Bリーグの課題|赤字は13クラブ、初のドラフト指名は11人

Bリーグの課題|赤字は13クラブ、初のドラフト指名は11人 スポーツビジネス

Bリーグの課題は、事業が急に大きくなるなかで生じている費用の増え方、カテゴリー間の差、アリーナの整備費、新人選手の獲得の仕組みにあります。2025-26シーズンはリーグとクラブを合わせた営業収入が初めて1,000億円を超えましたが、B1・B2の40クラブのうち13クラブが赤字で、営業費用は前期より29.4%増えました。

地元のクラブから協賛の提案を受けたものの、「伸びているリーグと聞くけれど、経営は本当に安定しているのか」「新しいアリーナや制度の話がどう自社に関係するのか」がつかみにくい。ここではBリーグが公表している決算、制度の資料と、自治体のアリーナ整備の資料をもとに、課題ごとの数字と公表されている対策、企業が関わるときの判断材料を整理します。

Bリーグの課題の全体像|事業規模は10年で5倍でも赤字は13クラブ

Bリーグの事業規模は、リーグが誕生した2016-17シーズンの201億円から、2025-26シーズンには1,013億円へと5倍以上になりました。その一方で、費用の増加、カテゴリーによる規模の差、アリーナの整備、新人選手の獲得という課題が数字に表れています。課題ごとに、根拠になる数字と、リーグや自治体が公表している対策を並べました。

課題 根拠になる数字 公表されている対策
費用の増加と赤字 B1・B2の営業費用は832億円(前期比+29.4%)、赤字は13クラブ クラブライセンスの審査(債務超過を認めない)、サラリーキャップ
カテゴリー間の差 1クラブ平均の営業収入はB1が26.7億円、B2が10.5億円 上のカテゴリーへの入会審査を毎年行う
アリーナの整備 B.PREMIERは5,000席以上が条件。全国のアリーナ計画40件のうち27件がバスケットボールを想定 国のスタジアム・アリーナ改革、PFIなど民間の資金とノウハウを使う整備
新人選手の獲得 第1回ドラフトは参加23クラブで指名11人 ユース優先交渉権、2028年から成績下位のクラブを優先する指名順

出典:B.LEAGUE「2025-26シーズン(2025年度)クラブ決算概要発表資料」、B.LEAGUE DRAFT 2026 制度・ルールと結果、スポーツ庁「スタジアム・アリーナの新設・建替構想の現状」(2026年1月時点)をもとに Human Soar 作成。アリーナ計画の件数は資料に載っている計画を数えた値

2026-27シーズンからは、最上位のB.PREMIER、その下のB.ONE、B.NEXTの3つに分かれ、競技の成績ではなく売上や入場者数、アリーナの基準で所属が決まるようになりました。制度の中身はBプレミアの新制度の記事で整理しているので、ここでは制度が生んでいる課題と対策に絞ります。

(参考)2025-26シーズン(2025年度)クラブ決算概要発表資料(2026年10月13日) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

Bリーグの経営の課題|収入と同じ速さで費用も増えている

Bリーグの経営の課題として赤字クラブと債務超過クラブの数を2022-23シーズンと2025-26シーズンで比べた図

Bリーグの経営で目立つのは、収入が伸びても利益がほとんど残らない点です。B1・B2クラブの営業収入は2025-26シーズンに841億円で、前期の651億円から約190億円増えました。ただ営業費用も832億円まで増え、差し引きの営業利益は8.9億円にとどまっています。

営業費用は前期比29.4%増で赤字は13クラブ

B1・B2クラブの営業収入の伸びは前期比29.1%、営業費用の伸びは29.4%で、費用の伸びが収入をわずかに上回りました。費用のうちトップチーム人件費は306.8億円で24.8%増、それ以外の費用は525.4億円で32.2%増えています。

当期純損失を出したクラブ(赤字クラブ)は13で、内訳はB1が7クラブ、B2が6クラブです。前期の15クラブからは減りましたが、40クラブのうち3分の1近くが赤字という状況は続いています。リーグは資料の中で、ここ数シーズンは人件費よりも試合の演出やホスピタリティ(招待客向けのもてなし)といった興行への費用が増える傾向にあると説明しています。

(参考)2025-26シーズン(2025年度)クラブ決算概要発表資料(2026年10月13日) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

対策はライセンス審査とサラリーキャップ

リーグの対策の中心は、クラブライセンスの審査で財務の条件を課すことです。2022-23シーズンにはB1・B2で赤字が20クラブ、債務超過(負債が資産を上回る状態)が6クラブあり、営業損益は合計で24.9億円の赤字でした。2025-26シーズンには債務超過のクラブはなく、営業損益も8.9億円の黒字です。B.PREMIERの審査では、申請するクラブが債務超過でないことが条件の一つになっています。

選手の人件費には、2026-27シーズンからB.PREMIERでサラリーキャップ(選手報酬の総額の上限)が設けられています。リーグは決算資料で、サラリーキャップと事業成績を審査の基準にしたことで、経営の安定と事業への投資の傾向が見られるとまとめています。上限額や制裁の中身はサラリーキャップの記事で解説しています。

(参考)2026-27シーズン B.PREMIERクラブライセンス交付規則 – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

Q. Bリーグの経営の課題は何ですか?

収入と同じ速さで費用も増えていることです。2025-26シーズンのB1・B2クラブの営業収入は841億円で前期より29.1%増えましたが、営業費用も832億円で29.4%増え、40クラブのうち13クラブが赤字でした。B1・B2で債務超過のクラブは3シーズン続けてありません。

カテゴリー間の差|B1平均26.7億円とB2平均10.5億円

B1とB2、B3の間には、事業規模で大きな差があります。2025-26シーズンの1クラブ平均の営業収入はB1が26.7億円、B2が10.5億円で、B1はB2の約2.5倍です。クラブ別の決算概要の数字から、カテゴリーごとの違いを並べました。

B1 B2 B3
クラブ数 26 14 15
営業収入の合計 694億円 147億円 63億円
1クラブ平均の営業収入 26.7億円 10.5億円 4.2億円
営業収入に占めるスポンサー収入 45.6% 57.6% 64.7%
トップチーム人件費の前期比 +29.9% +2.6% —
当期純損失のクラブ 7クラブ 6クラブ 4クラブ
入場者数 398万人 127万人 59万人

出典:B.LEAGUE「2025-26シーズン(2025年度)クラブ決算概要発表資料」とクラブ別の決算概要をもとに Human Soar 作成。スポンサー収入の割合とB3の赤字クラブ数は、クラブ別の数字から計算した値。B3の人件費はクラブ数が17から15に変わったため比べていない

B1の中でも差は開いています。営業収入の上位4クラブ(アルバルク東京92.4億円、千葉ジェッツ59.0億円、宇都宮ブレックス40.4億円、琉球ゴールデンキングス38.6億円)を合わせると230.4億円で、B1全体の約33%にあたります。

下のカテゴリーほど、収入のうちスポンサー収入に頼る割合が高くなります。B3では営業収入の6割以上がスポンサー収入で、地元企業1社の協賛の増減がクラブの経営に直接響きます。人件費の伸びもB1の29.9%に対してB2は2.6%で、選手への投資の差が広がっています。

リーグは2026-27シーズン以降、B.PREMIER、B.ONE、B.NEXTの入会審査を毎年行い、基準を満たせば上のカテゴリーへ参入できる仕組みにしました。2026-27シーズンのB.PREMIERの審査では、平均入場者数4,000人以上と、売上高12億円以上(うちバスケットボール関連の事業で9.6億円以上)が求められます。観客数の推移はBリーグの観客動員数の記事でクラブ別に見られます。

(参考)2025-26シーズン(2025年度)クラブ決算概要(B1・B2・B3クラブ) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

(参考)2026-27シーズン B.PREMIERクラブライセンス交付規則 – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

Bリーグのアリーナの課題|5,000席の基準と数百億円の整備費

Bリーグのアリーナの課題として秋田県と京都府のアリーナ整備の進め方を比べた図

B.PREMIERのホームアリーナには、5,000席以上の観客席に加えて、周囲から仕切られた部屋で飲食や談話を楽しめるスイートと、観戦席とは別に飲食や談話のスペースを備えたラウンジが求められます。基準を満たす施設がない地域では新設や大規模な改修が必要になり、その費用をだれがどう負担するかが課題になります。

スポーツ庁が2026年1月時点でまとめた資料では、全国でアリーナの新設・建替の計画が40件進んでいます。このうち主な利用としてバスケットボール(Bリーグ・Wリーグ)を想定しているものを数えると27件で、アリーナ計画の3分の2を超えます。

(参考)ホームアリーナ検査要項〔2026-27シーズン B.PREMIER用〕 – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

(参考)全国のスタジアム・アリーナの新設・建替構想(2026年1月時点) – スポーツ庁

秋田県はPFIで約325億円の契約

秋田県は、秋田市の八橋運動公園に新しい県立体育館を整備しています。民間の事業者が設計・建設をして県に所有権を移し、そのまま維持管理と運営を担うPFI(BTO方式)です。一般競争入札の結果、清水建設を代表とするグループが設立した会社と約325億円(税込)で契約しました。

契約金額の内訳は、施設整備費が約259.9億円、維持管理・運営費が約83.7億円で、利用料金収入の約18.4億円が差し引かれています。アリーナの観客席は6,030席で、供用開始は2028年9月末の予定です。

(参考)新県立体育館整備概要について – 秋田県スポーツ振興課

京都府は命名権で10年12億円の提案

京都府は、向日町競輪場の敷地内に京都アリーナ(仮称)を整備します。設計・施工から維持管理・運営までを一括で提案する公募を行い、伊藤忠商事を代表とするグループを優先交渉権者に選びました。府は348億円規模の債務負担行為(複数年にわたる支払いの枠)を設定しています。

事業者の提案には、収容9千人規模の施設、公共事業で整備する場合より23.5億円のコスト削減、ネーミングライツ(命名権)で10年間12億円の収入、運営開始から10年間は府の負担なしといった内容が含まれています。開業は2028年10月の予定です。民間の資金を使う整備の仕組みはスタジアム整備のPFIの記事、国の政策の流れはスタジアム・アリーナ改革の記事で解説しています。

(参考)令和6年度12月補正予算案 京都アリーナ(仮称)整備等事業費 – 京都府

Q. Bリーグのアリーナ問題とは何ですか?

最上位のB.PREMIERに入るには5,000席以上でスイートとラウンジを備えたホームアリーナが必要で、整備に数百億円規模の費用がかかることです。秋田県の新県立体育館は契約金額が約325億円、京都府の京都アリーナ(仮称)は債務負担行為が348億円規模です。

Bリーグのドラフトの課題|参加23クラブで指名は11人

Bリーグは2026年1月29日に第1回のドラフト(B.LEAGUE DRAFT 2026)を開きました。前年の順位が低いクラブを優遇してリーグ全体の戦力の均衡を図る制度ですが、第1回の指名は11人にとどまりました。

1巡目で指名したのは6クラブ

ドラフトへの参加を申請して承認されたのは25クラブで、そのうち2クラブが辞退し、23クラブが参加しました。1巡目で選手を指名したのは6クラブで、残る17クラブは指名を見送っています。2巡目の指名は2人、3巡目は3人で、4巡目は行われませんでした。

ドラフトで指名された選手には、所属するカテゴリーと指名された巡目に応じて、年俸として最低800万円から最高1億円が約束されます。B.ONEとB.NEXTの新人選手の年俸の上限が460万円(リーグ規定のインセンティブを除く)であるのと比べると、ドラフト経由の新人には高い年俸が約束されています。契約金はサラリーキャップの総額にも数えられます。

(参考)B.LEAGUE DRAFT 2026 結果について(2026年1月29日) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

選手の進路の制限とユース優先交渉権

ドラフトの対象は、日本人(見なし日本人を含む)の高校3年生から大学4年生と、プロ2年目までの選手です。プロ1〜3年目の選手がB.PREMIERでプレーするには、必ずドラフトを経由しなければなりません。指名されたクラブとの契約を選手が拒んだ場合、そのシーズンはB.PREMIERのクラブと契約できなくなります。

選手の進路が制限される分、リーグはドラフトに参加するクラブに環境整備の基準を設けています。ドラフトで加入したクラブで引退した選手には希望すれば最大3年間の雇用を保証し、チームスタッフは最低11人の雇用を求めます。自クラブのユースチームで育てた選手とは、ドラフトの前に優先して交渉できる「ユース優先交渉権」があり、ユースチームの保有はB.PREMIERのライセンスの必須要件です。

指名順は2026年と2027年は全クラブ同じ確率の抽選で決め、2028年からは前のシーズンにポストシーズンへ進めなかったクラブのうち、順位の低いクラブほど上位の指名順を得やすい方式に変わります。

(参考)B.LEAGUE DRAFTについて(制度・ルール) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

Q. Bリーグのドラフトの課題は何ですか?

第1回の指名が11人にとどまったことです。2026年1月の第1回には23クラブが参加しましたが、1巡目で指名したのは6クラブで、残る17クラブは指名を見送りました。指名された選手には最低800万円の年俸が約束されます。

Bリーグの課題別に見る企業の関わり方|判断に使う数字

Bリーグの課題は、企業にとって関わり方を選ぶ手がかりにもなります。課題ごとに、企業が取れる関わり方と、判断するときに確かめる数字を並べました。

課題 企業の関わり方 判断に使う数字・資料
費用の増加と赤字 複数年の協賛契約 決算概要の当期純利益と純資産
カテゴリー間の差 B.ONE・B.NEXTのクラブへの協賛 スポンサー収入の割合と入場者数
アリーナの整備 命名権の取得やアリーナ事業への参加 自治体の募集要項と契約金額
新人選手の育成 ユースチームや育成事業への協賛 ユースチームの活動とドラフトの指名結果

出典:B.LEAGUE「2025-26シーズン(2025年度)クラブ決算概要発表資料」、B.LEAGUE DRAFT 2026 制度・ルール、秋田県・京都府の公表資料をもとに Human Soar 作成

費用の増加と赤字には複数年の協賛で備える

Bリーグは毎年、全クラブの決算概要を公表しています。協賛を検討するクラブが赤字でも、純資産が十分に残っているか、赤字が何期続いているかを見れば、経営の状態をある程度つかめます。そのうえで単年ではなく複数年の契約を結ぶと、クラブは費用の計画を立てやすくなり、企業は権利の内容を長く固定できます。

カテゴリー間の差はB.ONEとB.NEXTで1社の比重が大きい

B2・B3の営業収入の半分以上はスポンサー収入で、1クラブあたりの事業規模はB1より小さいため、同じ金額の協賛でもクラブの中での比重は大きくなります。上のカテゴリーを目指すクラブなら、平均入場者数と売上高がB.PREMIERの基準にどこまで近づいているかを確かめておくと、協賛の位置づけを決めやすくなります。

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アリーナの整備には命名権と事業への参加で関わる

秋田県と京都府の例のように、アリーナは自治体が民間の事業者と組んで整備・運営することがあります。京都府では命名権の収入が事業の提案に組み込まれており、企業は命名権の募集や、運営を担う事業者のグループへの参加という形で関われます。自治体の募集要項と契約金額は公表されるので、条件を比べてから応募を検討できます。

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新人選手の育成にはユースチームへの協賛で関わる

B.PREMIERのクラブにはユースチームの保有が求められ、育てた選手とはドラフトの前に優先して交渉できます。ユースチームや育成事業への協賛は、地域の子どもたちの活動を支える取り組みとして社内外に説明しやすく、クラブの将来の戦力づくりにも直接つながります。

Q. 赤字のBリーグクラブに協賛しても問題ありませんか?

赤字かどうかだけでは判断できません。B.PREMIERの審査には債務超過でないことという条件があり、2025-26シーズンの決算では債務超過のクラブはありませんでした。決算概要で純資産と赤字が何期続いているかを確かめ、そのうえで契約の年数を決めます。

Bリーグの課題のまとめ

Bリーグは事業規模を大きく伸ばす一方で、費用やアリーナ、選手の獲得に新しい課題を抱えています。日本のスポーツ業界全体の課題は日本スポーツ業界の8つの課題で整理しています。この記事の要点を振り返ります。数字の出典は本文の各セクションに記載しています。

  • 2025-26シーズンはリーグとクラブの営業収入が1,013億円で初めて1,000億円を超えたが、B1・B2の13クラブが赤字
  • 1クラブ平均の営業収入はB1が26.7億円、B2が10.5億円で、下のカテゴリーほどスポンサー収入に頼る
  • B.PREMIERは5,000席以上のアリーナが条件で、自治体の整備は秋田県の約325億円のように数百億円規模になる
  • 第1回ドラフトは参加23クラブで指名11人。リーグはユース優先交渉権と選手の環境の基準で制度を補っている
  • 企業は決算概要の数字を確かめたうえで、複数年の協賛、命名権、ユースチームへの協賛などを課題に合わせて選べる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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