育休の業務代替の決め方|MLBの父親リストに見る離脱時の交代手順

育休の業務代替の決め方|MLBの父親リストに見る離脱時の交代手順 ソリューション
SOLUTION|両立支援 × MLBの父親リスト

育休の申出があってから担当を探すと、周囲に割り振る以外の方法を考える時間がなくなります。業務ごとの代わり、周囲の負担の扱い、復帰の手順を、休む人が出る前に決めておきます。性別を問わず、短い休業にも長い休業にも使える形に整えます。

育児休業業務代替両立支援人員計画

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対象となるお客さま

  • 育休の申出のたびに、業務の割り振りを一から考えている人事・総務の担当者
  • 少人数の部署で、1人抜けると仕事が回らないと感じている部門長
  • 取得率の公表に合わせて、休業中の体制も整えたい経営者・人事責任者

よくあるお悩み

  • 申出があってから、誰に任せるかを探している
  • 周囲に割り振るだけで、増えた負担の扱いが決まっていない
  • 「自分にしかできない仕事がある」と言われ、休みを勧めにくい
ISSUE

課題|男性の育休は50.9%に増え、代わりの中心は周囲の分担見直し

業務代替設計プログラム|育児休業の取得割合と期間、半年未満の休業での企業の主な対応

育児休業は性別を問わず取得できる制度で、取得する人は増えています。厚生労働省の「令和7年度雇用均等基本調査」(令和7年10月1日現在)では、育児休業を開始した人(申出を含む)の割合は女性が88.3%、男性が50.9%で、男性は前年度の40.5%から上がりました。2025年4月からは、常時雇用する労働者が301人以上の企業も、男性の取得状況を年1回公表する義務の対象になっています。

休む期間も短いとは限りません。同じ調査で令和6年度に復職した男性を見ると、5日未満は6.8%で、1か月以上の区分を合計すると51.2%になります。女性は「12か月〜18か月未満」が31.4%で最も多くなっています。

(参考)令和7年度雇用均等基本調査 – 厚生労働省

(参考)育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説 – 厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)

では、休む人の業務はどうしているのか。厚生労働省の委託調査(従業員51人以上の企業、2025年11〜12月、回収765件)で、半年未満の育児休業取得者がいる場合の主な対応を1つ聞くと、「周囲の労働者の業務分担の見直し」が30.6%で最も多く、「新規雇い入れ、派遣の受け入れ」は7.4%、「社内の配置転換」は6.9%でした。

(参考)令和7年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 企業調査 結果の概要(2026年3月) – 厚生労働省委託事業(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

CAUSE

原因|代わりと負担の扱いを、休む前に決めていない

業務代替設計プログラム|業務が回らなくなる3つの原因と、男性正社員が育児休業を取得しなかった理由

本人の意識や職場の気持ちだけの問題ではありません。業務の面では、原因は次の3つです。

  • 業務が人に結びついている:同じ委託調査で、「日ごろから業務の属人化の解消等、カバー体制を整えている」企業は20.4%でした(男性の育児休業の取得期間を延ばす取組、複数回答)。
  • 周囲の負担の扱いが決まっていない:半年未満の休業の主な対応として「残業手当以外の手当支給等」を選んだ企業は1.3%、「賞与に反映」は1.8%、「部署全体の業務量の削減」は0.7%でした。主な対応を1つ選ぶ質問なので実施企業の全数ではありませんが、増えた負担の扱いを主な対応に挙げる企業は少数です。
  • 負担が言いにくさにつながる:国の指針は、育児休業等に関する否定的な言動の要因の一つとして、制度の利用によって周囲の業務負担が増えることを挙げ、事業主に業務体制の整備などの措置を求めています。

働く人の側の調査も見ておきます。2025年12月のインターネット調査で、小学4年生未満の子を育てる20〜50代のうち、離職経験がなく育児休業を取得しなかった男性の正社員(833人、複数回答)の理由は、「会社で育児休業制度が導入されていなかった」が29.1%、「収入を減らしたくなかった」が26.4%、「取得しづらい雰囲気、または会社や上司、職場の理解がなかった」が18.2%と続きます。「自分にしかできない仕事や担当している仕事があった」は11.5%、「残業が多い等、業務が繁忙であった」は10.6%です。

つまり、業務の代わりを決めるだけで取得がすべて進むわけではありません。制度の周知や収入の説明は別に整える必要があります。このプログラムが扱うのは、そのうちの業務の壁です。

(参考)令和7年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 企業調査 結果の概要(2026年3月) – 厚生労働省委託事業(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

(参考)令和7年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 労働者調査 結果の概要(2026年3月) – 厚生労働省委託事業(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

(参考)子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号) – 厚生労働省

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|MLBの父親リストは、離脱と代わりの登録を同時に進める

業務代替設計プログラム|MLBの父親リストの流れと、会社の育児休業との違い

野球のMLBには、子の誕生に合わせて選手がチームを離れられる「父親リスト(Paternity List)」があります。2011年にMLBと選手会の合意で設けられ、出産予定の48時間前から入ることができます。リストに入れるのは最長3日で、それ以上離れる必要があるときは、制限付きリストに移って家族と過ごし続けることもできます。労使協定(2017–2021年版)にも、メジャーリーグ規則に定める父親休暇などの利用を球団が選手に認めることが書かれています。

注目したいのは、離脱と代わりの登録が同時に進むことです。2026年4月、ヤンキースは投手を父親リストに入れると同時に、傘下の3Aから別の投手を呼び、ロースターの枠を埋めました。2026年10月のパドレスの発表には、離脱中は別の投手がロースターに入り、戻ってきたらその投手と入れ替わることまで書かれています。いつまで離れるか、その間の枠を誰が埋めるか、戻るときにどう入れ替わるかが、離脱の発表と同時に分かる形です。

(参考)大谷、第1子誕生のため父親リスト入り 最長3日間(2025年4月) – MLB.com

(参考)Yanks place Weathers on paternity list, recall Bird(2026年4月) – MLB.com

(参考)Pitcher Mason Miller Placed on Postseason Paternity List(2026年10月) – Major League Baseball

(参考)2017–2021 Basic Agreement, Article XV M – MLB・MLB選手会

ただし、試合と仕事は同じではありません。違いは3つあります。まず期間です。父親リストは最長3日ですが、会社の育児休業は男性でも1か月以上が半数を超えます。次に代わりです。球団は傘下から選手を呼べますが、会社の仕事は担当を替えただけでは進みません。そして対象です。父親リストは父親のための仕組みですが、育児休業は性別を問いません。そこで、任せる業務には準備期間を取り、人で埋めない業務を先に決め、性別を問わずすべての休業に使える形にします。

SOLUTION

解決策|業務を「任せる・止める・外に出す」に分け、負担と復帰まで決める

業務代替設計プログラム|休む前に決める3つのこと(業務の代わり・周囲の負担・戻り方)

申出があってから探すのではなく、休む人が出る前提で次の3つを決めておきます。

  • 業務の代わりを決める:業務を1つずつ「任せる(誰に、どれだけの準備期間で)」「止める・減らす」「外に出す(派遣・新規雇用・委託)」に分けます。
  • 周囲の負担を扱う:業務の偏りを見直す基準と、増えた分の扱いを決めます。国の指針が例に挙げる業務分担の見直しと、業務の点検・効率化も手順に入れます。手当や評価の変更は就業規則や賃金規程にかかわるので、社会保険労務士などの専門家に確かめながら決めます。
  • 戻り方を決める:指針は、休業後は原則として原職または原職相当職に復帰させるよう配慮することを求めています。復帰面談で、戻す業務の順番と働き方をすり合わせ、代わっていた人の業務も元に戻します。休業中の連絡は、業務を頼む手段にしません。

復帰の支援は、まだ企業によって差があります。委託調査では「休業取得中に会社からフォロー・連絡や面談を実施」が37.7%、「復職時に人事部門や所属部署の上長との面談を実施」が17.2%で、「いずれも実施していない」は35.5%でした(複数回答)。

(参考)令和7年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 企業調査 結果の概要(2026年3月) – 厚生労働省委託事業(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

(参考)子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号) – 厚生労働省

APPROACH

進め方|休む人が出る前に、2部署で業務代替表を試す

業務代替設計プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

実際の申出を待っていると、試す前に本番が来てしまいます。そこで人数の少ない部署と繁忙期のある部署の2つを選び、連続休暇のような短い不在で業務代替表を試します。

診断では、2部署の業務を書き出し、過去の育児休業や長期休業のときに何が起きたかを聞き取ります。設計・試行では、業務代替表と負担のルールを作り、短い不在で試して足りない点を直します。定着では、全社の手順に組み込み、半年ごとに業務代替表を更新します。

期間は目安です。診断だけ、1部署だけといった始め方もご提案します。Human Soarは様式の用意・聞き取り・ルールの文書化・試行後の修正案を担い、御社には業務の一覧の共有と試す部署の決定をお願いします。法律にかかわる個別の判断は、社会保険労務士や弁護士にご確認いただきます。

OUTPUT

成果物|次の申出から使える4つの様式とルール

業務代替設計プログラム|プロジェクトの4つの成果物と、使う時期・担当・用途

成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の実際の業務をもとに、一緒に作ります。

最初に作るのが「業務代替表」です。部門長が平時に作り、業務ごとに任せる先、止める業務、外に出す業務を書いて半年ごとに更新します。申出があったら「休業前の引き継ぎ手順」に沿って、上司・本人・代わる人の3人で開始日と渡す順番を決めます。受け渡しそのものの設計まで見直したい場合は、引き継ぎ漏れを防ぐプログラムも組み合わせられます。

代わりを決めるときに使うのが「周囲の負担の扱いのルール」です。分担の見直し、業務の削減、評価や手当の扱いを、人事と部門長が同じ基準で判断できるようにします。最後に、復帰の前に上司と本人が使う「復帰面談の手順」を整えます。戻す業務と働き方を確かめる項目をそろえるので、上司によって内容が変わりにくくなります。

VALUE

期待できる効果|本人・周囲・経営に、休業の見通しができる

業務代替設計プログラム|本人・周囲と部門長・経営の3つの効果と、見直す時期かを確かめるセルフチェック

休む本人は、休む前に仕事の行き先が分かり、復帰後の働き方も話し合えます。周囲は任される範囲と扱いが先に分かり、部門長は申出のたびに一から考えずに済みます。経営にとっては、公表する取得率の裏側で、業務を回す体制を説明できるようになります。

見る数字は、取得率だけでなく「申出から代わりの担当が決まるまでの日数」です。もう1つ「休業中の部署の残業時間」を見ると、負担が偏っていないかが分かります。スライド下のセルフチェックで2つ以上当てはまれば、業務の代わりの決め方を見直す時期です。

COMMENT

Human Soarからのコメント

育休が進まない理由を、本人の遠慮や職場の雰囲気だけで説明すると、何を変えればよいかが見えにくくなります。MLBの父親リストは日数も条件も会社とは違いますが、離れる期間と代わりをセットで示す形は参考になります。御社の業務を一緒に分け、誰が休んでも行き先が決まっている状態を作ります。

FAQ

よくあるご質問

Q. 短い育休でも業務代替表は必要ですか?

必要です。厚生労働省の調査で復職した男性の取得期間は2週間未満が約2割、1か月以上が半数を超えており、短い休業から長い休業まで同じ表で備えられます。休む期間が短いときは、止める業務と期限を動かす業務を決めるだけでも足ります。

Q. 人数が少なく、代わりの人がいません。それでも進められますか?

進められます。すべてを人で埋めようとせず、止める・減らす、期限を動かす、外に出すの順に検討します。それでも残る業務について、誰に任せるか、どう負担を扱うかを決めます。

Q. 手当の新設や規程の変更まで支援してもらえますか?

支援の中心は業務の代替と運用の設計です。就業規則や賃金規程の変更、不利益な取扱いにあたるかどうかの判断は、社会保険労務士や弁護士にご確認ください。代わる人への手当などには国の助成金のコースもありますが、要件は年度で変わるため、最新の手引きと都道府県労働局でご確認ください。

(参考)令和7年度雇用均等基本調査 – 厚生労働省

(参考)両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)のご案内 – 厚生労働省

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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