ゴルフツーリズムとは|訪日客を呼ぶ5地域と事業者の受け入れ

ゴルフツーリズムとは|訪日客を呼ぶ5地域と事業者の受け入れ スポーツビジネス

ゴルフツーリズムとは、ゴルフのプレーに宿泊・観光・食事を組み合わせた旅行のことです。観光庁の調査では、2025年に日本でゴルフなどのスポーツをした訪日客は約1.90%で、次回の訪日でしたいと答えた人は約2.93%と、実際にした人より多くなっています。国・地域別に見ると、人数では韓国、割合では米国・オーストラリア・欧州からの客が目立ちます。

国内のゴルフ場の利用者が少しずつ減るなかで、訪日客をどう呼び込むかは、ゴルフ場だけでなく旅行会社や宿、送迎、飲食の事業者にとっても気になるテーマです。ここでは、観光庁の統計を年別・国別に並べ直した数字と、自治体・ゴルフ場運営会社の公表資料をもとに、ゴルフのインバウンド需要の大きさと、企業が関われる場面を整理します。

  1. ゴルフツーリズムとは|プレーと滞在を組み合わせて地域でお金を回す旅
    1. 国はゴルフを訪日客を呼ぶスポーツの1つに挙げている
    2. 協会と地域の団体が受け入れの知恵を広げている
  2. ゴルフのインバウンド需要の推移|訪日客の1.90%がゴルフ等を体験
    1. 次回したい人は2.93%で実際にした人を上回る
    2. 2025年の人数は多く見て約78万人
  3. 国別のゴルフ インバウンド需要|人数は韓国で割合は欧米豪が高い
    1. 韓国の客は空港に近いゴルフ場に個人で来る
    2. 欧米豪の客は次回したい割合がさらに高い
  4. 日本でゴルフツーリズムに取り組む地域|北海道・栃木・三重・神戸・沖縄
    1. 北海道は2010年から協会が海外の商談会に出ている
    2. 栃木県は滞在を延ばすためにゴルフを使う
    3. 三重県はタイと覚書を結んで相互に行き来する
    4. 神戸は日本ゴルフ発祥の地として兵庫のゴルフ場を束ねる
    5. 沖縄はスポーツ観光の中でゴルフを発信する
  5. ゴルフツーリズムで企業が担える役割|ゴルフ場・旅行会社・宿泊・送迎
    1. ゴルフ場は多言語の予約と貸しクラブで選ばれる
    2. 旅行会社は自治体の補助を使ってゴルフツアーを組める
    3. 宿泊・送迎・飲食は空港からの動線で選ばれる
    4. 海外の取引先を招くゴルフは交際費として扱う
    5. ゴルフツーリズムの仕事は手配・多言語対応・海外営業
  6. ゴルフツーリズムを始める手順|学ぶ・つなぐ・売り込む・受け入れる
    1. 現状を知って地域でつながる
    2. 海外へ売り込んで商品にして受け入れる
  7. ゴルフツーリズムのまとめ

ゴルフツーリズムとは|プレーと滞在を組み合わせて地域でお金を回す旅

ゴルフツーリズムは、ゴルフを目当てに来た旅行者に、宿泊や観光、食事まで楽しんでもらう旅の形です。国の観光立国推進基本計画では、ゴルフやスキー、武道などを好む訪日客の来訪を、スポーツツーリズムで後押しするとしています。

国はゴルフを訪日客を呼ぶスポーツの1つに挙げている

観光庁はスポーツツーリズムの推進として、スポーツの参加や観戦を目的にした地域への訪問を広げ、ゴルフ、スキー、トレッキング、武道など、スポーツへの関心が高い訪日客の来訪を促すとしています。ゴルフは、国の計画の中で名前を挙げて示された競技の1つです。

三重県はゴルフツーリズムを、ゴルフをテーマにしながら外国人富裕層に地域の魅力を伝え、観光振興や地域活性化につなげることを本来の目的とする地域プロモーションと説明しています。プレー料金だけで終わらせず、宿や食、観光地まで地域の中で使ってもらうことが前提になっています。

スポーツツーリズム全体の事例はスポーツツーリズムの成功事例で紹介しています。

(参考)スポーツツーリズムの推進(観光立国推進基本計画) – 観光庁

(参考)タイとのフレンドリーゴルフコンペの参加者を募集します(2017年4月6日) – 三重県

協会と地域の団体が受け入れの知恵を広げている

全国でゴルフツーリズムを広めている団体に、一般社団法人日本ゴルフツーリズム推進協会があります。2021年のスポーツ庁の会議資料では日本スポーツツーリズム推進機構の会員として載っており、2025年8月に栃木県が開いたインバウンドゴルファー誘客セミナーでは同協会の専務理事が講師を務めました。セミナーでは、北海道などの誘客の事例や、国際的な組織・商談会、受け入れの課題と対策が取り上げられています。

検索すると「ゴルフツーリズムジャパン」という名前も出てきますが、これは訪日客のゴルフ誘客の支援をうたう民間の事業者の名前で、協会とは別の組織です。相談や問い合わせをするときは、協会・地域の団体・民間の会社のどれに当たるのかを先に確かめておくと、話が早く進みます。

あわせて読みたいスポーツツーリズムとは|主要10社と合宿誘致の仕組み›

(参考)栃木県インバウンドゴルファー誘客セミナーの開催について – 栃木県

(参考)日本スポーツツーリズム推進機構の事業と今後の地域スポーツ振興組織について – スポーツ庁

Q. ゴルフツーリズムとは何ですか?

ゴルフツーリズムとは、ゴルフのプレーと宿泊・観光・食事を組み合わせた旅行のことです。三重県は、ゴルフをテーマにしながら外国人富裕層に地域の魅力を伝え、観光振興や地域活性化につなげる地域プロモーションと説明しています。ゴルフ場だけでなく、宿や送迎、飲食までを含めて地域でお金が回る点が、単なるゴルフ旅行との違いです。

ゴルフのインバウンド需要の推移|訪日客の1.90%がゴルフ等を体験

日本滞在中に「その他スポーツ(ゴルフ等)」をした訪日客の割合は、2019年の1.51%から2025年の1.90%に上がりました。観光庁のインバウンド消費動向調査の集計表から、ゴルフにかかわる項目を年ごとに並べると次のとおりです。

年 今回したこと(ゴルフ等) した人のうち満足 次回したいこと(ゴルフ等) ゴルフ場への支払いがあった人 支払った人の平均額
2019年 1.51% 94.3% ― ゴルフ場 0.27% 約1万9,651円
2024年 1.89% 91.7% 2.36% ゴルフ場・スポーツ施設利用料 0.66% 約2万4,032円
2025年 1.90% 94.8% 2.93% ゴルフ場・スポーツ施設利用料 0.65% 約1万7,663円

出典:観光庁「インバウンド消費動向調査」(2023年以前は「訪日外国人消費動向調査」)各年暦年の集計表(参考3・表2-1、全国籍・地域)をもとに Human Soar 作成。「今回したこと」「次回したいこと」の項目名は「その他スポーツ(ゴルフ等)」で、ゴルフ以外のスポーツも含む。2019年の「次回したいこと」は項目名が「その他スポーツ」で異なるため載せていない。支払いの項目は2019年が「ゴルフ場」、2024年以降は「ゴルフ場・スポーツ施設利用料」で対象が異なる

この調査の「ゴルフ等」はゴルフ以外のスポーツも含むので、ゴルフだけの割合ではありません。それでも同じ項目を同じ方法で数えた数字なので、増えたか減ったかという流れを見るには使えます。

(参考)インバウンド消費動向調査(各年の集計表) – 観光庁

次回したい人は2.93%で実際にした人を上回る

2025年に「次回の訪日でゴルフ等をしたい」と答えた人は2.93%で、今回実際にした1.90%を約1.0ポイント上回りました。2024年も2.36%と1.89%で、したい人のほうが多い状態が続いています。次の訪日でゴルフを考えている人が、実際にした人より多いということです。

した人の満足度も高く、2025年は94.8%が満足したと答えています。来た人の満足度が高く、次に来たい人も多いので、受け入れる側にとっては、関心を持つ人に予約や移動の情報を届けられるかどうかが分かれ目になります。

(参考)インバウンド消費動向調査(2024年・2025年暦年の集計表) – 観光庁

2025年の人数は多く見て約78万人

2025年の一般客(クルーズ客を除く訪日客)は4,113万5,081人でした。これに「ゴルフ等」をした人の割合1.90%を掛けると、約78万人になります。ゴルフ以外のスポーツも含むので、ゴルフをした訪日客の数としては多めに見た上限の目安です。

お金の面では、ゴルフ場やスポーツ施設に支払いがあった人は2025年に0.65%で、その人たちの平均の支払額は約1万7,663円でした。ツアー代金にプレー料金が含まれている人はこの数字に入らないため、実際にゴルフ場に落ちたお金はこれより大きい可能性があります。

国内の利用者数や売上の推移と見比べたいときは、ゴルフの市場規模と推移が参考になります。

(参考)インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(確報)の概要 – 観光庁

Q. 訪日外国人でゴルフをする人はどれくらいいますか?

観光庁の調査では、2025年に日本滞在中に「その他スポーツ(ゴルフ等)」をした訪日客は約1.90%でした。2025年の一般客約4,114万人に掛けると約78万人になりますが、ゴルフ以外のスポーツも含む数字なので上限の目安として扱います。次回の訪日でしたいと答えた人は約2.93%で、実際にした人を上回っています。

国別のゴルフ インバウンド需要|人数は韓国で割合は欧米豪が高い

2025年に「ゴルフ等」をした訪日客を国・地域別に計算すると、人数がいちばん多いのは韓国で約23.8万人でした。割合で見ると、フランス5.70%、オーストラリア4.32%、英国3.30%、米国3.08%と、欧米豪からの客が高くなっています。

国・地域 2025年の訪日客数(一般客) 今回したこと(ゴルフ等) 次回したいこと(ゴルフ等) 計算した人数の目安
韓国 942万144人 2.53% 3.22% 約23.8万人
米国 329万1,885人 3.08% 4.46% 約10.1万人
中国 800万5,441人 0.85% 1.08% 約6.8万人
香港 248万1,393人 1.85% 2.25% 約4.6万人
オーストラリア 105万1,815人 4.32% 6.92% 約4.5万人
台湾 648万4,286人 0.57% 1.51% 約3.7万人
フランス 45万5,975人 5.70% 4.86% 約2.6万人
英国 53万238人 3.30% 5.06% 約1.7万人

出典:観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年暦年の集計表(参考3)、同「2025年暦年の調査結果(確報)の概要」をもとに Human Soar 作成。人数の目安は訪日客数に実施率を掛けた計算値で、ゴルフ以外のスポーツも含む。回答数が少ない国・地域(フランス30人、英国19人など)は数字が振れやすい

欧米豪は訪日客の数そのものは韓国より少ないものの、1人あたりの旅行支出が大きく、2025年は英国39万1,320円、フランス35万9,869円、オーストラリア38万6,512円でした。韓国の10万5,058円と比べると3倍以上です。ゴルフをする客の数を取りに行くのか、滞在の長い客を取りに行くのかで、組む商品は変わってきます。

(参考)インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(確報)の概要 – 観光庁

韓国の客は空港に近いゴルフ場に個人で来る

国内最多の施設を運営するアコーディア・ゴルフは2024年5月、空港や観光地に近いゴルフ場を中心に外国人のプレーが増えており、特に韓国からの客が多いと発表しました。訪日韓国人の大多数が個人旅行であることを踏まえ、北海道、東京(成田)、関西、九州、沖縄の空港から行きやすい21コースを載せた韓国語の特設サイトを開いています。

パシフィックゴルフマネージメントも2025年8月に韓国語サイトを開き、2024年度の外国人来場者数が前年比150%増で過去最高になり、その9割以上が韓国からの客だったと公表しています。両社とも、韓国国内のプレー料金の高さや、週末に往復できる近さ、ゴルフ場の周りの温泉を、日本が選ばれる理由に挙げています。

(参考)韓国ゴルファー向けにアコーディア・ゴルフの魅力を発信 韓国語特設サイトを開設 – 株式会社アコーディア・ゴルフ

(参考)韓国ゴルファー向けに韓国語特設サイトを開設! – パシフィックゴルフマネージメント株式会社

欧米豪の客は次回したい割合がさらに高い

オーストラリアは次回したい人が6.92%、英国は5.06%、米国は4.46%で、いずれも今回実際にした人の割合より高くなっています。日本でのゴルフに関心を持つ人が、実際にプレーした人より多い国です。

こうした国の客には、観光の旅程の中にゴルフを1日入れてもらう提案が考えられます。観戦の需要を国別に見た訪日客のスポーツ観戦の国籍別データとあわせて読むと、スポーツ全体での狙い方が見えてきます。

(参考)インバウンド消費動向調査(2025年暦年の集計表) – 観光庁

Q. 韓国からのゴルフ客が多いのはなぜですか?

近さと料金が大きな理由です。アコーディア・ゴルフとパシフィックゴルフマネージメントは、韓国国内の料金の高さや、週末を使って日本と往復できる近さ、ゴルフ場の周りに温泉地が多いことを挙げています。パシフィックゴルフマネージメントでは、2024年度の外国人来場者の9割以上が韓国からの客でした。

日本でゴルフツーリズムに取り組む地域|北海道・栃木・三重・神戸・沖縄

ゴルフツーリズムを地域ぐるみで進めているところは、自治体の事業として取り組む県と、ゴルフ場や観光の団体が中心になる地域に分かれます。公表資料で取り組みを確かめられた地域を並べると次のとおりです。

地域 中心になっている組織 主な取り組み
北海道 北海道ゴルフ観光協会(2010年4月設立) アジア・ヨーロッパ・アメリカのゴルフツーリズム商談会に出展し、受け入れ体制を整備
栃木県 栃木県 観光交流課 ゴルフツーリズム受入体制整備等事業、訪日旅行商品のゴルフ補助
三重県 三重県、みえゴルフツーリズム推進機構 タイ・パタヤの東海岸ゴルフコース協会と2016年に覚書を結び、相互訪問のゴルフツアー
兵庫県・神戸市 神戸・兵庫ゴルフツーリズム協議会(神戸観光局) 「日本ゴルフ発祥の地」神戸と三木市・市川町が連携した発信
沖縄県 沖縄観光コンベンションビューロー スポーツ観光の誘客事業で、ゴルフを含むスポーツ旅の情報を発信

出典:スポーツ庁、栃木県、三重県、三木市(神戸・兵庫ゴルフツーリズム協議会の記者資料)、沖縄観光コンベンションビューローの公表資料をもとに Human Soar 作成

北海道は2010年から協会が海外の商談会に出ている

北海道ゴルフ観光協会は2010年4月に設立され、ゴルフ場、ゴルフ関連の事業、宿泊業、旅行業、大学などで構成されています。スポーツ庁の資料では、日本で初めて設立された地域発のゴルフツーリズムの推進団体と紹介されています。

主な取り組みは、アジア・ヨーロッパ・アメリカのゴルフツーリズムの商談会への出展と、訪日ゴルファーを受け入れる体制づくりです。受け入れの普及・啓発も行っています。

(参考)一般社団法人北海道ゴルフ観光協会(地域スポーツコミッションの紹介資料) – スポーツ庁

栃木県は滞在を延ばすためにゴルフを使う

栃木県は、県を訪れる訪日客の滞在時間を延ばすために「ゴルフツーリズム受入体制整備等事業」を行っています。2025年8月には県内のゴルフ場や宿泊・交通・観光施設の事業者、市町の担当部署に向けたセミナーを開き、2026年7月にも講演会とワークショップの開催を発表しています。

あわせて、県内のゴルフ場を使う訪日ツアーへの補助も設けています。補助の中身は後のセクションで詳しく見ます。

(参考)インバウンドゴルフツーリズム推進に向けた講演会・ワークショップを開催します – 栃木県

三重県はタイと覚書を結んで相互に行き来する

三重県は2016年2月2日、タイ・パタヤの東海岸ゴルフコース協会とゴルフツーリズムの地域間連携の覚書を結びました。タイのゴルフ場関係者が三重県を訪れて地元のゴルファーとコンペをし、三重県からもパタヤへ行く相互訪問を続けています。

2024年9月には、一般社団法人みえゴルフツーリズム推進機構が企画した5日間のパタヤへのゴルフツアーが募集されました。来てもらうだけでなく、こちらからも行く関係をつくっている点が特徴です。

(参考)2024フレンドリーゴルフツアー in パタヤ 参加者募集中です – 三重県

神戸は日本ゴルフ発祥の地として兵庫のゴルフ場を束ねる

「ゴルフツーリズム 神戸」で調べられているのは、神戸・兵庫ゴルフツーリズム協議会の動きです。協議会の記者資料によると、兵庫県には国内2位の160のゴルフ場があり、そのうち100ほどが神戸の市街地から車で1時間圏内にあります(神戸市内18、三木市内25)。

協議会と神戸観光局は、日本ゴルフ発祥の地の「神戸」、全国の市町村で2番目に多い25のゴルフ場がある「三木市」、国産アイアン発祥の地の「市川町」と組み、ゴルフ体験のイベントなどで地域のゴルフの魅力を発信しています。

(参考)ひょうご1dayゴルフパーク in 神戸ハーバーランドumie(記者資料提供、2024年1月31日) – 神戸・兵庫ゴルフツーリズム協議会(三木市掲載)

(参考)「ひょうご1dayゴルフパーク in 神戸ハーバーランドumie」を開催(2023年2月7日) – 三木市

沖縄はスポーツ観光の中でゴルフを発信する

沖縄観光コンベンションビューローは「スポーツ観光戦略的誘客促進事業」で、年間を通して温暖な気候を生かし、サイクリングやゴルフ、スポーツ観戦などのスポーツ旅の情報を発信しています。ゴルフを単独で売るのではなく、ほかのスポーツと並べて「スポーツアイランド沖縄」として見せている点が、ほかの地域との違いです。

(参考)事業概要2026 – 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー

ゴルフツーリズムで企業が担える役割|ゴルフ場・旅行会社・宿泊・送迎

ゴルフツーリズムで訪日ゴルファーにサービスを渡し、代金を受け取る事業者(ゴルフ場・旅行会社・宿泊施設・送迎・飲食と温泉・自治体)の関係図

訪日ゴルファー1人の旅には、ゴルフ場だけでなく、ツアーを組む旅行会社、宿泊施設、空港からの送迎、食事や温泉の事業者が関わります。ゴルファーはそれぞれにプレー代や旅行代金、宿泊代、運賃、飲食代を支払います。自治体は情報の発信(PR)や補助で後押しし、地域での消費や滞在の長期化を受け取る立場です。それぞれが何を用意すればよいかを、公表されている事例から見ていきます。

ゴルフ場は多言語の予約と貸しクラブで選ばれる

アコーディア・ゴルフは、韓国からの客に選ばれている理由として、利用しやすい価格帯と充実したレンタルクラブを挙げています。これまで場内の韓国語表記を増やし、団体旅行の誘致にも取り組んできたうえで、個人客が直接予約できる韓国語サイトを開きました。

クラブを持たずに来られること、自分の言葉で予約まで済ませられることが、個人で来る客にとっての入り口になります。運営会社ごとの規模や再編の動きは、次の記事で比べています。

あわせて読みたいゴルフ場業界の再編とは|主要10社と企業活用法›

(参考)韓国ゴルファー向けにアコーディア・ゴルフの魅力を発信 韓国語特設サイトを開設 – 株式会社アコーディア・ゴルフ

旅行会社は自治体の補助を使ってゴルフツアーを組める

栃木県は2026年度、訪日旅行を扱う旅行業者・旅行業者代理業者・旅行サービス手配業者(国内に営業所のある事業者)に向けて、ツアーの造成や販売の経費を補助しています。ゴルフ補助の条件は、県内のゴルフ場を2か所以上使うこと、ゴルフ場以外の有料観光施設を県内の2エリア以上で使うこと、県内に1泊以上すること、参加者が6人以上で1人あたりの利用料金が平均4万円以上(税込)であることです。

補助額は参加者1人あたり8,000円で、1ツアー80万円、1社300万円が上限です。たとえば20人のツアーなら16万円になります。ゴルフだけで帰らず、県内を回って泊まってもらうことが条件に組み込まれており、ゴルフを地域の消費につなげる設計になっています。

(参考)「令和8(2026)年度栃木県訪日旅行商品造成支援事業」の実施について – 栃木県

宿泊・送迎・飲食は空港からの動線で選ばれる

アコーディア・ゴルフもパシフィックゴルフマネージメントも、韓国語サイトでは空港から行きやすいゴルフ場を選んで載せ、近くのグルメや温泉地、観光名所までの距離も示して「ゴルフ+グルメ+温泉」の回遊を促しています。客はゴルフ場単体ではなく、空港から宿、食事までをひとつながりで見て行き先を選んでいます。

そのため宿泊施設や送迎の事業者は、近くのゴルフ場と組んで、プレーの日の朝の送り出しや荷物の運び方まで含めた案内を用意しておくと選ばれやすくなります。三重県からパタヤへ行く2024年のツアーも、プレー代・航空券・宿泊・送迎をまとめた代金で募集され、申し込み先は地元の交通会社の旅行支店でした。

(参考)韓国ゴルファー向けに韓国語特設サイトを開設! – パシフィックゴルフマネージメント株式会社

海外の取引先を招くゴルフは交際費として扱う

国内の接待ゴルフと同じように、海外の取引先を日本に招いてゴルフでもてなす使い方もあります。国税庁は交際費等を、得意先や仕入先など事業に関係のある者に対する接待や供応などのための支出と定めており、この定義に国内か海外かの区別は書かれていません。

接待にかかったプレー代や宿泊代がどこまで交際費になるかは、招く相手や費用の中身によって変わるので、顧問の税理士に確認してください。ゴルフの費用全般の扱いはゴルフの費用と福利厚生費・交際費の扱いにまとめています。

(参考)No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算 – 国税庁

ゴルフツーリズムの仕事は手配・多言語対応・海外営業

ゴルフツーリズムの求人を探すときは、どの立場の仕事かを分けて考えると見通しが立ちます。ここまでの事例から見えるのは、旅行会社でのツアーの造成と手配、ゴルフ場での外国語による予約対応や場内表記、協会や自治体側での海外の商談会への出展や受け入れの調整といった仕事です。

どの仕事でも、ゴルフの知識と外国語、地域の宿や交通とのつなぎ役が求められます。スポーツ業界全体で人材や収益の課題がどう語られているかは日本スポーツ業界の課題で整理しています。

(参考)一般社団法人北海道ゴルフ観光協会(地域スポーツコミッションの紹介資料) – スポーツ庁

Q. ゴルフツーリズムに使える補助金はありますか?

自治体が旅行会社向けの補助を用意している例があります。栃木県は2026年度、県内のゴルフ場を2か所以上使う訪日ツアーに、参加者1人あたり8,000円(1ツアー80万円まで)を補助しています。対象は国内に営業所のある旅行業者などで、募集の条件や期間は年度ごとに変わるため、各自治体の最新の案内で確かめてください。

ゴルフツーリズムを始める手順|学ぶ・つなぐ・売り込む・受け入れる

ゴルフツーリズムを始める手順を、現状を知る・地域でつながる・海外へ売り込む・商品にする・受け入れるの5段階で示した図

地域や事業者がゴルフツーリズムに取り組むときは、現状を知る、地域でつながる、海外へ売り込む、商品にする、受け入れるの順に進めると無理がありません。どの段階も、ここまで見てきた地域や会社がすでに取り組んでいることです。

現状を知って地域でつながる

最初は情報集めです。栃木県のセミナーのように、国内の誘客の事例や海外の商談会の仕組みを学ぶ場があります。次に、ゴルフ場だけでなく宿泊・交通・観光施設の事業者と自治体がつながる場をつくります。神戸・兵庫ゴルフツーリズム協議会や、栃木県が2026年7月の開催を発表したワークショップがその例です。

ゴルフ場が1か所で海外に売り込むより、地域のゴルフ場や宿をまとめて見せたほうが、海外の旅行会社にとって商品にしやすくなります。

(参考)栃木県インバウンドゴルファー誘客セミナーの開催について – 栃木県

海外へ売り込んで商品にして受け入れる

地域の形が整ったら、北海道ゴルフ観光協会のように海外の商談会に出たり、三重県のように海外のゴルフ場関係者と行き来したりして、相手に知ってもらいます。そのうえで旅行会社がツアーを組むときに、栃木県のような補助が使えるかを確かめます。

最後が受け入れです。多言語の予約や貸しクラブ、空港からの移動の案内など、アコーディア・ゴルフやパシフィックゴルフマネージメントが整えてきた点が、個人で来る客を迎えるときの目安になります。

(参考)タイとのフレンドリーゴルフコンペの参加者を募集します(2017年4月6日) – 三重県

ゴルフツーリズムのまとめ

ゴルフツーリズムは、プレーと滞在を組み合わせて地域でお金を回す旅で、訪日客の需要はまだ伸びしろがあります。出典は本文の各セクションに記載しています。

  • 2025年に日本でゴルフ等をした訪日客は1.90%で、次回したい人は2.93%と実際にした人を上回る
  • 人数で多いのは韓国、割合で高いのは米国・オーストラリア・欧州で、狙う客によって商品の組み方が変わる
  • 北海道・栃木・三重・神戸(兵庫)・沖縄などで、協会や自治体が受け入れと海外への売り込みを進めている
  • ゴルフ場は多言語の予約と貸しクラブ、旅行会社は自治体の補助、宿泊・送迎は空港からの動線が鍵になる
  • 始めるときは、学ぶ・地域でつながる・売り込む・商品にする・受け入れるの順に進める

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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