スポーツのスポンサーシップとは|広告との違いと企業の権利

スポーツのスポンサーシップとは|広告との違いと企業の権利 スポーツマーケティング

スポンサーシップとは、企業がチームや大会に資金などを提供し、自社とそのスポーツを結びつけて伝える権利を受ける商業的な契約です。枠を買って伝える広告や、見返りを求めない寄付とは違います。効果は権利を使って初めて生まれるので、契約後の活用まで考えます。

経営会議で「スポンサーシップを検討してはどうか」と言われた。協賛や広告と何が違うのか、改めて聞かれると答えに詰まる。カタカナのまま話が進むと、社内で別々のことを想像していることがあります。

この記事では、言葉の意味、広告や寄付との違い、受けられる権利、規模、始め方を順に整理します。なお、英語圏のビザの「スポンサーシップ」は保証人に関する別の意味で、ここでは扱いません。

スポンサーシップとは相互の利益のために支援して権利を受ける契約

スポンサーシップは、支援と権利を交換する商業的な契約です。国際商業会議所(ICC)の広告・マーケティング規範は、スポンサーが相互の利益のために資金などを提供し、自社のイメージやブランドと支援の対象を結びつけ、それを宣伝する権利などを受ける合意と定義しています。

簡単に言えば、「応援するお金」ではなく「スポーツの力を借りて自社を伝えるための契約」です。スポンサーは支援する企業、スポンサーシップはその仕組みや契約を指します。

(参考)ICC Advertising and Marketing Communications Code – International Chamber of Commerce

Q. スポンサーシップとは簡単に言うと何ですか?

企業がチームや大会を資金などで支え、その代わりに社名の表示や宣伝の権利を受ける契約です。国際商業会議所の規範では、相互の利益のための商業的な合意と定義されています。スポンサーは企業、スポンサーシップは仕組みや契約を指します。

スポンサーシップは広告や寄付やCSRと目的と見返りが違う

スポンサーシップと似た言葉は、目的と見返りで見分けます。次の表は本記事の整理で、同じ活動が複数の面を持つこともあります。

活動 企業が払うもの 見返り
広告 媒体の枠の料金 決めた内容を決めた枠で伝える
寄付 見返りを求めない資金 原則なし(名前の紹介など)
CSR 社会課題への活動費 社会からの信頼

出典:本記事の整理。実際の区分は契約の内容で判断します。

広告は伝える内容を自社で決められる

広告は、枠を買って自社の言葉で伝えます。内容と量を決めやすい一方、受け手が広告として身構えることもあります。スポンサーシップは、ファンが好きなチームや大会と一緒に名前が届く点が違います。その代わり、伝えられる内容は短くなります。

寄付は見返りを求めない支出になる

寄付は見返りを求めない支出です。国税庁は、寄附金を金銭などの贈与または無償の供与と説明しており、損金にできる額に上限があります。名前が協賛でも、見返りがなければ寄附金に当たる場合があります。違いは協賛金と寄付金の違いの記事で整理しています。

(参考)No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算 – 国税庁

CSRは社会への責任を目的にする

CSRは、企業の社会的責任として行う活動です。スポーツ教室の支援のようにスポンサーシップと重なることもありますが、売上より社会課題の解決が目的になります。詳しくは別の記事で説明しています。

あわせて読みたいスポーツCSRとは|企業の活動の型と効果の測り方・税の扱い›

Q. スポンサーシップと広告の違いは何ですか?

広告は媒体の枠を買って自社の内容を伝える活動で、スポンサーシップはチームや大会を支えて結びつきを伝える権利を受ける契約です。広告は内容を決めやすく、スポンサーシップはファンの好意と一緒に名前が届く点が違います。

スポーツのスポンサーシップで受ける権利は4種類で考える

権利は4種類で考える|スポンサーシップとは

スポーツのスポンサーシップの権利は、見せる、名乗る、招く、使うの4種類で考えると比べやすくなります。分け方は本記事の整理で、提案書の項目を当てはめて確かめます。呼び名の違いはオフィシャルパートナーの記事で説明しています。

見せる権利は看板やユニフォームで社名を出す

会場の看板、ユニフォーム、公式サイトに社名を出す権利です。認知を広げたいときの基本で、場所によって金額が大きく変わります。

名乗る権利は公式スポンサーと自社で伝えられる

「◯◯の公式パートナー」と自社の広告や名刺で名乗る権利です。伝えられる範囲は契約で決まるので、ロゴの使い方まで確かめます。

招く権利は取引先や社員に観戦の機会をつくる

招待席や交流の機会を受ける権利です。取引先との関係づくりや社員の一体感に使えます。招き方はスポーツ観戦の接待の記事で整理しています。

使う権利は選手やチームを自社の施策に生かす

選手の写真を広告に使う、共同で商品を作る、イベントを開くなど、自社の施策に生かす権利です。効果を大きく左右する部分で、活用の考え方は次の記事で説明しています。

あわせて読みたいスポンサーシップ アクティベーションとは|スポーツ協賛の企業事例›

世界の市場は大きいが効果の測定に自信を持つ担当者は少ない

スポンサーシップは大きな市場ですが、効果の測定はまだ課題です。少し古い数字ですが、WARCの2018年の調査では、世界のスポンサーシップの支出は658億ドル、前年比4.9%増でした。これは権利料の金額で、施策を実施する費用は含みません。同じ調査で、事業への効果を測れると自信を持つ専門家は19%でした。

受け取る側から見ても大きなお金です。Jリーグの2025年度の開示資料によると、53クラブのスポンサー収入の合計は78,251百万円で、売上高の合計1,757億円のおよそ45%に当たります(本記事の計算)。クラブの経営を支える柱であり、企業にとっては相手に必要とされている関係といえます。

国内ではスポーツ庁が第3期スポーツ基本計画でスポーツ市場の拡大を掲げています。だからこそ、金額を決める前に見る数字を決めます。測り方はスポーツスポンサーの効果の記事で確かめられます。

(参考)WARCの調査の報道(2018年9月26日) – Media & Marketing

(参考)2025年度 クラブ経営情報開示資料 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

(参考)スポーツの成長産業化 – スポーツ庁

スポンサーシップは目的から小さく試して広げる

目的から小さく試して広げる|スポンサーシップとは

初めての企業は、大きな契約より、目的を1つに絞った小さな協賛から試すと判断しやすくなります。段階は本記事の提案です。全体の考え方はスポーツマーケティングとはで説明しています。

まず認知、採用、地域貢献から目的を選び、地域のチームや大会で権利を1つ使ってみます。数字を残してから、続けるか広げるかを決めます。手順の詳細はスポーツスポンサーの流れ、他社の例はスポーツスポンサーの事例で確かめられます。

Q. スポンサーシップにはどのようなメリットがありますか?

認知の拡大、企業イメージの向上、取引先との関係づくり、社員の一体感、地域との結びつきなどです。ただし契約するだけでは効果は出にくく、権利を施策に使う必要があります。目的を1つに絞り、見る数字を先に決めてください。

スポンサーシップの要点

  • 支援と権利を交換する商業的な契約
  • 広告、寄付、CSRとは目的と見返りが違う
  • 権利は見せる、名乗る、招く、使うの4種類で考える
  • 効果の測定に自信を持つ専門家は少なく、先に数字を決める
  • 目的を絞って小さく試し、数字を見て広げる

まずは検討中の提案書の権利を4種類に分けて、自社で本当に使うものに印をつけてみてください。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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