スポーツコミッションとは|全国211団体の財源と企業の組み方

スポーツコミッションとは|全国211団体の財源と企業の組み方 スポーツビジネス

スポーツコミッション(地域スポーツコミッション)とは、自治体とスポーツ団体、民間企業が一体となって、合宿や大会の誘致を通じて地域を活性化する常設の組織です。スポーツ庁が確認した数は2025年10月時点で全国211団体にのぼります。

一方で、2025年度の基礎調査では、自治体の中に事務局がある団体の8割近くが自治体の一般財源を最大の収入源にしています。同じ団体のうち、民間企業からの協賛金を収入源の1つに挙げたのは約1割でした。この記事では、スポーツ庁の定義と要件、207団体の都道府県別の分布、事業と予算の実態、補助金、そして企業がコミッションと組むときの窓口と役割を、公表資料の数字で整理します。

  1. スポーツコミッションとは|スポーツ庁が定める4つの要件
    1. 一体組織の要件|自治体と競技団体と企業が一緒に動く
    2. 常設組織の要件|時限の組織ではないこと
    3. 域外交流の要件|合宿や大会で地域の外から人を呼ぶ
    4. 通年活動の要件|単発のイベントに限らず1年を通して動く
  2. スポーツコミッションの数と一覧|207団体の都道府県別の分布
    1. 設置数は第2期計画の目標170を2021年に超えた
    2. 名前に「コミッション」が付くのは207団体中86
    3. 東京・静岡・仙台・水俣のスポーツコミッション
  3. スポーツコミッションの事業と役割|合宿誘致が6割を超える
    1. 基礎自治体のコミッションは合宿と大会で人を呼ぶ
    2. 都道府県のコミッションはプロクラブと市町村をつなぐ
  4. スポーツコミッションの予算と財源|協賛金を収入源に挙げるのは約1割
    1. 自治体に事務局がある団体は一般財源が支える
    2. 自治体の外に事務局がある団体は自主事業と会費も持つ
    3. 持続的な経営の課題は財源不足が55.4%
  5. スポーツコミッションの補助金|スポーツ庁の多角化支援は定額補助
    1. 補助を申請するのは自治体で金額は定額
    2. 国の補助のほかに使われている財源
  6. 企業がスポーツコミッションと組む方法|窓口は自治体のスポーツ担当課
    1. 宿泊・飲食の事業者は観戦客と合宿客を受け入れる
    2. 地元の企業は協賛金と会費で財源を支える
    3. 社員は出向やボランティアで人手になる
    4. 地域おこし協力隊はコミッションの担い手にもなる
  7. スポーツコミッションのまとめ

スポーツコミッションとは|スポーツ庁が定める4つの要件

スポーツ庁は、地域スポーツコミッションを「地方公共団体、スポーツ団体、民間企業等が一体となり、スポーツによるまちづくり・地域活性化を推進していく組織の総称」と定め、組織の要件2つと活動の要件2つの計4つを備えるものとしています。要件を備えていれば、名称に「地域スポーツコミッション」を使っていなくてもかまいません。

大会の誘致、合宿やキャンプの受け入れ、スポーツと観光を組み合わせたスポーツツーリズムなどを、地域の側でまとめて進めるのが役割です。スポーツ庁は2015年度(平成27年度)からコミッションへの支援事業を続けています。スポーツを地域課題の解決にどう使うかの全体像はスポーツで解決できる企業・社会の課題にまとめています。

一体組織の要件|自治体と競技団体と企業が一緒に動く

1つ目は、地方公共団体、スポーツ団体(体育協会、総合型地域スポーツクラブなど)、民間企業(観光協会、商工団体、大学、観光産業、スポーツ産業など)が一体として活動していることです。1つの組織になっている場合も、複数の組織が協働している場合も含まれます。定義の段階から民間企業が構成員に数えられている点が、企業にとっての前提になります。

常設組織の要件|時限の組織ではないこと

2つ目は、時限の組織ではなく常設の組織であることです。構成員が常勤か兼務かは問われません。期間を区切らずに活動を続けることが前提で、組織の名前が協議会や実行委員会でも、常設であれば対象になります。

域外交流の要件|合宿や大会で地域の外から人を呼ぶ

3つ目は、スポーツツーリズムの推進やスポーツ合宿・キャンプの誘致など、地域の外との交流人口を増やす活動を主な事業の1つにしていることです。スポーツと景観・環境・文化などの地域資源を掛け合わせることが求められています。

通年活動の要件|単発のイベントに限らず1年を通して動く

4つ目は、単発の大会・イベントとその付帯事業に特化せず、スポーツによる地域の活性化に向けた幅広い活動を年間を通じて行っていることです。1つの大会を開くためだけの組織ではなく、合宿の受け入れや大会の誘致などを1年を通じて続ける組織が想定されています。

(参考)【担い手】「地域スポーツコミッション」の設立・活動の支援 – スポーツ庁

Q. スポーツコミッションとは何ですか?

自治体、スポーツ団体、民間企業などが一体となって、スポーツによるまちづくりや地域の活性化を進める常設の組織です。スポーツ庁は、一体で活動していること、常設であること、合宿誘致などで域外から人を呼ぶ活動を主な事業にしていること、年間を通じて幅広く活動していることの4つを要件にしています。要件を満たしていれば、名前に「コミッション」が付いていなくてもかまいません。

スポーツコミッションの数と一覧|207団体の都道府県別の分布

スポーツ庁の一覧表(令和6年10月時点)に載っている207団体を都道府県ごとに数えると、九州・沖縄が48団体、中部が47団体と多く、群馬県と香川県は0団体でした。地方別の団体数は次の表のとおりです。

地方 団体数 多い都道府県(団体数) 0団体の都道府県
北海道 22団体 北海道(22) —
東北 26団体 秋田県(6)、福島県(6)、岩手県(5) —
関東 19団体 千葉県(6)、栃木県(4)、茨城県(3) 群馬県
中部 47団体 静岡県(13)、長野県(9)、愛知県(8) —
近畿 24団体 大阪府(6)、兵庫県(6)、三重県(4) —
中国 15団体 岡山県(5)、山口県(4)、広島県(3) —
四国 6団体 徳島県(3) 香川県
九州・沖縄 48団体 鹿児島県(14)、宮崎県(9)、熊本県(8) —

出典:スポーツ庁「地域スポーツコミッション一覧表(日本地図)令和6年10月時点」に掲載された207団体を都道府県別に数えて Human Soar 作成。三重県は近畿に含めた。「多い都道府県」は3団体以上の都道府県を最大3つまで表示

都道府県で最も多いのは北海道の22団体で、そのうち12団体は名称に「合宿」か「キャンプ」が入っています。鹿児島県(14団体)、静岡県(13団体)、宮崎県(9団体)、長野県(9団体)が続きます。鹿児島県でも14団体のうち5団体が、名称に「合宿」「キャンプ」「誘致」のいずれかを含んでいます。

(参考)地域スポーツコミッション一覧表(日本地図)令和6年10月時点 – スポーツ庁

設置数は第2期計画の目標170を2021年に超えた

地域スポーツコミッションの数は、2016年度の56団体から、2021年10月に177団体、2024年10月に207団体と増え、2025年10月時点では211団体が活動しています。第2期スポーツ基本計画は2021年度末までに170団体という目標を掲げていましたが、2021年10月の時点でこれを超えました。

2022年3月に策定された第3期スポーツ基本計画では、数を増やすことから「質の向上」へと方針が変わりました。国は、地域から求められる役割を果たし、経営の安定性を高める活動と、経営の基盤になる人材の育成・確保を進めるとしています。

(参考)地域スポーツコミッション一覧表(日本地図)令和6年10月時点 – スポーツ庁

(参考)令和7年度 地域スポーツコミッションの今後の方向性に関する最終レポート(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

名前に「コミッション」が付くのは207団体中86

一覧表の207団体のうち、名称に「コミッション」を含むのは86団体(約42%)でした。残りは「スポーツ合宿誘致推進協議会」「実行委員会」「観光協会」「スポーツ協会」といった名前で活動しています。たとえば「一般社団法人 北海道ゴルフ観光協会」や「一般社団法人みえゴルフツーリズム推進機構」も一覧に入っています。

そのため、地元にコミッションがあるかを名前の検索だけで探すと見落とします。スポーツ庁の一覧表か、事業規模や活動内容から絞り込める地域スポーツコミッションデータベースで、都道府県名から確かめるのが確実です。ゴルフを軸にした受け入れの例はゴルフツーリズムの受け入れ地域で紹介しています。

(参考)地域スポーツコミッションデータベース – スポーツ庁

東京・静岡・仙台・水俣のスポーツコミッション

検索の多い地域を一覧表で見ると、東京都は「一般社団法人 おおたスポーツコミッション」と「ラグビーのまち府中推進委員会」の2団体です。2024年度の基礎調査の時点では、東京都と北海道には都道府県単位のコミッションがありませんでした。

静岡県は13団体と全国で3番目に多く、県のスポーツ局が運営する「スポーツコミッションShizuoka」が、県内のスポーツ施設や競技団体、宿泊施設などと連携してスポーツイベントや合宿の開催を支えています。宮城県の「スポーツコミッションせんだい」、熊本県の「スポーツコミッションみなまた」も一覧に載っている団体です。熊本県には水俣市を含めて8団体があります。

(参考)静岡県のスポーツ合宿施設(スポーツコミッションShizuoka) – 静岡県 スポーツ局

(参考)令和7年度 地域スポーツコミッションの今後の方向性に関する最終レポート(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

Q. スポーツコミッションは全国にいくつありますか?

スポーツ庁が確認した地域スポーツコミッションは、2025年10月時点で211団体です。2016年度の56団体から増え、第2期スポーツ基本計画が掲げた170の目標は2021年10月の177団体で超えました。都道府県別の一覧は、スポーツ庁が公表している一覧表(令和6年10月時点・207団体)とデータベースで確かめられます。

スポーツコミッションの事業と役割|合宿誘致が6割を超える

スポーツコミッションの事業を、合宿や大会で域外から人を呼ぶ事業、プロクラブや観光事業者とつなぐ事業、住民に向けた事業の3つに分けた図

2025年度の基礎調査で最も多い事業は「スポーツ合宿・キャンプの誘致」で、基礎自治体単位のコミッションの64.0%、都道府県単位の69.6%が実施しています。事業は、域外から人を呼ぶもの、地域の団体どうしをつなぐもの、住民に向けたものの3つに分けると、コミッションごとの違いが読みやすくなります。スポーツ庁が掲載した報告書も、域外に向けた事業をアウター事業、住民に向けた事業をインナー事業と呼んで分けています。

(参考)令和7年度 地域スポーツコミッションの今後の方向性に関する最終レポート(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

基礎自治体のコミッションは合宿と大会で人を呼ぶ

市町村などの単位で活動する基礎自治体のコミッション(150団体が回答)では、合宿・キャンプの誘致に続いて、自主スポーツ大会・イベントの企画・実施が56.0%、既存の大会・イベントの誘致が52.0%、大会・合宿・キャンプへの補助制度の運営が34.7%でした。住民向けの健康づくり事業は15.3%、障害者スポーツ事業は10.7%、スポーツ施設の運営(指定管理者を含む)は9.3%です。

中心にあるのは、外から来た選手や参加者に泊まってもらい、食べてもらう事業です。合宿誘致の進め方と、それを支える旅行会社などの顔ぶれはスポーツツーリズムと合宿誘致の仕組みで解説しています。

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

都道府県のコミッションはプロクラブと市町村をつなぐ

都道府県単位のコミッション(23団体が回答)では、プロスポーツクラブとの連携が56.5%、都道府県下の市町村の施設の紹介が52.2%、市町村の補助制度の紹介が43.5%、スポーツ関連セミナー・研修の企画・運営が47.8%と、基礎自治体のコミッションより高くなっています。DMOや観光事業者との連携は、都道府県で26.1%、基礎自治体で19.3%でした。県内の市町村をまとめて外に売り込み、プロクラブの集客力を使う役回りです。

過去3年間に連携した相手を見ると、全体(173団体)では競技団体・スポーツ協会が57.2%で最も多く、観光関連事業者・団体が38.7%、プロスポーツチームが37.6%、宿泊関連事業者・団体と教育機関がそれぞれ36.4%、商工・経済関連の事業者・団体が34.7%、交通事業者が17.3%でした。連携実績が「特にない」団体も24.3%あります。

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(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

スポーツコミッションの予算と財源|協賛金を収入源に挙げるのは約1割

2025年度の予算の中央値は、自治体の中に事務局がある基礎自治体のコミッションで約508万円、都道府県のコミッションで約4,009万円でした。事務局が自治体の中か外か、市町村単位か都道府県単位かで、予算の規模と最大の収入源は次のように分かれます。

事務局と単位 予算の平均 予算の中央値 最も大きな収入源で最多のもの
自治体の中・基礎自治体(99団体) 約1,918万円 約508万円 自治体の一般財源(76.7%)
自治体の中・都道府県(18団体) 約9,453万円 約4,009万円 自治体の一般財源(83.3%)
自治体の外・基礎自治体(52団体) 約6,959万円 約979万円 自治体からの補助金・負担金(29.8%)
自治体の外・都道府県(5団体) 約5,168万円 3,300万円 自治体からの委託費、同じく補助金・負担金(各40.0%)

出典:日本スポーツツーリズム推進機構「地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書」(2026年3月)をもとに Human Soar 作成。予算は2025年度。最も大きな収入源の割合は、その設問に答えた団体に占める割合

平均と中央値の差が大きいのは、予算が1億円以上の団体がある一方で、200万円未満の団体も2割以上あるためです。自治体の中に事務局がある団体(117団体)では、0円が5.1%、200万円未満が25.6%でした。

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

自治体に事務局がある団体は一般財源が支える

自治体の中に事務局があるコミッション(118団体)は全体の約3分の2を占め、84.7%が自治体の一般財源を収入源に挙げています。国からの補助金・委託費は14.4%、事業収入は11.9%、会員からの会費と民間企業等からの協賛金はそれぞれ10.2%でした。

人員も自治体の職員が中心で、基礎自治体のコミッション(100団体)の人員794人のうち469人(59.1%)が自治体の正規職員です。民間企業からの出向者は42人、地域おこし協力隊は8人でした。

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

自治体の外に事務局がある団体は自主事業と会費も持つ

一般社団法人やNPO法人などが事務局を持つ基礎自治体のコミッション(53団体)では、自治体からの補助金・負担金と自主事業収入がともに37.7%、会員(企業・団体・個人など)からの会費が34.0%、施設の指定管理料が20.8%でした。民間企業等からの協賛金は5.7%です。

ただし、自主事業収入を最大の収入源とする団体は12.8%にとどまります。会費や協賛金は収入源の1つとして持っていても、運営の柱になっている団体は多くありません。全体の79.5%は法人格を持たない組織です。

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

持続的な経営の課題は財源不足が55.4%

持続的な経営に向けた課題(175団体が回答)では、財源・活動資金の不足が55.4%で最も多く、組織運営の担い手不足が42.9%、事業の担い手不足が42.3%、情報発信力やプロモーション力の弱さが38.9%、営業活動不足が28.6%と続きました。都道府県のコミッションに限ると、財源・活動資金の不足は69.6%です。

協賛金を収入源に挙げる団体が1割前後にとどまり、財源不足と営業活動不足を課題に挙げる団体が多いという2つの結果を合わせると、協賛企業を探して売り込む人手が足りていない団体が多いと考えられます。企業の側から協賛や受け入れの相談を持ちかける余地は大きいといえます。

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

Q. スポーツコミッションの財源は何ですか?

自治体の中に事務局がある団体では、最も大きな収入源が自治体の一般財源という団体が77.8%です。自治体の外に事務局がある基礎自治体単位の団体では、自治体からの補助金・負担金が29.8%で最も多く、自主事業収入を最大の収入源とする団体は12.8%にとどまります。いずれも2025年度の基礎調査の結果です。

スポーツコミッションの補助金|スポーツ庁の多角化支援は定額補助

スポーツ庁の「スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業」は、地域スポーツコミッションの経営の安定化と人材の育成・確保につながる新しい取り組みを補助する事業で、令和8年度の予算額(案)は1億2,633万2千円です。2015年度から続く支援の実績は、2025年度時点で延べ92団体にのぼります。

令和7年度に補助を受けたコミッションの取り組みと補助額は次のとおりです。人材育成や観戦客の誘客、ダンスや国際交流など、地域の資源に合わせた取り組みが選ばれています。

コミッション(自治体) 設立 令和7年度の補助額 主な取り組み
特定非営利活動法人スポーツコミッション秋田(秋田県) 2024年4月 6,642,000円 スポーツボランティアのマッチング、冬季のスノーランニング大会
スポーツコミッションせんだい(仙台市) 2014年12月 8,932,000円 スポーツマネジメント人材の育成、楽天イーグルスの観戦と宿泊を組み合わせた誘客
一般社団法人野田スポーツ・文化コミッション(千葉県野田市) 2025年3月 4,517,000円 スポーツを通じた健康なまちづくり
まつだスポーツコミッション(神奈川県松田町) 2023年3月 5,905,000円 地域資源を活用した取り組み
野沢温泉スポーツコミッション(長野県野沢温泉村) 2025年2月 9,333,000円 組織基盤の構築とコンテンツの育成
一般社団法人高知県スポーツコミッション(高知県) 2021年9月 7,154,000円 ダンスを活用した地域の活性化、スポーツ産業の基盤づくり
一般社団法人三次スポーツコミッション(広島県三次市) 2024年4月 4,847,000円 女性のスポーツ継続の推進
下関市スポーツコミッション(山口県下関市) 2016年4月 9,272,000円 クジラ文化を起点としたスポーツ国際交流

出典:スポーツ庁「令和7年度 スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業 取組一覧」をもとに Human Soar 作成

補助額は約452万円から約933万円の幅に収まっています。高知県スポーツコミッションは令和4・5年度にも各1,000万円の補助を受けており、続けて採択される団体もあります。

(参考)スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業 事業概要(令和8年度) – スポーツ庁

(参考)令和7年度 地域スポーツコミッションの今後の方向性に関する最終レポート(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

(参考)令和7年度 スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業 取組一覧 – スポーツ庁

補助を申請するのは自治体で金額は定額

令和8年度の多角化支援は定額補助で、補助金額は申請件数に応じて予算の範囲内で決まります。申請できるのは都道府県と市町村(特別区を含む)で、2026年4月1日時点でコミッションが設立されていて、自治体がその構成団体であることが条件です。令和8年度の提出期限は2026年4月24日でした。

補助の対象は、①域内の人材育成や専門性の高い外部人材の活用・登用、②協賛企業やスポンサーの獲得を目的とした情報発信やマッチングイベントの開催、③法人化に向けた検討やロードマップ作成のアドバイザリーの3つです。②は単発のイベントで終わらせず、協賛企業やスポンサーの獲得につなげることが求められています。

国の予算全体の中での位置づけはスポーツ庁の予算の内訳で確かめられます。

(参考)令和8年度「スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業(地域SC経営多角化支援事業)」の募集について(令和8年3月18日) – スポーツ庁

(参考)令和8年度 担い手育成総合支援事業(多角化支援)における留意事項・記載要領 – スポーツ庁

国の補助のほかに使われている財源

コミッションの事業には、国の補助のほかに、スポーツ振興くじ(toto)の助成や民間団体の助成も使われています。2025年度の基礎調査では、自治体の外に事務局がある団体の10.3%が、totoなどの民間団体からの補助金を収入源に挙げていました。

スポーツ庁の事業概要は、約半数のコミッションが自治体の一般財源や委託費を最大の収入源にしていて事業基盤が不安定だとし、自主事業の確立やスポンサー・協賛企業の獲得が欠かせないとしています。人材面では、地域おこし協力隊や副業・兼業人材の活用を広める方針です。

あわせて読みたいスポーツ振興くじ助成金(toto)|企業が自治体と組む使い方›

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

(参考)スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業 事業概要(令和8年度) – スポーツ庁

企業がスポーツコミッションと組む方法|窓口は自治体のスポーツ担当課

企業がスポーツコミッションと組む方法の図。宿泊・飲食の事業者は観戦客向けの割引で客の受け入れに、地元の企業は協賛金や会費で財源に、企業の社員は出向やボランティアで事務局と大会の人手に加わる

企業がコミッションと組む方法は、宿泊や飲食で客を受け入れる、協賛金や会費で財源を支える、社員を出向やボランティアで送るの3つです。事務局の67.0%は自治体の中にあるので、最初の窓口は、地元の自治体のスポーツ担当課かコミッションの事務局になります。

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

宿泊・飲食の事業者は観戦客と合宿客を受け入れる

スポーツコミッションせんだいは令和7年度、楽天イーグルスのホームゲームの観戦チケットに、1人1泊5,000円の宿泊割引と、市内21店舗で使える2,000円分の周遊クーポンを付けた宿泊プランを作りました。9月のホームゲーム7試合と市内5ホテルが対象で、申込は91件、クーポンの利用者は80人でした。

申込件数は目標の400件を下回り、コミッションは対象のホテルが5施設に限られたことや広報の不足を課題に挙げています。今後は宿泊税を財源にした宿泊助成に広げ、連携先も市内のプロスポーツ4チームに広げる予定です。ホテルや飲食店にとっては、こうした企画に参加する施設が増えるほど、客が選べる幅も広がります。自転車で巡る客を受け入れる例はサイクルツーリズムの受け入れ条件で紹介しています。

(参考)令和7年度 スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業 取組一覧 – スポーツ庁

地元の企業は協賛金と会費で財源を支える

前の章で見たとおり、協賛金を収入源に挙げるコミッションは1割前後で、国は令和8年度からスポンサー獲得のためのマッチングイベントを補助の対象にしています。地元の企業が協賛を持ちかけるときは、協賛金がどの大会やイベントに使われるのか、社名がどこに出るのか、報告をいつ受けられるのかを、事前に書面で確かめておきます。

コミッションの約8割は法人格を持たないため、契約の相手が自治体なのか、構成団体なのか、実行委員会なのかも最初に確認が必要です。協賛を地域貢献として社内外に報告する方法は、次の記事にまとめています。

あわせて読みたいスポンサーの地域貢献|スポーツ協賛で企業が進める手順と報告›

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

(参考)令和8年度 担い手育成総合支援事業(多角化支援)における留意事項・記載要領 – スポーツ庁

社員は出向やボランティアで人手になる

2025年度の基礎調査では、自治体の中に事務局がある基礎自治体のコミッションに、民間企業からの出向者が42人いました。秋田県のスポーツコミッション秋田は、スポーツボランティアを継続的に登録する人材バンクを作り、Bリーグの試合などに派遣しています。スポーツ庁の取組一覧には、企業が地域貢献の一環として登録する動きが出てきたと書かれています。

大会運営のボランティアを社員の参加の場として使う方法はスポーツボランティアと大会運営を支える組織で解説しています。

(参考)地域スポーツコミッション基礎調査2025 報告書(2026年3月) – 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(スポーツ庁掲載)

(参考)令和7年度 スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業 取組一覧 – スポーツ庁

地域おこし協力隊はコミッションの担い手にもなる

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などに住民票を移し、地域おこしの活動をしながら定住を目指す総務省の制度で、隊員は自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。令和6年度は7,910名が、スポーツを含む幅広い分野で活動しました。

第3期スポーツ基本計画は、地域スポーツコミッションでの地域おこし協力隊などの活用を進めるとしています。高知県スポーツコミッションでは、職員11名のうち4名が協力隊員です。コミッションで働きたい人の求人は、こうした協力隊の募集と、一般社団法人などの事務局による職員募集の両方で出ています。

(参考)地域おこし協力隊〜移住・地域活性化の仕事へのチャレンジを支援します!〜 – 総務省

(参考)【担い手】「地域スポーツコミッション」の設立・活動の支援 – スポーツ庁

(参考)令和7年度 スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業 取組一覧 – スポーツ庁

Q. 地域おこし協力隊でスポーツコミッションの仕事をすることはできますか?

できます。2025年度の基礎調査では、自治体の中に事務局がある地域スポーツコミッションの人員のうち10人が地域おこし協力隊で、高知県スポーツコミッションは職員11名のうち4名が協力隊員です。募集は自治体ごとに行われるので、関心のある地域の自治体やコミッションの募集情報を確かめてください。

スポーツコミッションのまとめ

スポーツコミッションは、合宿や大会で地域の外から人を呼び、泊まって食べてもらうことで地域を元気にするための常設の組織です。数字の出典は本文の各セクションに記載しています。

  • スポーツ庁は、一体組織・常設・域外交流・通年活動の4つを要件とし、名称は問わない
  • 設置数は2016年度の56団体から2025年10月の211団体に増え、207団体の一覧では九州・沖縄と中部に多い
  • 最も多い事業は合宿・キャンプの誘致で、基礎自治体のコミッションの64.0%が実施している
  • 自治体に事務局がある団体の8割近くは一般財源が最大の収入源で、協賛金を収入源に挙げる団体は約1割
  • 企業は宿泊・飲食の受け入れ、協賛金や会費、社員の出向やボランティアで関われ、窓口は自治体のスポーツ担当課かコミッションの事務局

まずは、自社の拠点がある都道府県のコミッションをスポーツ庁の一覧表で探し、どの事業に協賛企業や受け入れ先を求めているかを事務局に聞いてみてください。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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