スタンディングデスクの効果|研究結果とスポーツ視点の座りすぎ対策

スタンディングデスクの効果|研究結果とスポーツ視点の座りすぎ対策 スポーツウェルビーイング

スタンディングデスクの効果として確かめられているのは、職場で座る時間が減ることです。コクランの総説では短期で1日約100分減りました。ただし証拠の質は低く、健康への効果はまだ証明されていません。スポーツや運動の代わりにはならないと考えて導入します。

「座りすぎは体に悪い」と聞いて、スタンディングデスクを入れようか検討している。腰痛が治る、痩せる、集中できる、といろいろ言われますが、どこまで本当なのか気になります。

この記事では、研究で分かっていること、分かっていないこと、立ちっぱなしの注意点、運動との組み合わせ、会社で導入するときのポイントを整理します。

スタンディングデスクの効果は座る時間が1日約100分減ること

職場の座位を減らす方法を調べたコクランの2018年の総説は、複数の論文をまとめています。上下に動く机と通常の机を比べた結果は次のとおりです。

期間 職場で座る時間の変化 証拠の質
短期(3か月まで) 1日平均100分減(84〜116分) 低い
中期(3〜12か月) 1日平均57分減(15〜99分) 低い
1年を超える 根拠が見つからない ―

出典:Cochrane「Workplace interventions for reducing time spent sitting at work」。数値は通常の机との差です。

時間がたつと効果は小さくなる可能性があります。導入した直後は使っても、だんだん座ったままになることがあるということです。

(参考)Workplace interventions for reducing time spent sitting at work(2018) – Cochrane

Q. スタンディングデスクに効果はありますか?

職場で座る時間を減らす効果は報告されており、短期で1日平均100分ほどです。ただし証拠の質は低く、時間がたつと小さくなる可能性があります。病気の予防などの健康への効果は、証明されたとは言えません。

腰痛やダイエットへの効果は根拠が足りない

分かっていることを分ける|スタンディングデスクの効果

立つ時間が増えれば健康になる、と期待したくなりますが、研究はそこまで示していません。効果を分けて考えます。

肩や腰の痛みへの効果ははっきりしない

コクランの別の総説は、座りがちな働く人の筋骨格の症状について、立つ・歩く時間を増やす取り組みが痛みを減らすとは結論づけられないとしています。腰痛の対策は座り仕事の腰痛対策の記事で整理しています。

(参考)Workplace interventions for increasing standing or walking for decreasing musculoskeletal symptoms – Cochrane

ダイエット目的の導入は根拠が足りない

立っているほうが座っているよりエネルギーを使うのは確かです。ただ、スタンディングデスクだけで体重が大きく減ると示した根拠は、今回の確認では見つかりませんでした。減量を目的にするなら、食事や運動と合わせて考えます。

立ちっぱなしも負担になるので座ると立つを交互にする

座りすぎをやめて立ちっぱなしになると、別の負担が生まれます。厚生労働省の腰痛予防の指針は、立ち作業では長時間の連続した立位を避け、おおむね1時間に1〜2回の小休止をとることが望ましいとしています。床が硬ければクッション性のある靴やマットを使います。

身体活動ガイドは、座りっぱなしをたとえば30分ごとに中断することを勧めています。ずっと立つのではなく、座る時間を区切る道具として使います。立ち作業の注意点は立ち仕事の腰痛対策の記事で説明しています。

(参考)職場における腰痛予防対策指針及び解説 – 厚生労働省

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省

Q. スタンディングデスクは1日何時間立てばよいですか?

決まった公的な時間は確認できませんでした。厚生労働省の資料は座りっぱなしをこまめに中断することと、長時間の連続した立位を避けることを勧めています。最初は短い時間から始め、座ると立つを交互にしてください。

スポーツや運動の代わりにはならない

立つことに運動を足す|スタンディングデスクの効果

立つことと運動は別のものです。厚生労働省のガイドは、成人に1日約8,000歩以上の身体活動と、息が弾む運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日勧めています。スタンディングデスクを入れても、これらが満たされるわけではありません。

スポーツの現場でも、体力は負荷をかけて高めるものです。立って働く時間を増やしたうえで、歩く、階段を使う、運動の時間を持つといった習慣を足します。

あわせて読みたい従業員の運動習慣を支援する制度設計ガイド›

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省

会社で導入するなら共有の席から試す

会社では共有の席から試す|スタンディングデスクの効果

全員分を買う前に、共有の席やスタンディングミーティング用の机から試します。イトーキは上下昇降デスクを各所に配備している例として、スポーツ庁の資料に載っています。使われているかを見て、増やすかどうかを決めます。順番は本記事の提案です。

製品を選ぶときは、高さの調整範囲、天板の広さ、電動か手動かを比べます。社員の健康施策の全体はウェルビーイングの施策の考え方で説明しています。

あわせて読みたいスタンディングデスク11製品比較|企業が導入前に見る仕様›

(参考)スポーツエールカンパニー2024 特徴ある取組例 – スポーツ庁

Q. スタンディングデスクは会社の経費にできますか?

業務で使う備品として経費にするのが一般的ですが、金額によっては減価償却の対象になることがあります。処理は購入の形や金額で変わるので、税理士に確認してください。

スタンディングデスクの効果の要点

  • 職場で座る時間は短期で1日平均100分ほど減る
  • 証拠の質は低く、効果は時間とともに小さくなる可能性がある
  • 腰痛やダイエットへの効果は言い切れない
  • 立ちっぱなしを避け、座ると立つを交互にする
  • スポーツや運動の代わりにはならない

まずは1週間、30分ごとに立ち上がる習慣を試し、続きそうなら机の導入を考えてみてください。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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