スポーツスポンサーとは|種類・金額・仕組みを企業向けに解説

スポーツスポンサーとは|種類・金額・仕組みを企業向けに解説のアイキャッチ スポーツマーケティング

地元のクラブから協賛の案内が届いた。資料には露出メニューと金額が並んでいるけれど、そもそも何にお金を払うのか、ほかの会社はいくら出しているのかが分からない。初めて担当すると、ここで判断が止まりますよね。

結論から言うと、スポーツスポンサーとは、企業がチーム・選手・大会・施設にお金や物、サービスを提供し、その見返りとして社名の露出や権利を得る取り組みです。Jリーグでは2025年度のスポンサー収入が合計約782億円にのぼり、J1では1クラブ平均約26億円で売上の40.6%を占めています。この記事では、種類、金額の目安、仕組み、始める前に確かめる決まりを、リーグや官公庁の資料でまとめます。

スポーツスポンサーとは企業が対価を払って露出と権利を得る取り組み

スポーツスポンサーで企業が資金を出し露出と権利を得る流れの図

スポーツスポンサーは、企業がスポーツの団体や選手に資金などを出し、代わりに露出や権利を受け取る関係です。見返りがある点が、寄付との違いです。クラブによっては、スポンサーを「パートナー」と呼んでいます。

受け取れるものは、大きく3つあります。ユニフォームや看板への社名の掲出、「オフィシャルスポンサー」といった呼称を名乗る権利、そして観戦チケットや選手のイベント参加などの特典です。どこまで受け取れるかは契約で決まります。

スポーツの側から見ると、スポンサー収入は経営の柱です。Jリーグが公表した2025年度の資料では、1クラブ平均のスポンサー収入が売上に占める割合は、J1で40.6%、J2で51.1%、J3で56.5%でした。カテゴリーが下がるほど、スポンサーへの依存が大きくなります。見返りがあるかどうかは税務の扱いにも関わり、詳しくはスポンサー料の勘定科目で整理しています。

(参考)2025年度 クラブ経営情報開示資料(2026年5月26日、7月24日更新) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

Q. スポーツスポンサーとは何ですか?

企業がチーム・選手・大会・施設にお金や物、サービスを提供し、見返りとして社名の露出や権利を得る取り組みです。見返りがある点が寄付と違います。Jリーグでは2025年度、J1クラブの売上の40.6%をスポンサー収入が占めています。

スポーツスポンサーの種類は支援する相手で4つに分かれる

スポーツスポンサーは、誰を支援するかで得られる権利と注意点が変わります。主な4つを並べます。

種類 支援する相手 得られるものの例 確かめておく点
チーム・クラブ プロクラブ、実業団など ユニフォームや看板への掲出、呼称、チケット 使えるのはクラブが持つ権利の範囲まで
選手個人 個人の選手 ウェアへの掲出、広告やイベントへの出演 所属クラブや団体の承諾が要る場合がある
大会・リーグ 大会の主催者、リーグ 大会名やロゴの使用、会場での露出 公式スポンサー以外は大会の名称や印象を使えない
施設(ネーミングライツ) スタジアムやアリーナの所有者 施設に社名や商品名を付ける権利 公共施設は金額と期間が公表される

スポーツスポンサーの4つの種類(出典:Jリーグ規約・ユニフォーム要項、B.LEAGUE規約、日本オリンピック委員会「オリンピック等の知的財産の使用に関するガイドライン」、広島市・横浜市の公表資料をもとにHuman Soarが整理)

チーム・クラブ|年数万円の会員から数百万円の枠まである

最も一般的なのが、クラブへの協賛です。金額を公表しているクラブもあります。浦和レッズは公式サイトで、パートナーシップを年間500万円から、「レッズビジネスクラブ」を年間24万円からと案内しています。愛媛FCは法人会員を55,000円(税込)から募集しています。

気をつけたいのは、クラブと契約して使えるのがクラブの権利までという点です。Jリーグの規約では、公式試合の映像に関する権利はリーグに属し、リーグが選手の肖像を使えるのも包括的に用いる場合に限られます。ユニフォームへの広告も、リーグへの事前の申請と承認が要ります。クラブごとの顔ぶれはJリーグのスポンサー構造で比べられます。

あわせて読みたいスポーツ協賛12社|企業マーケ担当者向け選び方›

選手個人|所属クラブの承諾を先に確かめる

選手個人を支援する場合は、契約の前に確かめることがあります。B.LEAGUEの規約は、選手が第三者の広告宣伝に関わるとき、事前にクラブの書面による承諾を得なければならないと定めています。選手と合意しただけでは、広告に起用できないことがあるわけです。

お金ではなく雇用で支える方法もあります。日本オリンピック委員会の就職支援「アスナビ」は、企業と現役のトップ選手を結ぶ無料の職業紹介で、2026年7月10日時点で252社・団体が460名の採用を決めています。

大会・リーグ|大会の名前は公式スポンサーになって使う

大会のスポンサーは、大会の名称やロゴを使える代わりに、権利の線引きが厳格です。日本オリンピック委員会のガイドラインは、オリンピックに関する知的財産を使った広告や販売促進ができるのはオリンピックパートナーだけ、としています。

権利を持たない企業が、大会の知名度や印象を利用する便乗広告は「アンブッシュマーケティング」と呼ばれます。出場選手への応援や祝福を企業として発信することも、これに含まれるとされています。選手を個人で支援している企業も例外ではありません。大会に触れずに選手を応援する広告は、大会の前から計画して出しておく必要があります。大会期間中は「ルール40」という決まりが適用され、ミラノ・コルティナ2026冬季大会では2026年1月30日から2月24日までが対象でした。

施設(ネーミングライツ)|契約額は自治体が公表している

スタジアムやアリーナに社名を付けるネーミングライツも、スポンサーの一種です。公共施設の場合、金額と期間が公表されます。広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島)は命名権料が年額2億2,000万円(税抜)で、期間は2024年4月から5年間です。横浜国際総合競技場(日産スタジアム)は、2026年3月からの5年間で対価が6.5億円(総額)とされています。

相場を知る手がかりになる一方、自社の契約額も公表される前提で検討する必要があります。

あわせて読みたい中小企業のスポーツ協賛入門|2026年版›

(参考)新規パートナーシップに関するお問い合わせ – 浦和レッドダイヤモンズ公式サイト

(参考)2026/27 法人会員のご案内 – 愛媛FC公式サイト

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

(参考)ユニフォーム要項 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

(参考)B.LEAGUE規約 – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

(参考)「第37回アスナビ採用企業情報交換会」を開催(2026年7月13日) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)オリンピック等の知的財産の使用に関するガイドライン Ver.1.0(2023年6月) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック TEAM JAPAN選手等の肖像使用に関する手続きについて(Rule40) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島)の命名権契約の更新 – 広島市

(参考)ネーミングライツ(施設命名権)事例 – 横浜市

スポーツスポンサーの金額はリーグの公表資料で相場をつかめる

Jリーグの1クラブ平均スポンサー収入をJ1・J2・J3で比べたスポーツスポンサーの金額のグラフ

スポーツスポンサーの金額は、年数万円から数億円まで幅があります。全体の規模は、リーグが公表している決算の資料で確かめられます。上の図は、Jリーグの2025年度の資料から、1クラブ平均のスポンサー収入をカテゴリー別に示したものです。

Jリーグ全体では、2025年度のスポンサー収入の合計が782億5,100万円でした。1クラブ平均は、J1が26億4,600万円、J2が11億9,300万円、J3が4億9,800万円です。前の年度より増えたクラブは40クラブ(78%)にのぼります。

バスケットボールのB.LEAGUEでも、B1・B2の38クラブを合わせたスポンサー収入は330億7,900万円(2024-25シーズン)で、前年から9.9%増えました。営業収入651億3,800万円の約51%にあたります(Human Soarが計算)。

どちらのリーグも、クラブごとの決算を公表しています。協賛を検討しているクラブのスポンサー収入の総額と、スポンサーの社数が分かれば、自社が出す金額がそのクラブの中でどのあたりに位置するかを考える材料になります。

(参考)2025年度 クラブ経営情報開示資料(2026年5月26日、7月24日更新) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要 発表資料(2025年10月14日) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

Q. スポーツスポンサーの金額はいくらですか?

年数万円から数億円まで幅があります。浦和レッズは年間24万円からのビジネスクラブと年間500万円からのパートナーシップを案内しています。Jリーグの2025年度の資料では、1クラブ平均のスポンサー収入はJ1で26億4,600万円、J3で4億9,800万円でした。

スポーツスポンサーの仕組みは協賛型から課題解決型へ広がっている

企業とクラブの関係は、名前を出すだけの協賛から、一緒に課題を解く形へ広がっています。経済産業省の委託調査(2026年3月)は、この流れを「協賛型」「広告露出型」「課題解決型パートナーシップ」の3つに整理しました。

協賛型は、地域のクラブを支える気持ちで出す形です。広告露出型は、ユニフォームや看板での露出を目的にします。課題解決型は、クラブの発信力や地域とのつながりを使って、採用や地域の課題、新しい事業づくりに一緒に取り組む形です。

企業の側の目的も、宣伝だけではありません。野村総合研究所が上場企業に聞いた調査(2024年4月公表)では、スポーツを支援する理由として「自社の宣伝・イメージアップ」が75.0%、「社会貢献・CSR」が71.2%でした。調査の詳しい中身はスポーツスポンサーになる理由で紹介しています。

成果の測り方にも種類があります。スポーツ庁と日本政策投資銀行の調査は、露出の量に広告の単価を掛けて金額にする「広告露出価値算定法」を、独自の評価方法として紹介しています。露出だけを見ると、採用や地域での成果を測り落とします。指標の選び方はスポーツスポンサーシップの効果測定方法にまとめています。

(参考)令和7年度地域牽引スポーツクラブチームのモデル創出に向けた調査事業 調査報告書(令和8年3月) – 経済産業省

(参考)企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査結果(2024年4月) – 株式会社野村総合研究所

(参考)スタジアム・アリーナおよびスポーツチームがもたらす社会的価値の可視化・定量化調査【概要版】(2021年6月) – スポーツ庁・株式会社日本政策投資銀行

Q. スポーツスポンサーのメリットは何ですか?

社名やブランドの露出、地域や社会への貢献、社員の一体感づくり、採用などに使える点です。野村総合研究所の調査(2024年4月公表)では、スポーツを支援する理由として「自社の宣伝・イメージアップ」が75.0%、「社会貢献・CSR」が71.2%でした。

スポーツスポンサーを始める前に確かめる3つの決まり

契約の前に、お金・広告・権利の3つの決まりを確かめておくと、あとで困りません。

税務|見返りの中身でスポンサー料の扱いが変わる

スポンサー料は、見返りの中身によって、広告宣伝費・寄附金・交際費等のどれになるかが変わります。看板や社名の掲出のように広く一般に向けた宣伝の対価なら広告宣伝費ですが、得意先の接待に使う観戦チケットの部分は交際費等になります。

契約書に見返りの内容を書いておくこと、チケットを誰に配ったかを記録しておくことが、区分の決め手になります。個別の判断は税理士に確認してください。

広告表示|選手の投稿の表示漏れは企業の責任になる

2023年10月から、広告であることを隠した表示(ステルスマーケティング)は景品表示法違反になりました。消費者庁は、規制の対象は商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主だと説明しています。

支援している選手やクラブがSNSで自社の商品を紹介するとき、広告だと分かる表示が無ければ、責任を問われるのは選手ではなく企業の側です。投稿のときの表記の決まりを、契約の段階で取り決めておきましょう。

権利|使えるのは契約に書かれた範囲だけ

スポンサーになっても、何でも使えるわけではありません。クラブのロゴ、選手の写真、試合の映像、大会の名前は、それぞれ権利を持つ相手が違います。

使いたい場面を先に書き出し、それが契約に含まれているかを確かめてください。広告に特定の選手を起用したい、自社のSNSで試合の映像を使いたい、といった希望は、追加の許諾が要ることがあります。協賛全体の考え方は、スポーツマーケティングの基本でも扱っています。

(参考)令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 – 消費者庁

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

まとめ|スポーツスポンサーは種類と権利の範囲を確かめて選ぶ

スポーツスポンサーは、お金を出して露出と権利を得る取り組みです。要点を振り返ります。

  • 支援する相手は、チーム・クラブ、選手個人、大会・リーグ、施設の4つ
  • 金額は年数万円から数億円まで幅があり、リーグやクラブ、自治体の公表資料で相場をつかめる
  • 関係は、協賛型から広告露出型、課題解決型へ広がっている
  • 契約の前に、スポンサー料の税務、広告の表示、使える権利の範囲を確かめる

まずは、支援を考えている相手の公式サイトで、スポンサーの一覧と料金の案内を見てみてください。同じ規模の会社がどの枠に名前を出しているかが分かれば、自社に合う関わり方が見えてきます。

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました