スポーツ団体ガバナンスコードとは|企業が読む13原則と審査結果

スポーツ団体ガバナンスコードとは|企業が読む13原則と審査結果 スポーツビジネス

競技団体から、協賛の提案書が届いた。稟議にかけると、法務から「この団体の運営は、誰かが外から確かめているのか」と聞かれます。提案書には露出のメニューと金額が並んでいても、団体そのものの運営について書かれたページは見当たりません。

スポーツ団体ガバナンスコードは、スポーツ庁が2019年に定めた、スポーツ団体の組織運営の原則・規範です。中央競技団体は、13の原則をどこまで実施しているかを毎年みずから説明して公表し、4年ごとに統括団体の適合性審査を受けます。自己説明も審査の結果も公開されているので、協賛する企業は、契約の前に自分で開いて確かめられます。

この記事では、コードの中身と仕組みをスポーツ庁などの原典で整理し、協賛先の公表資料をどこで見て、何を確かめるかをまとめます。資料は、いずれも2026年10月11日に確認したものです。法務に関わる部分は一般的な内容の紹介で、個別の判断は弁護士などの専門家に相談してください。

スポーツ団体ガバナンスコードはスポーツ庁が定めた運営の原則

スポーツ団体ガバナンスコードは、スポーツ団体が適切な組織運営を行うための原則・規範として、スポーツ庁が定めた文書です。中央競技団体向けと、一般スポーツ団体向けの2本があります。中央競技団体とは、日本サッカー協会のように、1つの競技を国内で統括する団体のことです。

項目 中央競技団体向け 一般スポーツ団体向け
対象 日本スポーツ協会、日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会に加盟する中央競技団体 左のほかのスポーツ団体(当面)
原則の数 13 6
策定 令和元年(2019年)6月10日 令和元年(2019年)8月27日
改定 令和5年(2023年)9月29日 令和5年(2023年)11月30日
自己説明と公表 年1回、求められる 自主的に行う
第三者の審査 統括団体の適合性審査を4年ごとに受ける なし

スポーツ団体ガバナンスコードの2本の違い(出典:スポーツ庁「スポーツ団体ガバナンスコード」のページと、両コードの本文。2026年10月11日に確認)

コードは法律ではありません。コードが作られた2019年当時、スポーツ基本法の第5条第2項は、スポーツ団体に、運営の透明性を確保し、自らが遵守すべき基準を作るよう求めていました。スポーツ庁は、その基準づくりに「資するよう」コードを定めた、と前文に書いています。

2025年の改正(同年9月1日施行)で、この内容は第29条の5第2項に移りました。現在の条文は、スポーツ庁長官が定める指針に基づいて基準を作り、講じた措置の状況を公表することなどにより、運営の公正性と透明性の確保に努めるよう求めています。改正の全体はスポーツ基本法の改正ポイントで整理しています。

(参考)スポーツ基本法(平成二十三年法律第七十八号) – e-Gov法令検索

出発点は、スポーツ庁が平成30年(2018年)12月20日に公表した「スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン」です。この文書は「最近の相次ぐ問題事案を踏まえ」と書き、コードの策定、自己説明と公表、適合性審査、円卓会議の設置を並べました。コードの前文は、策定の前の状況を、団体がいわば「身内」のみによって運営され、組織内の慣習や人間関係への配慮が優先されるケースが指摘されていた、と説明しています。

書き方にも特徴があります。細かい規則を並べるのではなく、原理原則を示す方式です。団体は、各原則を実施するか、実施しない場合はその理由を説明します。この方式は「コンプライ・オア・エクスプレイン」と呼ばれます。スポーツ界の運営がなぜ問われてきたかは、日本のスポーツ業界の課題の記事でも触れています。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード – スポーツ庁

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<一般スポーツ団体向け>2023年11月30日改定版 – スポーツ庁

(参考)スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン(平成30年12月20日) – スポーツ庁

Q. スポーツ団体ガバナンスコードとは何ですか?

スポーツ庁が定めた、スポーツ団体が適切な組織運営を行うための原則・規範です。中央競技団体向け(13原則、2019年6月策定・2023年9月改定)と、一般スポーツ団体向け(6原則、2019年8月策定・2023年11月改定)の2本があります。法律ではなく、団体が各原則を実施するか、実施しない理由を説明して公表する方式です。

中央競技団体のガバナンスは審査と助成の2経路で確かめられる

スポーツ団体ガバナンスコードの仕組みの図解。中央競技団体を中心に、スポーツ庁、統括団体、JSC、地方組織、協賛企業が渡すものと受け取るもの

中央競技団体の運営は、統括団体による審査と、公的な助成の配分という2つの経路で、外から確かめられています。図は、中央競技団体を真ん中に置き、まわりの5者が渡すものと受け取るものを並べたものです。

スポーツ庁は、コードを定め、「スポーツ政策の推進に関する円卓会議」を主宰します。円卓会議は、スポーツ庁長官と、日本スポーツ振興センター(JSC)、日本スポーツ協会(JSPO)、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラスポーツ協会(JPSA)の長でつくる会議です。スポーツ庁はこの場で、審査の実施状況や不祥事が起きたときの対応を確認し、必要に応じて改善を求めます。

JSPO、JOC、JPSAの3者は、コードの中で統括団体と呼ばれます。統括団体は、加盟する中央競技団体に適合性審査を4年ごとに行い、結果を公表します。団体の側は、審査書類と規程などの証拠書類を出します。JOCやJSPOといった統括団体の役割は、別の記事で整理しています。

お金の経路もあります。JSCは助成金を交付する機関で、競技の強化にあてる競技力向上事業では、適合性審査の結果などが配分に使われます。令和8年度の実施基準の補足資料(案)は、要改善事項がフォローアップで未改善と評価された団体について、算出した額に80%を乗じるとしています。審査を受けていない団体で自己説明と公表が適切でない場合は、90%です。JSCは、希望する団体にガバナンスとコンプライアンスの診断も行っていて、こちらの結果は助成や審査には反映されません。

残る2者は、団体から受け取る側です。都道府県の協会などの地方組織は、原則13にもとづいて、中央競技団体から指導、助言、支援を受けます。協賛する企業は協賛金を出す立場で、団体が公表する自己説明を読めます。コードは、中央競技団体の特徴として、スポンサー、メディア、地域社会など多くのステークホルダーが存在することを挙げています。スポーツ業界のステークホルダーの全体像は、クラブを中心にした記事にまとめました。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

(参考)スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン(平成30年12月20日) – スポーツ庁

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>適合性審査運用規則 – 日本スポーツ協会・日本オリンピック委員会・日本障がい者スポーツ協会

(参考)スポーツ政策の推進に関する円卓会議(第12回) 議事要旨 – スポーツ庁

(参考)スポーツ政策の推進に関する円卓会議(第12回) 配付資料 – スポーツ庁

中央競技団体向けガバナンスコードの原則一覧|計画から地方組織まで

中央競技団体向けのコードは、基本計画、役員の体制、規程、コンプライアンス、情報開示、通報と懲罰、危機管理、地方組織への支援までを、13の原則で定めています。題は次のとおりです。

原則 題(原文のまま)
原則1 組織運営等に関する基本計画を策定し公表すべきである。
原則2 適切な組織運営を確保するための役員等の体制を整備すべきである。
原則3 組織運営等に必要な規程を整備すべきである。
原則4 コンプライアンス委員会を設置すべきである。
原則5 コンプライアンス強化のための教育を実施すべきである。
原則6 法務,会計等の体制を構築すべきである。
原則7 適切な情報開示を行うべきである。
原則8 利益相反を適切に管理すべきである。
原則9 通報制度を構築すべきである。
原則10 懲罰制度を構築すべきである。
原則11 選手,指導者等との間の紛争の迅速かつ適正な解決に取り組むべきである。
原則12 危機管理及び不祥事対応体制を構築すべきである。
原則13 地方組織等に対するガバナンスの確保,コンプライアンスの強化等に係る指導,助言及び支援を行うべきである。

スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>の原則(出典:スポーツ庁「スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版」)

それぞれの原則の下には、より具体的な規定があります。たとえば原則1には、中長期の基本計画、人材の採用と育成の計画、財務の健全性を確保する計画の3つを策定して公表することが並びます。原則11は、団体の処分や紛争を、日本スポーツ仲裁機構のスポーツ仲裁に委ねられるようにしておくことを求めています。

一般スポーツ団体向けのコードは、6つの原則です。法令にもとづく運営、基本方針の策定と公表、暴力行為の根絶に向けたコンプライアンス意識の徹底、公正な会計処理、情報開示の5つが共通の事項です。6つ目は、高い水準が求められると団体が自ら判断する場合に、中央競技団体向けの規定についても説明して公表する、というものです。スポーツ庁は、この2本を「2層構造」と呼んでいます。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<一般スポーツ団体向け>2023年11月30日改定版 – スポーツ庁

協賛する企業が読んでおきたいガバナンスコードの3つの原則

13の原則のうち、協賛する企業の実務に近いのは、役員の体制を定めた原則2、情報開示の原則7、利益相反の原則8です。団体の自己説明を開いたら、まずこの3つの欄から読むと、運営の様子をつかみやすくなります。

原則2|外部理事25%と女性理事40%は目標割合として設定する

原則2は、外部理事の目標割合を25%以上、女性理事の目標割合を40%以上に設定し、達成に向けた具体的な方策を講じることを求めています。求めているのは目標の設定と方策で、いま達成していることではありません。自己説明では、目標の時期と、そこへ向けた手順が書かれているかを見てください。

実績も本文に載っています。スポーツ庁の中央競技団体への実態調査で、外部理事の割合は平成30年度の平均12.6%から令和4年度に29.2%へ、女性理事の割合は15.6%から26.5%へ上がりました。コードは、女性理事について、未だ目標割合は達成できていない、と書いています。

在任の長さにも定めがあります。理事が原則として10年を超えて在任することがないよう、再任回数の上限を設けることです。国際競技団体の役員である場合などの例外があり、就任時の年齢にも制限を設けるよう求めています。年齢の数字そのものは、コードに書かれていません。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

原則7|遵守状況は団体のウェブサイトで開示する

原則7は、法令にもとづく財務情報の開示に加えて、選手選考に関する情報と、コードの遵守状況に関する情報を開示することを求めています。開示の方法は、特段の理由がない限り、団体のウェブサイトなどが望まれる、とされています。協賛の検討で自己説明を読めるのは、この原則があるからです。

コードは、自己説明が団体の内部だけでなく、国民や社会を含む多様なステークホルダーに向けたものだと書いています。協賛する企業が自己説明を読んで質問することは、コードが想定している使い方の内側にあります。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

原則8|役員を兼ねる企業との協賛契約は利益相反の例になる

原則8は、役職員や選手、指導者などと団体との間に生じ得る利益相反を管理し、利益相反ポリシーを作ることを求めています。コードが具体例に挙げているのは、団体の理事が、その競技に関連する企業の代表取締役を兼ねたまま、団体とその企業がスポンサー契約を結ぶケースです。

コードは、こうした取引が団体の運営に有益な場合もあるとして、一律には否定していません。求めているのは、特定の者への不当な利益誘導を防ぐ手順を踏み、透明性のある手続に沿って対処する体制です。自社の役員が協賛先の理事を務めているなら、団体の側でどの手続を通すのかを、契約の前に確かめておくと安心です。

ここで紹介したのはコードの一般的な内容です。自社の契約が利益相反に当たるかどうか、社内でどの決裁が要るかといった個別の判断は、弁護士などの専門家に相談してください。

あわせて読みたいスポーツスポンサー契約とは|企業が確かめる6項目と印紙・法律›

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

自己説明は年1回|適合性審査は4年に1回のサイクルで回る

スポーツ団体ガバナンスコードの自己説明と適合性審査の回り方の図解。自己説明の作成、公表、4年に1回の適合性審査、結果の公表、フォローアップの5段階

中央競技団体は、自己説明を毎年公表し、4年に1回、統括団体の適合性審査を受けます。審査は書類の調査と担当者へのヒアリングで行われ、結果と所見は統括団体のサイトに載ります。

適合はF評価が1つもないという意味

審査の総合評価は、適合と不適合の2つです。統括団体の運用規則は、審査項目ごとにA、B、N、Fの評価を付け、Fが1つも付かなければ適合、1つでも付けば不適合と定めています。Aは規定を十分に遵守している、という評価です。

Bは、十分には遵守していないものの、合理的な理由と今後の方策を説明している、という評価です。Nは、その項目を自団体に当てはめるのが合理的でないことを説明できている場合に付きます。つまり、適合と書かれていても、すべての規定を実施しているとは限りません。項目ごとの評価は公開の対象に入っていないので、足りない部分は団体の自己説明で読むことになります。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>適合性審査運用規則 – 日本スポーツ協会・日本オリンピック委員会・日本障がい者スポーツ協会

要改善事項は翌年度のフォローアップで追える

B評価のうち、近い将来に組織運営へ支障をきたしかねないものは、要改善事項として指摘されます。指摘を受けた団体は、翌年度に統括団体のフォローアップを受けます。結果は、スポーツ庁の円卓会議の配付資料に、団体と審査項目ごとの改善状況として載ります。

協賛先に要改善事項が付いていたら、翌年の資料で、直ったかどうかまで追えます。指摘があること自体よりも、期限までに手を打ったかどうかのほうが、運営の姿勢を映します。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>適合性審査運用規則 – 日本スポーツ協会・日本オリンピック委員会・日本障がい者スポーツ協会

(参考)スポーツ政策の推進に関する円卓会議(第12回) 配付資料 – スポーツ庁

令和7年度は28団体すべてが適合

直近の結果は、令和7年度(2025年度)の審査です。日本スポーツ協会は令和8年(2026年)3月27日に公表し、同じ日の円卓会議(第12回)にも報告されました。審査を受けた28団体は、すべて適合でした。前年の令和6年度も、27団体すべてが適合です。スポーツ庁によると、審査は令和6年度から2巡目に入っています。

一部の団体には要改善事項が付き、所見には「2026年10月末までに改善が望まれる」と期限が書かれています。アスリート委員会の委員を公募した取り組みなどは、好事例として紹介されました。団体ごとの所見は、一覧のPDFでそのまま読めます。

気をつけたいのは、1つの団体が審査を受けるのは4年に1回だという点です。協賛先の最新の審査結果は、最大で4年前のものかもしれません。そのあいだを埋めるのが、毎年の自己説明です。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード – 公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)

(参考)スポーツ政策の推進に関する円卓会議(第12回) 配付資料 – スポーツ庁

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け> – スポーツ庁

Q. スポーツ団体ガバナンスコードの適合性審査の結果はどこで見られますか?

日本スポーツ協会と日本オリンピック委員会の公式サイトに、年度ごとの審査結果と審査所見が載っています。スポーツ庁の「スポーツ政策の推進に関する円卓会議」の配付資料でも読めます。令和7年度は28団体が審査を受け、すべて適合でした。

協賛先が中央競技団体かどうかで公表資料を見る場所が変わる

協賛先が中央競技団体なら統括団体のページと団体の公式サイト、それ以外の団体ならJSCのスポーツガバナンスウェブサイトが入り口です。最初に、相手がどちらのコードの対象かを確かめてください。

協賛先 見る場所 確かめること
中央競技団体 日本スポーツ協会・日本オリンピック委員会の審査結果のページ、団体の公式サイト 総合評価、要改善事項の有無とその後、自己説明の未実施の項目と理由
一般スポーツ団体(都道府県の競技団体、地域のクラブなど) JSCのスポーツガバナンスウェブサイト、団体の公式サイト 自己説明が登録されているか、基本方針と会計の開示、更新の時期

協賛先の種類ごとの公表資料の探し方(出典:スポーツ庁、日本スポーツ協会、日本オリンピック委員会、日本スポーツ振興センターの公表資料をもとにHuman Soarが整理)

中央競技団体は統括団体のページと団体の公式サイトで見る

審査結果は、日本スポーツ協会の「スポーツ団体ガバナンスコード」のページに、令和2年度から年度ごとに並んでいます。審査委員会の議事録と、要改善事項の評価も同じ表にあります。日本オリンピック委員会も、「適合性審査結果」のページで年度ごとのPDFを公開しています。

自己説明は、1か所にまとまっていません。日本スポーツ協会は、加盟団体の自己説明について、各団体のホームページを見るよう案内しています。団体のサイトで「ガバナンスコード」や「自己説明」を探し、未実施の項目に理由と目標の時期が書かれているかを読みます。コードは、慣習に合わない、役員の賛同が得にくいといった主観的な理由だけの説明は合理的と認められない、としています。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード – 公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)

(参考)適合性審査結果 – 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

都道府県の団体や地域のクラブはスポーツガバナンスウェブサイトで探す

一般スポーツ団体の自己説明は、JSCが運営するスポーツガバナンスウェブサイトで、団体名や競技名、所在地から検索できます。2021年3月に運用が始まり、2026年3月5日の時点で2,446団体が公開しています。内訳は一般スポーツ団体が2,325、中央競技団体が121です。

登録は団体の自主的な取り組みですが、助成とはつながっています。JSCの令和8年度の申請の手引は、スポーツ振興くじ助成金を申請するスポーツ団体に、コードの遵守状況の自己説明と公表を求めています。この手引は、日本トップリーグ連携機構の加盟団体や、大会の運営のために設立された法人を、一般スポーツ団体向けコードの対象に分けています。

サイトに載っていないからといって、運営に問題があるとは言えません。自己説明は、公表から4年間更新がないと自動で削除されます。見つからないときは、団体に直接、基本方針や決算をどこで公開しているかを尋ねてみてください。自己説明のほかに見ておきたい公開情報は、スポーツインテグリティの記事にまとめています。

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(参考)スポーツガバナンスウェブサイト – 独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)

(参考)スポーツ政策の推進に関する円卓会議(第12回) 配付資料 – スポーツ庁

(参考)令和8年度 スポーツ振興くじ助成金 申請の手引【スポーツ団体スポーツ活動助成(抜粋)】 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)

コーポレートガバナンス・コードとは手法が同じで相手と審査が違う

スポーツ団体ガバナンスコードと東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードの共通点と違いを2つの円の重なりで示した図解

企業の側でなじみのある東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードと比べると、スポーツ団体ガバナンスコードは、手法が同じで、説明する相手と第三者の審査の有無が違います。上場会社で開示に関わっている担当者なら、同じ読み方が使えます。

共通点は原則主義と実施か説明かの手法

2つのコードは、どちらも「プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)」と「コンプライ・オア・エクスプレイン」という語を本文で使っています。細かい規則ではなく原則を示し、実施しない原則があれば理由を説明する、という組み立てです。東証のコードは、各原則は法的拘束力を有する規範ではない、と書いています。

読み方も共通します。東証のコードは、一部を実施していないことだけをもって機械的に評価するのは適切でない、としています。スポーツ団体の自己説明も、未実施の項目の数ではなく、理由と見通しの書きぶりで読むものです。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

(参考)コーポレートガバナンス・コード(2026年7月21日) – 株式会社東京証券取引所

違いは説明する相手と第三者の審査

対象は、東証のコードが上場会社、スポーツ団体ガバナンスコードがスポーツ団体です。東証のコードは、株主をはじめとするステークホルダーとの対話を軸にしています。スポーツ団体のコードは、国民や社会を含む多様なステークホルダーへの説明を求めます。

仕組みの違いは2つあります。1つは審査です。中央競技団体は、統括団体から4年ごとに適合性審査を受け、適合か不適合かが公表されます。もう1つはお金で、審査の結果や自己説明の有無が、公的な助成の配分や申請につながっています。東証のコードの本文には、この2つに当たる記載は見当たりません。

数値の置き方も違います。東証の2026年7月の版は、プライム市場の上場会社に、独立社外取締役を少なくとも3分の1以上選任するよう求めています。スポーツ団体のコードは、外部理事25%以上、女性理事40%以上という目標割合の設定です。上場制度の細かな運用はこの記事では扱いません。スポーツ法務に詳しい機関や法律事務所は、別の記事で紹介しています。

(参考)スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>2023年9月29日改定版 – スポーツ庁

(参考)コーポレートガバナンス・コード(2026年7月21日) – 株式会社東京証券取引所

(参考)コーポレートガバナンス・コード – 日本取引所グループ

Q. スポーツ団体ガバナンスコードとコーポレートガバナンス・コードの違いは何ですか?

対象と、第三者による審査の有無が違います。コーポレートガバナンス・コードは東京証券取引所が上場会社に向けて定めたもので、スポーツ団体ガバナンスコードはスポーツ庁がスポーツ団体に向けて定めたものです。中央競技団体は、統括団体の適合性審査を4年ごとに受けます。原則を実施するか、実施しない理由を説明するという手法は共通です。

まとめ|ガバナンスコードの公表資料は協賛の前に自分で開ける

団体の運営は、提案書には書かれていなくても、公表資料で確かめられます。要点を振り返ります。

  • スポーツ団体ガバナンスコードは、スポーツ庁が2019年に定めた原則・規範で、中央競技団体向けは13原則、一般スポーツ団体向けは6原則
  • 中央競技団体は、年1回の自己説明と公表、4年ごとの適合性審査を求められる
  • 総合評価の適合は、F評価が1つもないという意味。要改善事項は翌年度のフォローアップで追える
  • 令和7年度の審査は28団体すべてが適合。結果は日本スポーツ協会、日本オリンピック委員会、スポーツ庁の円卓会議の資料で読める
  • 一般スポーツ団体の自己説明は、JSCのスポーツガバナンスウェブサイトで検索できる

協賛の提案を受けたら、まず相手が中央競技団体かどうかを確かめ、審査結果の一覧と自己説明を開いてみてください。未実施の項目に理由と時期が書かれているかを読むだけでも、稟議で聞かれる質問の多くに、資料を添えて答えられるようになります。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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