ジョコビッチの食事法の核は、2010年に医師からグルテン過敏を指摘され、パン・チーズ・パスタを外したことです。本人は著書や取材で、この食事の見直しを「Xファクター」と表現しています。この記事では、確認できた本人発言と報道をもとに、食事メニューの具体例、試合前後の食べ方、食事本『Serve to Win』の位置づけ、取り入れる前に知っておきたい医学的な前提を整理します。
回復面の取り組みはジョコビッチのリカバリー完全メソッドで扱っています。
ジョコビッチの食事法|グルテンを外し乳製品とトマトも控える

ジョコビッチの食事法は、避けるものを決めて、自炊の食材で組み立てるのが基本です。図は、本文で根拠を示せる範囲だけを整理したものです。
Tennis.comの2022年2月18日付の記事によると、ジョコビッチは10年以上前、医師イゴール・ツェトイェヴィッチ氏にグルテン、乳製品、トマトへの軽い過敏を指摘され、パン、チーズ、パスタを避けるようになりました。両親がピザ店を営んでいたため、簡単な変更ではなかったとされています。
英紙IOLは、砂糖もできるだけ控え、野菜、豆、白身肉、魚、果物、ナッツ、種を中心にして、オーガニックを優先し、ほとんど自炊だと伝えています。食前に短い祈りをし、ゆっくり食べ、食事中にテレビやスマホを使わないという習慣も紹介されています。
(参考)IOL「The diet that saved Novak Djokovic」(2013年8月20日)
Q. ジョコビッチの食事法の基本は何ですか?
グルテンを含むパン・パスタ・チーズを避け、乳製品とトマトも控えめにし、野菜・豆・魚・白身肉などを自炊で食べる方法です。2010年に医師からグルテン過敏を指摘されたことが出発点とされています。
ジョコビッチのグルテンフリーの始まりと経過
ジョコビッチのグルテンフリーは、2010年の診断から約12か月で世界1位に届く時期と重なります。ただし、この因果は記事側の見方で、食事だけで説明できるわけではありません。経過を時系列に並べると、次のとおりです。
| 年・時期 | 出来事 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2010年 | 全豪準々決勝で敗れた後、夏にデビスカップの際、ツェトイェヴィッチ氏がグルテン過敏を指摘(パンを持つ腕の力で調べた) | IOL、Tennis.com |
| 診断の直後 | 2週間、厳格なグルテンフリーを試し「軽く、元気になり、睡眠も改善した」と報じられた | Tennis.com |
| 2週間の後 | ベーグル1個で疲労感と二日酔い様の症状が出たため、グルテンフリーに切り替えた | Tennis.com |
| 2011年 | 世界1位に到達(診断から約12か月後。記事側の見方) | IOL、Tennis.com |
| 2022年2月 | BBCのインタビューでグルテンフリーを語る | Tennis.com、Yahoo UK |
出典:Tennis.com(2022年2月18日)、IOL(2013年8月20日)、Yahoo UK(2022年2月15日)をもとに、時系列で筆者が整理。
ここで注意したいのは、診断の方法です。腕の力の変化で調べる方法は、医学的に確立した検査ではありません。また、ジョコビッチ本人がセリアック病と診断された、という公表は確認できませんでした。
ジョコビッチの食事メニュー|起床から夕食までの具体例

ジョコビッチの食事メニューは、IOLとOlympics.comに具体例が載っています。図は、その中から時間帯ごとの代表例を並べたものです。毎日この内容という意味ではなく、紹介された例です。
起床時は、IOLによると水に蜂蜜を2さじ、Olympics.comは温かいレモン水と紹介しています。朝食は、グルテンフリーのオーツ入りミューズリー(クランベリー、レーズン、種、アーモンド)や、バナナとカシューバターなどです。Olympics.comでは、続けてセロリジュースとグリーンスムージー(エンドウ、セロリ、リンゴジュース、ミント、ほうれん草、ケール)も挙がっています。
間食はクラッカーとアボカドとツナ、またはリンゴとカシューバター。昼食はミックスグリーンサラダ、辛いそばサラダ、グルテンフリーパスタとヴィーガンチーズ。夕食はレモンローストチキンとサラダ、人参と生姜のスープなどです。
(参考)Olympics.com「Novak Djokovic gluten-free diet」
Q. ジョコビッチの食事メニューを具体的に教えてください。
紹介されている例では、起床時に水と蜂蜜、朝食にグルテンフリーのミューズリーやバナナとカシューバター、間食にアボカドのクラッカー、昼にサラダ、夕食にローストチキンやサーモンなどが挙がっています。毎日同じ内容とは限りません。
ジョコビッチの試合前と試合中の食事法
ジョコビッチの試合前の食事は、低GI(血糖値が上がりにくい)の炭水化物を軸にした朝食です。英国スポーツ医学誌(BJSM)のブログで、医師バベッテ・プルイム氏が2014年7月に紹介しました。果物、ナッツ、種、穀物、キノアなどが例に挙がっています。
気合を入れたいときは、カフェイン25mg入りのパワージェルを使うことがあるとされています。国際オリンピック委員会(IOC)の合意声明では、カフェインは体重1kgあたり3〜6mgで効果が最大とされ、9mg/kg以上で副作用が増えると示されています。体重70kgなら210〜420mgが目安の範囲で、25mgはその1割前後の少量です(筆者の計算例)。
試合中については、WIREDのインタビューをScroll.inが2019年8月30日に伝え、デーツ(低GIで血糖を安定させる)を摂ると紹介しています。数値の発言はなく、直接の引用もありません。
(参考)BJSM「IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete」
Q. ジョコビッチは試合前に何を食べますか?
BJSMブログによると、低GIの炭水化物を含む朝食(果物、ナッツ、種、穀物、キノア)が例です。気合を入れたいときはカフェイン25mgのパワージェルを使うことがあるとされています。
ジョコビッチの食事本『Serve to Win』と本人発言
ジョコビッチの食事本は、自らの食事改善を書いた著書『Serve to Win』です。刊行年は資料により2013年とも2014年とも書かれており、本記事では年を断定しません。
Olympics.comが紹介した本人の言葉は、「突然Xファクターが現れた。食事の変化が、身体が本来持つ力を発揮できるようにした」(英語の発言を筆者が訳したもの)です。朝食については「その日に向けて身体に完璧に合わせた朝食。ほぼ毎日、同じ朝食」と書いています。
2022年のBBCのインタビューでは「自分の身体に関する判断の原則は、タイトルや他の何よりも重要だ」と語りました。食事の中身よりも、自分の体の反応を基準に決めるという姿勢が一貫しています。
(参考)Olympics.com「Novak Djokovic gluten-free diet」
ジョコビッチの食事とプラントベース|「vegan」の語を使わない背景
ジョコビッチの食事は、2019年ごろ「プラントベース」と語られた時期があり、本人の言い方も揺れています。2019年のウィンブルドン後には「ずっとエネルギーがあり、ビーガンのアスリートであることを誇りに思う」と話しました(Tennis365による引用)。同じ年に、「vegan」という語は誤解を招くため使わない、とも述べています。
2020年1月の全豪オープン準決勝後には、「パフォーマンス上の理由以上のもので、ライフスタイルであり、誇りだ」と、倫理面にも触れて語っています(VegNews)。魚や鶏肉を含む食事例も報じられており、一語で言い切れる食事ではありません。
Q. ジョコビッチはビーガンですか?
本人は2019年に「vegan」という語は誤解を招くため使わないと述べています。プラントベースの時期を語る一方、魚や鶏肉を含む食事例も報じられており、ビーガンと断定できる資料はありません。
ジョコビッチの食事法を取り入れる前に|グルテン除去は診断が前提
ジョコビッチの食事法を真似する前に押さえたいのは、グルテンの除去は体質に合う人のための方法だという点です。米国国立生物工学情報センター(NCBI)のStatPearlsによると、セリアック病は遺伝的素因のある人がグルテンに免疫反応を起こす自己免疫疾患で、世界人口の約1%とされ、血清検査で1.4%、生検で0.7%です。唯一の有効な治療は、グルテンの完全な除去を生涯続けることです。
MSDマニュアルは世界人口の最大約1.4%とし、日本では極めてまれと説明しています。診断がつかないままパンやパスタを一律に外すと、食事の幅と栄養の組み立てが難しくなります。体調に不安があるときは、自己判断で除去せず医療機関に相談してください。
食事全体の組み立ては、メッシの食事やコンディショニング完全ガイドも参考になります。
(参考)NCBI StatPearls「Celiac Disease」
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ジョコビッチの食事のまとめ
確認できた事実の要点は次のとおりです。
- 2010年に医師からグルテン過敏を指摘され、パン・チーズ・パスタを避けるようになりました。
- メニューは野菜・豆・魚・白身肉・ナッツ・種が中心で、ほとんど自炊と報じられています。
- 試合前の朝食は低GIの炭水化物が例で、試合中はデーツを摂ると紹介されています。
- 「vegan」の語は2019年に使わないと述べ、プラントベースの語り方は時期で揺れています。
- グルテン除去は診断が前提で、自己判断での一律な除去はおすすめできません。
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