スーパーボウルのスポンサーは、契約する相手で4種類に分かれます。NFLの公式パートナー、ハーフタイムショーの冠スポンサー(2023年からApple Music)、開催地のホスト委員会のパートナー、そして放送局が売るCM枠と中継の中のスポンサー枠です。2026年2月のスーパーボウルLXでは、トヨタがNFLの公式自動車パートナーとして30秒のCMを2本流し、ソニーが公式テクノロジーパートナーとして試合の技術を担いました。どの公式発表にも金額は書かれていないため、検討するときは「どの権利を、誰から買うのか」を先に決めます。
「スーパーボウルに出たい」と社内で声が上がった。ところが調べ始めると、CMを流すことなのか、NFLのスポンサーになることなのか、ハーフタイムショーに社名を入れることなのか、話がかみ合わない。ここでは2026年2月8日のスーパーボウルLX(第60回)を例に、4種類のスポンサーの違い、日本企業が実際に使った枠、ハーフタイムショーの視聴者数、契約前に確かめることを、公式発表を手がかりに見ていきます。スポンサー料の考え方そのものはスポーツスポンサーの仕組みと金額で整理しています。
スーパーボウルのスポンサーは契約先で4種類に分かれる
スーパーボウルにまつわる協賛は、売り手が1つではありません。NFL、ハーフタイムショーの制作に関わる団体、開催地のホスト委員会、放送局がそれぞれ別の権利を売っています。2026年のスーパーボウルLXで確かめられた例を、契約先ごとに並べました。
| 種類 | 契約先 | 使える主な権利 | 2026年(スーパーボウルLX)の例 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| NFLの公式パートナー | NFL | NFLの公式パートナーという呼び名、大会週の催しへの参加 | トヨタ(公式自動車パートナー)、ソニー(公式テクノロジーパートナー) | 記載なし |
| ハーフタイムショーの冠スポンサー | NFL・Roc Nation | ショーの名前に社名が入る、出演者と組んだ番組や配信 | Apple Music(2023年から複数年) | 記載なし |
| 開催地のホスト委員会のパートナー | ベイエリア・ホスト委員会(非営利団体) | 開催地域での大会週の催し | Dolby、Levi Strauss & Co. | 記載なし |
| 放送局の広告 | 放送局(スーパーボウルLXはNBC) | CM枠、中継の中のスポンサー枠 | トヨタ(30秒CM2本) | 記載なし |
出典:NFL、NBCユニバーサル、Apple、ベイエリア・ホスト委員会、トヨタ、ソニーの公式発表(2026年11月時点で確認)をもとに Human Soar 作成。金額はどの発表にも記載なし
4種類を並べると、同じ「スーパーボウルのスポンサー」でも、社名が出る場所と契約書を交わす相手がまったく違うことが分かります。CM枠を買うことと、NFLの公式パートナーになることは別の契約です。そのうえで、トヨタのように複数の種類を重ねて使う企業もあります。
NFLの公式パートナー|大会週の催しまで使える
NFLの公式パートナーは、NFLと契約し、「NFLの公式自動車パートナー」のような呼び名でシーズンを通して活動する企業です。スーパーボウルの週には、その立場で開催地の催しに参加します。トヨタは2025年9月の発表で、NFLの公式自動車パートナーとして3シーズン目に入ったと説明し、スーパーボウルLXの週には子ども向けのフラッグフットボール大会「Toyota Glow Up Classic」や、ファン向けの展示「Super Bowl Experience」での体験を用意しました。
観戦チケットにホスピタリティをまとめた公式パッケージもあり、NFLの公式サイトは、2027年のスーパーボウルLXIの公式チケットパッケージをOn Locationが販売していると案内しています。取引先を招く使い方はスポーツホスピタリティの使い方、呼び名と権利の関係はオフィシャルパートナーとはで詳しく見られます。
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ハーフタイムショーの冠スポンサー|2023年からApple Music
ハーフタイムショーは、ショーの名前そのものに社名が入る枠です。2023年2月12日のスーパーボウルLVIIが「最初のApple Music Super Bowl Halftime Show」になり、2026年は「Apple Music Super Bowl LX Halftime Show」、2027年は「Apple Music Super Bowl LXI Halftime Show」という名前で行われます。NFLは、Apple MusicがNFL・Roc Nationと複数年のパートナーシップを結んでいると発表しています。
出演者の発表もNFL・Apple Music・Roc Nationの3者の連名で行われ、Apple Musicは自社のアプリで出演者の特集番組や配信を組みます。Roc Nationは2019年からショーの制作に関わっています。冠の契約期間の終わりは公表されていないため、この枠を検討するなら、まずNFLに空き状況を問い合わせることになります。
(参考)Apple Music launches Rihanna’s Road to Halftime ahead of Super Bowl LVII – Apple
(参考)Jay-Z to headline Apple Music Super Bowl LXI Halftime Show on Feb. 14 – NFL
(参考)Super Bowl Halftime Show – NFL
開催地のホスト委員会のパートナー|NFLとは別の非営利団体
スーパーボウルの開催地には、地元の催しを運営するホスト委員会があり、独自にパートナーを集めます。スーパーボウルLXでは、ベイエリア・ホスト委員会(Bay Area Host Committee)という非営利団体がこの役割を担いました。
2025年6月10日にはLevi Strauss & Co.との提携を発表しています。同社はサンフランシスコ49ersの本拠地の命名権を2043年まで持っています。2025年11月19日にはDolbyを「Official Signature Partner」として発表し、Dolbyは2026年2月5日に自社のサンフランシスコ本社でホスト委員会のキックオフパーティーを開きました。NFLの公式パートナーでなくても、開催地域での催しに名前を出す道がここにあります。
放送局のCM枠と中継内の枠|2026年はNBCが約5か月前に完売
試合中に流れるCMの枠は、NFLではなく放送局が売ります。スーパーボウルLXを放送したNBCユニバーサルは、2025年9月3日に、NBC・Peacock・Telemundoで放送するスーパーボウルLXの広告枠がすべて売れたと発表しました。試合日の2026年2月8日まで、計算すると約5か月前です。
NBCは同じ発表で、NFL中継の主要なスポンサー枠も売り切れ、ハーフタイムのスポンサーはトヨタだと明らかにしています。一方で、CM枠の価格はこの発表に書かれていません。価格の数字を社内資料に使うなら、放送局から直接見積もりを取るのが確実です。NFL全体の放映権の流れはNFLの収益と分配にまとめています。
Q. スーパーボウルのCM枠はいくらですか?
スーパーボウルLXを放送したNBCユニバーサルの公式発表に、CM枠の価格は書かれていません。発表されているのは、2025年9月3日の時点でスーパーボウルLXの広告枠がすべて売れたことです。CM枠は放送局が売るもので、NFLのスポンサー契約とは別の取引です。
2026年のスーパーボウルLXで日本企業が使った枠|トヨタとソニー

2026年のスーパーボウルLXで、公式発表から確かめられる日本企業はトヨタとソニーです。発表の名義は、トヨタが北米法人のToyota Motor North America、ソニーが本社のSony Corporationと米国法人のSony Electronics Inc.の連名でした。
トヨタは、上の表の4種類のうち2つを重ねて使いました。NFLの公式自動車パートナーとして大会週の催しを開き、試合中には、新型RAV4が登場する「Superhero Belt」と、トヨタが支援する選手が出演する「Where Dreams Began」の2本の30秒CMを流しています。後者にはNFLのプカ・ナクア選手らが出ています。さらにNBCのNFL中継ではハーフタイムのスポンサーを務めています。
シーズン中の施策も大会につながっています。トヨタはNBCの「Sunday Night Football」の中継に合わせて試合を予想する企画を開き、開幕からスーパーボウルLXまでに最大1,500人のファンに賞品を贈ると発表しました。子ども向けのNFLフラッグフットボールでは、協賛を通じて全米で30万人以上の選手を支えています。
ソニーは、NFLの公式テクノロジーパートナーとして試合そのものに入りました。2026年2月6日の発表によると、スーパーボウルLXはソニーのコーチ用ヘッドセットが使われた初めてのスーパーボウルで、175台以上のソニーのカメラが会場に置かれ、ファーストダウンの距離を測るHawk-Eyeの仮想計測もスーパーボウルで初めて使われました。CMで知ってもらうトヨタと、試合の運営に技術で入るソニーは、同じ公式パートナーでも権利の使い方が違います。
Q. スーパーボウルのスポンサーに日本企業はいますか?
公式発表で確かめられるのは、トヨタとソニーです。トヨタはNFLの公式自動車パートナーとして2026年のスーパーボウルLXに30秒のCMを2本流し、ソニーはNFLの公式テクノロジーパートナーとして175台以上のカメラやコーチ用ヘッドセットを試合に入れました。トヨタは北米法人、ソニーは本社と米国法人の連名で発表しています。
ハーフタイムショーのスポンサーが得る視聴者|2026年は1億2,820万人
ハーフタイムショーの冠スポンサーが得るのは、試合本編に並ぶ規模の視聴者です。NBCの発表によると、2026年のスーパーボウルLXの「Apple Music Super Bowl LX Halftime Show」は、米国で平均1億2,820万人が視聴しました。前年のスーパーボウルLIXのハーフタイムショーは1億3,350万人で、過去最多の記録です。
試合本編は、NBC・Peacock・Telemundoなどの合計で平均1億2,560万人、第2クォーターには米国のテレビ史上最多の1億3,780万人に達しました(ニールセンの集計)。スペイン語で放送したTelemundoは平均330万人で、ハーフタイムには480万人まで増えています。
注目したいのは、冠スポンサーが自社のサービスで成果を測っている点です。NBCの発表には、ショーの直後に出演したバッド・バニーのApple Musicでの再生が7倍に増えたこと、ショーの動画のSNSでの視聴が最初の24時間で40億回に達し、NFLのSNSでの視聴の55%以上が米国の外からだったことが並んでいます。視聴者数だけでなく、自社の商品やサービスで何が動いたかを測れる設計にしておくと、社内で成果を説明しやすくなります。CMの効果の測り方はスポーツ選手のCM効果の測り方も参考になります。
次の大会では、2027年2月14日のスーパーボウルLXIで、JAŸ-Z(ジェイ・Z)がApple Musicのハーフタイムショーに出ると発表されています。会場はロサンゼルスのSoFiスタジアムで、ESPN・ABC・Disney+が放送します。2026年のスーパーボウルLXの会場は、カリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムでした。
(参考)Super Bowl LX is Second-Most Watched All-Time with Nearly 125 Million Viewers – NBC Sports
(参考)Bad Bunny to headline Apple Music Super Bowl LX Halftime Show on Feb. 8 – NFL
(参考)Jay-Z to headline Apple Music Super Bowl LXI Halftime Show on Feb. 14 – NFL
Q. 2027年のスーパーボウルのハーフタイムショーには誰が出ますか?
NFL・Apple Music・Roc Nationは、2027年2月14日のスーパーボウルLXIのハーフタイムショーにJAŸ-Z(ジェイ・Z)が出ると発表しています。会場はロサンゼルスのSoFiスタジアムで、ESPN・ABC・Disney+で放送されます。ショーの冠スポンサーは引き続きApple Musicです。
スーパーボウルのスポンサー契約の前に日本企業が確かめること

スーパーボウルに関わるかどうかを決める前に、社内で決めておくことは3つあります。使いたい権利と契約先、大会名やマークを使える範囲、日本で連動企画を行うときの法律です。上の図のとおり、使いたい権利が決まれば、交渉する相手は自然に決まります。
使いたい権利から契約先を選ぶ
NFLの呼び名を名乗りたいならNFL、ショーに社名を入れたいならNFLとRoc Nation、開催地で名前を出したいならその年のホスト委員会、試合の中継で届けたいなら放送局が相手です。日本でも米国でも届けたいのか、米国の視聴者だけでよいのかで、選ぶ種類が変わります。
時期にも注意が要ります。2026年の例では、ホスト委員会とLevi Strauss & Co.の提携の発表が試合の約8か月前、NBCの広告枠の完売が約5か月前、Dolbyの発表が約3か月前でした(いずれも発表日から試合日までを計算)。2026年の例では広告枠が前の年の9月初めに売り切れているので、CMを検討するなら、それより前に放送局へ相談します。どの方法を選ぶにしても、目的と測る指標を先に決める手順はスポーツマーケティングの進め方と同じです。
大会名とマークは国ごとの商標で確かめる
トヨタは発表のなかで「As the Official Automotive Partner of the NFL」と名乗っています。こうした呼び名やスーパーボウルの名前、NFLのマークを広告でどこまで使えるかは、NFLとの契約書で確かめます。契約のないまま大会を連想させる広告を出すと、いわゆるアンブッシュマーケティングとして問題になりえます。
日本の特許庁は、商標権は日本全国に効力が及ぶ一方で外国には及ばず、国ごとに権利を取る必要があると説明しています。つまり米国での使い方と、日本での使い方は別々に確かめる必要があります。日本の広告やキャンペーンで使うなら、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で日本の登録を調べ、迷うときは弁理士に確認します。
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日本で懸賞を打つなら景品表示法の上限を確かめる
トヨタが米国で行った試合予想の企画のように、日本で観戦旅行やグッズを賞品にするなら、景品表示法の景品規制を確かめます。消費者庁によると、商品の購入者などから抽選で贈る「一般懸賞」では、取引価額が5,000円未満なら賞品の最高額は取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円で、賞品の総額は懸賞に関わる売上予定総額の2%までです。
たとえば1万円の商品の購入者から抽選する場合、1人あたりの賞品は10万円までになり、米国への観戦旅行のような高額な賞品は組めないことがあります。その場合は、購入を条件にしない応募の形にできないかを、企画の段階で法務の担当者や専門家と相談します。
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Q. スーパーボウルの名前を日本の広告で使ってもよいですか?
NFLと契約していない企業は、スーパーボウルの名前やNFLのマークを広告に使わないのが安全です。商標権は国ごとの権利なので、日本で使うなら日本で登録されている商標かどうかを特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で確かめます。使い方に迷うときは、弁理士や弁護士に確認してください。
スーパーボウルのスポンサーのまとめ
スーパーボウルのスポンサーは、契約先ごとに使える権利が分かれています。数値と日付の出典は本文の各セクションに記載しています。
- スポンサーはNFLの公式パートナー、ハーフタイムショーの冠、開催地のホスト委員会、放送局の広告の4種類で、CM枠の購入とNFLの公式パートナー契約は別の取引
- 2026年のスーパーボウルLXでは、トヨタが公式自動車パートナーとして30秒のCMを2本流し、ソニーが175台以上のカメラなどで試合の技術を担った
- ハーフタイムショーの冠は2023年からApple Musicで、2026年のショーは米国で平均1億2,820万人が視聴した
- NBCはスーパーボウルLXの広告枠を約5か月前に売り切り、CM枠の価格は公式発表に書かれていない
- 日本で大会名を使う広告や懸賞を行うなら、日本の商標と景品表示法の上限を確かめる
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