スポーツ振興くじ助成金(toto助成金)は、スポーツくじの収益を財源に、日本スポーツ振興センター(JSC)が地方公共団体と非営利のスポーツ団体に出す助成金です。令和8年度は1,991件に約229億円が配分されました。企業は直接申請できず、関わるなら助成を受ける自治体やスポーツ団体と組んで、施設整備の受注や協賛、運営の協力に回ることになります。
地元の自治体からスタジアムの照明を新しくしたいと相談を受けた。協賛している競技団体の大会に、totoの旗が並んでいた。こうした場面で、この助成金の仕組みを知っているかどうかで、提案の中身も、看板の段取りも変わります。ここでは、申請できる人、助成の一覧と実績、申請から実績報告までの流れ、ロゴマークの決まり、そして令和9年度の見直しまでを順に整理します。
スポーツ振興くじ助成金とは|toto・BIGの収益を地域と競技団体に配る仕組み
スポーツ振興くじ助成金は、スポーツ振興投票の実施等に関する法律(平成10年法律第63号)に基づいて売られているスポーツくじの収益を使い、JSCがスポーツの振興を目的とする事業に出す助成金です。くじの名前から「toto助成金」とも呼ばれます。
JSCは、助成を受けた事業について、決まりを守って助成金を使うこと、公益性のある事業として外部に説明できること、スポーツ振興くじ助成金で行った事業だと広報することを必須の要件にしています。つまり「お金をもらって終わり」ではなく、使い道の公開とくじのPRまでが制度に組み込まれています。
対象は、グラウンドの芝生化や競技施設の整備、総合型地域スポーツクラブの活動、自治体が開くスポーツ教室や大会、将来性のある競技者の発掘と育成、スポーツ団体の活動、国際競技大会の開催などです。令和8年度からは、小さな市町村向けの地域スポーツ振興助成も新しく始まりました。スポーツくじを運営する側の事業の仕組みはスポーツくじ・公営競技業界の投票運営モデルで解説しています。
(参考)スポーツ振興くじ助成 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
(参考)令和8年度スポーツ振興くじ助成金申請の手引(令和7年11月) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
Q. スポーツ振興くじ助成金とは何ですか?
スポーツくじ(toto・BIGなど)の収益を財源に、日本スポーツ振興センター(JSC)が地方公共団体やスポーツ団体のスポーツ振興事業に出す助成金です。施設の整備、スポーツ教室や大会の開催、競技者の発掘・育成、国際大会の開催などが対象になります。令和8年度は1,991件に約229億円が配分されました。
申請できるのは地方公共団体と非営利のスポーツ団体|企業は組む側に回る

スポーツ振興くじ助成金を申請できるかどうかは、法人の種類で決まります。申請の手引は、交付申請ができるのを「地方公共団体又は非営利のスポーツ団体」としており、営利企業は申請者に入っていません。さらに、助成の種類ごとに申請できる団体が細かく決まっています。
地方公共団体|施設整備から教室まで幅広く申請できる
都道府県と市町村は、多くの助成で申請者になれます。施設の整備、スポーツ教室や大会の開催、総合型地域スポーツクラブの創設支援などは、自治体が申請する代表的な使い道です。助成を申請する事業については、あらかじめ議会で予算を議決しておく必要があります。
非営利のスポーツ団体|加盟団体かどうかと活動の実績が要件
スポーツ団体で申請できるのは、日本スポーツ協会(JSPO)や日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラスポーツ協会などと、その加盟団体です。それ以外の団体でも、定款などでスポーツの振興と普及を主な目的・主な事業に掲げ、その事業計画と実績を持つ非営利の法人なら申請できます。原則として令和7年4月1日以前に法人が設立されていることが必要で、営利企業などと関係のある法人は対象とみなさない場合がある、と手引に書かれています。
競技団体が国やJSCからどれだけ助成を受けているかは、競技団体の助成金の全数調査(71団体)にまとめています。
営利企業|自治体や団体のパートナーとして関わる
株式会社などの営利企業は、この助成金の申請者になれません。株式会社が運営するプロクラブも同じです。手引では、事業の全部を営利法人などの第三者に任せて行う事業も助成の対象外とされています。企画や立案のように、本来は申請者がやるべき仕事を任せた場合も同じ扱いです。
そのため企業の入り口は、助成を受ける自治体やスポーツ団体の事業に、受注先・協賛先・協力先として加わる形になります。自社の社員向けの運動施策に使える補助金を探しているなら、国や自治体の健康経営の支援を当たるのが近道です。
あわせて読みたい健康経営の助成金・補助金ガイド2026|スポーツ施策に使える支援一覧›
(参考)令和8年度スポーツ振興くじ助成金申請の手引 2 助成対象者・6 助成対象とならない事業 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
Q. 企業はスポーツ振興くじ助成金を申請できますか?
企業は申請できません。申請できるのは、都道府県・市町村などの地方公共団体と、要件を満たす非営利のスポーツ団体です。企業が関わる場合は、助成を受ける自治体やスポーツ団体の事業に、工事や設備の受注、協賛、運営の協力といった形で加わります。
スポーツ振興くじ助成金の一覧と実績|令和8年度は1,991件に約229億円
令和8年度のスポーツ振興くじ助成金は、申請1,991件・約251億円に対し、1,991件・22,924,455千円(約229億円)が配分されました。配分額が大きいのは、国際競技大会開催助成と地域スポーツ施設整備助成で、この2つで全体の半分強を占めます。
| 助成の種類 | 主な申請者 | 件数 | 配分額(千円) |
|---|---|---|---|
| 地域スポーツ振興助成 | 人口5,000人未満の市町村 | - | 151,000 |
| 大規模スポーツ施設整備助成 | 地方公共団体 | 2 | 305,533 |
| 地域スポーツ施設整備助成 | 地方公共団体など | 266 | 6,498,003 |
| 総合型地域スポーツクラブ活動助成 | 市町村・総合型クラブなど | 142 | 253,547 |
| 地方公共団体スポーツ活動助成 | 都道府県・市町村 | 541 | 2,042,410 |
| 将来性を有する競技者の発掘及び育成活動助成 | 競技団体・都道府県など | 114 | 2,817,288 |
| スポーツ団体スポーツ活動助成 | スポーツ団体 | 901 | 4,759,864 |
| 国際競技大会開催助成 | 大会の組織委員会など | 25 | 6,096,810 |
| 合計 | 1,991 | 22,924,455 |
出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター「令和8年度スポーツ振興事業助成 助成金配分額」(令和8年4月20日)、「令和8年度スポーツ振興くじ助成金申請の手引」をもとに Human Soar 作成。地域スポーツ振興助成は件数の記載がなく、人口5,000人未満の302市町村に1団体50万円。大規模スポーツ施設整備助成は過年度に申請のあった複数年度事業の令和8年度配分額
地域スポーツ施設整備助成の266件のうち、グラウンド芝生化事業が69件・1,882,967千円、スポーツ施設等整備事業が195件・4,605,200千円です。体育館や陸上競技場、夜間照明、空調、大型表示装置の整備など、企業が工事や設備で関わりやすいのはこの区分です。
スポーツ団体スポーツ活動助成の901件には、ドーピング検査推進事業の82件・2,303,253千円が含まれます。地方公共団体スポーツ活動助成の541件の大半は、自治体が開く教室や大会などの地域スポーツ活動推進事業(537件)です。
配分の決め方も公開されています。地方公共団体は「事業内容」と「PR協力」の2項目、スポーツ団体はそれに「会計処理」を加えた3項目を3段階で評価し、得点が9割を超えればS評価で助成対象額の100%、4割を超え9割以下ならA評価で80%、4割以下は不採択です。くじのPRへの協力が、配分額を左右する仕組みになっています。
どの自治体・団体のどの事業が採択されたかは、JSCが「交付対象事業一覧」として地方公共団体とスポーツ団体に分けて公開しています。自社の地域で誰が助成を受けているかを確かめると、提案先が見えてきます。スポーツ団体への公的なお金の流れ全体はJFA・JOC・JSPOの役割と助成の流れで整理しています。
(参考)令和8年度スポーツ振興事業助成 助成金配分額(令和8年4月20日) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
(参考)令和8年度スポーツ振興くじ助成 配分基準 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
(参考)令和8年度 交付対象事業一覧(地方公共団体) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
(参考)令和8年度 交付対象事業一覧(スポーツ団体) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
企業がスポーツ振興くじ助成金に関わる方法|自治体・スポーツ団体と組む3つの道
企業がこの助成金に関わる道は、施設整備を受注する、協賛で事業を支える、指定管理者として運営で関わるの3つです。どれも、申請者である自治体やスポーツ団体の計画に合わせて動くのが前提になります。
施設整備の工事や設備を受注する
地域スポーツ施設整備助成のうちスポーツ競技施設等の整備では、競技スペースの改修、屋外の夜間照明、屋内の照明、防球フェンス、空調、大型表示装置、スキー場のリフトなどが対象です。1件あたりの助成対象経費が10,000千円(1,000万円)以上の事業に限られ、助成対象経費の上限は30,000千円、助成割合は3分の2なので、助成金の上限は20,000千円(2,000万円)です。
申請するのは施設を持つ自治体で、企業は自治体の発注を受けて工事や機器を納める側になります。助成の募集は前年の秋に始まるので、照明や空調の更新を提案するなら、自治体が申請書を作る前に、整備の内容と見積もりを示しておくと計画に入りやすくなります。
大会や教室に協賛して事業を支える
自治体やスポーツ団体が助成を受けて開く大会や教室に、協賛金や物品で加わる方法です。申請の手引で助成の対象外とされているのは、国費や他の独立行政法人の助成金、スポーツ振興基金助成金、公営競技(競馬・競輪・競艇・オートレース・宝くじ)の収益を使う事業で、企業の協賛金は挙げられていません。
ただし、収入の合計が支出の合計を上回る事業は対象外で、助成金の確定額も、収入が支出を上回った分だけ減らされます。協賛金を入れると主催者の助成金が減ることがあるので、金額と使い道は主催者と先にすり合わせます。協賛金の会計上の扱いはスポンサー料の勘定科目を参考にしてください。
指定管理者として施設の運営で関わる
公共のスポーツ施設を指定管理者として運営している企業もあります。ただしスポーツ施設等整備事業では、申請者は施設の設置者とされ、指定管理者のような設置者とは別の管理運営法人は対象外です。設備の老朽化に気づいたら、設置者である自治体に整備の必要性を伝え、自治体の申請を支える役割を担います。
施設の整備と運営に民間が入る仕組みは、スタジアム・アリーナ改革とあわせて知っておくと、自治体との話が進めやすくなります。
あわせて読みたいスタジアム整備のPFIとは|指定管理者制度との違いと企業の入り方›
(参考)令和8年度スポーツ振興くじ助成金申請の手引 Ⅰ 地域スポーツ施設整備助成 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
Q. 協賛金とスポーツ振興くじ助成金は同じ事業で組み合わせられますか?
申請の手引で助成の対象外とされているのは、国費や公営競技の収益などを使う事業で、企業の協賛金は挙げられていません。ただし、収入の合計が支出の合計を上回る事業は対象外で、助成金の確定額も収入が支出を上回った分だけ減らされます。協賛金を入れる前に、事業の収支をJSCの担当係に確認してください。
申請から実績報告までの流れ|募集は前年の秋で報告は事業後30日以内

スポーツ振興くじ助成金は、事業を行う年度の前年の秋に募集が始まり、4月に交付が決まり、事業のあとに実績報告をして額が確定する流れです。助成金は実績報告の審査を経て支払われるため、必要に応じて事業中に概算払を申請できます。
募集と交付申請|11月から1月にメールで提出する
令和8年度分の募集期間は、令和7年11月25日から令和8年1月15日17時まででした。交付申請書類はメールに添付して送ります。申請の前には、スポーツ・インテグリティ、スポーツとSDGs、スポーツくじの仕組みに関する3本の動画を見て、動画視聴確認書を出すことも必須です。
(参考)交付申請≪くじ助成≫(令和8年度用) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
交付決定と事業の実施|4月に決まり翌年3月まで
JSCが書類を審査し、外部の有識者による審査委員会が配分額を決めて、4月に交付が決まります。令和8年度は4月10日に審査委員会が開かれ、交付決定の通知は4月下旬に郵送されました。事業の実施期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日までの1年間で、事業の内容を変えるときは、事前に計画変更承認申請が必要です。
(参考)くじ助成の手続きの流れ – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
実績報告と額の確定|完了から30日以内に出す
助成事業が終わったら、完了から30日を経過した日か、翌年度の4月10日のいずれか早い日までに実績報告書を出します。収支計算書や支払いの証拠書類の写し、スポーツくじのPR協力に関する報告書なども添えます。助成対象経費の支払いは銀行振込が原則で、一部の例外を除き、現金で払った分は対象経費になりません。
JSCは報告書を審査して額を確定し、助成金を支払います。助成で取得した1個または1組50万円以上の設備や機械は、決められた期間内に勝手に処分できない点にも注意が必要です。
(参考)実績報告(くじ助成)(令和8年度用) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
ロゴマークの表示|施設には看板を事業には旗を出す
助成を受けた事業では、助成金による事業である旨の記載と、スポーツくじのロゴマークの表示が義務です。整備した施設には、B3サイズ(縦364mm×横514mm)以上で耐久性のある標識を入口など人目につく場所に設置し、「スポーツ振興くじ助成金を受けて整備されたものです」といった表示を入れます。
大会や教室では、JSCから配布・貸与されるフラッグやバナーを見やすい位置に掲げ、パンフレットは原則として表紙にロゴマークを入れます。ここに示した以外の方法で表示するときは、事前にJSCの承認が必要です。協賛企業として大会に看板やロゴを出す場合は、くじのロゴやバナーと並ぶ前提で、配置と大きさを主催者と早めに決めておくと揉めません。
(参考)ロゴマーク・理念広告等の使用(くじ助成) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
(参考)スポーツ振興くじ助成金に係るロゴマーク等の表示要領 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
Q. スポーツ振興くじ助成金の実績報告の期限はいつですか?
助成事業の完了から30日を経過した日か、翌年度の4月10日のいずれか早い日までです。実績報告書には、収支に関する証拠書類の写しや、ロゴマークを表示した写真などを添えます。JSCが報告書を審査して助成金の額を確定し、そのうえで助成金が支払われます。
令和9年度のスポーツ振興くじ助成金は見直しへ|観客席やスポーツコンプレックスも対象に
JSCは令和9年度からスポーツ振興くじ助成金の制度を見直します。令和8年5月12日に審査委員会が見直しの骨子を決め、具体的な募集内容は11月ごろに公表される予定です。骨子によると、くじの売上は3年連続で過去最高を更新しており、令和7年のスポーツ基本法の改正を踏まえて、事業の要件や対象経費を見直すとしています。
大規模施設とスポーツ施設の整備|観客席まで対象を広げる
大規模スポーツ施設整備助成には、まちづくりと一体で施設を整えるスポーツコンプレックスなどの大規模施設整備にも対応できる助成メニューを新しく設けます。地域スポーツ施設整備助成は、これまで主に競技をする場所の改修を対象にしてきましたが、今後は観客席を含むスポーツホスピタリティのための空間など、「見る」「支える」「集まる」「つながる」に役立つ整備も対象に加え、事業を統合するとしています。
観客席やホスピタリティの空間が対象になれば、施設の設備や内装、飲食・観戦の体験にかかわる企業にとって、自治体と組める場面が増えます。どちらも建設費の高騰を踏まえて、助成金の上限額を設定し直す方針です。
(参考)令和9年度スポーツ振興くじ助成制度見直しについて – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
(参考)令和9年度スポーツ振興くじ助成制度見直しの骨子(令和8年5月12日) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
全市町村向けの助成とeスポーツ|地域の課題に使いやすくする
部活動の地域展開を含む地域の課題に柔軟に使える、全市区町村向けの助成を設けます。令和8年度はその先行実施として、人口5,000人未満の302市町村に1団体50万円の定額で地域スポーツ振興助成を出しています。教室や大会の開催、用具の購入、施設の修繕、部活動の地域展開などに幅広く使えます。
自治体とスポーツ団体の活動助成では、eスポーツを含む多様なニーズに対応し、同じ事業を何年も続けて申請している団体への助成のあり方も見直すとしています。令和9年度の説明会は令和8年11月19日に開かれ、スポーツ団体向けは11時から、地方公共団体向けは14時から、YouTube Liveで配信されます。
あわせて読みたい部活動の地域展開とは|スポーツで企業が関わる5つの方法と補助金›
(参考)地域スポーツ振興助成 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
(参考)令和9年度スポーツ振興くじ助成に関する説明会の開催について – 独立行政法人日本スポーツ振興センター
スポーツ振興くじ助成金のまとめ
スポーツ振興くじ助成金は、地域のスポーツ施設や大会を支える大きな財源で、企業は申請者ではなく、自治体やスポーツ団体の相手として関わります。日本のスポーツ界がお金や施設の面で抱える課題は日本スポーツ業界の8つの課題で全体像を確認できます。
- 申請できるのは地方公共団体と非営利のスポーツ団体で、企業は直接申請できない
- 令和8年度は1,991件に22,924,455千円(約229億円)が配分された
- 企業の関わり方は、施設整備の受注、大会や教室への協賛、指定管理者としての運営協力
- 実績報告は完了から30日以内か翌年度4月10日の早い方まで。ロゴマークの表示は義務
- 令和9年度は観客席やスポーツコンプレックスも対象に広げる方向で、募集は11月ごろ公表予定


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