クラブから届いた協賛の提案書に、年間120万円とある。高いのか安いのか、比べる物差しがない。上司に「相場はどれくらいなのか」と聞かれて、答えに詰まる。スポンサーを検討する担当者が、最初にぶつかる壁です。
結論から言うと、スポーツスポンサー料の相場は、クラブが料金を公表している範囲では年数万円から1,000万円超まで幅があり、公表されているメニューの約4分の3は50万円未満です。ただし金額の大きい協賛ほど問い合わせ制で、表には出ていません。この記事では、JリーグとBリーグの29クラブが公表している料金83件と、自治体が公表しているネーミングライツの契約額をもとに、金額の目安と比べ方を整理します。金額はすべて2026年10月7日に各クラブ・自治体の資料で確認したものです。
スポンサー料の相場は公表分の4分の3が50万円未満

クラブが公表している協賛料金の分布(29クラブ・83件。「〜から」「以上」は下限の額で区分。税込と税別が混在。一部は前シーズンの資料。各クラブの公表資料をもとにHuman Soarが集計)
JリーグとBリーグのクラブのうち、協賛や法人会員の料金を自社のサイトで公表していた29クラブ・83件のメニューを、金額で4つの帯に分けました。
10万円未満が21件、10万円以上50万円未満が42件、50万円以上300万円未満が14件、300万円以上が6件でした。
50万円未満は合わせて63件で、全体の76%を占めます。29クラブのうち16クラブは、10万円未満で始められるメニューを用意しています。
ここで注意したいのは、これは「公表されている料金」の分布だという点です。クラブは小口のメニューほど金額を載せ、上位の協賛は問い合わせ制にしています。金額の大きい契約ほど表に出ないので、この分布をスポンサー料全体の相場と読むことはできません。入口の金額の目安として使ってください。
10万円未満|16クラブが入口のメニューを用意している
最も安い帯は、法人会員や後援会です。湘南ベルマーレのサポートコーポレーションは年33,000円(税込)からで、観戦チケットの引換券が付きます。徳島ヴォルティスの法人会員は55,000円(税込)から、アビスパ福岡のサポートファミリーは5万円(税別)からです。
この帯の特典は、公式サイトやスタジアムへの社名の掲載と、観戦チケットが中心です。広告というより、応援している会社として名前を連ねる形に近いと言えます。
(参考)サポートコーポレーション 募集要項 – 湘南ベルマーレ
10万円以上50万円未満|件数が最も多い帯
83件のうち42件が、この帯に入ります。ヴィッセル神戸のサポートファミリーはシルバーが年300,000円(税別)、松本山雅FCのサポーティングカンパニーは110,000円から550,000円(税込)の4段階です。Bリーグでは、長崎ヴェルカのアシストカンパニーが年100,000円(税別)、群馬クレインサンダーズのビジネスクラブが年396,000円(税込)でした。
この帯になると、専用のロゴや「応援しています」という呼称の使用、会員企業どうしの交流会が加わります。チケットの枚数も増え、徳島ヴォルティスのプラチナ(330,000円)は、リーグ戦の引換券が114枚付きます。
(参考)サンダーズビジネスクラブ – 群馬クレインサンダーズ
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50万円以上300万円未満|看板やパートナーの区分が始まる
50万円を超えると、スタジアムや練習場の看板が視野に入ります。鹿島アントラーズのアカデミーサポートクラブは、110万円(税込)のプランにアカデミーの練習場の看板が含まれます。ロアッソ熊本のクラブパートナーは年120万円から、FC岐阜のグリーンパートナーは年88万円以上(税抜、制作費は別)です。
(参考)アカデミーサポートクラブ 法人プラン – 鹿島アントラーズ
(参考)2026 パートナーシップ(パートナー区分) – FC岐阜
300万円以上|金額を公表しているのは3クラブ
300万円以上の金額を載せていたのは、FC岐阜、ロアッソ熊本、浦和レッズの3クラブ・6件だけでした。浦和レッズのパートナーシップは年500万円から、ロアッソ熊本はオフィシャルパートナーが年900万円から、トップパートナーが年1,800万円からです。FC岐阜は、ユニフォームに社名が入るトップパートナーを年1,760万円以上(税抜、制作費は別)としています。
ほかのクラブは、この帯を問い合わせ制にしています。提案書の金額がこの帯なら、公表されている3クラブの区分と特典を、比べる材料にできます。
(参考)パートナーシップに関するお問い合わせ – 浦和レッズ
(参考)2026 パートナーシップ(パートナー区分) – FC岐阜
Q. スポンサー料の相場はいくらですか?
クラブが料金を公表している範囲では、年数万円から1,000万円超まで幅があります。JリーグとBリーグの29クラブが公表する83件のメニューのうち、63件(76%)は50万円未満でした。金額の大きい協賛は問い合わせ制が多く、公表分だけでは全体の相場はわかりません(2026年10月7日時点、Human Soar集計)。
露出場所ごとのスポンサー料の相場はFC岐阜の公表額が目安になる
看板1枚がいくらか、ビジョンのCMがいくらか。掲出する場所ごとの金額まで公表していたのは、確認した範囲ではFC岐阜(J3)だけでした。同じ規模のクラブと話すときの目安になります。
| 場所・メニュー | 年額(税込) |
|---|---|
| 練習着の胸 | 1,320万円 |
| 大型ビジョンパートナー(試合前・試合中のロゴ表示) | 880万円 |
| バックスタンドのフィールド看板 1列目 | 440万円 |
| ゴール裏の看板 1列目 | 264万円 |
| 大型ビジョンのスポットCM(年間) | 158万4,000円 |
| ゴール裏の看板 2〜4列目 | 88万円 |
| メインスタンドのフィールド看板 | 88万円 |
| サンクスマッチ開催権(冠試合・1試合) | 88万円 |
| ホームタウン看板(市町村限定) | 44万円 |
| 大型ビジョンのスポットCM(1試合) | 8万8,000円 |
FC岐阜が公表している場所別の料金(2026年の資料。制作管理費は別。出典:FC岐阜「2026 パートナーシップ」)
同じ看板でも、バックスタンドの1列目は440万円、メインスタンド側は88万円と、5倍の差があります。金額は、どこに出るかで大きく変わります。
1試合だけの協賛なら、スポットCMが8万8,000円、冠試合が88万円です。年間契約の前に、1試合で反応を確かめる使い方ができます。なお、看板には制作管理費が別にかかります。FC岐阜の資料では、新規の看板で33万円(税込)でした。
公式戦のユニフォームの胸や背中について、場所ごとの金額を公表しているクラブは見つかりませんでした。上の表の練習着は、試合前の練習などで着るウェアです。
(参考)2026 パートナーシップ(スタジアム看板) – FC岐阜
(参考)2026 パートナーシップ(大型ビジョン・冠試合) – FC岐阜
(参考)2026 パートナーシップ(オフィシャルウェア) – FC岐阜
J1・J2・J3のスポンサー料の相場はクラブの収入規模で見る
個別の料金が公表されていない帯は、クラブ全体のスポンサー収入から規模をつかめます。Jリーグは、クラブごとの決算を毎年公表しています。
| カテゴリー | 1クラブ平均 | 最も多いクラブ | 最も少ないクラブ |
|---|---|---|---|
| J1 | 26億7,900万円 | 町田 45億8,100万円 | 東京V 13億3,100万円 |
| J2 | 11億9,300万円 | 磐田 34億3,700万円 | 熊本 4億9,700万円 |
| J3 | 4億9,800万円 | 相模原 12億7,900万円 | 奈良 2億4,300万円 |
Jリーグのクラブのスポンサー収入(2025年度。カテゴリーは2025年度の所属。決算期の変更で対象が数か月のクラブと、未開示のクラブを除く。出典:Jリーグ「2025年度 クラブ決算一覧」)
同じJリーグでも、J1の平均とJ3の平均には5倍以上の開きがあります。J1のクラブに年300万円を出す場合と、J3のクラブに年300万円を出す場合では、クラブの中での重みが違います。J3で最も少ないクラブのスポンサー収入は2億4,300万円なので、300万円は全体の1%を超えます。
提案書の金額を見るときは、そのクラブのスポンサー収入に対して何%にあたるかを計算してみてください。割合が大きいほど、露出や特典について相談できる余地は広がります。協賛で何を得るかの整理は、スポーツスポンサーになる理由で扱っています。
(参考)2025年度 J1・J2・J3 クラブ決算一覧 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
Q. J3のクラブのスポンサー料はいくらからですか?
料金を公表しているJ3のクラブでは、ツエーゲン金沢の後援会が3万円から、愛媛FCの法人会員が55,000円(税込)から、FC岐阜のサポートカンパニーが年26万4,000円以上(税抜)です。パートナーの上位は、ロアッソ熊本が年1,800万円から、FC岐阜が年1,760万円以上と公表しています(2026年10月7日時点)。
ネーミングライツの相場は年100万円台から1億円超まで
スタジアムやアリーナに社名を付けるネーミングライツは、施設を持つ自治体が契約額を公表しています。スポーツの協賛の中で、金額が最もはっきりわかる分野です。協賛全体の考え方はスポーツマーケティングの基本で扱っています。
| 年額の帯 | 施設(愛称)と契約額 |
|---|---|
| 1億円以上 | NGKスポーツプラザ(名古屋市)年1億3,200万円/エディオンピースウイング広島(広島市)10年で総額10億円 |
| 1,000万円以上1億円未満 | パロマ瑞穂スポーツパーク(名古屋市)年6,600万円/クラサスドーム大分ほか(大分県)年5,500万円/沖縄サントリーアリーナ(沖縄市)年5,000万円/ベスト電器スタジアム(福岡市)年3,600万円/えがお健康スタジアム(熊本県)年2,500万円/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(川崎市)年2,000万円/バンダイナムコアリーナ松江(松江市)年1,000万円 |
| 1,000万円未満 | デンセンLUZアリーナNAGANO(長野市)年500万円/ソユースタジアム(秋田市)年385万円/CSアセット港サッカー場(名古屋市)年220万円 |
自治体が公表しているネーミングライツの契約額(税の扱いは資料ごとに異なる。福岡市と松江市は税別、名古屋市・大分県・熊本県・秋田市・広島市は税込、ほかは税の表記なし。各自治体の公表資料をもとにHuman Soarが整理)
年1億円以上|大都市の主要な施設
年1億円を超えるのは、大都市の中心的な施設です。名古屋市総合体育館は年1億3,200万円(税込)、広島市のサッカースタジアムは10年間の総額で10億円(税込)と公表されています。
(参考)広島サッカースタジアムのネーミングライツ – 広島市
年1,000万円以上1億円未満|JリーグやBリーグの本拠地が並ぶ
プロクラブの本拠地の多くは、この帯に入ります。大分県のクラサスドーム大分などは年5,500万円(税込)、沖縄アリーナは年5,000万円、福岡市のベスト電器スタジアムは年3,600万円(税別)です。熊本県の陸上競技場は4年間の総額1億円(税込)で、年額にすると2,500万円になります。
契約期間は3年から5年が多く、更新のたびに金額が見直されます。総額で公表される場合と年額で公表される場合があるので、比べるときは年額にそろえてください。
(参考)ベスト電器スタジアムのネーミングライツの更新について(2025年11月28日) – 福岡市
(参考)熊本県民総合運動公園陸上競技場のネーミングライツ更新について – 熊本県
(参考)松江市総合体育館のネーミングライツパートナー – 松江市
年1,000万円未満|地方の球技場や体育館
地方の施設や小規模な球技場では、年数百万円の契約もあります。長野市のアリーナは年500万円、秋田市の陸上競技場は年385万円(税込)、名古屋市の港サッカー場は年220万円(税込)です。クラブの上位の協賛と同じくらいの金額で、施設の名前に社名を入れられる例があるわけです。
スポンサー料の相場と比べるときに確かめる4つの点

金額だけを横に並べても、正しく比べられません。提案書の金額を相場と照らすときは、次の4つを先にそろえます。
税込か税別か
クラブによって、税込で書くところと税別で書くところがあります。今回の83件でも混在していました。税別の30万円は、税込では33万円です。社内の予算と照らす前に、どちらの表記かを確かめます。
制作費が含まれているか
看板やバナーは、協賛料とは別に制作費がかかることがあります。FC岐阜の資料では、看板の制作管理費が新規で33万円(税込)でした。初年度だけ費用が増えるので、2年目以降と分けて見積もります。経理での扱いはスポンサー料の勘定科目で整理しています。
対象の期間と所属カテゴリー
Jリーグは2026年から、シーズンが夏に始まり翌年の初夏に終わる形に変わりました。ヴィッセル神戸のサポートファミリーは、登録期間を2026年1月1日から2027年6月30日までとしています。年額と書かれていても、対象が12か月とは限りません。
所属するカテゴリーで金額が変わる契約もあります。FC岐阜は、J2に参戦した場合の価格を資料に併記しており、トップパートナーは1,760万円以上から2,200万円以上に上がります。昇格したときの金額を、契約の前に確かめておきましょう。
特典の中身
同じ30万円台でも、中身は違います。徳島ヴォルティスの330,000円はチケットの引換券が114枚、湘南ベルマーレの330,000円は引換券が20枚(40席分)で、入場ゲートへの社名の掲出が付きます。チケットを社員や取引先に配りたいのか、社名を出したいのかで、選ぶメニューは変わります。
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(参考)サポートコーポレーション 募集要項 – 湘南ベルマーレ
(参考)2026 パートナーシップ(パートナー区分) – FC岐阜
Q. ネーミングライツの相場はいくらですか?
自治体の公表資料では、年100万円台から1億円超まで幅があります。名古屋市総合体育館は年1億3,200万円(税込)、大分県のクラサスドーム大分などは年5,500万円(税込)、福岡市のベスト電器スタジアムは年3,600万円(税別)、長野市のアリーナは年500万円です(2026年10月7日時点)。
まとめ|スポンサー料の相場は公表額と収入規模の両方で見る
スポンサー料に、決まった定価はありません。それでも、公表されている数字を集めると、提案書を読む物差しができます。
- クラブが公表する料金は83件のうち76%が50万円未満で、16クラブは10万円未満から始められる
- 300万円以上を公表しているのは3クラブだけで、上位の協賛の多くは問い合わせ制
- 場所ごとの料金はFC岐阜が公表しており、看板は年44万円から440万円
- ネーミングライツは年100万円台から1億円超まで、自治体が契約額を公表している
- 比べる前に、税・制作費・期間・特典の4つをそろえる
まずは、提案を受けているクラブのスポンサー収入を、Jリーグの決算一覧で調べてみてください。提示された金額がその何%にあたるかがわかれば、社内で説明するときの根拠になります。
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