の日にまとめて集めるのではなく、日々の会計や会員データから少しずつ集めます。

SOLUTION

解決策|来店の流れを5つの場面に分け、場面ごとに直すことと足すことを決める

来店体験設計プログラム|来店体験を設計する3つの手順

新しい販促を足す前に、いまの来店の流れを場面ごとに書き出します。

  • 場面を区切る:来店前(チラシ・サイト・SNSで調べる)、入店まで(駐車場・入口)、店内(売場・品ぞろえ)、接客と会計、帰ったあと(商品を使う・次の来店のきっかけ)の5つを基本に、自社の業態に合わせて区切る
  • 場面ごとに2つに分けて書き出す:それぞれの場面で「お客さまの不満を減らすこと」と「来てよかったと思える楽しみを増やすこと」を分けて書き出し、各店舗で優先する1〜2個を決める
  • 場面ごとに意見を集めて見直す:会計時の一言、レシートからの短いアンケート、問い合わせの記録を場面に分けて集め、月次レビューで店長と本部が一緒に見直す

大事なのは2つ目です。不満を減らすことは、すべての店舗で同じ基準でそろえます。楽しみを増やすことは、店舗ごとの客層や地域に合わせて任せます。全部の場面に手を入れる必要はなく、お客さまが離れている場面から順に取り組みます。

APPROACH

進め方|1〜2店舗で場面ごとの改善を試してから、全店に広げる

来店体験設計プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

最初から全店で始めると、店舗ごとの事情と合わないまま形だけになりがちです。まず1〜2店舗で試し、効いたことを確かめてから広げます。

診断では、会員データやPOSデータ(レジの販売記録)から、初めて来店したお客さまが2回目に来ているかを確かめます。あわせて、これまでのお客さまの意見と問い合わせの記録を場面ごとに分け、店長とスタッフに聞き取りを行い、実際に店舗を見て回ります。設計・試行では、1〜2店舗で来店体験マップと場面ごとの改善リストを作り、3か月試します。定着では他の店舗に広げ、月次レビューを社内で回せるようにします。

期間は目安です。診断だけ、1店舗だけといった始め方もご提案します。Human Soarは聞き取りと店舗の観察、データの整理、マップと改善リストの作成、月次レビューの進行を担い、御社にはデータの共有、試す店舗の決定、店長とスタッフの聞き取り時間の確保をお願いします。

OUTPUT

成果物|場面ごとに改善を続けるための4つの道具

来店体験設計プログラム|4つの成果物と、いつ誰が使うか

成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の店舗とお客さまの意見をもとに、一緒に作ります。

最初にできるのが「来店体験マップ」です。来店前から帰ったあとまでの場面と、それぞれでお客さまが何をしているかを1枚にまとめたもので、新しく入った店長やスタッフが最初に読む資料になります。次に、場面ごとに不満を減らすことと楽しみを増やすことを書いた「場面別の改善リスト」を作ります。店長は、このリストから自店で優先する項目を選びます。

あわせて、お客さまの意見をどこで、どう聞き、どの場面に分けて記録するかを決めた「お客さまの意見の集計表」を整えます。最後に、集計表と再来店の数字をもとに改善リストを直す「月次レビューの手順」を作り、支援が終わった後も店長と本部だけで回せるようにします。

VALUE

期待できる効果|値引きに頼らずに、また来たい理由が店舗に残る

来店体験設計プログラム|不満を減らすことと楽しみを増やすことで見た店舗の4つの状態と、立場ごとの変化

経営にとっては、値引きやクーポンに頼らない来店の理由が店舗に残るため、販促の使い方を見直しやすくなります。本部の担当者は、店舗ごとの差がどの場面で生まれているかが分かり、助言が具体的になります。店長とスタッフは、お客さまの意見が苦情で終わらず、次に何を変えるかにつながるため、日々の接客の手応えを感じやすくなります。

見る数字は、店舗全体の売上ではなく「初めて来店したお客さまのうち、2回目の来店があった割合」です。この割合が上がっていれば、来店体験の改善が効いています。もう1つ「場面ごとの不満の件数」を見ると、どの場面の改善が進み、どこが残っているかが分かります。

COMMENT

Human Soarからのコメント

スタジアムは、試合の勝ち負けを約束できません。だからこそ、来場の前から帰り道まで、観客の体験を場面ごとに整えています。店舗も同じで、商品だけではほかの店と比べられてしまいます。来店の前から帰ったあとまでを場面に分け、不満を減らすことと楽しみを増やすことを、御社の店舗に合わせて一緒に決めます。

FAQ

よくあるご質問

Q. 会員アプリやポイントカードがなくても始められますか?

始められます。お客さまの意見は、会計時の一言やレシートからの短いアンケート、問い合わせの記録でも集められます。再来店の割合は、会員データがない場合、アンケートで「何回目のご来店か」をうかがう方法で見ていきます。

Q. いまの値引きやクーポンはやめる必要がありますか?

やめる必要はありません。値引きやクーポンは「帰ったあと」の場面で、次の来店のきっかけをつくる手段の1つとして位置づけ直します。ほかの場面の不満が残ったままクーポンだけを増やしていないかを、改善リストで確かめます。

Q. 1店舗だけの小さなお店でも依頼できますか?

できます。1店舗の場合は、来店体験マップと場面別の改善リストだけを作り、店主や店長が月次レビューを担う形もご提案できます。お客さまとの距離が近いぶん、意見を集めて改善に生かしやすい良さがあります。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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