少子化がスポーツに与える影響|部員数の減少と企業の関わり方

少子化がスポーツに与える影響|部員数の減少と企業の関わり方 スポーツビジネス

協賛している少年大会の参加チームが、数年前より目に見えて減ってきた。スクールの体験会に来る子どもの数が、去年ほど伸びない。地元の中学校では、野球部が隣の学校と合同で大会に出ている。子どもに関わるスポーツの現場では、こうした変化が同時に起きています。

少子化がスポーツに与える影響は、部員と団員の減少、単独ではチームを組めない学校の増加、大会の縮小という形で、すでに数字に表れています。中学校の運動部員は10年で23.7%減り、複数の学校による合同チームは748から3,232に増えました。部員の減り方は、子どもの数の減り方より大きくなっています。

この記事では、国の統計と競技団体の公表資料をもとに、何がどれだけ減ったのか、国と団体がどう対応しているのか、企業がどこで関われるのかを整理します。数字はいずれも2026年10月12日に確認したものです。

  1. 少子化の現状|出生数は67万人で子どもの数は45年続けて減少
  2. 少子化がスポーツに与える影響は5つの数字に表れている
    1. 中学校の運動部員は10年で23.7%減った
    2. 高校の運動部員は10年で15.9%減った
    3. 高校野球の硬式部員は12年続けて減っている
    4. スポーツ少年団の団員は52万人台になった
    5. サッカーの小学生年代の登録は最多の年から15%減った
  3. スポーツの部員数は子どもの数より速く減っている
  4. 少子化の影響は学校と地域と競技団体と産業で表れ方が違う
    1. 学校では合同チームが10年で4倍を超えた
    2. 地域ではスポーツ少年団の数が4分の3になった
    3. 競技団体は全国大会の規模を見直している
    4. 産業ではスポーツをする人の減少が懸念されている
  5. スポーツ界の少子化対策は場の再編と入口づくりの2つ
    1. 国は部活動を地域全体で支える形へ移している
    2. 競技団体は合同チームと地域クラブの参加を認めた
    3. 普及は複数の種目を体験できる方向へ向かう
  6. 少子化が進むスポーツの現場に企業が関わる3つの方法
    1. 指導者と施設を地域の活動に出す
    2. 大会の運営と費用を支える
    3. 子どもがスポーツを始める場をつくる
  7. 企業がスポーツの現場に関わる前に確かめる4つの点
    1. 対象の年代と地域の人数の見通し
    2. 受け皿を運営する団体
    3. 参加費と費用の負担
    4. 安全管理と保険
  8. まとめ|少子化とスポーツは人数の見通しから考える

少子化の現状|出生数は67万人で子どもの数は45年続けて減少

少子化で年齢が下がるほど子どもの数が少ないことを示す図解。12〜14歳は309万人、0〜2歳は213万人で、スポーツを始める年代の人数が減っていく

スポーツへの影響を考える前に、子どもの数そのものを確かめておきます。厚生労働省の人口動態統計(月報年計・概数)によると、2025年に日本で生まれた日本人の子どもは671,236人で、過去最少でした。前の年より14,937人少なく、10年続けて減っています。

総務省統計局の人口推計では、2026年4月1日現在の子どもの数(15歳未満)は1329万人です。1982年から45年続けて減り、総人口に占める割合は10.8%になりました。

年齢を3歳ごとに区切ると、12〜14歳が309万人、9〜11歳が296万人、6〜8歳が268万人、3〜5歳が243万人、0〜2歳が213万人です。年齢が下がるほど人数が少なく、0〜2歳は12〜14歳より96万人少ない計算になります。いまの0〜2歳がそのまま中学生の年代になると考えると、12年ほど先の中学生の年代は、現在のおよそ7割です。

学校に通う子どもの数も減っています。文部科学省の学校基本統計(2026年5月1日現在・速報値)では、小学校の在学者が565万4千人、中学校が306万人で、どちらも過去最少でした。スポーツ庁は、12〜14歳の人口が2023年の約322万人から2033年には約259万人になると推計しています。

(参考)令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)の概況 – 厚生労働省

(参考)統計トピックスNo.148 我が国のこどもの数(「人口推計」から) – 総務省統計局

(参考)令和8年度学校基本統計(学校基本調査の結果)速報値 – 文部科学省

(参考)部活動を取り巻く現状(改革の必要性) – スポーツ庁

少子化がスポーツに与える影響は5つの数字に表れている

子どもの数の減少は、学校の運動部、地域の少年団、競技団体の登録という、子どもがスポーツをする主な場のすべてで数字に表れています。公表されている5つの統計を並べると、次のとおりです。

見る数字 以前 最新 増減(計算)
中学校の運動部員 2015年度 2,278,879人 2025年度 1,737,887人 23.7%減
高校の運動部員(野球を除く) 2016年度 1,263,507人 2026年度 1,062,544人 15.9%減
高校野球の硬式部員 2014年 170,312人 2026年 124,116人 27.1%減
スポーツ少年団の団員 2015年度 719,752人 2024年度 525,992人 26.9%減
サッカーの小学生年代の登録選手 2013年度 318,548人 2025年度 270,188人 15.2%減

子どものスポーツに関わる5つの統計(出典:スポーツ庁、全国高等学校体育連盟、日本高等学校野球連盟、日本スポーツ協会、日本サッカー協会の公表資料。調査の時点と対象は統計ごとに違うため、足し合わせはできない)

中学校の運動部員は10年で23.7%減った

スポーツ庁が日本中学校体育連盟の調査をもとにまとめた資料によると、運動部に入っている中学生は、2015年度の2,278,879人から2025年度には1,737,887人になりました。54万人あまり、23.7%の減少です。

減り方は競技によって大きく違います。サッカーは37.2%減、軟式野球は34.6%減、ソフトボールは53.8%減でした。一方で、バドミントンは2.7%減、バレーボールは3.8%減にとどまっています。子どもの数が減るなかで、どの競技も同じように減っているわけではありません。

(参考)部活動を取り巻く現状(改革の必要性) – スポーツ庁

高校の運動部員は10年で15.9%減った

全国高等学校体育連盟の加盟・登録状況では、専門部に登録している生徒は、2016年8月現在の1,263,507人から、2026年8月現在は1,062,544人になりました。計算すると、10年で約20万人、15.9%の減少です。

この数字は全日制と定時制・通信制を合わせたもので、野球は含まれません。高校野球は日本高等学校野球連盟が別に集計しています。統括する団体の違いは、中体連・高体連・UNIVASの役割の記事で整理しています。

(参考)統計資料(加盟登録状況) – 公益財団法人全国高等学校体育連盟

高校野球の硬式部員は12年続けて減っている

日本高等学校野球連盟によると、2026年5月末の硬式野球部の部員は124,116人でした。前の年より1,265人少なく、12年続けての減少です。最も多かった2014年の170,312人と比べると、計算では27.1%減っています。

加盟校は3,746校で、最も多かった2005年の4,253校から507校減りました。部員が減った都道府県は35にのぼります。

(参考)部員数統計・硬式 – 日本高等学校野球連盟

(参考)2026年度 加盟校部員数調査結果 – 日本高等学校野球連盟

スポーツ少年団の団員は52万人台になった

小学生が地域でスポーツをする場の1つが、日本スポーツ協会のスポーツ少年団です。団員は、2015年度の719,752人から、2024年度(2024年12月27日時点)には525,992人になりました。団の数も33,077から24,989に減っています。

日本スポーツ協会の報告書は、団員が1984年度から1995年度まで100万人台を保っていたこと、少子化の傾向がはっきりするなかで1996年度に100万人を切ったことを記しています。2020年度には新型コロナウイルスの影響で前の年より13.4%減り、60万人を下回りました。

(参考)登録状況(スポーツ少年団) – 公益財団法人日本スポーツ協会

(参考)令和3年度 スポーツ少年団緊急対策プロジェクト報告書 – 公益財団法人日本スポーツ協会 日本スポーツ少年団

サッカーの小学生年代の登録は最多の年から15%減った

競技団体の登録にも変化が見えます。日本サッカー協会の選手登録数では、小学生年代にあたる第4種が、最も多かった2013年度の318,548人から2025年度は270,188人になりました。計算では15.2%の減少です。全体の登録選手は、2014年度の964,328人が最多で、2025年度は836,297人でした。

中学生年代の第3種は216,612人で、前の年度より1.8%増えています。この数字は、学校の部も地域のクラブも含めた、チームに登録している選手の数です。学校のサッカー部の部員が37.2%減ったのに対し、第3種の登録は2015年度からの10年で18.2%減(計算)にとどまっており、学校の外でプレーする中学生がいることがうかがえます。

(参考)サッカー選手登録数(データボックス) – 公益財団法人日本サッカー協会

Q. 少子化はスポーツにどんな影響を与えていますか?

部員や団員の減少、合同チームの増加、大会の縮小という形で表れています。中学校の運動部員は2015年度の2,278,879人から2025年度に1,737,887人へ23.7%減り、複数校の合同チームは748から3,232に増えました(スポーツ庁の資料)。スポーツ少年団の団員も2015年度の約72万人から2024年度は約52.6万人になっています。

スポーツの部員数は子どもの数より速く減っている

部員の減少を、少子化だけで説明することはできません。日本中学校体育連盟の集計表に載っている全国の中学校の生徒数は、2015年度の3,481,869人から2025年度は3,153,649人で、計算すると9.4%の減少です。同じ期間に運動部員は23.7%減りました。

生徒数に対する運動部員の割合を計算すると、2015年度の65.4%から、2025年度は55.1%に下がっています。子どもの数が減ったことに加えて、運動部に入る生徒の割合そのものが下がっているわけです。

要因について、団体の資料は少子化のほかにも挙げています。日本高等学校野球連盟は、課題として「少子化や若い世代の野球離れ」と書いています。経済産業省の会議の中間報告は、少子化が進むなかで競技団体やクラブによる子どもの囲い込みが起き、1つの競技だけを続ける傾向に拍車がかかっているという指摘を紹介しています。

運動の時間にも変化があります。スポーツ庁の令和7年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査(小学校5年生と中学校2年生の全員が対象)は、体育の授業を除く1週間の総運動時間が420分以上の子どもの割合は小中学校の男女とも減る傾向にあり、60分未満の割合は増える傾向にあるとしています。人数の見通しを立てるときは、子どもの数だけでなく、参加する割合の変化も合わせて見る必要があります。

(参考)加盟校調査 調査結果(加盟校・加盟生徒数調査集計表) – 公益財団法人日本中学校体育連盟

(参考)部活動を取り巻く現状(改革の必要性) – スポーツ庁

(参考)高校野球200年構想 – 日本高等学校野球連盟

(参考)第2期スポーツ未来開拓会議 中間報告 – 経済産業省

(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果について(概要) – スポーツ庁

少子化の影響は学校と地域と競技団体と産業で表れ方が違う

少子化がスポーツに与える影響の表れ方の図解。学校では合同チームの増加、地域ではスポーツ少年団の減少、競技団体では大会の見直し、産業ではスポーツをする人の減少への懸念に分かれる

同じ少子化でも、影響の出方は場によって違います。学校ではチームが組めなくなり、地域では団の数が減り、競技団体は大会を見直し、産業では将来の担い手と顧客の減少が懸念されています。順に見ていきます。

学校では合同チームが10年で4倍を超えた

1つの学校では人数が足りず、ほかの学校と一緒に活動する合同チームが増えています。スポーツ庁の資料によると、中学校の合同チームは2015年度の748から、2025年度は3,232になりました。軟式野球が260から1,149、サッカーが76から775、バスケットボールが52から423です。

高校でも同じ動きがあります。日本高等学校野球連盟によると、2026年夏の第108回全国高校野球選手権の地方大会には、部員不足による連合チームが142チーム、421校参加しました。参加チームの総数は3,363で、5年前の第103回大会の3,603から240減っています。

(参考)部活動を取り巻く現状(改革の必要性) – スポーツ庁

(参考)第108回全国高校野球選手権地方大会 参加チーム数の確定 – 日本高等学校野球連盟

地域ではスポーツ少年団の数が4分の3になった

地域では、活動の単位そのものが減っています。スポーツ少年団の団の数は、2015年度の33,077から2024年度は24,989になりました。計算すると24.5%の減少で、9年でおよそ4分の3になったことになります。

経済産業省とスポーツ庁が開いた第2期スポーツ未来開拓会議の中間報告(2023年7月)は、スポーツ少年団について「この20年で団数は2割、団員数は4割減少した」と書いています。近くに団がなくなれば、子どもが通える範囲でスポーツを始める場が減ることになります。

(参考)登録状況(スポーツ少年団) – 公益財団法人日本スポーツ協会

(参考)第2期スポーツ未来開拓会議 中間報告 – 経済産業省

競技団体は全国大会の規模を見直している

大会の運営にも影響が出ています。日本中学校体育連盟は、夏季16競技と冬季4競技で開いてきた全国中学校体育大会について、令和9年度(2027年度)の大会から開催する競技の数を変え、規模を縮小することを決めました。連盟と菅公学生服が2025年に出した発表は、少子化の進行と、運営を担う教職員の負担の増加で、大会を続けていくことが課題になっていると説明しています。

中学生の全国大会に協賛している企業や、大会に合わせて商品やサービスを出してきた企業は、2027年度からの大会の形を確かめておく必要があります。どの競技がどう変わるかは、連盟の発表で確認してください。

(参考)70周年記念誌 – 公益財団法人日本中学校体育連盟

(参考)菅公学生服株式会社と公益財団法人日本中学校体育連盟が全国中学校体育大会の運営に関する包括連携協定を締結(2025年4月10日) – 菅公学生服株式会社

産業ではスポーツをする人の減少が懸念されている

産業への影響について、国の資料は金額の見通しを出していません。書かれているのは懸念です。第2期スポーツ未来開拓会議の中間報告は、スポーツをする人が若い世代で目立って減っていることを、「産業としての衰退に直結しかねない極めて危機的な状況」と表現しています。

同じ報告は、スポーツをする環境が整って実施率が上がれば、シューズやウェア、道具といった用品の産業が広がり、観戦への関心も広がると説明しています。裏を返せば、子どものころにスポーツをする人が減ることは、スクールや施設、用品、観戦のいずれにも関わるということです。

企業の側の資料では、ミズノが2026年3月期の有価証券報告書で、国内では少子高齢化が進むにつれてシニア層の構成比が増え、健康のための活動の機会が増えると想定されるとして、健康関連の事業への取り組みを強める方針を書いています。少子高齢化を、需要の変化として事業の方針に織り込んでいる例です。子ども向けのスクールを運営する会社の顔ぶれは、下の記事で紹介しています。

あわせて読みたいスポーツスクール業界とは|主要10社と企業の活用法›

(参考)第2期スポーツ未来開拓会議 中間報告 – 経済産業省

(参考)有価証券報告書 第113期(2025年4月1日〜2026年3月31日) – 美津濃株式会社

スポーツ界の少子化対策は場の再編と入口づくりの2つ

国と競技団体の対策は、大きく2つに分かれます。1つは、学校や団ごとに分かれていた活動の場をまとめ直すこと、もう1つは、子どもがスポーツを始める入口を広げることです。

国は部活動を地域全体で支える形へ移している

国の対応の柱は、部活動の地域展開です。スポーツ庁と文化庁の会議が2025年5月にまとめた最終とりまとめは、急激な少子化が進むなかでも、生徒がスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保することを改革の主な目的に挙げています。学校単位の部活動を、地域のクラブなどが支える活動へ広げていく考え方です。

2022年に決まった第3期のスポーツ基本計画は、少子化が、スポーツに参画する人と支える担い手の不足や、部活動と地域のスポーツ環境を保つことの難しさにつながっていると書いています。策定中の第4期の中間報告(2026年7月)も、少子化が運動やスポーツの実施に与える影響を評価し、対策を調べる研究を進めるとしています。制度の進め方と期限は、下の記事にまとめています。

あわせて読みたい部活動の地域展開とは|スポーツで企業が関わる5つの方法と補助金›

(参考)「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」最終とりまとめ – スポーツ庁・文化庁

(参考)スポーツ基本計画(令和4年3月25日) – 文部科学省

(参考)第4期スポーツ基本計画(中間報告) – スポーツ審議会

競技団体は合同チームと地域クラブの参加を認めた

大会に出るための決まりも変わってきました。全国高等学校体育連盟は、団体競技での複数校の合同チームによる大会参加を2002年3月に認め、少子化の傾向が加速するなかで、部員不足による合同チームの編成を適切に取り入れるべきだという考え方を示しています。現在は、バスケットボールやサッカーなど9つの競技に、合同チームの人数の基準が定められています。

日本中学校体育連盟も、少子化への対策として、2003年(平成15年)に合同チームの参加を認めました。2023年度からは、地域のスポーツ団体などに所属する中学生にも、全国中学校体育大会の参加資格を広げています。学校に部がなくても、地域のクラブから大会を目指せるようになったわけです。

(参考)複数校合同チームによる大会への参加についての考え方 – 公益財団法人全国高等学校体育連盟

(参考)競技別部員不足に伴う複数校合同チーム参加ガイドライン – 公益財団法人全国高等学校体育連盟

(参考)全国中学校体育大会における今後の対応 – 公益財団法人日本中学校体育連盟

(参考)70周年記念誌 – 公益財団法人日本中学校体育連盟

普及は複数の種目を体験できる方向へ向かう

入口を広げる取り組みも進んでいます。日本高等学校野球連盟は、朝日新聞社、毎日新聞社とともに2018年に「高校野球200年構想」をつくり、野球の楽しさを広めて競技人口を拡大することを目的の1つに掲げました。

日本スポーツ協会は、2022年にまとめたスポーツ少年団の改革プランで、団の81.1%が1つの種目だけで活動している(2021年度の登録情報)としたうえで、複数の種目に取り組む形への転換や、団どうしの統合と連携を、活性化の方向として示しています。子どもが発育の段階に応じた体の動きを身につけるためのプログラム(JSPO-ACP)の普及も進めるとしています。第2期スポーツ未来開拓会議の中間報告も、さまざまなスポーツを体験できる環境を早く整える必要があると書いています。

(参考)高校野球200年構想 – 日本高等学校野球連盟

(参考)令和3年度 スポーツ少年団緊急対策プロジェクト報告書 – 公益財団法人日本スポーツ協会 日本スポーツ少年団

(参考)第2期スポーツ未来開拓会議 中間報告 – 経済産業省

Q. スポーツ界は少子化にどんな対策をとっていますか?

活動の場をまとめ直す対策と、始める入口を広げる対策が進んでいます。国は部活動を地域全体で支える地域展開を進め、全国高等学校体育連盟と日本中学校体育連盟は複数校の合同チームの大会参加を認めました。日本中学校体育連盟は2023年度から地域のスポーツ団体に所属する中学生の参加も認めています。日本スポーツ協会は、スポーツ少年団が複数の種目に取り組む形への転換を示しています。

少子化が進むスポーツの現場に企業が関わる3つの方法

少子化が進むスポーツの現場で起きていること、団体の対応、企業の関わり方の対応を示す図解。チームが組めない地域には指導者と施設、運営が難しい大会には運営と費用の支援、始める子が減る競技には体験の場づくりがつながる

企業の関わり方は、現場で起きていることに合わせて3つに整理できます。チームが組めない地域には人と場所を、運営が難しくなった大会には運営の力と資金を、始める子が減っている競技には体験の場を出す、という分け方です。この3つは、この記事での整理です。

指導者と施設を地域の活動に出す

文部科学省が2025年12月に出したガイドラインは、民間企業に期待される役割として、寄附やスポンサーなどの財政的な支援、指導者や運営の人材の派遣、企業が持つ施設の貸し出しや用具の提供、運営のノウハウの提供、運営団体や実施主体を担うことを挙げています。人の派遣には、短時間勤務や副業を認める社内制度の整備も含まれます。

社員に競技の経験者がいる会社や、体育館やグラウンドを持つ会社は、人数が足りない地域の活動の受け皿づくりに関われます。少年団や少年サッカーのチームへの協賛を考えている場合は、少年サッカーのスポンサー料の記事が金額の手がかりになります。

(参考)部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(令和7年12月) – 文部科学省

大会の運営と費用を支える

大会そのものを支える関わり方もあります。菅公学生服は2025年4月10日、日本中学校体育連盟と、全国中学校体育大会の運営に関する包括連携協定を結びました。連携する内容は、大会の開催計画、競技別の運営の支援、自治体との連携、協賛の新規契約と継続契約、広報と啓発のイベントなどです。

同社は、1965年から連盟と関わりを持ってきたと説明しています。看板を出す協賛にとどまらず、運営の実務や協賛を集める仕事にまで踏み込んだ例です。高校の大会への協賛の決まりは、高校サッカーのスポンサーの記事で扱っています。

(参考)菅公学生服株式会社と公益財団法人日本中学校体育連盟が全国中学校体育大会の運営に関する包括連携協定を締結(2025年4月10日) – 菅公学生服株式会社

(参考)公益財団法人日本中学校体育連盟 全中運営改革プロジェクト – 公益財団法人日本中学校体育連盟

子どもがスポーツを始める場をつくる

始める子を増やす取り組みに加わる方法もあります。ガイドラインは、関係する団体に期待される役割として、体験会やイベントの開催、新しい大会の開催を挙げています。協力する企業への見返りの例としては、練習着や備品への企業名の掲載、ネーミングライツ、表彰の制度が示されています。

高校野球200年構想のように、競技団体と企業が一緒に普及の計画をつくった例もあります。体験会への協賛や会場の提供は、1つの競技の選手を増やすことだけでなく、地域でスポーツをする子どもを増やすことにつながります。スポーツ業界が抱える課題の全体は、日本スポーツ業界の8つの課題で整理しています。

(参考)部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(令和7年12月) – 文部科学省

(参考)高校野球200年構想 – 日本高等学校野球連盟

企業がスポーツの現場に関わる前に確かめる4つの点

子ども向けのスポーツに関わる前に、人数、相手、お金、安全の4つを確かめます。少子化が進む地域ほど、数年先の姿が今と変わるためです。

対象の年代と地域の人数の見通し

最初に確かめるのは、対象にする年代の人数が、これからどう変わるかです。全国では、0〜2歳が12〜14歳より約3割少なく、中学生の年代は2033年に約259万人になると推計されています。5年の協賛や施設への投資を考えるなら、契約が終わる年の人数で考える必要があります。

地域による差も大きくなります。第3期のスポーツ基本計画は、人口の減少は都市部より地方で速く進んでいると書いています。市区町村の年齢別の人口と、学校ごとの生徒数を、自治体の公表資料で確かめてください。

(参考)統計トピックスNo.148 我が国のこどもの数(「人口推計」から) – 総務省統計局

(参考)部活動を取り巻く現状(改革の必要性) – スポーツ庁

(参考)スポーツ基本計画(令和4年3月25日) – 文部科学省

受け皿を運営する団体

次に、相手が誰なのかを確かめます。合同チームは、複数の学校が集まった一時的な組み合わせで、契約の相手になる法人があるとは限りません。地域のクラブ活動では、全体をまとめる運営団体と、個々の活動を行う実施主体が分かれています。

ガイドラインは、市区町村などが活動を認定する仕組みを定めていて、認定の要件には、適切な運営の体制が確保されていることが含まれます。認定を受けているか、代表者と会計の責任者が誰かを、契約の前に聞いておきます。

(参考)部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(令和7年12月) – 文部科学省

参加費と費用の負担

費用を誰が負担しているのかも確かめます。認定の要件には、活動を続けるのに必要な範囲で、できるだけ低い参加費が設定されていることが入っています。全国高等学校体育連盟の基準にも、合同チームの参加料や引率にかかる経費は、各校で協議して分けるという決まりがあります。

人数が減ると、1人あたりの負担は重くなります。協賛金や寄附が、参加費を下げることに使われるのか、指導者への謝金にあてられるのか、使い道を相手と決めておくと、成果を社内に説明しやすくなります。寄附と協賛では税務の扱いが変わることがあります。ここで触れたのは一般的な内容で、個別の判断は税理士に確かめてください。

(参考)部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(令和7年12月) – 文部科学省

(参考)競技別部員不足に伴う複数校合同チーム参加ガイドライン – 公益財団法人全国高等学校体育連盟

安全管理と保険

最後に、安全の体制です。ガイドラインは、適切な安全確保の体制を認定の要件に入れ、事故が起きたときの責任の所在をはっきりさせること、生徒と指導者がけがを補償する保険と個人賠償責任保険に入ることを求めています。

社員を指導者として出す場合は、会社の業務として行うのか、個人の活動として行うのかで、事故のときの扱いが変わります。施設を貸す場合は、施設の管理者としての責任も生じます。保険の選び方は、企業向けスポーツ保険の比較の記事が参考になります。

(参考)部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(令和7年12月) – 文部科学省

Q. 子ども向けのスポーツに協賛する前に企業は何を確かめればよいですか?

対象の年代と地域の人数の見通し、受け皿を運営する団体、参加費と費用の負担、安全管理と保険の4つです。総務省の推計では、2026年4月1日現在の0〜2歳は213万人で、12〜14歳の309万人より約3割少なくなっています。契約が終わる年の人数で考え、相手の団体が自治体の認定を受けているかどうかも確かめてください。

まとめ|少子化とスポーツは人数の見通しから考える

少子化の影響は、子どもがスポーツをする場のすべてに及んでいます。要点を振り返ります。

  • 2025年の出生数は671,236人(概数)で過去最少。0〜2歳は213万人で、12〜14歳の309万人より約3割少ない
  • 中学校の運動部員は10年で23.7%減、高校野球の硬式部員は12年続けて減少、スポーツ少年団の団員は約52.6万人になった
  • 中学校の生徒数の減少は9.4%で、部員はそれより速く減っている。減り方は競技によっても違う
  • 合同チームの増加、団の減少、全国大会の縮小が起き、国の会議は産業への影響を懸念している
  • 企業は、人と施設、大会の運営と費用、始める場づくりで関われる。先に人数の見通しと相手の団体を確かめる

子ども向けの事業や協賛を持っているなら、まず、対象にしている地域と年代の人数を、5年後の数字で書き出してみてください。そのうえで、地元の競技団体や自治体のスポーツの担当課に、合同チームや地域のクラブの状況を聞くと、自社が関われる場所が見えてきます。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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