プロテインや健康飲料、置き型社食の品ぞろえが、担当者の好みや営業の説明で決まっている。オーストラリア国立スポーツ研究所の4区分の仕組みを職場向けに置き換え、商品を根拠で区分して、健康経営の食事の取り組みとして説明できる形に整えます。
対象となるお客さま
- 健康経営の食事の取り組みを担当する人事・総務の方
- 置き型社食や飲料の導入と見直しを任されている方
- 健康経営の説明や申請を取りまとめる経営企画の方
よくあるお悩み
- 品ぞろえが担当者の好みや営業の説明で決まっている
- 「なぜこの商品か」と聞かれて、根拠を答えられない
- 健康経営の取り組みとして説明する言葉がない
課題|置く商品の根拠を聞かれても、営業資料の言葉しか出てこない
オフィスに置く健康食品や飲料の決め方を定めないまま始めると、品ぞろえは担当者の好みや取引先の説明で決まります。社内で「なぜこの商品なのか」と聞かれても、答えられるのは営業資料の言葉だけです。担当者が替われば、選んだ理由も残りません。
商品の表示を読む側の前提も、そろっていません。消費者庁の「令和7年度食品表示に関する消費者意向調査」(2026年1月にインターネットで実施、保健機能食品の設問は全国の15歳以上の3,025人が回答)では、機能性表示食品を「どのようなものか知っている」人は30.0%、特定保健用食品(トクホ)は38.2%でした。機能性表示食品が「消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない」と知っていた人は18.4%です。
これは一般消費者の調査で、企業の担当者だけの数字ではありません。それでも、社員に商品を案内するときは、表示の違いが伝わらない人がいることを前提にする必要があります。
原因|基準が文書になく、表示の種類と根拠の確認を分けていない
担当者の熱意や知識だけの問題ではありません。原因は次の3つです。
- 選ぶ基準が文書になっていない:確かめる項目が決まっていないので、提案された商品ごとに判断が変わります。
- 表示の種類を根拠の代わりにする:トクホは食品ごとに国の審査を受けて許可を得ます。機能性表示食品は事業者が販売前に届け出る制度で、国は審査をしません。どちらも何を誰が確かめたかの違いで、すべての社員に合うという意味ではありません。
- 置いた後に見直す場がない:制度も変わります。機能性表示食品では2024年9月に健康被害情報の提供が義務になり、天然抽出物などを原材料とする錠剤・カプセルでは、2026年9月1日以降に製造等されるものに適正製造規範(GMP、製造工程の管理基準)が適用されています。
健康経営の取り組みとして説明しにくいのも、この3つが背景にあります。健康経営優良法人2027の大規模法人部門の調査票は、環境整備の例として「健康に配慮した食事(専門職が栄養管理している、第三者認証を取得している等)」を挙げています。中小規模法人部門の申請書は「健康に配慮した飲料・栄養補助食品」の提供を選択肢に入れる一方、カロリー表示やポスター掲示などの情報提供は除いています。どちらの部門でも、何をもって健康に配慮したと言うのかは、社内で説明できるようにしておきたい点です。
(参考)機能性表示食品制度に関する説明会資料(2026年7月) – 消費者庁
スポーツ知見|オーストラリア国立スポーツ研究所は、食品と成分を根拠の強さと安全性で4つに分ける
売り込みが多く、根拠を見分けにくいという悩みは、競技の世界にもあります。オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)は2000年に内部調査を行い、商品や成分が急増して専門家でも追いきれない状況などを確かめたうえで、選手向けのプログラムを作りました。現在の AIS Sports Supplement Framework は、スポーツ食品とサプリメントの成分を、科学的根拠などをもとに4つのグループに分けています。判断の軸は「安全か」「競技で使用が認められているか」「効果の根拠があるか」の3つです。
- グループA:特定の場面で使う強い科学的根拠がある。対象の選手が、最善とされる手順に沿って使います。
- グループB:根拠が出始めている、または結果が分かれている。研究や臨床の管理のもとで、個別の選手について検討します。
- グループC:効果を支持する根拠がない、または研究がない。プログラムでは勧めず、使うには競技団体などの委員会の承認か報告が要ります。
- グループD:禁止されている、またはドーピング検査で陽性となる物質が混入する危険が高い。選手は使いません。
注目したいのは、区分ごとに誰がどの条件で使えるかまで決めている点です。分類は固定ではなく、委員会が四半期ごとに追加や変更の申請を審査します。グループCのページには、以前はBだったものの、最新の研究で支持が弱まったものが示されています。また AIS の見解は、根拠を特定の用途に結びつけて判断し、すべての場面に広げないよう求めています。
(参考)Supplements(AIS Sports Supplement Framework) – Australian Institute of Sport
(参考)Group A – Australian Institute of Sport
(参考)Group B – Australian Institute of Sport
(参考)Group C – Australian Institute of Sport
(参考)Group D – Australian Institute of Sport
ただし、試合と仕事は同じではありません。この仕組みはトップ選手の競技力とドーピング防止のためのもので、職場向けではありません。グループAに入っていても、競技の特定の場面で根拠があるという意味で、社員の健康によいという意味ではないので、分類や商品名をそのまま社員に当てはめません。また、医学的な判断の代わりにもなりません。借りるのは、確認の軸を決める、区分する、区分ごとに扱いを決める、定期的に見直すという形だけで、確認の中身は日本の制度と職場の目的に置き換えます。
解決策|3つの確認で商品を4区分に分け、区分ごとに扱いを決める
特定の商品やサービスを勧めることはしません。いま置いている商品とこれから検討する商品を、次の3つで確かめます。
- 安全:原材料、アレルギーの表示、摂取上の注意を確かめます。
- 表示:トクホ・機能性表示食品・栄養機能食品などの種類、許可や届出の内容、営業資料の表現を確かめます。
- 目的と根拠:何のために置くのかを先に決め、その目的に合う根拠があるかを確かめます。
結果をもとに、普段の食事に近いものは「常備」として全員向けに置き、保健の目的を表示した商品や特定の栄養を補う商品は「目的限定」として、目的を決めて希望者が選ぶ形にします。根拠を確かめられないものは「個別判断」として原則置かず、置くときは産業医や保健師などを含めて判断し、理由を記録します。効き目を断定する説明のものは「取り扱わない」とします。区分は商品の良し悪しの順位ではなく、社内での置き方を決めるためのものです。持病のある方や薬を飲んでいる方の摂取は会社が判断せず、本人が医師や薬剤師に相談するよう案内します。
社内の掲示も同じ基準で確かめます。健康増進法第65条第1項は「何人も」健康保持増進の効果について虚偽誇大な表示をしてはならないと定め、景品表示法は商品やサービスを供給する事業者の優良誤認表示を禁じています。社内の掲示がこれらの「表示」に当たるかは状況によりますが、社員が買う商品の案内は、広告と同じ基準で点検しておくと安全です。消費者庁の留意事項は、トクホの許可された内容を超える表示や、機能性表示食品を国が許可したものと誤認させる表示を問題になるおそれがある例に挙げ、該当するかは表示全体から個別に判断するとしています。効果を断定せず、迷う表現は顧問弁護士などに確認します。
進め方|いまの商品を棚卸しし、1拠点で試してから広げる
全拠点の品ぞろえを一度に変えると、社員の反応も確認の手間も見えにくくなります。まず1拠点で区分と掲示を試し、運用に無理がないかを確かめてから広げます。
診断では、いま置いている商品と決めた経緯をすべて書き出し、手元にある資料で何を確かめられるかを見ます。設計・試行では、3つの確認項目と4つの区分を御社の目的に合わせて決め、1拠点で使います。定着では、ほかの拠点に広げ、半期ごとの見直しを社内の予定に組み込みます。
期間は目安です。診断だけ、新しく導入する商品の確認だけといった始め方もご提案します。Human Soarは様式の用意・聞き取り・資料の整理・区分案の作成を担い、御社には商品一覧と営業資料の共有、試す拠点の決定をお願いします。医学的な判断は産業医や保健師など、法律の判断は顧問弁護士など、御社の専門家にお願いします。
成果物|担当者が替わっても同じ基準で選べる4つの様式
成果物はひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の実際の商品と資料をもとに、一緒に作ります。
新しい提案を受けたら、担当者が最初に使うのが「商品の根拠確認シート」です。原材料と注意事項、表示の種類、許可や届出の内容、置く目的を1商品1枚にまとめます。その結果を当てはめるのが「区分ごとの取り扱いルール」で、区分ごとに置き方と決める人を決めておくので、担当者の好みで品ぞろえが変わりにくくなります。
社員に案内する前には「社内掲示の表現チェック」を使います。効果の断定や、国が認めたように読める言い方がないかを、担当者が掲示の前に確かめます。最後に「半期ごとの見直し手順」で、制度の変更と利用数を確かめ、区分を変える商品や外す商品を決めます。支援が終わった後も、社内だけで同じ確認を続けられます。
期待できる効果|経営・担当者・社員の3つが変わる
経営にとっては、健康経営の食事の取り組みについて、なぜこの商品を置いているのかを社内外に説明しやすくなります。担当者は、提案を受けたときに確かめることが決まるので、営業の説明に判断を預けずに済みます。社員は、何のために置かれている商品かを知ったうえで選べます。
見る数字は「根拠確認シートがそろっている商品の割合」です。もう1つ「区分ごとの利用数」を見ると、置いたものが使われているかが分かります。健康への効果を、この2つの数字で断定することはありません。健康経営優良法人2027の大規模法人部門の調査票は、施策の取り組み結果に加えて、生活習慣や意識の改善状況を検証しているかを尋ねています。そこで半期ごとの見直しでは、社員調査で食生活の意識も確かめます。なお、このプログラムは健康経営優良法人の認定を保証するものではありません。
Human Soarからのコメント
オフィスに置く商品は、小さな決めごとに見えて、会社が社員の健康をどう考えているかを毎日伝えるものです。だからこそ、好みでも営業の説明でもなく、自分たちの言葉で理由を言えるようにしたいと考えます。スポーツの世界で使われている区分の形を借りて、御社の目的に合う基準を一緒に作ります。
よくあるご質問
Q. トクホや機能性表示食品を置けば、健康経営の取り組みになりますか?
置くだけでは決まりません。健康経営優良法人2027の中小規模法人部門の申請書は「健康に配慮した飲料・栄養補助食品」の提供を選択肢に挙げていますが、大規模法人部門の調査票は健康に配慮した食事の環境整備などを基準の例にしており、部門で内容が違います。最新の調査票や申請書で確かめたうえで、置く目的と理由を説明できるようにします。
Q. プロテインはどの区分になりますか?
プロテインという名前だけでは決めません。商品ごとに原材料と摂取上の注意、営業資料の表現を確かめ、置く目的に合うかで区分します。たんぱく質の補給を目的に希望者が選ぶ形なら、「目的限定」に入れるのが基本です。
Q. 社内の掲示に、商品の効果を書いてもよいですか?
確かめた範囲にとどめます。トクホは許可された表示、機能性表示食品は届け出た表示を超えて書かず、「治る」「痩せる」のように断定しません。判断に迷う表現は、掲示の前に顧問弁護士などに確認します。
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