スポーツスポンサーの事例10選|企業の目的を公式発表で整理

スポーツスポンサーの事例10選|企業の目的を公式発表で整理 スポーツマーケティング

スポーツスポンサーの事例を公式発表で見ると、社名の露出だけでなく、自社の製品や技術を現場で使う形が目立ちます。この記事で取り上げる10件のうち5件がその形でした。自社で検討するときは、協賛先の大きさより、自社の持ち物をどう使うかから考えると進めやすくなります。

社内で協賛を提案したら、「他社はどうしているのか」と聞かれた。検索すると有名な会社の名前は出てくるものの、何を目的に、何をしたのかまで分かる資料はなかなか見つかりません。

この記事では、公式発表で内容を確かめられる10件を目的別に紹介し、共通点と、自社で事例をつくる手順を整理します。

スポーツスポンサーの事例は目的で分けると自社に当てはめやすい

事例は目的で分けると選びやすい|スポンサーの事例

スポーツスポンサーの事例は、社名の大きさではなく目的で分けると、自社に当てはめやすくなります。認知やブランドを狙う形、地域や社会に貢献する形、製品や技術を見せる形、顧客との接点をつくる形、自社の持ち物で支える形です。分け方は本記事の整理で、1件が複数の目的を持つこともあります。

権利を施策に変える考え方はスポーツ協賛のアクティベーションの記事で、中小企業を含む別の事例とともに説明しています。

Q. スポーツスポンサーとは何ですか?

企業がチーム、大会、選手に資金や物品を提供し、社名の露出や協業などの権利を受ける関係です。寄付と違い、見返りを契約で決めます。認知、地域貢献、製品の紹介など、目的によって選ぶ権利が変わります。

スポーツスポンサーの事例10選|協賛先と目的の一覧

次の表は、2026年10月時点で、企業、リーグ、自治体の公式発表で内容を確かめられた国内の10件です。競技と目的が偏らないように選びました。順番は順位ではありません。

企業 協賛先 主な目的 形
大正製薬 ラグビー日本代表 認知・ブランド 冠スポンサーを長く継続
JERA セントラル・リーグ 認知・ブランド リーグのタイトルパートナー
ZOZO 千葉市のスタジアム 認知・ブランド ネーミングライツ
明治安田 Jリーグと全クラブ 地域・社会 献血などの共同の活動
りそなグループ B.LEAGUE 地域・社会 タイトルパートナー
味の素 日本オリンピック委員会 製品・技術 食とアミノ酸での選手支援
パナソニック ガンバ大阪のホームスタジアム 製品・技術 光ID技術の導入
ユニクロ Jリーグ 製品・技術 ウェアの提供と商品化
三井住友銀行 アルバルク東京 顧客との接点 アリーナのラウンジと冠試合
パシフィックゴルフマネージメント プロゴルファー19名 持ち物での支援 ロゴ掲示とゴルフ場の提供

出典:各社・各団体の公式発表をもとに本記事が整理。目的の分類は本記事の判断です。

大正製薬はラグビー日本代表を20年以上支えている

大正製薬の2026年2月2日の発表によると、同社は2001年から日本代表のオフィシャルスポンサーを務め、2002年からはテストマッチの冠スポンサーを続けています。2026年は「リポビタンDチャレンジカップ2026」の2試合と、ネーションズチャンピオンシップの日本代表戦2試合に特別協賛します。商品名が大会名に入ることで、試合のたびに名前が繰り返し届く形です。

(参考)リポビタンDチャレンジカップ2026への特別協賛の発表(2026年2月2日) – 大正製薬株式会社

JERAはセ・リーグ初のタイトルパートナーになった

日本野球機構の2019年11月11日の案内によると、セントラル野球連盟の全6球団は、JERAを「セントラル・リーグ公式戦」のタイトルパートナーに決めました。セ・リーグ公式戦で初めてのタイトルパートナーです。2026年4月1日の案内でも「JERA セントラル・リーグ公式戦」の名称が使われており、一般の人との接点が少ない法人向けの事業を持つ会社の名前を、継続して届ける形といえます。

(参考)セントラル・リーグ公式戦のタイトルパートナーについて(2019年11月11日) – 一般社団法人日本野球機構

(参考)2026年4月1日の案内 – 一般社団法人日本野球機構

ZOZOはスタジアムの名前を契約で更新した

ZOZOは2016年に千葉マリンスタジアムの命名権を取得し、年間3億1千万円(消費税別)で10年間の契約を結びました。2026年6月30日には更新を発表し、2026年12月から7年間、年額4億円(消費税別)とされています。金額まで公表された数少ない例です。

同じ千葉市では、千葉銀行が千葉ポートアリーナの命名権を2026年10月から4年間、年2,500万円(税抜)で契約し、愛称は「ちばぎんアリーナ」になりました。施設の規模で金額が大きく違うことが分かります。費用の考え方はネーミングライツの費用の記事で説明しています。

(参考)「ZOZOマリンスタジアム」のネーミングライツ契約を更新(2026年6月30日) – 株式会社ZOZO

(参考)千葉マリンスタジアムの命名権取得(2016年11月18日) – 株式会社ZOZO

(参考)千葉ポートアリーナのネーミングライツ契約を締結しました(令和8年3月26日) – 千葉市

明治安田はJリーグのクラブと献血の活動を進めている

Jリーグの2024年4月1日の発表によると、タイトルパートナーの明治安田は、Jクラブと日本赤十字社とともに「シャレン!で献血」を行いました。試合当日にスタジアムへ献血バスを呼び、地域の献血ルームへも案内する内容です。同社の「地元の元気プロジェクト」の一環で、リーグ全体の協賛を地域ごとの活動につなげています。

(参考)シャレン!で献血についての発表(2024年4月1日) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

りそなグループはB.LEAGUEと地域の事業をつくる

りそなホールディングスは2024年7月1日、B.LEAGUEのタイトルパートナーへの就任を発表しました。各クラブ、ファン、地域、スポンサー企業と事業を共につくり、地域社会の発展とリーグの盛り上げをめざすとしています。B.LEAGUEは2026-27シーズンも継続を発表しました。地域の銀行を持つ会社と、地域に根ざすクラブの重なりを生かした例です。

あわせて読みたいBリーグのスポンサー一覧|各チームの料金と企業の選び方›

(参考)国内男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」のタイトルパートナー就任について(2024年7月1日) – りそなホールディングス

(参考)「りそなグループ」がB.LEAGUE 2026-27シーズンのタイトルパートナーに決定 – B.LEAGUE

味の素は協賛を自社の食の支援につなげた

味の素は2003年に日本オリンピック委員会のオフィシャルパートナーとなり、共同事業の「ビクトリープロジェクト」で選手を食とアミノ酸で支えてきました。2016年からは日本パラリンピック委員会にも広げています。2024年7月から9月には日本航空と、選手の食事の考え方「勝ち飯」をもとにした機内食も展開しました。協賛が自社の事業と直接つながる例です。

(参考)スポーツを通じた取り組み – 味の素株式会社

パナソニックはスタジアムで自社の技術を使った

パナソニックは2018年2月、パナソニックスタジアム吹田で光ID技術「LinkRay」を使った情報配信を始めると発表しました。約200台のコンコースのサイネージから、来場者のスマートフォンへ情報を届けます。第1弾は、ガンバ大阪のパートナーであるデサントジャパンの「umbro」との企画でした。スタジアムが自社技術の実証の場になった例です。

(参考)パナソニックスタジアム吹田での情報配信サービスの発表(2018年2月21日) – パナソニック株式会社

ユニクロはJリーグの全60クラブで商品づくりを広げた

Jリーグの2026年1月28日の発表によると、ユニクロは百年構想リーグのレフェリーウェアを提供し、オールスターのユニフォームも制作します。オリジナルのTシャツなどを作れる「UTme!」では全60クラブのエンブレムなどを使えるようにし、導入店舗を37店舗から47都道府県の76店舗へ広げるとしています。協賛が店舗への来店理由にもなる形です。

(参考)株式会社ユニクロとのパートナー契約の締結(2026年1月28日) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

三井住友銀行はアリーナで自社サービスの体験をつくる

三井住友銀行は2025年8月6日、アルバルク東京とのパートナーシップ契約を発表しました。TOYOTA ARENA TOKYOの最上階に「SMBC SKY LOUNGE」を開き、限定のフードや「Olive カウンター」を設けるほか、冠協賛試合も行います。個人向けサービスの「Olive」を、観戦の体験と結びつける狙いが発表に書かれています。

(参考)トヨタアルバルク東京株式会社とのパートナーシップ契約締結について(2025年8月6日) – 株式会社三井住友銀行

パシフィックゴルフマネージメントはゴルフ場を選手に提供する

ゴルフ場を運営するパシフィックゴルフマネージメントは、2026年1月15日の発表で、スポンサーシップ契約が合計19名になったと公表しました。新たに契約した選手は同社のロゴが入ったキャップで試合に出場し、同社は全国のゴルフ場を練習の場として無償で提供します。お金だけでなく、自社の持ち物で支える例です。

あわせて読みたいプロゴルファーのスポンサー|上位50人の所属先と企業の選び方›

(参考)PGMが政田 夢乃選手とスポンサーシップ契約を締結(2026年1月15日) – パシフィックゴルフマネージメント株式会社

Q. スポーツスポンサーの有名な事例にはどのようなものがありますか?

大正製薬のラグビー日本代表、JERAのセ・リーグ、ZOZOのスタジアム命名権などがあります。公式発表で確かめられる範囲では、製品や技術を現場で使う例も目立ちます。有名さより、自社の目的に近い事例を選ぶと参考にしやすくなります。

公式発表の事例には自社の持ち物と長い期間という共通点がある

10件を並べると、社名の露出だけで終わらない点、期間が長い点、金額や効果があまり公表されない点が見えてきます。数え方は本記事の判断です。

10件のうち5件は製品や技術やサービスを現場で使っている

味の素、パナソニック、ユニクロ、三井住友銀行、パシフィックゴルフマネージメントの5件は、自社の製品、技術、サービス、施設を協賛の中で使っています。自社の強みが見える形なので、広告だけでは伝えにくい内容を体験してもらえます。

長く続く協賛は名前を覚えてもらう時間を買っている

大正製薬は2001年から、味の素は2003年から、ZOZOは2016年から続けており、ZOZOは更新も発表しています。1年で効果を判断しにくい場合は、複数年で見る指標を先に決めておきます。更新の考え方はスポンサー契約の更新の記事で整理しています。

金額と効果は公表されないので自社で数字を決める

今回の10件で金額を確かめられたのは、公共施設の命名権が関わるZOZOだけでした。今回確かめた発表の中に、協賛による売上の変化を数字で示したものはありません。他社の事例から効果を見積もることは難しいので、自社で見る数字を決めます。費用感はスポンサー料の相場で確かめられます。

Q. スポーツスポンサーの効果は事例から分かりますか?

事例の発表だけでは、効果の大きさはほとんど分かりません。今回確かめた発表には、協賛による売上の変化を数字で示したものはありませんでした。認知の調査や問い合わせの数など、自社で測る数字を契約の前に決めてください。

自社で事例をつくるなら持ち物から3段階で進める

持ち物から事例をつくる3段階|スポンサーの事例

事例を真似るときは、協賛先の大きさではなく、自社の持ち物を出発点にします。規模の大きい10件の金額をそのまま目標にせず、次の3段階で小さく試すと進めやすくなります。段階は本記事の整理で、スポーツマーケティング全体の考え方とも重なります。

1段階目は自社の製品と人と施設を書き出す

製品、サービス、社員の技術、店舗、施設のうち、スポーツの現場で役に立つものを書き出します。地元の工務店なら施設の修繕、食品の会社なら選手や来場者への提供というように、広告費以外の支え方が見えてきます。

2段階目は小さな権利で一度試す

地域のチームや大会で、1回の冠試合や会場でのブースから試します。初めての協賛は、中小企業のスポーツスポンサーの効果も参考になります。社内の承認には稟議書の書き方が使えます。選手やチームに自社を紹介する投稿を頼むなら、消費者庁のステルスマーケティング規制に沿って、広告だと分かる表示を入れてもらいます。

(参考)令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 – 消費者庁

3段階目は数字と写真を残して次の契約で見直す

来場者の数、配布の数、問い合わせの数、社員の反応、写真を残します。次の契約の前に、続ける権利とやめる権利を分けて考えます。自社の記録がそのまま、社内外に説明できる事例になります。

スポーツスポンサーの事例の要点

  • 事例は目的で分けると自社に当てはめやすい
  • 公式発表で確かめた10件のうち5件が製品や技術やサービスを現場で使っている
  • 大正製薬や味の素のように、長く続く協賛もある
  • 金額と効果は公表されないことが多いので、自社で見る数字を決める
  • 持ち物の書き出し、小さな試行、記録の3段階で進める

まずは自社の製品、人、施設を3つ書き出して、地域のチームの協賛資料と見比べてみてください。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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