管理職の顔ぶれが何年も変わらず、下の世代が管理職を目指さなくなっていませんか。Jリーグが入れ替えの決め方を先に公開している考え方をもとに、管理職ポストに任期と満了審査を入れ、外れた後の道まで一緒に設計します。
対象となるお客さま
- 部長・課長の顔ぶれが長く変わらない企業の経営者
- 役職定年や定年延長の見直しを進める人事責任者
- 次の管理職候補が育たない事業部門の責任者
よくあるお悩み
- 次の管理職候補を挙げると、いつも同じ名前が並ぶ
- 役職を外れてもらう理由を、誰も切り出せない
- 管理職に手を挙げる若手・中堅が少ない
課題|同じ顔ぶれが続き、管理職を目指す人が育たない
来期の課長を決める場面で候補者の名前を挙げると、数年前と同じ顔ぶれが並ぶ。ポストは埋まっていて、いま困っている人はいないように見えます。
困るのは、その下の世代です。上のポストが空く時期が見えなければ、管理職を目指す理由が見つかりません。候補が育たなければ、同じ人が続投するしかなくなります。固定化と管理職離れは、互いを強め合います。
実際、日本では管理職を目指す人が少数派です。パーソル総合研究所の「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」では、日本の非管理職のうち「管理職になりたい」と答えた人は21.4%(回答者387人)で、14か国・地域のなかで最も低い結果でした。
原因|管理職が「終わりの決まっていない席」になっている
管理職本人の意欲や、若手の姿勢の問題ではありません。原因は制度の側にある、次の3つです。
- 任期がない:任期の定めがないと、役職を外れるきっかけは異動や役職定年などに限られます。
- 外れることが失敗扱いになる:交代が「降格」と受け取られるため、会社も本人も交代を切り出せません。
- 外れた後の道がない:外れた後の役割が決まっていないと、外れる側の不安が大きく、続投が選ばれ続けます。
パーソル総合研究所は、組織の高齢化とフラット化によって、日本企業の昇進構造が「長くて、細い」ものになっていると指摘しています。
年齢で役職を外れる仕組みだけに頼っていると、定年が延びるほどポストが空く時期は遅くなります。厚生労働省の令和7年「高年齢者雇用状況等報告」(2025年6月1日時点、従業員21人以上の企業237,739社)では、65歳以上定年の企業(定年制の廃止を含む)は34.9%で、前年から2.3ポイント増えました。年齢ではなく、任期で区切る仕組みが必要です。
スポーツ知見|Jリーグは入れ替えの決め方を先に公開している
Jリーグは、J1とJ2のクラブが入れ替わるルールを大会概要で公開しています。2026-27シーズンのJ1では、年間順位の下位3クラブがJ2に降格します。J2からは、年間順位の上位2クラブと、3〜6位のクラブによるJ1昇格プレーオフの優勝クラブがJ1に上がります。
入れ替えは順位だけでは決まりません。J1に上がるには「J1クラブライセンス」の交付を受けている必要があり、交付を受けられなかったクラブは、年間順位が上位2位以内でも昇格できません。ライセンスの審査は、競技・施設・人事体制と組織運営・法務・財務・育成とサステナビリティ・マーケティングの7つの基準で行われ、最も重い「A等級」の基準を1つでも満たさなければ交付されません。審査はクラブからもリーグからも独立した機関が行い、結果に不服があれば上訴する機関もあります。
誰が入れ替わるかをシーズンの後で話し合うのではなく、決め方が先に示されているわけです。入れ替わる側も、何が足りなかったのかを基準に照らして確かめられます。管理職ポストに置き換えると、任期と審査基準を先に決めて公開し、審査を複数の評価者で行う形になります。
(参考)J1 大会概要 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
(参考)J1・J2クラブライセンス交付規則 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
ただし、試合と仕事は同じではありません。リーグの順位は勝点で1つに決まりますが、管理職の成果は数字だけでは測れません。また、J2に降格したクラブは別のリーグで戦い続けますが、役職を外れた人は同じ職場に残ります。そのため、審査には数字以外の基準も入れて評価者を複数にし、外れた後の役割を先に用意しておきます。
解決策|任期・満了審査・外れた後の道を同時に決める
管理職ポストを、終わりの決まっていない席から、任期のある役割に変えます。次の3つを同時に決めます。
- 任期を決める:ポストごとに任期と再任の上限を決めます(例:任期2年、再任は1回まで。ポストの性質に合わせて調整します)
- 満了審査を行う:審査の基準は任期の初めに本人へ示します。評価者には他部門の管理職と人事を加えて複数にし、結果に納得できない場合の申し立て窓口を人事に置きます
- 外れた後の道を用意する:専門職として続ける等級と役割、次の公募に再応募する手続きを決めます
審査の結果は「続投」「別ポストへの異動」「交代」の3つに分け、どの場合も次の道を同じ面談で示します。3つの仕組みのうち1つでも欠けると、制度は形だけになります。任期だけ決めて外れた後の道がなければ、外れる人の不安から運用が止まります。また、導入時に全員の満了時期が重ならないよう、現職の在任年数をもとに満了時期をずらします。
任期と審査基準を公開することは、管理職の仕事の中身を若手に見せることにもなります。EY Japanと立教大学の共同研究(20〜30代の非管理職2,071名への質問紙調査など)は、若手の管理職志向を高める会社側の要件として、管理職の仕事内容を具体的に示すこと、職責に釣り合う処遇を設定すること、管理職を孤立させない環境をつくることを挙げています。
進め方|2〜3のポストで試してから、対象を広げる
最初からすべての管理職ポストに任期を入れると、審査の基準や外れた後の道が整わないまま交代が起きます。まず2〜3のポストで試し、様式をそろえてから広げます。
診断では、管理職ポストごとに在任年数・年齢構成・後継候補の有無を一覧にし、非管理職への聞き取りで管理職を目指さない理由を確かめます。設計・試行では、試すポストの任期・審査基準・外れた後の役割を決め、審査会と面談を実際に回して様式を直します。定着では対象のポストを広げ、在任年数の長いポストから順に満了審査を行い、人事だけで運用できる手順にします。
期間は目安です。診断だけ、1部門だけといった始め方もご提案します。Human Soarは調査の設計・聞き取り・規程案と様式の作成・審査会の進行支援を担い、御社には人事データの共有と試すポストの決定、就業規則の改定手続きをお願いします。
成果物|任期制を社内で回し続けるための4つの仕組み
成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の管理職ポストをもとに、一緒に作ります。
最初にできるのが「管理職ポストの棚卸し表」です。ポストごとの在任年数と後継候補の有無を一覧にしたもので、どのポストから任期を入れるかを経営が決めるときに使います。次に「任期・満了審査の規程」を作ります。任期の長さ、再任の上限、審査の基準と評価者、審査の時期を定め、人事が毎年の審査を準備するときのよりどころになります。
審査の後に上司が使うのが「満了面談の進め方」です。結果を基準に照らして伝え、次の道を同じ場で示すための手順と説明資料をまとめます。最後に「専門職ルートと再応募の手順」を整え、外れた人が専門職として続ける役割と、次の公募に応募する手続きを決めておきます。
期待できる効果|ポストが動く時期が見え、手を挙げる人が増える
経営にとっては、ポストごとに入れ替わる時期と後継候補が見えるので、配置を計画的に決められます。管理職は、任期の中で何を達成すればよいかが基準で示されるので、外れることを失敗ではなく区切りとして受け止めやすくなります。若手には、いつ・何を満たせばポストに応募できるかが見えます。
見る数字は2つです。1つは「管理職ポスト1つあたりの応募者数」で、登用の候補が育っているかを表します。もう1つは「審査基準を任期の初めに本人へ示した割合」です。ここが低いと、審査が突然の通告に見え、制度への信頼が下がります。スライド下のセルフチェックで、御社の状況を確かめてみてください。
Human Soarからのコメント
Jリーグでは、入れ替えが毎シーズン起きることを前提に、その決め方が先に示されています。管理職ポストも、外れることを例外にせず制度として準備しておけば、本人も会社も次の一手を考えられます。御社のポストの状況に合わせて、任期と外れた後の道を一緒に設計します。
よくあるご質問
Q. 任期制にすると、管理職の成り手がかえって減りませんか?
外れた後の道が見えないままだと、減るおそれがあります。そのため任期制だけを入れることはせず、専門職として続ける役割と次の公募への再応募の手続きを同時に決めます。管理職の処遇が職責に見合っているかも、あわせて点検します。
Q. 役職定年制とは何が違いますか?
区切る基準が違います。役職定年制は年齢で一律に役職を外れる仕組みで、任期制は任期ごとの審査で続投か交代かを決める仕組みです。両方を併用し、任期制で入れ替えを進めながら役職定年を見直す形もご提案できます。
Q. 就業規則の変更は必要ですか?
役職手当や等級の扱いを変える場合は、就業規則や賃金規程の変更が必要になることがあります。Human Soarは制度の設計と運用の手順づくりを担い、規程の変更や個別の労務判断は、社会保険労務士などの専門家と確認しながら進めます。
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