スポーツ庁が令和7年12月に公表した令和7年度の全国調査で、小学5年生と中学2年生の新体力テストの結果は、男女とも前年度より上がりました。ただし体力合計点がコロナ前の令和元年度を上回ったのは中学2年生の男子だけで、ほかの3区分は回復の途中です。1週間に420分以上運動する子どもの割合は小中学校の男女とも下がっており、地域のスポーツクラブや部活動の受け皿をどう用意するかが、体力を戻す鍵になっています。
体力テストの結果は学校の中の話に見えますが、令和8年度からは部活動の地域展開が本格的に始まり、休日の部活動を地域のクラブや民間が担う場面が増えていきます。ここでは、最新の結果と推移を数字で整理し、スポーツ教室や地域クラブを運営する企業・団体が、指導やプログラムづくりにどう生かせるかをまとめます。
新体力テストの結果|令和7年度は小中学生の男女とも前年度より上がった
令和7年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査では、体力合計点が小中学校の男女すべてで前年度を上回りました。この調査は、国公私立の小学5年生と中学2年生の全員を対象にした悉皆調査(対象者全員を調べる調査)で、令和7年4月〜7月に各学校で行われました。
| 区分 | 令和元年度(コロナ前) | 令和6年度 | 令和7年度 | 前年度との差 | これまでの最高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小学5年生 男子 | 53.61点 | 52.54点 | 53.03点 | 0.5点増 | 54.36点(平成22年度) |
| 小学5年生 女子 | 55.59点 | 53.93点 | 53.98点 | 0.1点増 | 55.90点(平成30年度) |
| 中学2年生 男子 | 41.56点 | 41.69点 | 42.06点 | 0.4点増 | 42.18点(平成30年度) |
| 中学2年生 女子 | 50.03点 | 47.22点 | 47.46点 | 0.3点増 | 50.43点(平成30年度) |
体力合計点は8項目をそれぞれ10点満点に換算した80点満点の合計。国公私立の全国集計。前年度との差は報告書の記載による。出典:スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書」をもとに Human Soar 作成
テストの項目は、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、20mシャトルラン(中学は持久走との選択)、50m走、立ち幅とび、ボール投げの8つです。各項目の記録を10点満点の得点に換算して足したものが体力合計点で、80点満点になります。
前年度との差は、小学5年生の男子が0.5点、女子が0.1点、中学2年生の男子が0.4点、女子が0.3点の増加でした。実際に記録を出した子どもは、小学校で92万4,976人、中学校で86万7,926人にのぼります(男女の合計は本記事の計算値)。総合評価(A〜Eの5段階)でC以上の割合も、小中学校の男女とも前年度より増えています。
一方で、令和元年度の数字と比べると、上回っているのは中学2年生の男子だけです。スポーツ庁も概要の中で、中学校男子を除いてコロナ前の水準に至っていないとまとめています。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果について(概要) – スポーツ庁
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(基礎集計 小学校) – スポーツ庁
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(基礎集計 中学校) – スポーツ庁
体力合計点の推移|コロナ前の水準に戻ったのは中学男子だけ

平成20年度から令和7年度までの体力合計点を並べると、平成30年度ごろまでの上昇、令和元年度からの低下、令和3〜6年度の低迷、令和7年度の回復という流れが見えます。令和元年度は、4区分すべてで平成30年度を下回りました。4区分それぞれの最も低い点数は、すべて令和3〜6年度の間に記録されています。
小学5年生の男子は令和4年度の52.29点、女子は令和6年度の53.93点、中学2年生の男子は令和4年度の40.90点、女子は令和5年度の47.08点が最も低い点数でした。令和7年度はそこから上向いていますが、項目ごとに見ると伸びている力と落ち続けている力がはっきり分かれます。体の発育や動きの土台についてはスポーツ教育とは何かでも整理しています。
小学5年生は握力と投げる力の低下が続く
小学5年生の男子の握力は15.97kgで、調査が始まった平成20年度の17.01kgから約1kg下がっています。ソフトボール投げは平成20年度の25.39mに対して令和7年度は21.06mで、4m以上短くなりました。女子も握力が15.61kg、立ち幅とびが142.39cmで、どちらも平成20年度以降で最も低い記録です。
反対に、長座体前屈(柔軟性)は男女とも平成20年度より伸びています。男子の20mシャトルランは47.95回で前年度の46.90回から増えましたが、平成30年度の52.15回にはまだ届いていません。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(基礎集計 小学校) – スポーツ庁
中学2年生は柔軟性が伸び持久走が落ちている
中学2年生の男子は、長座体前屈が44.98cmで平成20年度以降で最も高い記録になりました。立ち幅とびも197.50cmと高い水準です。一方で持久走(1500m)は410.24秒で、平成20年度の396.50秒より約14秒遅くなっています。
女子は持久走(1000m)が310.35秒で、平成20年度以降で最も遅い記録でした。ハンドボール投げも12.36mで、平成20年度の13.51mを下回っています。体力合計点が平成30年度の50.43点から3点近く低いままなのは、こうした持久力と投げる力の落ち込みが重なっているためと読めます。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(基礎集計 中学校) – スポーツ庁
平成10年頃と比べると青少年の合計点は高い
6〜79歳を対象にした令和7年度の体力・運動能力調査では、もう少し長い目で推移を見られます。新体力テストが始まった平成10年頃と比べると、6〜19歳の合計点は男女ともいずれの年代でも令和7年度のほうが高い結果でした。
ただし項目別では、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、20mシャトルランが伸びた一方で、握力、ボール投げ、持久走はほとんどの年代で平成10年頃より低くなっています。最近10年間に限ると、合計点は男女とも過半数の年代で低下傾向です。「昔より落ちた」とひとまとめにせず、どの力が落ちているかで見るのが正確です。
(参考)令和7年度体力・運動能力調査結果の概要 – スポーツ庁
Q. 子どもの体力は昔より落ちているのですか?
項目によって違います。6〜19歳の青少年の新体力テストの合計点は、平成10年頃と比べると男女ともいずれの年代でも令和7年度のほうが高くなっています。一方で、握力、ボール投げ、持久走はほとんどの年代で平成10年頃より低く、小学5年生と中学2年生の体力合計点も、中学男子を除いてコロナ前の水準に戻っていません。
運動時間とスクリーンタイム|週420分以上動く子が減った
令和7年度の調査では、体育の授業以外で1週間に420分(1日あたり60分)以上運動する子どもの割合が、小中学校の男女とも前年度より下がりました。体力合計点は上がっても、学校の外で体を動かす時間は増えていないことになります。
運動しない子が少しずつ増えている
1週間の総運動時間が420分以上の割合は、令和6年度と比べて小学校の男子で2.5ポイント、女子で2.0ポイント、中学校の男子で0.8ポイント、女子で0.4ポイント減りました。60分未満の子どもは、中学校女子を除いて微増しています。報告書の総括では、運動時間が0分と答えた割合も増えたとしています。
小学5年生の1週間の総運動時間の平均は、男子が522.9分、女子が315.2分でした。420分以上運動する子どもは体力合計点が高い傾向にあり、運動の量の差がそのまま体力の差につながっている様子がうかがえます。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(調査結果の総括) – スポーツ庁
スクリーンタイムは小学生で減り中学生で増えた
学習以外でテレビ、ゲーム機、スマートフォンなどの画面を見る時間(スクリーンタイム)が5時間以上の割合は、令和6年度と比べて小学校の男子で1.7ポイント、女子で1.5ポイント減りました。中学校は男子が横ばい、女子が0.1ポイントの増加です。
報告書は、運動時間が少ない子どもや朝食を抜くことが多い子どもほど、スクリーンタイムが長い傾向にあるとしています。睡眠時間が8時間以上の割合は、小中学校とも前年度から増えました。運動、食事、睡眠、画面を見る時間はつながっているので、運動だけを切り離さずに生活全体で見る必要があります。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(調査結果の総括) – スポーツ庁
Q. スクリーンタイムが長いと体力は下がりますか?
スクリーンタイムの長さと運動時間の短さには関連が見られますが、体力を下げる原因だとまでは言えません。報告書では、運動時間が少ない子どもほどスクリーンタイムが長い傾向が示されています。ただし報告書自身が、クロス集計は必ずしも因果関係を示すものではないと注意しています。
スポーツクラブに入る子は体力合計点が高い|所属の差は年齢を問わず続く

地域のスポーツクラブや運動部に入っているかどうかで、運動時間と体力合計点には大きな差があります。令和7年度の小学5年生では、クラブに入っている子どもの1週間の総運動時間が、入っていない子どもの2倍を超えていました。スポーツ教室や地域クラブを運営する側にとっては、子どもが運動する場を用意すること自体に意味があることを示すデータです。
小学5年生はクラブ所属で運動時間が2倍以上
地域のスポーツクラブに入っている小学5年生の男子は1週間に平均657.5分運動しており、入っていない男子の270.2分を大きく上回りました。女子も入っている子が433.6分、入っていない子が197.1分です(倍率はどちらも2倍超。本記事の計算値)。体力合計点は、男子が55.6点と48.2点、女子が56.7点と51.3点でした。
ただし、これはクラブに入ったから体力が上がったという意味ではありません。もともと運動が好きな子がクラブに入りやすい面があり、報告書もクロス集計は必ずしも因果関係を示さないと注意しています。ジュニア期にどんな動きを経験させるとよいかは、ジュニア期のコーディネーショントレーニングで解説しています。
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(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(基礎集計 小学校) – スポーツ庁
中学生から大人まで所属の有無で差がつく
令和7年度の体力・運動能力調査の分析では、すべての年代と男女で、運動部やスポーツクラブに所属している人の体力合計点が、所属していない人を上回りました。所属している人としていない人の差は、12歳(中学1年)で男子6.6点、女子9.1点、15歳(高校1年)で男女とも9.1点です。
12歳、15歳では、この差が長い目で見て広がる傾向にあります。所属率は12歳では高い水準にありますが、19歳で大きく下がり、とくに女子でその傾向が目立ちます。中学から高校、大学へと進む節目で、運動を続けられる場を失う子どもが多いことが分かります。
(参考)令和7年度体力・運動能力調査 調査結果の分析 – スポーツ庁
Q. 地域のスポーツクラブに入ると体力は上がりますか?
クラブに入っている子どもほど体力合計点が高い傾向ははっきり出ていますが、入れば上がると言い切れるデータではありません。令和7年度の小学5年生では、地域のスポーツクラブに入っている男子の体力合計点が55.6点、入っていない男子が48.2点でした。もともと運動が好きな子がクラブに入りやすい面もあるため、差の一部はその影響と考えられます。
企業とスポーツ団体が結果を生かす3つの視点|部活動の地域展開に向けて
文部科学省は令和7年12月にガイドラインを策定し、令和8年度から令和13年度までの6年間を部活動改革の「改革実行期間」としました。休日の部活動は、この期間内に原則すべてを地域に展開することを目指しています。ガイドラインは、持続可能な運営のために民間企業との連携や寄附の活用を組み合わせることも重要だとしています。企業の関わり方は部活動の地域展開で企業が関わる方法にまとめています。
(参考)部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(令和7年12月) – スポーツ庁
女子が続けやすい活動の形をつくる
令和7年度の調査では、運動やスポーツが「好き」と答えた割合が小学校の女子だけで減りました。中学2年生の女子は持久走とハンドボール投げの記録が落ち、体力合計点の回復も遅れています。さらに体力・運動能力調査では、運動部やクラブへの所属率が19歳で大きく下がり、女子でその傾向が顕著でした。
競技の勝敗だけを目標にした活動では、続けられない子が出てきます。週1〜2回の活動、複数の種目を体験できるプログラム、友達と一緒に参加しやすい形など、女子が入りやすく抜けにくい形を用意することが、地域クラブを担う側の工夫どころです。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(調査結果の総括) – スポーツ庁
できた実感と自分のペースを設計に入れる
体育・保健体育の授業が楽しくないと感じている子どもは、「できなかったことができるようになったら」「自分に合ったペースで行うことができたら」授業が楽しくなると答えた割合が高くなっていました。小中学校とも女子では、「できる・できないだけで比べられなかったら」という回答の割合も高く出ています。
スポーツ教室でも同じことが言えます。他の子との比較ではなく本人の記録の伸びを見せる、レベル別のグループで進める、といった設計にすると、運動が苦手な子が離れにくくなります。運動やスポーツが好きな子どもほど運動時間が長く体力合計点も高い傾向にあるため、「好き」を守ることがそのまま体力づくりにつながります。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(調査結果の総括) – スポーツ庁
握力や投げる動きを遊びの中で増やす
長く落ち続けているのは、握力、ボール投げ、持久走です。どれも、ふだんの生活や外遊びで自然に身についていた動きで、特定の競技の練習だけでは補いにくい力でもあります。ぶら下がる、つかむ、投げる、長く走り続けるといった動きを、鬼ごっこやゲームの形で練習の最初に入れるだけでも、経験の量は増やせます。
学校の側にも外部の力を借りたい事情があります。地域などの外部資源も含めて人や物をうまく組み合わせる取り組みを行っている学校は、中学校で71.9%と、ほかの取り組みより低い割合でした。学校と地域クラブが同じ体力テストの結果を見ながら、どの力を伸ばすかを話し合えると、指導の重なりや抜けを減らせます。
(参考)令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(調査結果の総括) – スポーツ庁
Q. 企業は子どもの体力向上にどう関われますか?
部活動の地域展開に合わせて、地域クラブの運営、指導者の派遣、練習場所の提供などで関われます。文部科学省のガイドラインは、令和8年度から令和13年度までの6年間を改革実行期間とし、民間企業との連携や寄附の活用も有効に組み合わせることが重要だとしています。まずは事業所のある市区町村の部活動の担当窓口に、どんな協力が求められているかを聞くのが近道です。
大人の体力テストの結果|40歳代女子は25年で6.4%下がった
令和7年度の体力・運動能力調査では、20〜79歳の大人の体力合計点の推移も分析されています。平成13年度を100%とした場合、男女とも60歳代と70歳代は大きく伸びた一方、40歳代は男女とも平成13年度を下回りました。子どもの運動環境を支える親の世代、つまり企業で働く世代の体力が落ちている点は見逃せません。
女子の60歳代は令和7年度に118.2%、70歳代は114.7%でした。これに対して女子の40歳代は93.6%で、平成13年度から6.4%下がっています。男子の40歳代も98.8%と、平成13年度を下回りました。
週1日以上運動やスポーツをしている人は、すべての年代と男女で、総合評価C以上の割合が週1日未満の人を上回っていました。35〜39歳と45〜49歳の女子では、週1日以上運動する人の割合もC以上の割合も低下傾向にあります。従業員の運動習慣を把握する方法は健康診断の運動習慣の質問を生かす方法で紹介しています。親子で参加できるスポーツ教室は、子どもと働く世代の両方の運動時間を増やす手段にもなります。
(参考)令和7年度体力・運動能力調査 調査結果の分析 – スポーツ庁
新体力テストの結果のまとめ
令和7年度の新体力テストの結果は、回復の兆しと、まだ戻りきらない力の両方を示しています。数値の出典は本文の各セクションに記載しています。
- 令和7年度は小学5年生・中学2年生の男女とも体力合計点が前年度より上がったが、コロナ前を超えたのは中学男子だけ
- 握力、ボール投げ、持久走は長く低下が続いており、柔軟性などは伸びている
- 週420分以上運動する子どもの割合は小中学校の男女とも下がった
- 地域のスポーツクラブに入っている小学5年生は、運動時間が入っていない子の2倍を超える
- 部活動の地域展開に向けて、女子が続けやすく「できた」を感じられる場を企業や団体がつくる余地がある
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