「今年こそお酒を減らしたい」と思いながら、気づけばまた飲んでしまう。そんな悩みに応えるのが禁酒・断酒アプリです。結論から言うと、断酒か減酒かという目的と、記録型か伴走支援型かというアプローチの2軸で選べば失敗しにくくなります。本記事では、健康経営の一環として社員の飲酒習慣改善を支援したい企業の担当者に向けて、代表的な10個のアプリを比較し、選び方と導入の視点を解説します。
- 禁酒・断酒アプリとは|健康経営で注目される理由
- 禁酒・断酒をサポートするアプリ10選|提供元と機能を比較
- I Am Sober|200万件超のレビューで支持される定番アプリ
- Reframe|神経科学に基づく160日間プログラムで減酒を後押し
- Sunnyside|オンライン診療のナルトレキソンも選べる減酒アプリ
- SoberNow|健康回復の実感を可視化するタイムライン機能
- Nomo|個人開発者が無償で提供する断酒クロックアプリ
- Try Dry|英国発Dry Januaryチャレンジの公式アプリ
- 減酒にっき|大塚製薬が提供する減酒治療連動アプリ
- みんチャレ(禁酒部)|5人1組のチームで挫折を防ぐ習慣化アプリ
- 禁酒マン|出世ゲーム感覚で16万人超が続けた断酒カウンター
- ケチ恥-LITE|お酒だけでなく複数の依存習慣を一括管理
- 目的とアプローチで見る禁酒・断酒アプリの2軸分類マップ
- 禁酒がもたらす健康経営インパクト|波及効果を可視化する
- 自社の健康経営に禁酒支援アプリを取り入れる3つの視点
- まとめ|禁酒・断酒アプリは目的に合わせて選び、企業は任意参加で支える
禁酒・断酒アプリとは|健康経営で注目される理由
禁酒・断酒アプリとは、飲酒量や断酒日数を記録し、目標達成までの継続をサポートするスマートフォンアプリの総称です。経過時間や節約できた金額を自動計算する機能、同じ目標を持つ人とつながるコミュニティ機能などを備え、意志の力だけに頼らず習慣を変えられる点が特徴です。
スポーツの現場でも、飲酒はコンディションを左右する要因として扱われます。アルコールは深い睡眠を妨げ、翌日の集中力や回復力を下げることが知られており、アスリートのコンディション管理と同様に、企業で働く社員の健康管理においても飲酒習慣は見過ごせないテーマになっています。
厚生労働省は2024年に公表した飲酒ガイドラインで、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム以上、女性20グラム以上」と定義し、あらかじめ量を決めて飲む、休肝日を設けるといった配慮ある飲酒を呼びかけています。健康日本21(第三次)でもこの基準に該当する人の割合を減らす目標が掲げられており、国の政策としても飲酒量のコントロールが重視されていることがわかります。
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Q. 禁酒アプリとは何のためのアプリですか?
禁酒アプリは、断酒や減酒の目標を立てて日々の記録をつけ、継続を後押しするためのアプリです。経過時間や節約金額を自動計算する機能や、同じ目標を持つ人とつながるコミュニティ機能を備えるものが主流です。
(参考)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(案) – 厚生労働省
禁酒・断酒をサポートするアプリ10選|提供元と機能を比較
今回紹介するのは、公式サイトで機能や提供元を確認できた製品のうち、実在の開発元・運営団体が明確で、直近までアップデートが続いている10個です。海外製の定番アプリに加え、国内の製薬会社や個人開発者による日本語アプリも含めることで、費用や言語の面で選びやすい候補になるようにしました。まず一覧表で全体像をつかんでから、各アプリの特徴を見ていきましょう。
| 製品名 | 提供元 | 主な機能・特徴 | 料金の目安 |
|---|---|---|---|
| I Am Sober | The Hungry Wasp Inc. | 経過時間・マイルストーン管理、依存対象別のコミュニティ | 基本無料、Sober Plusは月額9.99ドル |
| Reframe | Glucobit Inc. | 160日間の神経科学プログラム、24時間コミュニティ、コーチング | 年額99.99ドル |
| Sunnyside | Cutback Coach, Inc. | 飲酒記録・週次プラン・人によるコーチング、ナルトレキソン診療オプション | 年額99ドル〜 |
| SoberNow | 個人開発(小林一也氏) | 健康回復タイムラインの可視化、節約額の自動計算、毎日のコーチング | 3日間無料、以降は有料プラン |
| Nomo | 個人開発(Parker氏) | 断酒クロック、暗号化チャットでの仲間探し、カウンセリング連携 | 完全無料 |
| Try Dry | Alcohol Change UK(英国のチャリティー団体) | ユニット数・カロリー記録、睡眠や気分・渇望のトラッキング | 完全無料 |
| 減酒にっき | 大塚製薬株式会社 | 飲酒量・服薬記録、医療機関での減酒治療との連動 | 無料 |
| みんチャレ(禁酒部) | エーテンラボ株式会社 | 5人1組のチームで励まし合う習慣化機能、法人向け展開の実績 | 基本無料(一部課金あり) |
| 禁酒マン | 株式会社ナカシン | ゲーム感覚の出世システム、節約額・カロリーの自動換算 | 基本無料(一部課金あり) |
| ケチ恥-LITE | IK Software(個人開発) | お酒以外の依存習慣も含めて金額換算し貯金通帳に記録 | 基本無料(一部課金あり) |
表1:禁酒・断酒をサポートする主要アプリ10製品の比較(2026年9月確認時点の公式サイト情報に基づく。料金は変動する可能性があるため公式サイト記載時点の目安として記載)
I Am Sober|200万件超のレビューで支持される定番アプリ
I Am Soberは、断酒を開始した瞬間からの経過時間とマイルストーンを記録する、海外で最も知名度の高い断酒アプリの一つです。飲酒だけでなく喫煙や過食など複数の依存対象に対応しており、同じ悩みを持つ人同士のコミュニティに投稿し合える点が継続の後押しになっています。公式サイトによれば200万件を超える5つ星レビューが寄せられており、基本機能は無料で利用できます。
Reframe|神経科学に基づく160日間プログラムで減酒を後押し
Reframeは、完全な断酒だけでなく「量を減らしたい」というモデレーション志向の人にも対応した、神経科学の知見を取り入れたプログラム型アプリです。160日間のコースで飲酒に関する習慣そのものを見直していく設計になっており、24時間対応のコミュニティやコーチングも含まれます。公式サイトでは2026年8月時点で320万件を超えるダウンロード実績が示されています。
Sunnyside|オンライン診療のナルトレキソンも選べる減酒アプリ
Sunnysideは、飲酒記録と週次の目標設定、コーチによる伴走を組み合わせた減酒特化型のアプリです。希望する場合はオンライン診療(Sunnyside Med)を通じて、渇望を抑える薬剤ナルトレキソンの処方を受けられる点が他のアプリと異なります。公式サイトが引用する2024年8月発表の研究では、利用者の週間飲酒量が平均33%減少したと報告されています。
SoberNow|健康回復の実感を可視化するタイムライン機能
SoberNowは、断酒後に体がどのように回復していくかを11段階のタイムラインで可視化できるアプリです。禁酒によって浮いた金額をリアルタイムで表示する貯金機能や、その日の状態に合わせた毎日のコーチングメッセージも備えています。3日間の無料トライアルの後は有料プランに移行する仕組みです。
Nomo|個人開発者が無償で提供する断酒クロックアプリ
Nomoは、企業ではなく回復期にある個人開発者が無償で提供している断酒アプリです。断酒経過時間を計測する「クロック」機能を中心に、暗号化されたチャットで同じ状況の人とつながれる仕組みや、外部カウンセリングサービスとの連携も用意されています。広告や有料課金を設けず、寄付のみで運営されている点が特徴です。
Try Dry|英国発Dry Januaryチャレンジの公式アプリ
Try Dryは、英国のアルコール関連問題対策チャリティー団体Alcohol Change UKが提供する、「Dry January」チャレンジの公式アプリです。ユニット数・カロリー・節約金額の記録に加え、睡眠の質や気分、渇望の強さまで記録できる設計になっており、1か月の禁酒に限らず年間を通じて利用できます。完全無料で広告も表示されません。
(参考)Try Dry 公式ページ – Alcohol Change UK
減酒にっき|大塚製薬が提供する減酒治療連動アプリ
減酒にっきは、大塚製薬株式会社が提供する日本発のアプリで、日々の飲酒量と服薬状況を記録できます。減酒治療薬「セリンクロ」の発売に合わせて公開された経緯があり、情報サイト「減酒.jp」を通じて医療機関での減酒治療とセットで案内されている点が特徴です。医療的なサポートを受けながら記録を続けたい人に向いています。
(参考)減酒.jp(減酒にっきアプリ紹介) – 大塚製薬株式会社
みんチャレ(禁酒部)|5人1組のチームで挫折を防ぐ習慣化アプリ
みんチャレは、同じ目標を持つ5人1組のチームで励まし合いながら習慣を続ける、エーテンラボ株式会社の習慣化アプリです。禁酒部をはじめダイエットや禁煙など多様なチャレンジがあり、ユーザー数は130万人を超えます。企業・健保向けに禁煙プログラムを提供してきた実績もあり、法人での健康施策への組み込みやすさも強みです。
禁酒マン|出世ゲーム感覚で16万人超が続けた断酒カウンター
禁酒マンは、株式会社ナカシンが開発した、禁酒時間に応じてキャラクターが出世していくゲーム感覚の断酒カウンターです。避けられたアルコール量やカロリー、節約できた金額を自動計算して可視化するほか、飲みたくなった瞬間に使う「誘惑に打ち勝つ」ボタンなど継続を後押しする工夫があります。公式ストア情報によると2025年10月時点で16万件を超えるインストール実績があります。
ケチ恥-LITE|お酒だけでなく複数の依存習慣を一括管理
ケチ恥-LITEは、個人開発者による家計簿寄りのアプリで、ギャンブル・たばこ・お酒・ダイエット・つもり貯金の5項目を断つたびに自動で金額換算し、貯金通帳のように記録していく仕組みです。お酒専用のアプリではありませんが、複数の依存習慣を横断的に管理したい人には使いやすい選択肢になります。
(参考)ケチ恥-LITE 公式ページ – IK Software
Q. 禁酒アプリは無料で使えますか?
多くのアプリは基本機能を無料で使えます。ただしReframeやSunnysideのようにコーチングやオンライン診療を含む場合は、月額・年額の有料プランが中心になります。まずは無料機能で自分に合うか試すのがおすすめです。
目的とアプローチで見る禁酒・断酒アプリの2軸分類マップ
10個の候補があっても、いきなり全部を比較するのは大変です。そこで「量を減らしたいのか、完全に断ちたいのか」という目的の軸と、「自分の記録に集中したいのか、仲間やコーチの伴走支援がほしいのか」というアプローチの軸で整理すると、自分に合うアプリを短時間で絞り込めます。

目的の軸|完全に断つか、量を減らすか
断酒(アルコールをゼロにする)を目指すのか、減酒(適量まで減らす)を目指すのかで、選ぶべきアプリの傾向は変わります。I Am Soberやみんチャレ(禁酒部)、禁酒マンのようにゼロ日数を可視化する設計は断酒向き、Reframeや減酒にっきのように飲酒量の記録を軸にした設計は減酒向きです。まず自分がどちらを目指すのかを決めることが、アプリ選びの最初の一歩になります。
アプローチの軸|記録型か伴走支援型か
一人で黙々と記録をつけるほうが続く人もいれば、コーチや仲間の存在がないと挫折してしまう人もいます。SunnysideやReframeのように人によるコーチングが付くアプリは伴走支援型、SoberNowやNomo、ケチ恥-LITEのように数字の変化そのものをモチベーションにするアプリは記録型に分類できます。過去に一人で禁酒に挑戦して続かなかった経験がある場合は、伴走支援型やコミュニティ機能のあるアプリを優先すると良いでしょう。
禁酒がもたらす健康経営インパクト|波及効果を可視化する
禁酒・減酒アプリの活用は、個人の健康だけでなく企業の生産性にも直結します。厚生労働省が2024年に公表したガイドラインでは、経済産業省の「健康経営」ガイドブックを引用する形で、飲酒による労働生産性・医療費への影響を具体的な数値で示しています。
それによると、1日当たり純アルコール44グラム以上を毎日摂取するリスクのある飲酒者は、欠勤の増加(アブセンティーイズム)こそ目立たないものの、出勤していても本来の生産性を発揮できない状態(プレゼンティーイズム)が大きく低下し、年間1人あたり約26万円の生産性損失につながると推計されています。医療費についても、リスクのある飲酒をしている人は一人当たり年間10,540円の増加が見込まれるとされています。

睡眠の質は、こうした波及効果の起点になりやすい要素です。睡眠を測るアプリ・デバイスの比較記事でも触れているとおり、アルコールは寝つきを良くするように感じさせながら、実際には深い睡眠を妨げることが知られています。禁酒・減酒による睡眠改善は、翌日の集中力や判断力の回復という形で業務のパフォーマンスにも波及していきます。
Q. 禁酒アプリを使うと本当に飲酒量は減りますか?
個人差はありますが、Sunnysideが引用する研究では平均33%の飲酒量減少が報告されています。ただし効果は継続の有無やサポート体制によって変わるため、記録や専門家との連携を組み合わせることが重要です。
(参考)健康診断および保健指導におけるアルコール健康障害への早期介入に関するガイドライン(2024年3月・厚生労働省令和5年度障害者総合福祉推進事業) – 厚生労働省・筑波大学
自社の健康経営に禁酒支援アプリを取り入れる3つの視点
アプリを紹介するだけで終わらせず、実際に企業の福利厚生や健康経営施策として取り入れる場合に押さえておきたい視点を3つ整理します。いずれも紹介した10製品の機能一覧だけでは見えてこない、導入段階特有の論点です。
視点1|参加を強制せず任意性を確保する
飲酒習慣は個人の生活領域に深く関わるため、会社が特定のアプリの利用を義務づけたり、利用状況を人事評価に反映したりすることは避けるべきです。禁煙アプリの導入事例と同様に、希望者が任意で利用できる選択肢の一つとして案内し、利用の有無やデータを本人の許可なく共有しない運用ルールをあらかじめ明文化しておくことが望まれます。
あわせて読みたい禁煙アプリ10選|健康経営担当者向け比較ガイド›
視点2|飲酒データという機微な情報の扱いに配慮する
飲酒量や断酒の失敗記録は、健康情報の中でも特にセンシティブなデータです。福利厚生としてアプリを紹介する場合も、データの保存先はあくまで個人のスマートフォンやアプリ運営会社側であり、会社が直接データを閲覧・収集する設計にしないことが基本になります。健康経営優良法人の認定でも、こうした個人情報保護への配慮は評価の前提として求められます。
健康経営優良法人の申請準備を解説した記事もあわせて参考にしてください。
視点3|産業医・EAPと連携し専門機関へつなぐ導線を作る
厚生労働省のガイドラインが示すように、リスクのある飲酒から依存症に至る手前の段階で早期に気づき、必要に応じて専門医療機関につなげることが重要です。アプリはあくまで自己管理と気づきのきっかけであり、AUDITスコアが高い、断酒に何度も失敗するといったサインが見られる場合は、産業医面談やEAP(従業員支援プログラム)を通じて専門的な相談につなげる導線を、人事側であらかじめ用意しておく必要があります。リハビリや復職支援の観点は、オンラインリハビリアプリの比較記事で扱っている考え方とも共通する部分があります。
Q. 企業が禁酒アプリを福利厚生として導入する際の注意点は?
参加を強制せず任意性を確保すること、飲酒データという機微な情報の取り扱いに配慮すること、必要に応じて産業医やEAPと連携することの3点が重要です。個人の健康情報を人事評価に使わない運用ルールも事前に定めておく必要があります。
Q. アルコール依存症が疑われる場合もアプリだけで対応できますか?
いいえ。アプリはあくまで記録と継続支援のツールであり、依存症の治療には医療機関の受診が必要です。厚生労働省のガイドラインでもAUDITスコアが高い場合は専門医療機関への受診勧奨が推奨されています。
まとめ|禁酒・断酒アプリは目的に合わせて選び、企業は任意参加で支える
- 禁酒・断酒アプリは、断酒か減酒かという目的と、記録型か伴走支援型かというアプローチの2軸で選ぶと自分に合うものを見つけやすい
- 紹介した10製品は、海外の定番アプリ(I Am Sober、Reframe、Sunnyside、SoberNow、Nomo、Try Dry)と、国内の製薬会社・開発者によるアプリ(減酒にっき、みんチャレ、禁酒マン、ケチ恥-LITE)で構成される
- 厚生労働省のガイドラインでは、リスクのある飲酒によって年間1人あたり約26万円の生産性損失、10,540円の医療費増加が見込まれると報告されている
- 企業が福利厚生として導入する場合は、参加の任意性確保・機微情報への配慮・産業医やEAPとの連携という3つの視点が欠かせない
- アプリはあくまで気づきと継続のきっかけであり、依存症が疑われる場合は専門医療機関につなげることが前提になる
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